【感想・ネタバレ】方舟(はこぶね)は冬の国へのレビュー

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Posted by ブクログ

カメラと盗聴器の仕掛けられた別荘で、初めて会う女性を妻として、
少女を娘として一ヶ月暮らすことを条件に大金を提示されたカズト。


唐突に始まる生活に不自然さと緊張を覚える一方で、それ以上の違和感に、
徐々に気づくカズト。
一方ほんの少しずつ親密になりはじめた妻・ヒロコと、
なぜかテレパシーで会話もできるようになる。

現れる不審な男。観察者の正体。娘の持つぬいぐるみ。運命、冬、方船。
そこここに散りばめられた謎が徐々に膨れあがり、最後に一気に集約される。
このへんはさすがの西澤・ワールド。
不可思議な設定も超能力も、無理なく美しく、ひとつに閉じる。


あっけない3人の生活の終焉にものすごいさびしさを感じる自分の姿に、
いかに自分が3人に感情移入していたかに気づく。
だからあたしは、このエンディングを心から歓迎したい。
せめて祈ろう。3人の未来が、せめて寒くとも甘くあるように。

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2010年03月02日

Posted by ブクログ

五月の連休が終った頃はローワークに仕事を探しに来ていた十和人(つなしかずと)は、失業をしていた。
帰り道にオリエント・リサーチ(民間の調査会社)の調査員と名乗る男に話しかけられた。
「ある場所に一ヶ月くらいの間滞在して欲しい」と依頼されたのだ。
多少不自由な思いをさせられる事は聞いたのだが、支度金として小切手で働いてる年収分と仕事が終った時に法外な報酬を提示された。
どんな内容かは、話されて無く不安を感じたが、失業保険が切れた彼は引き受ける事にした。
そして二ヵ月後オリエント・リサーチから連絡が来た。
東京行きの飛行機に乗り迎えの車に外が見えない状態で1時間移動してある所に連れて行かれた。
そこで待ってたのは、初対面の年上らしい女性と少女。
そして依頼内容はカメラと盗聴器で監視された別荘で「家族」を演じる事だった。
滞在を始めた三人は「家族」を演じ始めるのだが・・・。
法外な報酬の仕事は、監視下に置かれた別荘で家族を演じる事だった。
いったい誰が何のために?
三人には滞在を始めて不思議な現象が・・・。
家族とその愛のあり方を巡る、鮮烈にしてキュートなファンタジック・ミステリーです。

俺の印象ですが、西澤さんの作品はロジックが抜き出てる印象が強いですが、これは非常にバランスがいい作品です。
血生臭さがなく後味も清々しいかったです。
そして面白い作品でもありました。
帯に書いてある「家族の愛って、なんだろう?」この言葉もまた魅力です。
ミステリー好きも心情を書いた作品が好きな方もお勧めする作品です。
ぜひ、みなさん読んで見てくださいね
とっても満足した作品です

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

綺麗にまとめたなあという印象。十和人たちのお仕事の目的とか、後半になるに従ってできるようになることの理由とかが、もう少し驚きに満ちたびっくり展開だったらもっと楽しめたかもしれない。

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2021年07月10日

Posted by ブクログ

カメラと盗聴器で監視された別荘で、初対面の女性と少女と、仲睦まじい「家族」を演じる。失業中の十和人が請けた仕事は、そんな奇妙なものだった。期間は一カ月。そして、法外な報酬。いったい、誰が?なんのために?滞在を始めた三人の周りで起きる不可思議な現象。家族と、その愛のあり方をめぐる、鮮烈にしてキュートなファンタジック・ミステリー。

ミステリー要素は薄め。
奇妙な仕事の依頼。
誰が?なんのために?
なかなか切ない結末。
好きです。

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2015年02月13日

Posted by ブクログ

 エンディングに向かうにつれて切なさがこみ上げてくる。別れてほしくない、ずっと一緒にいてほしい。自分のことのように願ってしまう。そして最後に掛けられる声がもっとも求めていたものであろう。温かい気持ちになれる読後感。作者の最近の作風が変わってきただけにこういう家族愛を感じさせる作品はいまや貴重。またこういう話を書いてほしいな。

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2011年04月26日

Posted by ブクログ

盗聴カメラとマイクが設置された別荘内で、1ケ月間、他人と疑似家族として生活するというお話。
すごく不思議な世界観。唐突な始まりとあっけない終わりに見事にはまってしまったかんじがする。ぐいぐい読ませてくれる本だなぁと思ってはいたけれど、ラストになるとかなり感情移入して読んでいた自分に気付き驚いた。おもしろかった。

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2011年03月16日

Posted by ブクログ

職安で声をかけられて引き受けた仕事は
『家族』を演じるという、奇妙なもの。
初対面の状態で、果たしてどこまで要求された『家族』を
演じていけるものなのか…。

ちらりと出てきた小話が、ここまで生きるとは…と
ちょっと違う意味で驚きましたが、更にその性格に…w
ここまでくれば、いっそ見事としか言いようのないその性格。
分かりやすい小物はよく出てきますが
更にこれは分かりやすいかとw

話の内容はといえば、1話1話区切って読めて楽です。
1話ずつ小さな謎が存在して、それを考えているのも
ちょっと楽しかったです。

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2009年10月07日

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2007/9/9大阪国際空港の本屋で購入。
2014/6/26〜6/30

7年ものの積読本。
見知らぬ3人が一ヶ月間別荘で擬似家族を演じさせられる、という変わった設定の多い西澤作品の中でも突出した設定。誰が何のために、というところが、ずーっと引っ張られたままストーリーが展開。そして結末は切ない。タイトルも十分練られていたんだなぁ。

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2014年06月30日

Posted by ブクログ

変則的なシチュエーション・ミステリーかと思いきや...
中盤辺りから様子が変わりストーリーは大きく展開する。

宗教的な意味合いを持たせながらも表面上は
ラブストーリーという構造は充分に面白い。
主人公2人の過去エピソードなどがラブストーリー
として読ませる要因として、実に効果的。

苦手だった超能力ネタなのにここまで
惹きつけられた秀作。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

すごく突飛な設定で、いったいどういう話になるのかと思いましたが着地点にはびっくりしました。これはSFになるのでしょうか…。切ないラストだな…未来はどうなるんだろう。気になる気になる。

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2009年12月31日

Posted by ブクログ

お伽話のようなタイトルに惹かれて購入。
積ん読だったのですが、気になっていたので読んでみました。

ありえない設定に慣れるまで少し時間がかかりましたが。
分量の割に文章が軽めですごく読みやすかったです。

ただ、最後の収束の仕方は無理矢理のような気がしないでもありません。
いろいろな伏線もうまく繋がっているのかいないのか。

家族愛がテーマのSFファンタジーといったところでしょうか。
晴れた日曜日には悪くない1冊でした。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

“大人のファンタジー”なんて、銘打たれていて。

山奥の別荘地で、1ヶ月間“夫”“妻”“娘”として
仲の良い家族を演じる…

なんていう、非日常的な設定のもとで物語の始まり。
解説がものものしくて、かなり構えて読み始めたんだけど、
読んでみたらかなりのスピード感でさくさくっと読めちゃった。

壮大な「プロジェクト」がちょっと説明不足だったかな…
というのが残念だけど、
和人と理香の二人の心の動きが少しずつせつなくて、

「人生はやり直せない」
「だから」
「今を生きるしかない」
「運命なんて信じない」

っていう理香の思念にグッときたりもした。
“玲衣奈”の楽しそうな様子が、
可愛らしかったり哀しかったりしてね。


最後のまとめ方が意味深。
ちょっとよくわからなかった。
そのあとどうなるの?
もっとページ数があってもいいかも。

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2009年10月04日

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