【感想・ネタバレ】いぶり暮らし 8巻のレビュー

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Posted by ブクログ

この(8)も美味しくいただけた
他の人が既に言ってそうな気もするけど、大島先生、この『いぶり暮らし』に燻されて、良い感じの味が出始めているように思う
新刊が出る度に、一皮剥けている、桁違いの成長をしている、と読み手に感じさせるタイプの漫画家じゃないのは確かだけど、停滞していない漫画家であるのも事実だ
自分らしいペースで、急がず、焦らず、丁寧に、自分の作品を面白くする事を意識しているんだろう
ほとんどの漫画家がそうだろうけど、大島先生は、自分が、この『いぶり暮らし』に成長させてもらっているって自覚があるに違いない
その自覚があるとないとじゃ、作品の質は大きく変わる
また、作品への感謝だけじゃなく、自分の日常で起こる出来事や、他者との触れ合いで生まれる刺激も見逃さないよう、意識しているのがストーリーから、ほんのりと伝わってくる
この『いぶり暮らし』で描かれている展開や、キャラクターたちの心情は、大島先生が、自分の日常でキャッチした心の動きが活かされているんじゃないだろうか
なので、作品に、リアリティと言うのか、読み手が共感しやすいものがあるように思える
燻製って言う、特殊ではないけど、日常的かっつーと微妙な調理法である燻製、それに時間を使う事で気付ける、平凡だけど大切な「何か」が、刺々しさのないストーリーの中に設置されている事で、読み手は引き込まれる
特殊食材を獲得する、過酷な旅路が待っている訳じゃない、世界の命運が懸かった料理勝負が繰り広げられる訳じゃない、お色気や物騒さが満載のリアクションが炸裂している訳でもない
けれど、不思議と、しっかりと、読み手の印象に残る、それが『いぶり暮らし』
すっかりと、私達は薫香の虜のようである
現段階で、これと言った文句がある訳じゃないが、ドラマ化はまだ、決まらないのかな、と思っちゃいる
穏やかだけど、何気に威力のある食漫画なのだから、この作品のファンであるキャストが集まれば、間違いなく、良いドラマになると思うんだけどなぁ
どのメニューも美味しそうだが、個人的に、食欲が最も駆り立てられたのは、第60話「季節の変わり目のスペシャル燻製カツ丼」だ
普通に食べたって美味しいカツ丼を、燻製しているのだから、更に美味しくなるのは当然だって話である
また、一仕事を終えた達成感も、美味しさに一味を加えているんじゃないだろうか
頑張った自分へのご褒美、それは、生きていく上で大切なおかつ必要である
ストーリーが響いた、正確に言うと、大島先生の脱皮の兆しを感じたのは、第63話「心を落ち着かせる燻製クラムチャウダー」である
付き合っている男女が、共に暮らしていれば、楽しい事や、相手を愛しいと感じる事ばかりじゃない
今回のように、ちょっとしたことで、ギスギスしてしまう場合もある
そんな時の反省、そして、仲直りの流れが誤魔化される事なく描かれていた
この台詞を引用に選んだのは、特に、“大島千春”って漫画家が視えたように思えたからだ
自分のペースは極端に変えないように心掛けつつも、常に、自分にとっての未知を探し、自分を高め、止まらないように心掛けているのだろう、大島先生は
その心構えが、しっかりと漫画に出せている大島先生は、着実に、人間としても良い変化を繰り返せている
そんな先生の漫画を読む事で、私達も、知らない事を知る努力、やった事がない事に挑む果敢さを得られる
(作るもの、全部が初めてで、失敗の可能性があった、あの頃は、だからこその成功の喜びがあった―――・・・大切なのは、知ってる事を増やしていくだけじゃなくて、知らない事を探し続ける事なのかも)(by頼子さん)

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2019年02月09日

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