【感想・ネタバレ】世界最高の処世術 菜根譚のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

丁度一か月ほど前にこの本に出会いました。人間関係の原理原則を記した中国の古典、というフレーズに最も惹かれました。

菜根譚という古典はとても有名らしいのですが、恥ずかしながら読んだことも、聞いたことも殆ど無い状態でした。菜根譚の意味は、菜っ葉の根っこに関する話、という意味で、そのような貧しい生活に耐えて成長した者だけが将来、大きな仕事を成し遂げられる(p3)だそうです。

私が習っている中国語の先生が言われていましたが、中国人は仕事中は儒教で、オフになると道教に従っているそうですが、この菜根譚は、儒教・道教に加えて、悩める人々を救済する、仏教の3つの教えの上に立って、人生の知恵や処世の道をと説いています(p3、4)。

私達は、職場、目的を持った人達の集まり、家庭等、多くの人間関係の中で生活しています。接し方は、それぞれ異なっていて、一つのやり方を通すことはできないと感じています。何年もかけて失敗を積み重ねて、人間関係のコツを習得している私ですが、この本に書かれている内容を参考にして、より良い関係を賢く築いていきたいと思いました。

以下は気になったポイントです。

・こうすべき、とい「表」の道徳(儒教)(だけでは、世の中息が詰まる。そこで必要になるのが、それを補う「裏」の道徳。その役割を担ってきたのが、不老長寿、現世利益を説く道教であった(p4)

・儒教、道教ともに、厳しい現実をどう生きるかを説いたもので、人々の悩める心の救済には関心を示していない。それを補ったのが、仏教である(p4)

・目くじらを立てて人を咎めないこと、見えていても見えない振りをする必要がある。とくに部下を使う人には不可欠(p22)

・人の恨みを買うのは、多くの場合、こちらの羽振りの良いとき、仕返しをされて気づく時にはもう遅い(p25)

・能力を持つのは必要条件ではあるが、それにも増して必要なのは「徳」である。人柄とか人格的な要件である(p27)

・苦労は共にできても、楽しみは共にできない、人間とはそういうものである(p32)

・自分を磨くには、本を読んで先人の教えに触れる必要があるが、それにも増して望まれるのは、いろいろな人と付き合うこと、そして、仕事の中で苦労することで磨かれる(p37)

・納得いく死を願うなら、納得のいく生き方を目指す以外にない(p41)

・成功者が述懐する「運が良かった」というのは、額面通り取ってはいけない。幸運を呼び込んだ陰に、優れた能力や人知れない努力がある(p43)

・事業を起こしても、人のためを考えなければ、つかの間の徒花に終わってしまう、これが事業を起こす人が最も知っておくべきこと(p51)

・煌びやかなものに近づいても染まらないのが凄いこと、そういう人物は、そんなものにはとらわれない見識と、自分の生き方を貫く強い意志力を持っている(p61)

・自分の才能をひけらかすのがいけないのは、周りの反感や反発を買うから(p72)

・天の機械に振り回されないようにするために、1)平穏なときでも常に緊張感を持って、慎重な対応を心掛ける、2)風向きが変わることに備えて対応策を用意しておく(p104)

・才能は、自分のなかに深く秘めておくのが賢明な生き方、知っていても知らない振りをする芸当も身に着けるべき(p107)

・人間は苦労によって磨かれていく、大きく羽ばたいた先人たちは、皆、大変な苦労を経験して、その苦労を糧にして自分を磨いていった。苦労から逃げて楽をしても大きな仕事は成し遂げられない(p117)

・本物と偽物の違いは、主体性のあるなし、自分なりの考えや生き方をちゃんともっているかどうか(p120)

・叱る側は、変に感情的にならず、あくまでも理性的に対処する必要がある(p134)

・人生も半ばを過ぎると、今度はお返しをする側に回る。50歳を過ぎたら、人様の恩を受けっぱなしにしない(p141)

・思いやり、として大事なのは、1)人の小さな過失を目くじらをたてて責めない、2)人様に知られたくない隠し事を口にしない、3)昔犯した古傷を忘れる(p143)

・父親は、ふだんから子供と接触して、理解を深めるとともに、対話の成立する回路を作っておく必要がある(p164)

・失敗したら、原因を分析して反省は必要だが、その後は早く気持ちを切り替えて、新しいことに挑戦すべき(p181)

・天命を自覚させられるのは、その人が逆境に陥った時、これも天命なのか、と素直に逆境を受け入れられることができれば、悪あがきをしなくてすむ(p183)

・逆境に陥った時の心得、1)吾が徳を厚くする(人たるの道を守って生きる)、2)吾が心を逸にする(苦しいときも努めて明るくする)、3)吾が道を享(とお)らしめる(自分を信じて最後まで可能性を追求せよ)(p184)

・中国の社会は、儒教と道教という2つの教えが相補完しながら人々の生活を支えてきた。儒教は、自分を磨いてしかるべき地位につき、社会有用の働きをするという、エリートの思想で、表の道徳、それに対して、もっとのんびりと自分らしく生きようというのが裏の道徳ともいうべき、道教。絶妙なのは、一人の人間の中に共存していること、公の場では儒教、私的な場では道教(p197)

・4つのバランス感覚、1)目標や理想は、いつも自分の中にしっかりと持っていたい、生きることの充実感が出てくる、2)決断するときには、十分に情報を集め分析する、3)趣味は淡泊であれ、実利に流れないように、4)節操(自分の信念)をしっかりと守ること(p221)

・仕事の上での充実感を持つには、1)自分なりの目標を立ててチャレンジする、2)社会人として与えられた場で責任を果たす(p246)

・徳をは、1)謙虚であれ(自分の地位を鼻にかけない)、2)寛容であれ、3)思いやりをもて(p259)

2015年7月19日作成

0
2015年07月25日

Posted by ブクログ

こうした中国古典や帝王学本に書かれていることが大体同じだ。「鍛錬し謙虚に奢る事勿れ」。本書も概ね同じことが説かれている。

では読む価値がないかといえばもちろんNOである。共通するということは国や時代、体制が変わっても普遍的な要素といえるのである。松下幸之助氏の『道をひらく』のように、自己の行動を定期的に点検し律するために、こうした古典に触れるのは必要だと思う。

各解説には「最近の若者は」的な愚痴が時々あり苦笑してしまうが、大観としては勉強になる。

0
2015年12月10日

「ビジネス・経済」ランキング