【感想・ネタバレ】父という病のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すばらし。

P51 このタイプにとって、何より大切なのは自分であり、わが子といえども、自分の自由や楽しみを制限する不快さのタネとなるとき、腹立たしい邪魔者にすぎなくなる。自分の邪魔をする者には、罵声を浴びせ、暴力をふるうこともいとわない。自分のすることはすべて正しいと思っているので、おれの邪魔をし、おれを怒らせたほうが悪いとのだという理屈で自分を正当化し、自分を省みることはない。 こどもからすれば、自己中心的で、身がってな父親だそんなに自分のことが大事で、子供が邪魔なのなら、子供など最初から作らなければいいのにと、子供のほうが思ってしまうような父親だ。

P128 父親が理想像として貧弱すぎ、失望の対象でしかないとき、その子は他者に対する尊敬や自分に対する尊敬をはぐくみにくく、冷笑的で、ニヒリスティックな人格になる。偉大な価値を信じ、それに向かって強い意志で進んでいくというエネルギーを持つことができない。

P209 子どもをもつことを躊躇することも多い。親となったことを喜んでいても、父親として、どう振る舞えばいいかわからないと語るケースも多い。父親の不在によってエディプス段階を通過できていない人では、自分自身が親になることを受け止められず、パニックに近い強い不安を覚えることもある。夫婦だけの間は良好だった関係が、子供ができた途端にぎくしゃくしてしまうことも多い。子供ができるとパートナーを独占できないいことにより、子供をライバルのようにみなしてしまい、見捨てられたという思いにとらわれ、夫婦関係が破たんしてしまうケースもみられる。しかし、子供をもち、父親として子育てにかかわる体験を通して、自らの中の父親不在を克服するケースも少なくない。

P290 否定的な父親像を植え込まれることは、男性の理想像を育みにくくする。代わりとなる身近な男性が、そうした役割を果たしてくれればよいが、うまく補われない場合、大人や他者への信頼感や自尊心の発達にも影響し、世界に対して否定的で悲観的な見方をし、誰に対しても斜に構えた態度をとるようになる。

P300 依存的な結婚生活は、男性の側から見ると、思い通りになる女性、いつも自分の言うことだけを聞いてくれる女性、つまり理想の母親を手に入れるという意味を持っていることが多い。つまり、男性の側も母子融合の段階を引きずっていて、大人の男になりきれていなかったり、父親との葛藤を抱えていて、支配の関係でしか女性と関われない。

P305 子どもは父親との葛藤がうまく乗り越えられず、父親に対する敵意や見下した態度を強めることで自分を守ろうとする。こうした傾向は、父親に対してだけでなく、他社全般、ことに長上の存在にたいしてぎくしゃくしたり、反発したり、信用できなかったりという事態につながりやすい。

P326 父親は母親のように器用に子供にかかわることはできなかったかもしれない。うまく愛情を表現することもできなかったかもしれない。しかし、それは、必ずしも本当に愛情がなかったということではない。父親は、もっと控えめな仕方かもしれないが、子供を愛していることがほとんどだ。たとえ会うことが許されない状況であっても、父親は子供のことを思うものだ。
 ~~
 父親との小さな思い出、ちょっとしたかかわりを思い出してみることだ。父親があなたのためにしてくれていたことを、父親があなたに言った言葉を、父親からあなたに注がれていた眼差しを。
 ~~父親も一人の人間で、あなたと同じように、孤独や辛さや苦しみを抱えながら生きていたはずだ。あなたと同じように愛を求め、思い通りにならない状況の中で、もがいていたはずだ。
 あなたと同じ年のとき、父親は何をしていただろう。あなたと同じように、人生に悩んでいたかもしれない。あなたと同じように親との関係に苦しんでいたかもしれない。いや、そんなことさえ自覚できずに、ただやみくもに生きていたかもしれない。
 でも、あなたと同じように生きていたということは確かだ。父親も、何らあなたと変わらない存在なのだ。父親愛されたいと思い、誰かに認められたいと思っていきていた一人の人間なのだ。
 父親も拒絶されれば傷つき、自分を守るために、相手を傷つけてしまうこともあっただろう。父親にも弱いところがあり、こどものようなところだってあったかもしれない。でも、すべてが憎しみや嫌悪にしか値しない人間ではなかったことは確かだ。
 

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2018年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本で書かれている父親は、どちらかというと存在が薄い父親(「父親の不在」)という観点で書かれていることもあり(私の知る範囲の「父親」は、存在感バリバリな人ばかりなので)、私にとっては正直なところあまり参考にはなりませんでした。
ただ、P52に「自己愛の強い父親は、自己愛の強いあらゆる人と同じく、優れたものや美しいものを好み、劣ったものや欠点を嫌う。わが子であろうと、優れた子どもを愛するが、劣った子どもや失敗した子どもには無関心だ。憎み、忌み、嫌うこともある。」とあって、身近に接した機能不全家族も正にこのパターンでした。
ただ、P306のあたりを読むと、父親の不在や拒否は、母親の不在や拒否よりも克服しやすいそうです(父親との関係は、母親との関係よりも距離が遠いことが普通なので、その分、距離やダメージが小さくなるそうです)。父親の存在って・・・。

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2020年04月15日

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