【感想・ネタバレ】花の降る午後のレビュー

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Posted by ブクログ

誠実でまっすぐで聡明な主人公の典子。
亡き夫への想いを胸にしまいながら、神戸の老舗レストランを切り盛りしていく姿、周りの人を大切に愛していく姿は誰もが幸せを願いたくなります。

偶然にも私と同い年の主人公。この年の女性が感じる正直な思い、若くもなく年寄りでもない自分。恋でも仕事でも何かを新しく始めるには遅いような、でもこの歳になっても1人の女性であることは変わらない気持ちを持っているということに自分自身も戸惑ったり罪悪感を感じたり自制をかけている姿は歯がゆくもあり共感できることでもあります。

たくさんのストーリーが折り重なっており結末が分からない箇所もあります。それでもこの物語を読んでいると、主人公や周りの人の生き方が手に取るようにわかります。読者が感じるその後の結末もおそらく作者の思惑と一致しているのではないでしょうか。

久しぶりに一気に読みたくなる本に出会いました。

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2019年07月15日

Posted by ブクログ

幸福物語だというから読み始めた。この頃の私には宮本さんや村上春樹さんの登場人物の動かし方はついていけないことがある。あまりにshockで寝込んでしまったりするのでソフトなのしか読みたくない。夫の残したフランス料理店を切り盛りする美しく若い?未亡人のまわりで起こるもっと若い画家との恋や、おぞましい人間達の店乗っ取りの魔の手。神戸という町らしい国際色豊かな人間関係の中で物語は進んでく。彼女は恵まれてるよ。信頼できる才能あるナイトのような人々に囲まれて。荒木美砂がアビィニョンをほしがるわけだ。幸運・福運のかたまりみたいな人だ。悪は天が許さない。そうだね、焦っちゃいけない。素人臭いのは大成しないというのが宮本さんの持論だろうか。厳しいのぉ。'92
小説らしい小説というか読んで面白い本というか落ち着ける雰囲気を求めて読み返してしまう本。一生懸命に生きる人が幸福にならなければ小説なんか読む意味がない。'93

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

とても好きな作品。作者もあとがきで書いているとおり、この物語の結末としてはハッピーエンドなのだけど、でもなんとなく物悲しさも感じる・・・主人公の今後が平坦な道では決してなさそうなところがそう感じさせるのか?でも必ずこの主人公には幸せになって欲しい・・・思い入れが強すぎるかな??

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

平成31年1月
読み終わってから、だいぶ経って、感想文を書こうとしております。
面白かった。と記憶しているのですが。。。

未亡人が旦那の経営していたフランスレストランの後を継ぎ経営し、そこに飾られている絵。
その絵を描いた画家と出会い、、、女としての生き方を考えさせられる一冊。
女としての幸せ、子供を産む、旦那かたの親との付き合い、仕事・・・
んで、そのレストランを巡って、争いが起こる。
マヒィア登場~~

で、結局、そーなるね。ふむふむ。

自分なら、愛する人と一緒にいることを望む。「

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2019年02月26日

Posted by ブクログ

おそらく25年ぶりくらいに読み返している。
談話室の質問で店を持っている女性がレストランに絵の代わりにカレンダーを飾っているというところで、コレが頭に浮かんだ。

時代がかなり昔のもので、携帯どころか、公衆電話や電話の切り替えやらが出てきて、当然インターネットなんてないし、そんなところも新鮮に驚きつつ、これを買った時はどういう理由だったのかなぁなんてことも思ったりして。(消費税さえついていない)

33歳でマダムになっていたり、42歳のシェフの貫禄といい、現代のお子ちゃまぶりにまたまた衝撃を受けたりして。
主人公の周りの人がいい人でありがたい。いろんな修羅場もくぐり抜け、だけど、愛を見殺しにしないで幸せになってもらいたいと切に切に願う次第。

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2017年10月01日

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久しぶりに読んだ、しっとりとした小説。
主人公の典子の定まらない将来像に揺れる女心と、それとは関係なく進む周囲のゴタゴタ。
そんな面倒なものたちを受け入れながら、強く生きていく姿がまぶしい。

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2014年05月01日

Posted by ブクログ

甲斐典子は、若い夫をガンでなくした。
フランス料理屋 アヴィニオン をひきつぎ、
4年間 一生懸命働き 軌道に乗せ,売上も伸ばした。

典子は 白い家を書いた 青年画家に 恋するようになり
もう一つは アヴィニオンを のっとりしようとする人たちが
巧妙に 進めようとした。

画家が成功するのは 努力や実力も必要であるが
あわせて、運や巡り会いも必要である。
そんななかに、いらだつ 青年 雅道。

典子は その青年とどうつきあえばいいのか?
そして 夫が残した アヴィニオン をどうするのか?
30歳半ばを超えて 今後の身の振り方に悩む。
40歳までの目標を つくってみるが どうもしっくりこない。

たくましく,したたかだ,自分の領域をよく理解している典子は
恋をするが故に さらに美しくなっている。
生活が充実しているのだ。

最後の場面が コメディのように傑作にまとめた。

宮本輝はいう
『作者の気まぐれのお陰で,何人かの登場人物の幸福物語として幕を下ろします。善良な,一所懸命に生きている人々が幸福にならなければ、この世の中で、小説など読む値打ちは、きっとないでしょうから』

と実に明るく締めくくっている 物語でもある。

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2013年12月28日

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「典子」という魅力的な女性の生き方を通して、人間にとって幸せとは何かをテーマにした作品。亡くなった夫の遺志を継ぎ、神戸北野町の老舗フランスレストランを切り盛りする「典子」。訪れた恋、乗っ取りとの戦い。
乗っ取りに対抗する部分が非現実的で多少惜しい気がするが、宮本輝の小説にはちょっとうならせる言葉がある。
「辛くて寂しくて哀しいことは必ず終わる時がくる。その終わった時に強くなるか弱くなるかの二種類だよ。」
ただ、「花の降る午後」の題の意味がなんとなくわかるようなわからないような。
1985年新聞連載。ドラマ岩下志摩・映画化古手川裕子。

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2013年03月30日

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ネタバレ

典子の恋の結末は、読者にゆだねる形で終わっている。
そこが不完全燃焼なような、余韻を残すかのよな、不思議な感じ。
アヴィニョンを守る彼女の戦いをもっと見たかったかな?
恋がメインになってて、その部分は物足りなかった。
ただ、揺れる彼女の心の葛藤は十分理解できた。

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2011年05月03日

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初めての宮本輝作品。心地よい幸福な作品。

坂の上のフランス料理店アヴィニョンを経営するマダム
最愛の夫に先立たれた未亡人典子37歳の物語

隣人リード、陰の支援者黄氏、アヴィニョンの凄腕シェフ…
典子の人望に惹かれた周辺人物の働きと、
その中心で若手画家との悦びに身を委ねる典子の対比

人生の選択をテーマとしつつもその決断ができず
今の悦びを大切に生きる
周囲で起こる陰謀は周辺人物の働きで終息
トラブルの当時者にはならずともトラブルは解決

店=これまでの人生or男=女としての幸せ
主軸となる重たい選択については先送りに…する辺りが妙にリアル。人生なんてこんなもんでしょ、時にはキッチリ決められない時もあるさね

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2011年04月09日

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色々事件らしきことが起こっているのに、主人公には、その火の粉が直接降りかかってこない。
なかなか新鮮な創りになっている。

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2009年10月04日

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一気に読んじゃいました。
やっぱ、宮本輝はいいなぁ〜。
定期的に、この宮本ワールドにどっぷり浸りたくなるのは何故だろう。
今回の話しは、宮本作品にしては珍しくハッピーエンド?って感じの終わり方だった。
作者のあとがきが珍しくあって、そこにもたまにはこうのもいいかな、って感じの事を書いてあったけど、読後感が爽やかな感じがして、いつものように、ドッシリとした重厚な、重くのしかかってくるようなものがなく、こちらもスッキリできて良かった。
お話は、若くして夫に先立たれた美しき未亡人が、残されたフランス料理店を継いで働いてるんだけど、そこに、10歳も年下の画家との恋愛や、店を中心にした色々な出来事や、店を乗っ取ろうと企む悪人との拮抗とかが絡み合って、女主人公の成長物語って感じだけれど、彼女を囲む身近な人々の人間性の良さ、暖かさが良かったな〜。
まさに、人は宝なり、って感じがした。
ストーリーテラーで、華麗な筆致ながらも重たい宮本輝の、重たい部分がかなり緩和されてる作品って感じでしょうか。良かったです。

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2009年10月04日

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神戸をよく知っているせいか、絵がよく浮かぶ。ハッピーエンドが素直に喜べる作品。現在のところ、宮本輝のベスト。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

37歳未亡人の若き芸術家への恋を男ならではの視点で描いた作品、昭和63年作との事でさすがに時代がかっている。

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2024年03月23日

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ヤクザなカップルが登場するが必要あったんだろうか…。悪が必要だったとしても性による必要なかったんじゃないだろうか。

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2015年01月22日

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ネタバレ

レストランを切り盛りする未亡人の恋と店の乗っ取り事件。ドラマでありがちなストーリーだが。謎の中国人の暗躍。

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2014年09月16日

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フランス料理店のマダムに訪れる恋と災難。
いろいろと葛藤はあるのだろうけれど
それさえも優雅に見えてしまううらやましい境遇です。
悪い人たちの力関係がよくわかっていません。
結局松木とかどうなったんだろう。

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2010年08月29日

Posted by ブクログ

手にとったのが、20代前半。
少し早すぎたようです。
未亡人の主人公の心の変化も、いまひとつ共感できなかったのを覚えています。

でも、深夜の電話のやりとり、遠距離恋愛、「錦秋」もそうですが、今なら考えられないような、丁寧な心の紡ぎ合い。

かみしめながら今一度よんでみたいです。主人公の年齢はもうこえてしまいました。

美しいタイトル…昔は深く考えなかったけど、恋人とのひとときを指しているのでしょうか。まさに花の降るひとときですよね。

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2010年08月12日

Posted by ブクログ

神戸・北野坂の一流フレンチレストラン"アヴィヨン"を舞台に繰り広げられる恋とサスペンス(と言っても殺人はない)の物語。

アヴィヨンのオーナー・典子は元オーナーの夫に先立たれてあとを継ぎ、店を切り盛りしている。
しかしそれを妬む夫側の親戚や、レストランをのっとろうと企む人々に
われ、隣人や信頼できる人々と結託してレストランを守るために立ち上がった。
一方で、ふとしたことで知り合った年下の画家・雅道と恋に落ち、経営者の立場と、結婚したい自分の間で揺れる。

賢く謙虚で芯が強くて、そのくせ弱い部分もあって、おまけに美人の典子。
こんな女、男の理想なんだろう。

善良な人々が幸福になる話が書きたかった。
という、この小説を書いたときの宮本氏のコメントがあった。
確かに、悪者は最後には退治(?)されている。
最後は、まあ、幸せなのかもしれない。全員。
いったい何が言いたいんだとじれったいだろうけれど、典子は前夫の姑やその親戚や、レストラン関係やとしがらみがいろいろ多い。
無事に店の乗っ取りは阻止し、従業員も一致団結。
実質上別れる予定だった雅道も戻ってきたものの、すべての元凶であるしがらみのほうは何一つ解決していないのだ。
めちゃくちゃそれにこだわっていたのにも関わらず。
そこが一点腑に落ちないのと、全体的に ラグジュアリィ~すぎるのがいまいちだった。
私には年齢的にも経済的にも遠い「大人の贅沢」なのかもしれない。
何となく、百貨店のロイヤルサロンと、そこに集う客たちを連想してしまった。
貧乏画家を持ち出してきてバランスをとろうとしたのかもしれないが、
ラグジュアリーさが勝ってしまっている。

他の点では、ストーリーはちょっと推理小説めいていてスリルがあるし、恋愛のシーンも大人っぽいシックな情熱という雰囲気だ。
日本語が、谷崎まではいかないけれども、整っていてきちんとしているので読みやすい。
登場人物が関西弁でしゃべることも、関西人である私には会話のリズムがリアルに想像できて面白かった。
ボリュームがあり、内容も濃いため何度も何度も読み返したくなる作品ではない。
休暇のときなんかに思い出したように読みたくなるかもしれない、という感じの作品だ。

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2010年07月04日

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