【感想・ネタバレ】美しい日本の私のレビュー

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Posted by ブクログ

川端康成のノーベル賞記念講演を中心にまとめた1冊。
古典、四季、芸術など様々な視点から日本人が持つ美意識を振り返っている。
こういった心の豊かさが筆を走らせている源となっているのかと感じた。
読み返したくなる1冊。

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2022年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(2021-04-07 3h)

実は未だ川端康成さんの本は読んだことがありません。ただ、タイトルに惹かれて、この本を手に取りました。
『花は眠らない』。「花は眠らないと気がついて、私はおどろいた。」この一節からぐぐいと惹き付けられました。最高です。
『源氏物語』『枕草子』への思い入れも強く書かれています。

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2021年04月07日

Posted by ブクログ

本書は1968年に、川端康成が日本人初の受賞者となったノーベル文学賞のスピーチ「美しい日本の私」(サイデンステッカーによる英題は「Japan, the Beautiful, and Myself」)を含む、随筆集である。3日間の徹夜のもとで、スピーチ直前に書き上げられた「美しい日本の私」は、やはり川端康成の文学世界を理解する上では一級のドキュメントであろう。

このスピーチでは、道元や西行などの和歌を引用しつつ、古来から日本では自然描写に内在される美しさを尊ぶ文化があることが示される。そして、芥川龍之介の自殺の遺書である「末期の眼」を引用しながら、そうした美しさが顕著に感じられるのは、生活力・動物力とは対局の静かな死を待つ境地においてであり、それが日本特有の”虚無”の概念に通じる、とまとめられていく。

実際、本書に併録されている「末期の眼」という随筆では、修行僧の澄み切った世界では、あらゆる自然の事物が途方もない美の世界として理解され、あらゆる芸術の極意がここにあるとまで語られる。この要点は、世界をどのように理解して何を美と感じるかは個々人の世界認識に依存し、客観的な美があるわけではない、その主観的な美の世界を自殺直前というような「末期の眼」を通さずに文章で再構築すること、そこに日本文学の特異性がある、ということだろうか。

その点では、原題と英題の微妙なズレを意識することは極めて重要であるように思われる。原題は「美しい日本の私」であり、接続詞により”私”は”美しい日本”に包含されることが明示される。この二語の関係は、”美しい日本”という世界が”私”の主観的世界に依拠するものであるという川端康成の主張を示すものであると理解される。一方、英題の「Japan, the Beautiful, and Myself」では、”Japan, the Beautiful”と”Myself”は”and”という並列詞で接続されている。この並列詞により、”美しい日本”は”私”とは無関係に、ア・プリオリに存在しているかのような印象を抱いてしまう。この微妙な原題と英題のずれにこそ、川端康成が考える日本文学の特異性が最も表出しているのかもしれない。

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2018年04月15日

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日本、自然への川端康成の愛情がうかがえる随筆集。川端康成ほどの日本を代表する作家が「日本的」について思考し追求していたことが何だか嬉しい。
自然に溢れた春の山の風景、日本人が心に描く心のふるさと。これが日本的なものの象徴であるのかもしれない。

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2017年10月12日

Posted by ブクログ

川端を斜めから楽しむ勢だが、けっこう正面から読んで、いいなと感じた。
そして誠に月並みなことに、よく聞く(引用される)ものほどいいな、と。



川端のノーベル賞受賞記念講演を軸に、日本文化について述べた随筆を厳選!
ノーベル賞授賞式に羽織袴で登場した川端康成は、古典文学や芸術を紹介しながら日本の死生観を述べ、聴衆の深い感銘を誘った。その表題作を中心に、今、日本をとらえなおすための傑作随筆を厳選収録。

【目次】
●美へのまなざし
花は眠らない 1950★
美について 1950
美しい日本の私 1968★
秋の野に 1968
女人なれども 1969
夕日野 1969
ほろびぬ美 1969
美の発見と存在 1969×2★朝のガラスのコツプの光り
日本文学の美 1969★
日本美の展開 1969
鳶の舞う西空 1970

●戦争を経て
同人雑記 1937
平和を守るために 1949
私の考え 1951
東西文化の架橋 1957

●日本文化を想う
末期の眼 1933★竹久夢二ディス
純粋の声 1935
紫外線雑言 1936
日本の母 1942
「日本の母」を訪ねて 1942
哀愁 1947
思い出すともなく 1969
水晶の数珠など 1970
春 1955

付録
Japan the Beautiful and Myself(美しい日本の私) エドワード・G・サイデンステッカー訳

解説 大久保喬樹

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2023年04月03日

Posted by ブクログ

ノーベル賞受賞後の記念講演会での講演「美しい日本の私」を含む、戦前戦後のエッセイをまとめたもの。どのお話にも川端康成の「日本の美」に対する思いが込められている。川端の感じる美というのは、日本画や自然にとどまらず、源氏物語などの小説や勤勉な労働者など幅広く、本質的には「もののあはれ」に表現される、純粋さや儚さ。一方で、戦争で夫を亡くした寡婦が、姑を養いながら残された子を育てる姿を取材することなどは、川端自身も純粋に美しいと思っているのだろうが、今でいうヤラセ感がないではなく、戦争・国策の影響を感じる。

「もののあはれ」を至上の美と考えていた川端が、戦後の混乱した社会や米国に傾倒している人々を見てどう思ったか。太宰や三島の自死を非難していた川端自身が謎のガス自殺を図った理由が垣間見える気がする。オリンピックとコロナ禍で混乱する今の日本をどう見ているか。

全体を通じて日本語が豊かで美しいの感じるので、読みがいのある一冊。

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2021年08月04日

Posted by ブクログ

川端康成が、このような随筆を書いていたとは知りませんでした。
文化という中から「美」という側面を切り出し、
日本の古典文学なども例に挙げて語っているようです。
私のような凡人にはよく分かりませんが、ある意味鈍感でもあり、鋭敏でもあるという不思議な感覚を覚える文章です。
いずれにしても、「文化」というものは、長い時間をかけて育まれてきたものが多いのでしょうし、そのようなことに対しての歴史を知ることや、自分なりの理解をもつことが大事だと思わせられます。

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2015年04月30日

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