【感想・ネタバレ】世界史の構造のレビュー

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Posted by ブクログ

「交換様式」から世界史を見つめ直す。
主に、カント、ヘーゲル、マルクスの史観と著者の新しい視点を比較しながら、これまでの世界史の流れを再構築し再解釈されていく。
25歳の誕生日に出会った本だが、もう少し早く読みたかった。でも、いつだって今日が1番若いのだから大人になってからこの本に出会った意味を考えて、今後の人生に投影していきたい。
私に影響を与えてくれたのは、本の中身ではなくこの本との出会い方なのかもしれないが、私の人生にとってとても大事な1冊となった。

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2024年01月06日

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ネタバレ

8 資本と国家に対する対抗運動は一定のレベルを超えると必ず分断されてしまう。

23 貨幣(交換様式C)に基づく力は、互酬性や再分配に基づく力とは異なっている。それは、他者を物理的・心理的に強制することなく、同意に基づく交換によって使役することができる。

33 産業資本は労働者を搾取するだけでなく、いわば自然をも搾取=開発(exploit)している。しかし、この「人間と自然の関係」は人間と人間の交換関係に根ざしている。ゆえに、人間を収奪する国家が最初にあり、それが自然の収奪に繋がることを見ないかぎり、本質的ではない。

45 互酬的交換Aが支配的な共同体の種類
農業共同体、宗教的共同体、想像された平等共同体(ネーション)

54 遊動採取民(バンド)→定住化→農業・灌漑の発展

第一部 第一章
互酬性交換の諸様態
家族内交換、共同寄託、血讐、沈黙交易、外婚制、略奪婚、呪術

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

本屋でふと目につき、あまり深く考えずに購入しました。その意味では本当に偶然の出会いで、お恥ずかしい話著者のこともまったく知らずに「題名が面白そう」ということだけで購入しました。しかし本書は本当に面白かったです。これだけ読み応えのある本は久しぶりでした。世界史をダラダラと時系列に記述している本は巷にいくつかあるのですが、本書はまさに題名にあるように世界史の「構造」ということで、フレームを通じて世界史を分析されています。具体的には交換様式A、B、C、Dという4つの形式から世界史を紐解いていて、私自身このフレームには初めて触れましたがユニークなだけでなく説得力があるとも思いました。2016年におこったブレクジット、米国トランプ政権の誕生なども念頭に置きながら本書を読むと、なおさらその説得力の高さに驚かされます。
本書はなるべく読者の読みやすさを意識して書かれているとは思いますが、用語やフレームに慣れないとなかなか読み進められませんが、後半部になるとスラスラ頭に入ってきます。その意味では、もう一度頭から読み直してみると、さらに理解度が深まりそうだと感じましたので、早速2回目読み始めています。

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2023年04月28日

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産業資本の本質はあくまで、「労働力の商品化」にある(本書p.319)
ここにはカールポランニーの悪魔の碾き臼をさらにわかりやすくしている。土地、資本、労働力(労働ではない)の商品化のうち、土地や資本の商品化は昔からあったが労働力の商品化によって全面的な商品化が可能となる。万物の商品化とウォーラーステインの指摘とも一致する。
「そして信用とは商品交換の困難をとりあえず超える手段」(p319)
信用創造という機能を銀行が持つこと、それは誰かの借金でなければならないこと。
信用は儚いものである、誰かの借金と誰かの返済能力は労働力商品の評価という会計的に非常に困難な人的価値の評価を含んでいるからだ。価値の評価は難しい。

また恐慌は資本主義の発展に必要だから起こる暴力的な現象で、失敗というより必然であり、必然的に中小の資本家や労働者は淘汰される。320〜321

景気循環をもたらすのは労働力商品に固有の性格。

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2020年02月09日

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歴史の本ですが、交換様式という構造で世界史の流れを捉えているのが、興味深い内容でした。歴史上の出来事を断片とせず、背景を様々に考察し、共通項として読み取れることを交換様式というフレームでまとめていくことの面白さ。物量ともに骨のある内容で、通読するのにある程度の時間を要しますが、年末年始という長い休みには良いものでした。

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2024年01月05日

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交換様式のあり方から社会の形を紐解いていく。なるほどこうやって世界を見ていく方法があったんだと。世界が一致団結するために何が出来るのか、どのようなスタイルを取っていくのか、この本を通じて考えたい。まだまだ読み込みが足りないので、関連図書をめぐってまた読み直そう。

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2023年03月17日

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ある世代にとっての知識人の典型例が吉本隆明であるように、2000年代に人文社会科学を専攻した私のような世代にとってはの典型例は柄谷行人なのではないかと思っている。本書は2010年に出版された柄谷行人の大仕事であり、『日本近代文学の起源』に並ぶ氏の代表作であろう。

2006年に出版された『世界共和国へ』では、近代社会が、資本=ネーション=国家の三位一体により強固な構成体になっていることを指摘した。本書ではその理論をさらに推し進める。その理論の中心となるのは、マルクスの思想を”生産”ではなく、実際に価値が生まれる”交換”に着目(どんな生産物も、それが交換されなければそこに価値は生じず、むしろ廃棄物として余計なコストを産むだけである)する交換様式論である。

この交換様式に着目し、著者は世界史における交換様式と代表的な政治形態を以下のように整理する。

・A:互酬制(贈与と返礼)→ローマ帝国等の古代社会におけるネーション
・B:略取と再分配(支配と保護)→封建制を採用した国家
・C:商品交換(貨幣と商品)→大航海時代以降の資本主義
・D:X

この整理学の最大のポイントは資本主義に続く、象限DにおけるXである。A〜Cの象限が実在の概念であるのに対して、このXは未だに実在せず、あくまで理論上の存在であるが、古代社会における交換様式のAが否定されつつも高次元で回帰するものだと説明される。その具体的なイメージは普遍宗教・アソシエーションである。

本書で示されたように交換様式Cの資本主義がアウフヘーベンされて、交換様式Dのアソシエーションが成立するか、と問われればその可能性はほぼゼロであろう。その点で、この思想を空想の産物として否定することは容易い。しかしながら、我々が自明のものとしている民主主義社会というのは、果たして完璧なものなのかと問われれば、もちろんそうではなく、だからこそ、そのプロセスを少しでも目指すべき理念に近づけようと、近代社会は努力を続ける。そういう意味において、交換様式Dの世界が、少しでも我々の現実社会を理想に近づけるための思考の補助線となるのであれば、十分にこうした概念の理論的価値は存在するように思う。

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2021年04月04日

Posted by ブクログ

なんてわかりやすくて、おもしろい本なんだろう。
一気に読み終えました。
柄谷行人は読者へのいたわりがある。
読みやすいということは、自分がもっともよく理解しているということでしょう。

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2015年02月14日

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