感情タグBEST3
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同一人物がある人の話を聞くという構成からなる短編4つ。
どれもレベルが高いけど一番いいと思ったのは『ものぐさ』。
実際に起こらなくもなさそうなところが怖い。ゴミ屋敷の人って面倒くさがりってレベルを超越してるんだろうな。
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長編ですがオムニバス形式なので読みやすかったです。頭のおかしいヒロインが探偵に変な調査を依頼したと思ったら、探偵も頭おかしかったという超展開ワロタ。特に「ものぐさ」が抱腹絶倒。小汚くてシュールな雰囲気が筒井康隆の「家族八景」ぽいと思いました。ただしエロと超能力はない。
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コメディ?ホラー?
いいえ、一度味を占めると抜け出せない、これぞ泰三ワールド。
いつもは一つ二つくらいハズレがあったんだけど、今作は一貫性があったからか、全てが面白かった。
特に「ものぐさ」、と「安心」は笑いこけた。
目を背けたくなるようなグロテスクな箇所が多かったけれど、全体を通して貫き通される屁理屈も、ここまで通せば逆に爽快!
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普通の人からすると狂気としか思えないそれぞれの理屈や価値観で生きる人々の日常。
全体通してのオチはいまいちわからないなと思ったら『密室・殺人』を先に読んでればよかったようですね。でも一つ一つの話が十分面白いので問題なし。
『ものぐさ』『安心』が気持ち悪さと不快感が半端ないけど読む手を止められないというこの不思議な感覚。
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―――「親友を探してほしい」。
探偵は、古ぼけた四枚の写真を手がかりに、一人の女性の行方を追い始める。
写真に一緒に写っている人々を訪ねていくが、彼らの人生は、あまりにも捩くれた奇妙なものだった。
病的な怠惰ゆえに、家族を破滅させてゆく女。
極度の心配性から、おぞましい実験を繰り返す女…。
求める女性はどこに?
強烈なビジョンが渦巻く、悪夢のような連作集。
小林泰三の文庫書き下ろし
一人称語りの短編とインターバルが繰り返される構成
読んでると、「価値観」なんてものは真の意味で同じになることはないんやろうなと思う
心の中に潜む狂気から匂い立つグロまで
読後感が胸くそ悪い、と鳥肌が立つの中間ぐらいな感じなのも良い
ただ、オチはちょっと弱いかも
小林泰三もっと読みたいな
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すごく読みやすいので一時間かそこらで読み終わると思います
とにかくみんな真面目に狂ってる
後味が悪い話、とまで言っていいのか分かりませんがとにかく読み終わってもいい気分にはなりません
でも結構好きです
ただ、私にはメインの話のオチがちょっと弱く感じられました
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えーと、理屈は通っているんです、みなさん。
思いっきり壊れているけれど、理屈は間違えていません。
修理しなきゃ。
そういうお話でもないですけど、まぁそんな話かもしれない。
ただし、思いっきり不快になる方に理屈がずれてますので、ご注意を。
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奇妙でどこかねじくれた世界。「レイ」を探す女性と探偵。
後味の悪い話って基本的に苦手なのですが、なんかこの話の主人公たちにはそいうものを感じないんだよなあ。
なんでそうなる?! と思うことはあっても、恐怖するというより笑ってしまう。
その独特さも小林泰三の持ち味だと思うんだけど。グロさと共存する可笑しさ。笑えないけど笑える。やっぱり小林さん好きだ。
「ものぐさ」は、読んでてイライラするけどこういう考えって自分でも無意識にしてるなあ、とちょっと反省した。
「自分が行動できないこと」を棚にあげて勝手に誰かに期待して勝手に絶望して、勝手に憤る。
ちょっとせつなくなりました。
あんまり後味が悪くないのは、主人公たちが自分の心の中では納得しているからなんだろうな。
探偵さんのフォローも的確というか屁理屈というか。
一番の衝撃は、ラスト数ページ。
もしかしてこの二人は「密室・殺人」のあの二人なの? それとも似ているだけ?
「密室・殺人」の二人は大好きだから、この結末は切ないなあ。
彼女には元気で幸せでいてほしい。そこだけちょっともやもやが残る話。
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2017年、33冊目は、フェイヴァリット作家の一人、小林泰三。
探偵の元に、依頼人が訪れる。依頼内容は親友の捜索。手がかりは、「レイ」という名前と、彼女が写っている色褪せた四枚の写真。さらに、依頼人は毎週の進捗状況の報告を願い出たのだった。
探偵と依頼人の会話体の間に、写真に写っている人物の一人語りによる、四編の短編が挟み込まれた構成。
手軽に小林泰三という作家を知るには、もってこいの一冊。プロローグとエピローグがある、あのホラー短編集の質感。オチは、初の長編ミステリーを思わせるトコロある。噛み合ってるんだか……の、イライラさせられる会話。不条理系。ブラックなユーモア。スプラッター描写。etc……。ココにSF要素以外の多くが、盛り込まれている。中でも、ネジがハズレた主人公、不条理、汚部屋、スプラッターの『ものぐさ』は秀作。
全体評価の、★★★☆☆は、短編の一と四話目のオチが好みでなかった。加えて、大オチに既視感感じたのが影響してのコト。やや辛めではあります。
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1つ1つの話は面白かったけど、全体の流れとしてみると、つながりがちょっと謎かなあ。めんどくさがりの女の話とか、偏狂的な人を書かせたら小林さんはすごいと思う。
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“でも、今ならまだ間に合う。即死していないところを見ると、動脈が切れたわけじゃない。手当てさえ早ければ、助かるはずよ。
「みさき、よく聴いて。このままだとあんたは死んでしまう」
「嫌だよ……。死にたく……な……い」
「助かる方法は一つしかない。なんとか電話をとって、そして、一一九に電話するの。そして、ここの住所を言って救急車に来て貰うの」
「でき……ない。難しい……」
「そんなこと言わないの!」わたしは泣き叫んだ。「それしか、助かる方法はないの」
「お母……さん、電話……して……」
ああ。それができさえすれば、どんなにいいだろう。でも、現実にはそれは無理だった。
あまりに面倒すぎる。
みさきの血が床の上のゴミの間に広がり、ポテトチップスを浸した。
「それはできないのよ、みさき」わたしは懸命にみさきを説得した。「自分の足でしっかりと立つの!!」”[P.113_ものぐさ]
「ものぐさ」の狂い具合に酔いつつ、最後の「英雄」のグロさがくる。
酷くてグロいのに面白いから手が止まらない。
最後にハッとなってしまった。突然関西弁になるのがたまらない。この二人って……!
“「あなたはいったい何者?」
「彼方に去りし者。そして今はあなたより出でし者」
探偵はいなくなっていた。霧の中に写真だけが残されていた。
「待って。わたしにはまだあなたが必要なのです、先生」
霧の中に声が響いた。
「僕はここにいるよ。いつも、この探偵事務所に。いつまでも君の傍らに」”[P.242_依頼人と探偵]
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夢見が悪くなる気色悪さ。
(この本の場合、褒め言葉だと思います)
たまにすごく辛いものを食べたくなるのと同じように、こういうの読みたくなる。
ダジャレかよ、と言ってはいけない。