【感想・ネタバレ】隠密包丁~本日も憂いなし~ 3のレビュー

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Posted by ブクログ

巻を増す毎に、旨味が凝縮され、読み手の舌、胃、そして、心を満たしてくれる
料理は、人と人を繋げる、そんな当たり前だけど、ふと忘れられてしまう、大切な事が、時代背景が江戸時代に設定されている事で、読み手に強く伝わってくる、そう、この(3)ではしみじみと感じられた
この(3)では、二つの料理“勝負”が描かれている。一つの勝負は、その才能ゆえに高くなってしまっている壁にぶつかっている若人に道を諭す為に、もう一つの勝負は、自分にとっても仲間にとっても大切な場所を卑劣な同業者に奪われるのを阻止する為に
どちらの勝負でも、宮村の料理人としての技が冴え、魂が煌めている
この巻では、宮村が今までにないピンチを迎え、思わず、ハラハラさせられた
その危機と言うのは、隠密としての正体が、すずにバレかけるというもの。タイトルがタイトルなので、この展開は予想の範疇内だったが、花形先生のストーリーが巧く、思っていた以上に緊張してしまった
利いた機転で何とか、すずに正体を知られてしまう事は避けられたが、以前から、宮村の気迫や動きは町人のそれでない、と疑っていた浪人・内山は真相を知ってしまう。だが、見た目はともかく、内には真っ直ぐな男気を秘めている彼は、それを知らぬふりをしてくれる模様
そんな内山に劣らぬ男気を魅せてくれたのが、宮村と店を賭けて鍋勝負を繰り広げ、彼の作った「らあめん」の美味さに脱帽し、素直に己の負けを認め、謀略から手を引いた森山
料理人として、自分の舌が「美味い」と認めたモノは否定できない。甘い、と言えば甘いが、私は嫌いじゃ無い
この辺りの、粋な人間性も、この作品の魅力と言える
また、この巻には、多少、幕末の知識がある読み手なら知っている、歴史上の英雄が登場しており、吃驚させられること間違いなし。誰かは、実際に読んで確認して欲しい
時に名を刻んだ猛者であっても、若い頃は自分が進むべき道に悩み、己を客観的に見る事が出来なかったのだ、と妙な安心感すら覚えてしまった
この台詞を引用に選んだのは、宮村惣右衛門と言う男のカッコ良さを引き出してくれているからだ。自身も実際に悩み、足掻き、模索した末に、自分の中に揺るがぬ強さを見出し、己が信じる道を邁進する者の言葉にこそ、本当の説得力は宿る。本物の男は、強くなる事でなく、強くなって何を成すか、を考えられるもんだ

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2016年04月07日

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