【感想・ネタバレ】シャーロック・ホームズの叡智のレビュー

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のどかな片田舎を想像しながら。
ワトソンの身軽さが羨ましい。再読でも結末を覚えていないことも多いが、次はもう覚えてしまっているかも知れない。でも頭に浮かぶ風景や、軽妙かつ回りくどい会話を含めた世界観に浸りたくてまた読むと思う。
恐怖の谷などの長編を再読するよりは、こうした短編を再読してしまうと思う。

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2023年02月19日

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原作には「シャーロック・ホームズの叡智」というタイトルはなく、新潮文庫が諸般の事情で他の文庫に載せきれなかった短編の寄せ集め。聖典60作品を読むにあたっては出来るだけ発表順に読む事にしたので、この「叡智」を通して読んだわけではない。推理の過程はもちろん、ワトソン博士とのやりとりや当時のロンドンの街並み等、総じて面白く読む事が出来た。

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2017年12月10日

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ネタバレ

収録作品:The Adventure of The Engineer's Thumb,The Adventure of the Beryl Coronet, The Reigate Squires, The Norwood Builder,The Three Students,The Missing Three-Quarter,Shoscombe Old Place,The Retired Colourman 全8話

今回、最も注目すべきは「ノーウッドの建築士」。ホームズシリーズの欠点は、話の展開がパターン化していることで、別の話で同じようなトリックが使われてたりすることが多いように思う。しかし、この話は、多少他の話と似ている部分もあるが、予想もつかない奇想天外な真相につながる。その意味で読みごたえがあった。

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2015年01月11日

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今になってシャーロックホームズを初めて読む。
視点は一貫してワトソンからのものであり、ホームズ自身の考えは彼から言われないと分からない。そのため、ホームズが何を見、その結果どう考えていたのかを言われて初めて気づく。なので何を見、どう考えたのかを考えながら読むと非常に面白かった。

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2013年12月21日

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ネタバレ

「技師の親指」
親指を失くした人の奇妙な依頼。ただ、最後に犯人が逃亡してしまったのは残念。なんとなく、犯人たちが『名探偵コナン』に出てくる黒の組織のように感じた。

「緑柱石の宝冠」
良くある、父親がバカ息子の盗難を疑うと言うもの。共犯ができる娘というのも良くあるトリックであった。

「ライゲートの大地主」
探偵ものの常となっている、休養中に事件が巻き込まれるやつの二つ目。

「ノーウッドの建築士」
犯人を隠れているところから、炙り出す「家事だ」もどこかで聞いた事のあるトリック。これも、ドイルが発祥なのだろうか。

「三人の学生」
真面目な学生が犯人という典型的な感じ。

「スリー・クォーターの失踪」
アームストロング博士との知恵比べは面白かった。最初のホームズとの嫌悪感丸出しの会話は、ホームズが、モリアーティ教授の再来と勝手な判断を下したことも一因なのではないだろうか。結末が悲しく、そこは残念。

「ショスコム荘」・「隠居絵具屋」

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2013年08月12日

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ネタバレ

シャーロックホームズの、本来は別々の単行本に含まれていたはずの作品を、日本で出版するにあたりページ数の関係で割愛したものをまとめて一冊にしたもの。
何度読んでも、シャーロックホームズものはいわゆる本格推理ではなく、解決編ではじめて明かされる事実が多いと感じる。しかしながら、あくまでも論理的に謎を解き、実にスマートに事件を解決していく様子はやはり世界一有名な探偵を生み出したドイルの力量というのを感じる。
古典ではあるが、面白いものはやはり面白い。

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2013年07月23日

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シャーロックホームズシリーズ短編集に収録されなかった作品集。

「技師の親指」は、はじめて読んだときスリリングすぎてとてもわくわくしたのを覚えている。親指には悪いけど、好きな話だ。

もう一つ、「ノーウッドの建築士」も好き。あっと驚く結末が印象深かったらしく、よく覚えている。いま読み直してもおもしろいのは、建築士が相当ワルだから?

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2012年09月23日

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「緑柱石の宝冠」でホームズが報酬を求め、もうとっくに見つかってますよと言外に言う場面がおかしくってだいすき。

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2012年09月04日

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ネタバレ

短編集です。

最初の話は「技師の親指」です。
はじめは、水力技師がどういう犯罪と関係しているかわかりませんでした。
5年に1度読み返すと、結末を思い出すものと、結末を忘れているものがあります。

結末を忘れているものが面白くなかったというわけではありません。
逆に、面白くて、話にのめりこんで忘れてしまったものもあります。

すべての話が、すべて同じ水準で面白いというわけではありません。

2度めに読むときには、
1 結末の面白さ
2 筋の展開の面白さ
3 登場人物の面白さ
4 風景、背景の面白さ
5 文章の面白さ
の5項目について採点しながら読んでいます。

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2012年06月08日

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出版社の事情により未収録だった「冒険」「思い出」「帰還」「事件簿」からの8編を集めた短編集。各話の感想はそれぞれの短編集に貼り付け予定。『技師の親指』ワトソンの病院に急患。手に巻いた血だらけの布をとると親指がない!ただならぬ様子を聞き治療後ベーカー街へ連れて行った。ホームズの推理はほんの少し。この気丈な水力技師による奇妙な体験談が話のほとんどを占めるが、これがハラハラさせて面白い。『緑柱石の宝冠』「あり得ないことを除去してゆけば、あとに残ったのがいかに信じ難くても、どれが事実に違いない…」という公理、足跡からの捜査、浮浪者の変装などホームズが得意の特技で解決。延原氏の名訳「(ホームズ捜査から帰還した様子)相変わらず海のものとも山のものともつかぬ顔つき」に笑った。それにしても、国宝級の王冠、宝石が戻っても破損したことには変わりなく大問題だったはず…。『ライゲートの大地主』過労で倒れたホームズの療養を兼ねて、ワトソンの戦友宅へお邪魔した二人。遠ざかるはずだった事件(しかも殺人)がよりによって近所で起こり、捜査協力を要請されてしまう。独特の捜査を進めるホームズは狂人扱いされ、ワトソンが弁解「言行は狂気めいていてもあの男はちゃんと条理が立っている」。推理は怪しい。『ノーウッドの建築士』ホームズ帰還数か月後の話。医院を引き払ったワトソン同居…って奥さんはどうしたっ?!隠退建築士殺害の容疑者と目される若手弁護士が潔白を主張。不利な証拠ばかりでレストレード警部に嘲笑われ、警察相手に初の黒星か?と思わせて…。建築家ならでは犯行。ダメ押しの指紋がアダに。犯人の執念深さに呆れた。『三人の学生』大学町に住んでた時の話。奨学金試験前に問題用紙を何者かに見られたという教師からの相談。ホームズにとっては文字通り朝飯前の事件解決。後味のいい結末。『スリー・クォーターの失踪』ケンブリッジ・トリニティカレッジのラグビーチーム選手が試合前に失踪したと相談。蒸発か誘拐か事件に巻き込まれたのか、見当がつかないまま捜査を進める二人。発信機代わりに馬車にアニシード(アニスシード?)をつけ犬とともに唯一の手掛かりを持つ医者の後を追う。ラストの痛々しさ、悲しさが印象的。『ショスコム荘』亡夫の持家ショスコム荘に住む妹と、借金まみれで騎手の兄。馬の調教師が主人らの奇行を不審に思い相談に訪れた。夜な夜な納骨堂に向かう兄、部屋に閉じこもる妹の行動から仮説をたて、真相に近づいたが若干外れ。警察の寛大すぎる処分に納得いかない…。『隠居絵具屋』年老いた隠居(元絵具屋)が、年若い妻と愛人に金庫の中身を持って駆け落ちされたと相談に訪れた。ワトソンが老人に同行し、屋敷→田舎の教会→ベーカー街→屋敷と大移動(すっかり探偵助手)。そのすきにホームズ捜査。そして判明した犯行の手口の残忍さ。ちなみに今回ホームズに強敵と言わしめた探偵バーカー君登場(他の話には出てこないけど)。あとがきによると、各短編集のページ数がやたら多くなるのを懸念して一部割愛したそうだが、改訂時に元に戻して!とも思った。それとも延原氏翻訳時の意向を汲んであえてそのままにしてあるのか…。新潮社ホームズはこれが最後となったわけだが、時代も手法もバラエティに富んでいて「ドイル傑作集」みたいな感覚で楽しめたので結果オーライ。これにてホームズ祭り終了。入手できたらドイル傑作集(3冊)も読みたい。(2009年1月ホームズ再読月間)

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2011年07月22日

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ネタバレ

ホームズシリーズを読み終わってしまった〜…

訳者あとがきの「これで『全集』は完成されたわけで、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物語はこれ以外にない」という一文に、本当に終わりなんだと感じて寂しくなった。
こんな大好きな小説になると思わなかったので、またいつか読みたい。その時も絶対に楽しめると思う。

この短編集の中で印象に残ったのはやっぱり「技師の親指」かなあ。グロテスクだし、真相が明かされるまでドキドキした。
あとは「三人の学生」や「スリー・クォーターの失踪」も、事件に大学生が関わってきて新鮮に感じた。
最後の「隠居絵具屋」ではワトソンが頑張ってて良かったなー。
あー楽しかった!!

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2023年09月28日

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必ずも鮮やかなで爽快な結末があるとは限らない。だがそれもまた面白いと感じることができた。これにてシャーロックホームズならびに相棒のワトスン博士の活躍を全て読んだわけだが、すっかり虜にされた。コナン・ドイル没後100年を企画して様々なイベントがあることであろう。その時を心待ちにし彼の作品に親しみを持ってもう一度読みたいと思う。

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2022年11月28日

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ネタバレ

牧師の親指
緑柱石の宝冠
ライゲートの大地主
ノーウッドの建築士
三人の学生
スリー・クォーターの失踪
ショスコム荘
隠居絵具屋

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2022年11月18日

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本作は、原典から新潮文庫に収録する際、省略した物語を集積したもの(巻末解説より)。1892年から1927年にかけての作品で、ホームズが事件に関与し、探索が行き詰まるかに見せ、隠れていた事実をホームズが見つけ出して解決するという展開の多いものになったのか? しかし、ついつい惹き込まれてしまう。「緑柱石の宝冠」では壊された宝冠の始末がどうなったかが気になってしまった。「ノーウッドの建築士」のカラクリは脱税にも使われそう。最も印象に残ったのは「ショスコム荘」だった。

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2021年10月08日

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シャーロックホームズ最後の短編集

8編のストーリーをまとめた一冊で、親指を失った奇妙な男の話やテストの問題の解答が盗み見された事件など
短く楽しめる話が多くて良かった。

これで新潮文庫では読み終わったので他の文庫でもホームズシリーズを読みたいと思う。

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2019年09月18日

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「緋色の研究」を読んだ後に読んでみました。短編集なのであっさり読めました。が、少しあっさりしている印象で、私には長編の方が向いているのかな、と思いました。

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2017年03月19日

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再読。
電車の中で読もうと思って持って出掛けました。
外出先で読む場合、途中になってしまうと続きが気になって仕方がないので、一遍読み切りの短編集は重宝します。
ホームズの短編集は、ぱぱっと読めるうえに、面白い!
そして、何度読んでも飽きが来ない!
最高です!!

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2016年06月24日

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シャーロック全編完読。叡智の中の短編は、初期から後期まで含まれており、関連性がないが時代の変遷を感じさせる。特に、技師の親指は、オススメ。

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2016年05月04日

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新潮文庫版のホームズ全集は、
紙幅の都合上、各短編集から数編ずつ割愛されており、
そのカットされた話を集めたものがこの「叡智」である。
「冒険」から2編、「思い出」から1編、「帰還」から3編、
そして「事件簿」から2編、計8編収録。

親指を切断された技師の体験の謎を解く「技師の親指」、
療養中に遭遇した殺人事件を迅速に解決する「ライゲートの大地主」、
とある建築士の焼死事件の意外な真相――「ノーウッドの建築士」、
競馬好きの男の奇妙な行動――「ショスコム荘」。

割愛された話を集めたものだが、
決してクオリティが低い話を集めたものということではなく、
いくつかの短編はホームズ物語の中でも屈指の面白さを誇る。

これをもって新潮のホームズ全集は完結。

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2012年05月07日

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ネタバレ

ホームズ・シリーズ、短編集。この巻は新潮文庫のオリジナルで、ドイルの原作にはない。頁数の関係で本来の巻に入りきらず、割愛された短編をまとめて掲載したもの。タイトルは訳者の命名。

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2009年10月07日

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巷間に流布しているホームズ譚の短編集は『~冒険』、『~帰還』、『~思い出』、『~最後の挨拶』、『~事件簿』の5冊が通例だが、新潮文庫版においては各短編から1、2編ほど欠落しており、それらを集めて本書を編んでいる。従って衰えの見え始めた後期の短編集よりも実は内容的には充実しており、ドイル面目躍如という印象をもってホームズ譚を終える事になろうとは計算の上だったか定かではない。

本作においては冒頭の「技師の親指」など結構読ませる短編が揃っており、個人的には「スリー・クォーターの失踪」がお気に入り。
最後の「隠居絵具屋」はチャンドラー、ロスマク系統の人捜しの様相を呈した一風変わった発端から始まるが最後においてはポーの有名作品を思わせる仕上がりを見せるあたり、なかなかである。
しかしホームズ譚を全編通じて読んだ感想はやはり小中学校で読むべき作品群であるとの認識は強く、少年の頃に抱いた輝かしい物語のきらめきの封印を無理に抉じ開けてしまった感があり、いささか寂しい思いがする。色褪せぬ名作でもやはり読む時期というものを選ぶのだ。

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2020年06月10日

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文庫として最後のホームズシリーズ。訳者によるとボリュームから、これまでのシリーズから抜粋してまとめたとのこと。他の短編同様おもしろく楽しめる。2019.2.28

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2019年02月28日

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シャーロックホームズ最終巻、やはりシャーロックホームズシリーズは推理モノというより冒険モノだったと思う。

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2018年01月06日

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読んでいる時は面白いのだが、短編ミステリーは読み終わった端から内容を忘れていく自分の悪い癖が、顕著になってしまいます。

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2016年11月18日

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ネタバレ

「観察」という情報収集力に加えて、想像力を働かせて、論理的にストーリーを構築する。
これこそがシャーロック・ホームズのシャーロック・ホームズたる所以だと感じる。

技術や飛び道具的な内容での解決ではなく、ごくごく地味な、泥臭い活動から結論を導き出す。
普段との違いは何か、可能性の排除の連続。そして残ったものが真実。

同じものを見ていても違うものが見えている。
これは蓄積していくと大きな差になるんだろう、継続していくことが重要だと感じる。

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2016年06月25日

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まさかの改版じゃない旧字体で読んだのでちょっと衝撃的でした。ライゲートの大地主、ノーウッドの建築士がすき。引退後も二人で冒険について静かに語り合っていてほしい。

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2014年09月09日

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本書でシャーロック・ホームズシリーズは最後となります。
惜しみつつも楽しく読ませていただきましょう。

早朝叩き起こされてワトスンが診察したのは、片手の親指が根元からちぎれた急患だった。彼が語った世にも恐ろしい体験とは。…『技師の親指』
あまりに騒々しい来訪に目を丸くしたホームズとワトスン。やってきた青年は今まさに殺人の容疑を掛けられ発狂寸前だったが、人殺しなどまったく身に覚えのない話だという。彼と死んだ男との間でなされた直前のやりとりに違和感を覚えたホームズは…『ノーウッドの建築士』
他全8編。

この本だけは、原作から文庫本に組み直す際にこれまで割愛されたものをまとめて掲載しています。(他の短編集はあくまで原作のタイトルや構成を崩さないようにそのまま掲載しているそうです)
とはいえ、作品の質が他に劣るわけではまったくなく、充実したラインナップは相変わらずです。
『ノーウッドの建築士』『隠居絵具師』がお気に入りでした。
特に『ノーウッドの建築士』は短編とは思えない精巧な構成で、驚きの結末を提供してくれます。

シャーロック・ホームズシリーズ、完走できてよかった。
時代をこえて愛されるミステリー小説として、その知名度にふさわしい完成度に大満足です。

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2014年01月13日

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再読。新潮版だけの短編集。
「技師の親指」
「緑柱石の宝冠」
「ライゲートの大地主」
「ノーウッドの建築士」
「三人の学生」
「スリー・クォーターの失踪」
「ショスコム荘」
「隠居絵具屋」

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2012年05月23日

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「シャーロック・ホームズの叡智」新潮文庫は、 訳者の延原謙氏が、勝手に命名したもので、大人の事情で各文庫版に載せ切れなかった短編作品をまとめて出版したものです。

≪技師の親指≫「シャーロック・ホームズの冒険」より

1889年の夏、ワトスンの結婚後まもなく、また開業することになった頃の話です。

『私はベーカー街にホームズをおきざりにはしたが、それでもちょいちょい訪ねてはいったし、ときには彼を説きふせてその放縦癖(原文ではBohemian habits)を一時おさめ、私の家を訪ねてくるようにもしたのだった。』

放縦とは「何の規律もなく勝手にしたいことをすること」ですが、ホームズの身勝手さは、自分の健康を損ねたりすることもあるので、ワトスンとしては、離れて住んでいても心配の種だったのだと思います。

朝早く、患者でもある依頼人をホームズの所へ連れて行くと、ホームズは『例のもの静かな愛想のよさで私たちを迎え、ベーコンのうす切りと卵とを注文してくれ、いっしょに気持ちよく食事をとった。』のでした。
さらに、怪我をしている患者に対してソファーや枕や気付け薬や優しい言葉を用意して、話を聞こうとします。

そういうホームズの気遣いが、他の話や場面でのワトスンへの身勝手ぶりと対比していて面白いです。
もちろんワトスンをないがしろにしているわけではなく、自分の一部であるかのような扱いとでもいえるような「甘え」があるのだと思います。

ホームズは、人当たりをよくしたり、女性の心に入り込んだり、やろうと思えばいくらでも素晴らしい紳士にもなれるのに、事件解決のためなど目的がないと、好き勝手に振舞います。


尊大な態度、無礼な振る舞い、いきなりの行動、 解っていることを隠してもったいぶったり、果てにはチェスの駒のようにだまして利用することもあります。

「瀕死の探偵(シャーロック・ホームズ最後の挨拶)ひどいよホームズ! と、私は思わず怒ってしまいました。
最後のフォロー「僕が医者としての君の才能を、それほど見くびっているとでも思うのかい……」がなければワトスンもきっと怒っていただろう……と思うのですが、本文では、瀕死のホームズが心配で心配でたまらないという感が強く表れていました。
さすが、ワトスン、人がいいというか、ホームズに対してはなんでもありなのか。


ハドソンさんもホームズを「尊敬している」という記述が見受けられますが、どちらかというと、 『わがままな子どもを見守り、世話を焼く身内』のような感覚に思います。


ワトスンは、ホームズの態度にむっとしたり、口げんかをしたり、怒ったりすることも時にはありますが、結局のところ、事件の新事実なんかを提示されると
「それでどうなったんだい?」
などと、興味のほうが先に来て、ころっと機嫌がなおってしまうようです。
ワトスンが単純で浅はかというのではなく、ホームズに対する、保護者のような慈愛と、友としての親愛と、そしておさえきれない好奇心とが、彼を許す動機になっている……
などと、文字にあらわすと随分陳腐になってしまいますが、つまり、ワトスンはホームズが大好きなんですよ。
ホームズも、他の誰とも違う信頼をワトスンにおいています。

人前などでは「Doctor」などと型で呼ぶこともありますが、「my dear fellow(私の友達)」や「my dear Watson」と心を込めて呼ぶこともあります。

一緒に法を犯す危険をくぐって泥棒の真似をしたり、一緒に静かな夜を暖炉の前で過ごしたり、どんなことでも行動をともにしてくれる存在のありがたさよ。


「いつでも! どこへでも! 一緒にいくとも」
「それでこそわが友!」

その関係性が、ホームズにとってどれだけ貴重なものだったか、そしてその関係にどっぷり浸かっていたがために、許してくれるだろうという予測の元に、甘えとなって『ひどい態度』が出ていたのでしょうか。

「技師の親指」では、そんなに『ひどい事』はしてませんが、
態度にあまりに差があったので、思わず書いてしまいました。

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2012年05月19日

Posted by ブクログ

えっ!ドイル先生の作品でこんな未発表作があるの?
と思って読んだら新潮文庫で割愛されたものの短編集でした。
ドイル先生はホームズが嫌いで止めたがってたと聞いたことがあります。しかし本巻収録の「技師の親指」は1892年3月、「ショスコム荘」は1927年4月と記されています。嫌いで35年も続くんでしょうかね。

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2011年10月08日

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