【感想・ネタバレ】うつの8割に薬は無意味のレビュー

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Posted by ブクログ

双極性障害について何冊かの本を読んできて、これはと思うものは少なかった。双極性障害のなんたるか(Ⅰ型とⅡ型があることなどなど…)、あらましを解説するものばかりで、さて本人としてはどう生活していくべきなのか、この大事な点まで踏み込んだものはそうなかったのだ。本書の著者は現医師であるにもかかわらず、治療に欠かせない薬物療法について過剰な期待をすべきでない、と始める。「患者を治せる精神科医はいない」とまで言う。本書では患者自身が病をどうとらえて生活し、身近な人々から社会まで、どう付き合っていくか、その見直しを説いている。

双極性障害の患者本人が、以前のような生活を取り戻せるよう、必死に情報を収集しては挫折してきたのではないかと思う。本書は良薬や劇薬ではない。しかし双極性障害という病そのものをもう一度正しく見直し、ひいては自分自身についても見直す最良のきっかけになる本ではないかと思う。私は終章「メッセージ」まで読んで理不尽なこの病について、自身の不運や不幸に傾きがちだった精神状態がやや緩和されたような気がした。そして「やや緩和」それだけでも十分救われた気がしたのだ。

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2018年09月17日

Posted by ブクログ

抗うつ薬のNNTは5、つまり薬を投与して意味があるのは5人に1人。薬物治療とはそういうことかと、まさに目から鱗。いつか自分や家族が病を得たときに、それを受け止めるための新しい心構えをもらった気がした。今のうつや双極性障害の"患者"が時代の要請で作り出されたものだということもよくわかった。もちらん、彼らを非難する気持ちにはなれないが。規則正しい7時間睡眠の確保、適度な運動、アルコールの節制で、精神の調子が大きく上向くという、言われてみれば当たり前のことが、薬物治療という魔法に頼ることで霞んでしまっているのは、患者さん達にとってとても不幸なことだと思う。とはいえ、当たり前のことをやすやすとはできないのが人間。「人生の主役はあなた自身です。あなた以外の誰一人として、あなた自身の問題を解決してくれる人はいません。」本の最後に書かれたこの言葉を大きな励ましととらえられる私の精神は、今とても健康なのだろう。そのことに感謝しつつ、明日もまた規則正しい生活をしようと思った。

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2015年10月18日

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自分の人生の主役は自分自身。自分を治すのも自分自身。主治医は手助け。
まずは睡眠量、睡眠相、断酒で生活を立て直す。
睡眠は7〜8時間。過労者は睡眠不足改善、老人は不活化を防ぎ散歩30分、寝過ぎない。不登校児は朝日を浴び生活リズムの立て直し。
家族や周囲の日薬と目薬。(時間が薬である〜時間が癒してくれる、あなたは一人では無いと伝え続ける)若者には夢を、年寄りには思い出を。自殺さえ食い止めれば鬱は治る、とにかく治ると希望を与え続けることが大切。どうしても自殺念慮がおこる時は、入院も一つの手段。

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2015年08月09日

Posted by ブクログ

最近マスコミでも話題になっている本。一気読み。著者の書籍は学ばされることが多く好んで読ませていもらっているが、これは一般向けの本であり、現代のうつ病や双極性障害治療に対するアンチテーゼであり、よくよく考えると当たり前のことがわかりやすく書かれている。印象に残ったフレーズとして、現在の薬漬け医療は「精神科医・製薬会社・患者の三位一体として理解する必要性」、双極性障害を「睡眠・覚醒リズムのの失調」として捉え直す、『クルマ乗るなら酒飲むな、クスリ飲むなら酒飲むな』、精神科クリニックにかかるのは今やギャンブル、安易な休職のすすめの再考、うつ病の休職にも損益分岐点がある、休職による利益と損失が交わる点がある、家族や周囲の者は「日薬」と「目薬」で接する、生活習慣の基本は①睡眠量②睡眠相の安定③アルコールの制限、精神科医に名医はいない。すごく簡単なことで基本的なことであるが、睡眠とアルコールについて強調されていることにいたく共感した。

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2015年07月08日

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精神科歴5年のオイラにとっては衝撃的な内容。この本読むと薬は効くのは2割。その効いた薬の3分の2はプラシーボ効果だという。なかなか治らないのも頷ける。馬鹿らしくて薬の減量に成功。あと4ヶ月でやめれそう。
ホントこの本のおかげです。
心の風邪キャンペーンで心療内科にかかる患者が増えたこと増えた事。行かなくていい奴まで通って、薬漬けにされてしまい抜け出せなけなってしまう。
製薬会社の継続して薬は飲んでもらい、たくさんの種類を出してもらう精神科の薬とマッチしている。製薬会社の私腹をこやす為に鬱になるのは馬鹿らしい。
会社もコミュニケーション能力を一番求める人材ではなく、会社にちゃんと来る人を雇いたい。
休職者に渡す給料ほど馬鹿なものは会社もない。
とにかく精神科、心療内科は見直すひつようがある。
追記で【精神科】より【心療内科】という言葉のほうが患者の病院に通いづらいと思うハードルをかなり下げている。あと病院の開業する立場の人も最低限の机、椅子、部屋さえあればいいので開業しやすい。
しかも薬だけだしての3分診療が如何に多いか。
医者も見直しが必要である。

最後に重要なのは睡眠と正しい生活リズム。引きこもりでの睡眠リズムの乱れや、休職期間に関しても生活リズムを正すのは難しい。睡眠と生活リズムが滅茶苦茶で気分が悪いから鬱になったと思い込む馬鹿もかなり多い。
睡眠を正す事がどんな薬よりも治療効果として高いのである。

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2015年06月17日

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薬は2割の人にしか効かず、その2割の人のために全員に薬を処方している。うすうすそうではないかと思っていた。そして、薬以外の対処法を身につ行けていないというのもそう思った。カウンセリングでは傾聴が重要視されるが、「どうでしたか」とひたすら聴くだけで、アドバイスもなく、指針もなく、というカウンセラーが多いのかもしれないと思った。

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2015年12月06日

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素人なので、抗うつ薬は効果があるとかないとか、飲むべきだ飲まないべきだ、などと迂闊に言うのは憚りがある。ただ、抑うつ状態と診断されたら、または、精神科・心療内科に受診する前に、うつ病や抗うつ薬のマーケティングについての書籍を複数読んでおくのは意味があると思う。

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2022年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

Disease Mongeringによるうつ病診断の過剰、抗うつ薬大量処方に対する批判の本。内容的には当事者向けで、「うつ」で病院にかかろうと思っている人、もしくは服薬していてあまり効果を感じてない人向けで、軽めの内容。

・MDPについて、双極II型という概念を後から付け加えておいて、治療の話になるとI型のことばかり論じるのはおかしいという。しょせんは「躁うつ病もどき」だから、I型のような薬物療法をする必要はない。

・飲酒者には原則投薬しない。断酒してもうつ・不安であれば薬物療法を考える。

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2015年12月15日

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医薬品というのは実のところ、かなり打率の低いバッター。治癒打率が1割もあれば強打者であり、打率2~3割の抗うつ薬は十分に高いレベル。されど、本来、患者に必要なのは、言葉のやりとりにより患者の抱える問題をわかってあげること。ところが、日本の多くの精神科医は精神療法ができない。勢い、患者を手ぶらで帰すわけにもいかず薬を処方することになる。新型うつ、現代型うつ、などと次々に奇妙な新病名を開発し、本来のうつとは全然違う人にまで薬を処方している。精神科医は患者を治してあげようと善意で処方しているから問題の根は極めて深い。加えて双極性感情障害の病名がつけば、よりアグレッシブな薬物療法を正当化できる。実は、双極性感情障害はうつ病以上に薬漬け医療の餌食となっている。腕のよくない精神科医ほど、治らないのは薬が足りないせいだと考えがち。だから、ますます増える。体の中で化学物質が増えたり減ったりすれば体も十分な対応ができなくなる。精神のバランスを崩す人も少なくない。下手な薬物療法は、休むに似たり、どころか、かえって気分を乱高下させる。
巷で増えているのがメンタルクリニック。スタッフ一人おれば投資も何も必要ない。簡単に始められし儲かる。患者は薬漬け。最後に危ないクリニックの見分け方を教えてくれている。①初診なのに薬が3種類以上②薬の説明がない③不調を訴えるたび薬が増える。

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2015年09月01日

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