【感想・ネタバレ】ジヴェルニーの食卓のレビュー

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Posted by ブクログ

マティス展に行って感動の冷めやらぬまま、一緒に美術館に行った方に勧められて読みました。
以前も勧められて読もうと思ってそのままでしたが、改めて手に取りました。作品を見た後だったので、そういうことなのかぁ、ととても納得するととも、マハさんの文体、行間から伝わる空気感や人柄の描写が秀逸で、タイムスリップして、その場に立ち会ってるような気がしました。話に出てきた人物や絵をネット検索しながら読んだので、学生時代から好きだった印象派の画家たちの、その時代の画家たちの生き様も生き生きと知ることが出来て、とても面白かったです。元学芸員というマハさんの絵にまつわる小説はどれも面白いので、学生たちにも勧めて欲しいものです。きっともっと絵を見るのが楽しくなるのではないでしょうか。

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2024年05月19日

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芸術家に心奪われた人たちを通して語られる芸術家たち。
芸術を生み出す苦悩や葛藤がありつつも、そうせざるを得ない。
表現することが生きること。
花咲き乱れるジヴェルニーの庭を想像して夢に見る。

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2024年05月13日

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心あったまる系の短編。有名な画家視点ではなくその周りの人物視点で描かれているのがリアルさを出している。出てくる全ての情景が美しい。日差し、小物、部屋の様子、屋外の植物の生き生きとした緑。光溢れる世界。ありありと思い浮かぶし、今もハッキリとその状況を思い出せる。視覚的に凄く美しい小説。どの短編も情景がありありと浮かびあがり、キラキラとした白い光が見える。

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2024年05月11日

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ネタバレ

印象派の画家たちが、周辺エピソード含めて大好きな私にとっては、天国のような作品。
しかも、大好きなオムニバス形式でした。

同業者だったり、家族だったり、協力者だったり、いわゆる“ミューズ”と言われるポジションでは無いけれど、美しい絵に繋がる暮らしを支える人達の画家に向ける気持ちが、またひとつの芸術だった。


私のお気に入りは第三章の「タンギー爺さん」。
セザンヌの愛されエピソードと共に、同じ原田マハ作品の「たゆたえども」に描かれたゴッホ兄弟のエピソードとか、他の画家たちの人間模様も垣間見えて面白かった。
やはり、人によって生まれ取り巻く人達のエピソードがあるからこそ、名画は名画になるんだと改めて感じた。

表題作「ジヴェルニーの食卓」も、勿論最高。
人生のなかで、人を愛し慈しみ、そこで味わった喜びも悲しみも筆に込められているからこそのモネの作品の叙情性なのかもしれないと思った。


そして、やはり生前に作品が評価される人って珍しいのだろうな、と思い、評価される人は、その人の才能に加えて支えてくれる様々な方面の人の努力も大きいのだろうな、と思いました。

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2024年04月15日

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「この花をこの花瓶に活ければ、先生が恋をなさるのではないかと」
アンリ・マティスの家にマグノリアのマダムからマグノリアの花を届けるよう、使いに出された家政婦のマリアはマティスに好きな花瓶に活けるよう言われた。目に止まった翡翠色の花瓶に活けてマティスの前に置いたところ、「君はどうしてその花瓶を選んだのかね?」と質問されたのだ。言ってしまってからマリアはおかしな事を口にしたと恥ずかしくなった。けれど、マチスは微笑み、その場でマリアを自分の家政婦に決めたのだ。
マティスは一目惚れする人だったのだ。窓辺の風景に、そこに佇む女性に、テーブルの上に置かれたオレンジに、花瓶から重たく頭を下げるあじさいに。ふとした瞬間にそのもの、その構図を好きになってしまい、その一瞬の気持ちを消える前にカンヴァスにコンテで書き写し、構図を考え、じっくりと配色を決め、それからゆっくりと、慎重に、絵の具を載せていく。まるで、恋を育み、やがて変わらぬ愛情に塗り替えていくように。
そして、マティスの側に家政婦として使えたマリアもそんなマティスの手から生まれる作品に恋をして、マチスの死後はマチスが作ったヴァンスのロザリオ礼拝堂で修道女になった。
「芸術作品に恋をする」という経験は美術作品では私はまだない。けれど、音楽なら、しょっちゅう経験している。ハイティンク指揮のオーケストラの演奏だと、その音の中にふんわりと抱かれている気持ちになる。ローリング・ストーンズの演奏にはずっと寄り添っていたくなる。
恋愛と同じように芸術作品を好きになる気持ちを原田マハさんは表現されている。原田さん自身が恋するように美術作品を好きになられるからだと思う。

画家エドガー・ドガとメアリー・カサットはお互いの才能を認め合っていた。パリの美術界の登龍門である「官展」の絵はどれもこれもつまらなく見え、「印象派」と当時の画壇からはけなされる自分達の新しい画風を武器にこれからの美術界を渡っていこうとする二人は良き戦友だった。けれど、ドガがたった14歳の踊り子に裸でポーズをとらせ、大作「十四歳の小さな踊り子」のためのスケッチをしているのを目にしたとき、メアリーは複雑な気持ちになった。
何のために少女はドガのためにヌードモデルになることを承諾したのか。「僕の作品はきっと売れるから、モデルの君はエトワール(星)になれるよ」とドガが言ったのだ。その頃、貧しい家族を助けるために踊り子になり、エトワールを目指す少女は沢山いた。いつしかバレエよりもドガの前でポーズを取ることに熱中してしまった少女にドガは、「明日からはもう来なくていい」と言った。作品がほぼ出来たから、「君はレッスンに戻りなさい。本気でバレエに打ち込みなさい。私も闘い続けるから、この命のある限り」と。
ドガはメアリーからも踊り子の少女からも遠い所に行ってしまったようだった。けれど、ドガにとっては初めから二人とも戦友だった。
「印象派」とけなされる新しい作風で堂々と美術界を渡っていくため、作品作りはドガにとって遊びではなく「闘い」だったのだ。
世の中の逆風と闘ってものづくりをする同士にふっと愛を感じる瞬間はあるのだと思う。だけどそこにとどまらず、涙を拭いて各々の道を突き進んだ先に「芸術」が花開くのだろう。そこには「切なさ」を含んだ愛ある芸術が生まれるのだと思う。

今は売れないがきっと花開くと信じる若い画家たちを応援したくて画材屋になったタンギー爺さん。絵の具代金が払えず代わりに絵を置いていく画家が多いので、いつしか画材屋兼画商になってしまった。絵の具の代金が入らないことと、画家たちの絵が売れないことで店が潰れかけているのに、ちっとも気にせず、画家たちと芸術談義に花をさかせ、応援し続けるタンギー爺さんは生き方が彼独自の作品のようなもの。画家だけではなく、理解ある画商も画材屋も画家と二人三脚で新しい芸術を作っていったのだ。

美術界で成功し、ジヴェルニーに睡蓮のある庭のある邸宅に住むモネ。家族の度重なる死を経験し、波乱万丈の人生でありながら、庭を愛し、食事を愛し、太陽の下の「アトリエ」で光溢れる絵を描き続けてきたモネ。その傍らには、助手であり、義理の娘であるブランシュがいた。モネは妻と息子、ブランシュは母と夫と死別するという悲しみを乗り越えて、「絵」という絆で結ばれた二人。ブランシュの作る料理もモネの丹精した庭も生き生きとしていた。

社会的にも怒涛の19世紀末。芸術が市民のものになり、それまでのサロンでもてはやされた形式的な暗い、よそよそしい絵から脱却して、自分達が生きている「今」の瞬間を切り取った作品を作ろうと闘っていた印象派の画家たち。裕福な家庭に生まれていても、親の理解も世間の理解も得られず貧しい生活を強いられた者もいた。彼らの作品には命が感じられ、力があり、愛があった。彼らを支えた人々に血が通い、愛があったように。

この本で、メアリー・カサットという今まで知らなかった画家やマティスの「ロザリオ礼拝堂」という建築作品のことを知った。Googleで調べてみると不思議なくらい魅力的だ。
カサットの作品もロザリオ礼拝堂も観に行きたい。美術に初恋するかもしれない。

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2024年04月15日

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まだ行ったことない、それも幕末明治かそこらの時代のことなのに、名だたる画家の生きる姿がありありと浮かび上がってきます。
表題作と、うつくしい墓が特に好きです。

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2024年03月29日

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ネタバレ

アートに詳しい方なら本当に楽しめる作品だと思います!
自分は芸術関連の知識はかなり疎いほうですが、それでも何か綺麗で神秘的な気持ちに包まれました。

巨匠と呼ばれる芸術家は作品だけでなくどこか人を惹きつける人柄も備えているのだなと感じました。

個人的にはモネのお話、ジヴェルニーの食卓がとても心に残っております。
あんな場所で人生を賭けてこれから何百年、いや何千年と世界に愛される作品をつくるのを横で支えるとはどんな気分なのだろう。自分が歴史の一員になれたと思うのか、それとも、そんな事微塵も思わないかなぁ。

いつか自分もこの作家たちが暮らしていたようなところで余生が過ごせたらいいと思いました!

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2024年02月29日

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こうだったんだろうな、
こうだったらいいな、
が、たくさん詰まっていた

史料から画家たちの大枠はわかるけど
当時彼らが、彼らの周りの人々が
何を想い、感じ、考えていたかまではわからない
だからこそ受け手側の我々がそこを自由に想像できるのだと思う
余白にこそまた美がある

最近西洋美術史にハマった身だが、知っている作品名や地名が出てきて嬉しかった
読後、なんだかほっこり

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2024年02月25日

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1人間の個人的感想ですが
美術やファンタジーが好きな自分にとってはとてもわくわくするような物語でした。
実際の絵から構築された物語(フィクション)が4.5編ほど入っていたかと思います。
美術作品と言うよりかは、絵の作者やその周りの雇われ人に焦点が当てられ、また微細な日々の変化の表現がとても素敵でした

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2024年02月17日

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読み終わったと同時に、美術館の展示を調べていた。

文章がとにかく優しくて美しい
偉大な芸術家のすぐそばにいる気持ちになれてしまう

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2024年02月17日

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原田マハさんの書く文章が本当に大好き。
どうしてこんなに美しい表現が思いつくのか......
情景を思い浮かべながら丁寧に読み進めていくと、心が温まり、澄んでいくのがわかります。すっかりお気に入りの一冊になりました。絶対に再読します!

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2024年02月16日

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とにかく美しい本だと思った。
実在の画家にちなんだフィクションの物語だけどまるで本当に作中に書かれている出来事が起こったかのように感じたのはそれぞれの物語の語り手の女性たちの感情の描写が巧みだからかなと。
本当に自分好みの美しい絵や映画、本などを観たり読んだりした後の恍惚としたあの感覚や畏敬の念を抱くまでの感動や衝撃が伝わってくるようだった。ただの鑑賞者としてそれらを消費するのではなく画家本人の近くにいて常に芸術を浴びてたらそりゃああいう感覚になるのも分かる。
作中に出てくる風景や作品、料理はどれも想像するだけで綺麗だったり美味しそうで幸せになる。

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2024年02月11日

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展覧会の解説や資料、参考書籍で画家の情報に触れるのとは違い、何百年も前に絵筆をふるっていた彼らの姿を実際に垣間見ているような感覚に陥る。それほど、原田女史の深い知識と尊敬による脚色が史実と混ざり合って、リアル以上の物語に昇華されているのだと感じた。

後世に残る程の大きな才能を支える立場にあった人達に焦点を当てているところも好き。ゴッホにテオがいたように、理解者がいてこそ、孤独な芸術の道を進んでいけたんだろうと思いを馳せてしまう短編集だった。

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2024年02月04日

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マハさんの文章で自分を満たす時間が幸せだと感じた一冊。
本当だったかもしれないと心が踊るお話、うっとりしてしまう言葉と表現の数々、本を読んでいてこんなにも幸せを感じられるものかと困惑して笑っちゃうくらいに素敵な時間を過ごさせてもらった。
読み終えてしばらく興奮が収まらなかったのが「うつくしい墓」。好きのど真ん中を貫かれて、この本との出会いに心から感謝をしたくなった。
南仏の光も風も、マグノリアの香りさえ感じられてしまいそうな鮮やかさと映画のようなお話のテンポ。何度も読み返して自分の中に落とし込みたくなった素敵な表現たち。読み終わるのが本当にもったいなかったし、この衝撃を上書きしたくなくてしばらく次のお話に進めなかったよ。
お話全体が穏やかな愛と柔らかい光に包まれている気がして、この作品の纏う空気がとても、とても好きです。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

芸術家たちの生きた日々が綴られていて、生きた時代でもないのに鮮明さのある一冊。

短編で話が分かれているが、共通してお金よりも自分達の表現したいものを追いかけ、お金面での裕福よりも幸せなど心の裕福さを持った人たちだった。
壮絶さを感じる場面がありながらも、自分にとっての幸福感を持っている人は強いと感じた。
世間一般的な幸せと個人の幸せ、お金面での裕福と精神面での裕福…考えればキリがないけれど、自分が大切にしたいのは何かを一度見直しても良いのかもしれないと思わせてくれた一冊だった。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

私はアートに詳しくないので、マハさんの作品から教わることが多い。印象派の画家が変えたのは芸術だけでなく、周りの人たちの人生をも変えてしまった__鮮やかな描写が印象深く、創造ではなくこの世界が存在していて欲しいと願ってしまう。

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2024年04月19日

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マティス、ドガ、セザンヌ、モネといった巨匠たちの画家としての生き方を女性を通じた視点から巧みに描く。原田マハの創作も多分に含まれていると思われるが、いずれの作品も芸術と真摯に向き合い、もがき苦しんだであろう巨匠たちの姿があった。そして、彼らにとっての愛、葛藤、夢、家族関係といったものから受ける影響とはどういうものであったのか、といった想像意欲を大いに掻き立てられる4作品であった。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

ちょっと忙しく、なかなか進まなかったけどやっと読み終えた。

マティスとピカソ、ドガ、セザンヌ、モネ。
世界の巨匠達をある時期に傍にいた人の視点から描かれてる短編集。

個人的にはやはりマハさんの『たゆたえども沈まず』にも登場したタンギー爺さん。こんな人が側にいたらどれだけ救われるだろうと思うし、実際ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャン達は大変お世話になった様子。マハさん自身も実在したこの爺さん大好きなんだろなと思った。

そしてブランシュ。苦労を共にした義父であるモネとモネの描く絵、そしてジヴェルニー邸の庭が大好きだったことが伝わってきますね。
同じく原田マハさんの『モネのあしあと』では実際にブランシュやモネ、クレマンソーの写真が載ってます。

史実に基づくフィクションなのだけど、それぞれの結果に至るまでのストーリーが、原田マハさんの手に掛かると本当にそうだったのだろうと思わされるし、それが一番良かったと思うストーリーになってると思う。

今やっている『モネ 連作の情景』を見に行く前のお勉強と思い『モネのあしあと』『ジヴェルニーの食卓』この2冊を読んで見たが、もうすっかりモネファンだ。

問題は行く時間あるかなぁ。。。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

モネ展を観に行ってから、読んだ。とても良かった。画家が、どのように物を捉え、何を描こうとしているのかを、画家のそばにいる人の視点で描いた作品。芸術に詳しくないし、自分は絵を描けないし、わからないのだけど、ちょっと心をのぞけた気がする。1人の人間としての、モネやドガ、セザンヌ、マティスの生き方や想いを感じられて、心揺さぶられた。読んで良かった。短編集なので、その後の想像を掻き立てられる感じも好き。

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2024年03月18日

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マティス、ドガ、セザンヌ、モネの短編集
世間に認められなかった時代を超え、今がある。
今までの常識とは違う新しいものは受け入れられにくく、それでも貫いて価値観を変えていける信念。
芸術家ってすごいな。

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2024年03月16日

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アリスのレシピ、ガトーヴェールヴェール。

この話しに出会わなければ見向きもしなかったでしょう。いつか食べてみたい。


タンギー爺さん、いつだって優しさ溢れるお話ばかりですね。人のために動ける人は中々いない。


支えてくれる人に感謝したくなる本でした。

そういえば ホワイトデーです。

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2024年03月14日

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世界的有名な画家たちを、側で見守り支えてきた人たちの視点での物語。
史実とフィクションが絶妙に融合されているのであたかも全てがノンフィクションだと思えてしまうのがさすがの原田マハさんだなと思う。

画家たちの苦労や苦悩。
ただ作品を見るだけではそこまで汲み取ることは難しいけれど、この一冊を通してそういった繊細な部分に目を向けられて良かった。

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2024年02月28日

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マティス、ドガ、セザンヌ、モネといった印象派の画家達を見守っていた様々な立場の女性の視点から描かれた、贅沢なアート小説❗

フィクションにも関わらず実際にこんなシーンがあったのではないかと言うように描く、原田マハさんはやっぱり只者ではないと思いました❗美術に造形が深くなくても楽しめるし、もっと印象派の画家達が知りたくなる1冊です♫

個人的には、『エトワール』が好きですが、印象に残った話しは、やはり表題作の『ジヴェルニーの食卓』です❗モネが、ジャン・ピエールを抱き上げてあやすシーンは、少し涙腺が緩みました。

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2024年01月18日

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今では超有名画家が駆け出しの頃のお話。
今では世界中の人に愛されてる作品だよと心の中で思いながら読みました。これから始まる印象派展の前に読めてよかった。

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2024年01月18日

Posted by ブクログ

原田マハさんの美術小説の中でも、特に一人一人の画家にフォーカスした作品ではないかと思う。印象派に特に興味のある私にとって、非常に興味深いエピソードが多かった。
エドガー・ドガの絵画は、印象派の作品を揃えた展覧会で印象に残った作品の一つだが、本作を通して踊り子への思いに関する解像度が上がった気がする。
どこからがフィクションなのか学んでみたいと思わせられる作品だった。

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2024年01月14日

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まだ世界に認められてなかった印象派駆け出し時代の短編集
それを傍で見てきた女性達目線でのお話。
文章が美しい
100年後は知らない人はいないよ
と伝えてあげたい
描き続けた人支えた人
その人にはその人のドラマがあった

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2024年01月11日

Posted by ブクログ

四人の印象派の画家、マティス、ドガ、セザンヌ、モネの創作活動に関連した4編の短編集。

原田マハを読むようになってから、美術・芸術の世界が広がりました。
本作も、ここで語られている絵画をググりながら、こういう絵画なのね。これの事かって確認しながら読み進ました。なので、この手の物語は、なかなかページが進みません(笑)
しかし、原田マハさんの書との出会いは、間違いなく、私の人生観、興味、視野を大きく広げてくれました。
これだから、読書って面白いですよね。

■うつくしい墓
マティスにかかわる物語。
ピカソも出てきます。
マグノリアのマダムとマティスの関係が、マティスに気に入られた家政婦マリアを通して、語られます。
マティスの死後のマリアの決意。

■エトワール
ドガにかかわる物語。
あの、踊り子たちは当時はそういう立場の娘たちだったんですね。知らなかった。
同じ時代を生きたメアリー・カサットの視点から語られています。

■タンギー爺さん
セザンヌにかかわる物語というより、タンギー爺さんの果たした役割が読みとれます。
タンギー爺さんの娘の視点から語られています。
タンギー爺さんがゴッホの作品というのは知っていましたが、タンギー爺さんの店では様々な芸術家たちがお世話になっていたんですね。

■ジウェルニーの食卓
モネにかかわる物語。
モネの義理の娘ブランシュの視点から語られます。
貧困のなか、同居していた二つの家族。
モネの創作活動を支えるブランシュ。

それぞれの画家が世にでるところの裏側の世界。
芸術家たちの想い、それを支える人たちの姿を感じました。

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2024年01月21日

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今年1冊目はモネ展に向けて久しぶりに小説を…
原田マハの作品のすごいところは、第三者の目や語りを通して、著名な芸術家の素顔について、読者である私たちも自然と知ることができる、ということ

まるで芸術家のおうちを覗き見をしているような感覚

特にモネについて語られた最後の『ジヴェルニーの食卓』は、モネの再婚者アリスの娘でもあり、モネに仕えるブランシュの目線から、モネのちょっとしたこだわりや頑固な人柄がわかる

一体どこまでが本当でどこからがフィクションなのか、美術史初心者な私には分からなくなるけれど、大筋を捉えていて、でもどこかでじーんと心があったかくなるところがある

事実と物語の境界を曖昧にしながらも、その芸術家の人となりを伝えられる原田マハ、本当に色々な情報を手に入れて創作に臨んでいるんだろうな…

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2024年01月21日

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マハさんのアートのおはなし短編集。

アンリ・マティス、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、クロード・モネがそれぞれメインとして描かれています。

いつもながら本当に文章が美しい。
マハさんの文章から想像される世界はいつもキラキラしていて暖かくて、美しいです。
ほんとに素敵な表現がいっぱい散りばめられていて、うっとりしちゃう。幸せな気持ちになれました!

今回登場したそれぞれの画家の詳細については、お恥ずかしながらほとんど知らなかったので、絵を調べたり、経歴を調べたりしながら読み進めました。
いつも思うんですけれど、マハさんのアート小説を読んでいると、偉大な芸術家たちがまるで身近にいるように感じるんです。
伝記のように、自分には程遠い偉大な人達の偉大なお話ではなく、まるでそこで生きているかのような。
いつもいつもマハさんのアート小説には驚かされまくりです。
また、美術への興味が深まっちゃった〜
素敵でしたほんとに。全部良かった。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

マティスもピカソも現代絵画の巨匠ですが、彼らが取り上げられた『うつくしい墓』よりも、印象派の画家が取り上げられた3編、特にモネが取り上げられた表題作の『ジヴェルニーの食卓」が面白かったです。ガトーヴェールヴェールを食べたくなるし、ジヴェルニーの庭を訪れたくなります。影響力大ですね。
実際にはジヴェルニーまで行くのは難しいので、高知県にあるという「モネの庭」で我慢するしか無さそうですが、『睡蓮』の水の庭よりも、マネが妻アリスへの手紙で手入れの指示を送っていた花の庭を見たいですね。出来ればナスタチウムが咲く季節に行きたいです。

---父が絵の具職人になりたての頃は、絵の具は真鍮製のシリンジに入れて、ピストンを押し出して使うものだったそうです。
父いわく、チューブ絵の具こそが芸術家たちを重苦しい因習から解き放ったのだと。---

タンギー爺さんの一節です。売れない画家や駆け出しの画家は街角や郊外でイーゼル広げて写生しているイメージがあったので、チューブ絵の具発明まではそれが難しかったなんて、、、簡単に絵の具を屋外に持ち出すなんて出来なかったんですね。目から鱗でした。
でも、確かにマネは屋外派だけど、この章で取り上げられているセザンヌも、前の章のドガも屋内派だよなぁとか、セザンヌのリンゴやドガの踊り子を思い出しながら読みました。

山田五郎さんの美術関係のYouTubeをよく見ます。ドガやセザンヌは山田五郎さんのちょっと下世話な解釈の方がしっくりくるなぁと思いながらも、この小説の語り部となった女性たちの、と言うか原田マハさんの、巨匠をキチンとリスペクトした温かい視線は心地良く、彼らの絵画が日本に来る日が楽しみになります。
ちょうど、ピカソ展が国立西洋美術館で始まったようです。

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2024年01月14日

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