【感想・ネタバレ】十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争のレビュー

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【頂点への荊道】現場に足を運び,当事者への取材にこだわる中から,著者なりの中国共産党像を描き出した一冊。中国共産党内の権力闘争を主軸としながら,ドキュメンタリー調にその内幕を描いていきます。著者は,朝日新聞社で特派員を務める峯村健司。

よくここまで取材したなというのが読後の第一印象。一般的な報道ではすくい取ることが難しい共産党の内幕の一端を暴いていく筆は本当に見事です。13億人を擁する大国ですが,ミクロを突き詰めていくとその輪郭までもが浮かび上がってくるものなのかと驚きの念を覚えました。

〜権力闘争こそが,中国共産党を永続させるための原動力なのではないか。〜

なんだかんだ言われますが,日本の東アジア報道に極めて質の高いものがあるということを改めて思い起こさせてくれる一冊☆5つ

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2018年05月14日

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朝日新聞の記者による習近平国家主席にまつわる権力闘争を記述。描写が生々しくかつ鮮やかで面白いが、本当に本当なのかは確信は持てない。
毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の5世代目のうち特に江沢民からの権力、腐敗、ライバルの追い落としを描いている。胡錦濤は江沢民の院政から逃れられなかった。胡錦濤も江沢民の影響力を減じようとしたが逆に部下のスキャンダルにやられてしまった。それが習近平の就任につながる。
一方その間に有力者の腐敗が進んだことでそれをテコに習近平が、江沢民を支える基盤の力を削ぎ(腹心の有力者を追い落とす)、ダークホースから最も堅い権力基盤を固めるまで至った。

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2016年01月24日

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ロサンゼルス郊外にある中国高官の愛人村、習近平氏の娘が偽名でハーバード大学に留学していたというショッキングな内容から始まる。

社会主義国にありがちなトップによる富の集中は想定内であらるが、それが仮想敵国である米国内で行われていることに驚きを感じる。華僑の歴史を持っている中国としては、人の移住による中華思想実現を政策の一つとしているのかもしれない。

習近平氏が最も重要な儒家の一人として荀子を紹介しているという事実にも着目すべきだと思う。荀子は「人は生まれながらにして欲望を持っている」という「性悪説」の立場に立っていた。したがって習近平氏も荀子が訴えた「法による統治」を重視する可能性がある。
習近平氏がよく引用する荀子の書の一節は「君は舟なり、庶民は水なり、水は則ち舟を覆す」。隣の大国のトップがこの様な考えをもっていることを我々はもっと知るべきだと思う。人民を味方につけるために、反日感情を利用することは容易に想像がつく。大国である中国にしてみれは、日本は人民をコントロールする手札の一つに過ぎないということだろう。

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2015年07月29日

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中国という国に、力強いリーダーが誕生するまでの過程が描かれている部分が一番緊張をしながら読めた。タイトルの『13億分の1の男』は、運も、実力も、類稀なものを持ち備えていることをよく現している、まさにこのタイトルがピタットくる。
中国という国の政争、覇権争いがテレビや新聞での表面的な伝えられ方とは違った、迫るものを感じさせられる。
それでも、この時代の巨大な国は、この類稀なリーダーによってさえ、まとめられることには多難な道が横たわっている。さらには、この実力のあるリーダー自身さえ、この巨大な権力を掌握してどの様に振舞っていくのか、けっして国際社会の全体像が良くなる方向とは限らなさそうなところが怖さを感じさせる。
そして、その怖さは今の日本に安住し、人類の歴史のダイナミズムから切り離された、我々日本人だから強く感じるものなのかもしれない。

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2015年09月22日

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習近平が権力を得ていくまでの軌跡を描いた本。

かなり面白かった。特に、習近平体制が脆弱な権力基盤にあることについて、丹念な取材に基づき、反証していくのは、読みごたえがあった。
日本がこの強大な権力を持った政権に対し、どのように対峙していくか、有益な考える材料になると思う。個人的には、習近平がパワーの信奉者であるということが、考えるヒントになっている。

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2015年05月30日

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共産党大会での胡錦濤退席。李克強の引退。江沢民の死去。そして、中国全土に広がるコロナ対策を契機にした民衆のデモ。異例の習近平3期続投。今、中国で何が起こっているのか。この本は、これらの事件より以前に書かれたものだから、直接的な解説にはならないが、そこに繋がる関係性がよく分かる。単なるゴシップ本ではなく、中国共産党の動きに対し、叡智を養うきっかけになる。

江沢民は引退後も共産党の重要事項は江沢民に報告すると言う内部規定を作り人事や重要政策に決定権を持っていた。そうすることで胡錦濤の権限を弱めるための仕掛けを作っていた。江沢民vs胡錦濤。胡錦濤から権力を受け継いだ習近平だが、共通の政敵を意識していた事がわかる。

一方で習近平自身も、簡単に今の地位に昇り詰めたわけではない。比較されていた李克強は北京大学法学部で常にトップ。抜群の頭脳であり、一時、序列の最下位にいたと言われる習近平とは異なるエリート街道。時に、江沢民が習近平を担いで、胡錦濤派の李克強を追い落とす。共産党内の序列が入れ替わる。江沢民の上海閥と習近平の太子党が共闘し、道が出来上がる。江沢民と胡錦濤の間を上手く掻い潜りながら、権限を次第に強めた習近平。

そして今、である。あれこれ噂話はあるが、真相は分からない。しかし、噂話の根底にあるものを、この本が解説してくれた気がする。

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2022年12月04日

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項羽と劉邦の世界が未だに続いているんだと思った. 情報は足で取るという感じの取材記事.さらっと読める.

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2020年03月18日

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中国を永らく取材してきた記者が文字通り「あし」でかせいだ情報をもとに中国の権力闘争を描いてる。それはまさに凄まじいの一言。習近平の権力基盤が江沢民、胡錦濤の権力闘争の結果、強固なものになっていることが理解できた。共産党と軍部の関係も含め、中国の指導者の言動を理解するうえで大いに参考になると感じた。

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2016年02月03日

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書店には習近平本が沢山並ぶようになった。中国はよく分からない。13億人もの国民がいて、爆買いで日本に押し寄せる。一方で、2015年9月に発表された中国のGDPは6.9%であり、予想より低い値となった。実際にはさらに低い値ではないかとの予測もあり、経済の減速が懸念される。ボクから見ると、一国共産主義で纏め上げるには、無理があるのではないかと感じる。そんな中国の今を知りたくて、この本を手にした。

習近平の娘はハーバード大学を卒業したという。この本のレポート時は4年生だった。もっとも、多くの中国人エリートにとって、米国ハーバードは憧れの大学であるらしい。共産党の権力者たちの子女がこぞって米国に留学をする。そして、米国も彼らを手厚く遇している。一方で、習近平の中国国内の腐敗撲滅運動によって、身辺に思い当たる官僚たちの家族は中国国外に逃れる。その中で一番多いのが米国だ。また、ロスアンゼルス郊外には、中国国内にいるエリートたちの愛人村があるらしい。月子中心といわれる産後ケアセンターもある。つまり、自分と愛人の間に生まれた子供が住んでいる大規模なエリアがあるのだ。中国と米国は仮想敵国同士なのに、なぜ、そういう施設があることを米国は許しているのか。それは、いざとなったときの人質だからだろう。米国の対中戦略の一端の深さを感じる。日本にはこんな考え方、いまはないよなあ。

著者の峰村健司さんは、習近平は権力闘争をおこなっており、これが中国共産党の原動力ではないかと仮説を立てている。確かに一つの推進力にはなるだろうけど、やはりボクには危うく感じてしまう。でも、隣国中国だからこそ、こういう本はときどき読んで情報を得たいと思った。

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2015年10月25日

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朝日新聞記者が習近平が権力を掌握するまでの直近の中国共産党の活動を関係者への徹底的なインタビューと現地調査(中国のみならず、アメリカもその対象となる)により描き出した労作。

とにかく情報が生々しく、「権力闘争こそ中国共産党の活力」という著者の仮説を裏付けるように、主に江沢民・胡錦濤・習近平の直近3人の首席を中心に、彼らの権力闘争が暴かれる。習近平の首席就任以降、中国では共産党幹部の腐敗や汚職の摘発が精力的に行われており、有力者が失脚するニュースも相次いで報道されているが、その影にこの3者の様々な権謀がどのように渦巻いているかということが理解できる。現在の中国を知る上で、非常に有用な一冊では。

また、色々批判はあっても、こういう本を出せる記者がいるという朝日新聞の力は大きいということを再認識した次第。

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2015年10月24日

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これは凄い!と一読して太鼓判を押せる数少ない書である。中国共産党の内部を、多くのソースから取材し、わかりにくい中国事情を読み解く内容は、ジャーナリズムとはかくあるべしとの感想をもった。

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2015年07月09日

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「権力闘争こそ中国共産党の原動力」という仮説の下、江沢民、胡錦濤、習近平と続く中国最高指導者とそれぞれのシンパの間の権力闘争を綿密な取材から描いてみせた。その上で、習近平への権力一極集中が実現したことから、習の思うままに腐敗撲滅などの政策が実行できるようになるとともに、中国共産党の弱体化も予言する。それが当たるかどうかは、いずれ分かるだろうが、たしかに、派閥も派閥間の抗争も激しかった自民党が長期にわたって政権の座にあったこと、そして、小泉政権により派閥の力が弱まって、短命政権や政権交代が続いたことを思えば、あながち的外れとは言えない。
それはともかく、ここ10年余りの中国政治の概要が、新聞で言えば国際面というより社会面的な面白さ、分かりやすさで書かれていて、タメになる内容を楽しんで読めた。

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2015年06月10日

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アメリカにある中国高官らの愛人が住む村の話から入り、中国の熾烈な権力闘争を描く。
江沢民、胡錦濤の引退間際の死闘などは、小説よりも激しい。
日本の政治家が生ぬるく見えてしまう

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2015年05月25日

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中国恐ろしい。
えげつない政治劇の裏側。胡錦濤の完全引退が院政を完全に終わらせ、習近平による新たな独裁時代に入ったことがよくわかる

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2015年05月13日

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著者は朝日新聞の元中国特派員。権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないかー。「現場」に突入し様々な人に取材をしながら、ドロドロとした政治の世界に踏み込んでいく。この表紙に出ている習近平にしても、決して盤石に立っているわけではない。今このときも殺るか殺られるかの世界に身を置いているのである。中国の公安当局がまっさきに飛んでこないかと心配するような内容だが、その現場力に圧倒される。

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2017年01月09日

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中華人民共和国の成立から 長い期間が経っているが、
結局は 『毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平』
の 五人が 表舞台に立っている。
毛沢東の期間は長く 皇帝になった。
鄧小平によって 沈滞した中国を変革した。
その後 権力も才能もないと思われた 江沢民が
権力を握り 鄧小平が 死ぬことで、
きな権力を握った。
賄賂と腐敗政治をつくったのは江沢民だった。
胡錦濤は 江沢民に頭が上がらず、
中国の経済成長の推進力になったが、
習近平に権力を渡さざるを得なかった。

控えめで、おとなしいと思われた 習近平が
核心的なリーダーとなった 背景を 
朝日新聞の記者らしく 丁寧に書いている。

『権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないか』
とさえ言う。

アメリカ ロサンジェルスの 
愛人たちが暮らす村 月子中心 に突撃取材。
6億円の豪邸を 一括現金払いをする。
裸官たちの生態。
2008年までの10年間に 1万6千人から1万8千人の流出。
中国から流出した資産は 8000億元。
そして、ハーバード大学にいる習近平の娘/習明沢をさがし、
彼女は 本名を隠して、それで、勉強にいそしんでいた。
薄煕来の息子との対比をする。

紅3代のカップル。
薄瓜瓜と陳雲の孫娘 陳暁丹。

2兆5000億円の国際会議 2014年11月 APEC。
贅沢禁止令のもとでの 晩餐会。
習近平とオバマとの会談。
鄧小平以来の 強力で、自分の言葉で語ることができる。
という評価をもらう。

胡錦濤の完全引退。そして、江沢民も引きづりおろす。
薄煕来事件での 習近平の対応。
胡錦濤の腹心 令計画の長男 そして 妻の素行。

反日狂想曲。
胡錦濤が 意外と親日に近い立場を取っていた。
江沢民が 反日にこだわる理由。
江沢民の父親が 旧日本軍の協力者だった。
学生時代に 日本語を勉強したこともあった。

江沢民は 胡錦濤に譲っても 院政を貫く。
曹慶紅を揺るがせたスキャンダル。魯能。
江沢民は 若い軍人の血を集めて、蘇る。

李克強は 優秀で サラブレッドだったが。
記憶力、数字に強い。しかし、中国には優秀な人材はイクラでもいる。
必要なのは 人をまとめる 統率力。団結力。
胡錦濤と李克強の強い絆。
しかし、着々と 習近平は 上り詰めていく。
天皇との会見でも 小沢を射止めて こぎ着ける。
習近平は 着実に 軍の仕事も 取り組んでいた。

秦城監獄 
陳良宇、薄煕来が入る。
2012年4月 薄煕来 逮捕。
薄煕来の収賄は 2044万元。海外へ移転した財産が60億ドル。
2012年11月より 2年間で 25万人を逮捕 処分した。
2012年12月 谷俊山 軍隊 総後勤部 副部長。逮捕。200億元の賄賂。
2014年6月 徐才厚 軍事委員会副主席。逮捕。
売官。将軍になるのに約3000万元いる。
2014年12月 周永康 政治局常務委員。逮捕。収賄 8.7億元。
500人以上の元部下、親族。1200億元の財産を没収。

習近平は 荀子の書 を愛読している。
紅二代と大子党 とは違い 紅二代は摘発しない。

中国の上位1%が、国の財産の3分の1を保有している。

荀子はいう。
『君は舟なり、庶民は水なり、水はすなわち舟を覆す』

新聞記者として 充実した取材ぶり。
それでも、中国の闇は 明らかにされない。
『新聞記者』という身分の限界なんでしょうね。

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2016年04月26日

Posted by ブクログ

現在、中国で最高権力を握っている習近平の姿を、朝日新聞中国特派員であった著者が暴く。

といっても、いきなり米国にいる習近平の娘を一年間かけて追い求めるとか、米国に存在する政府高官や富豪の二号さんが暮らす町の取材とかで、いきなり出鼻をくじかれる。
その後も、丹念な取材?で群雄割拠の中国の中で、権力を握り続ける習金平を描いてはいるが、書いてある内容はなんとなく夕刊紙。逆に言えば、夕刊紙や週刊誌にかかれるような、どたばたで陰惨な劇が、中国権力層では繰り広げられているのだなと、取材を元に実感する思いがした。
いずれにせよ、中国の政治体制は人民のための共和国では決してなくて、一部権力者による絶対的な皇帝制であって、諸外国はお金があるときはすり寄っていくけど、金の切れ目が縁の切れ目になるのでしょうね。

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2016年01月19日

Posted by ブクログ

組織や特に政界はどこも多少なりとも権力争いはあるものだろうが、規範とか正義の概念が稀薄な中国においては生存が即ち生存競争であり、ひいては権力争いがすべてに優先するということなのだろう。

結局、数千年来変わっていないということだ、あの国は。

反日政策を徹底した江沢民が炭鉱節を日本語で歌うほどの親日家だったというのだから、笑ってしまう。

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2015年06月20日

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