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Posted by ブクログ
読書中のメモを転載。
この作品中のガリレオはしたたか。自説を撤回したのもそうだが、自分に有利なように権力者や聖職者を利用しようとする。
その一方で、弟子のアンドレアなどに対しては純粋で優しい。
でも本来なら感謝しなければいけないおかみさんや娘にはどこか冷たい。彼らは科学に興味がない、ただの人間だったからか。
そういう、人間ガリレオの多面性を描くのがすごくうまい。ブレヒト自身の自己投影か。
…解説を読む限り作者はそういうことを意図していなかった、または重要視していなかったのかもしれないが、この作品にはそういうところにあふれている。
Posted by ブクログ
真実が時代の子供ではなく、権威の子供になることの滑稽さを見事に浮き彫りに描き出した傑作。
政治と宗教を一体化させていた、キリスト教を中心にまわっていたヨーロッパ世界で、絶対権力である教皇の権威を完全に崩壊させかねない、地動説。
その地動説を唱えた人間達をことごとく滅殺してきた権力者達は、地球を宇宙の中心に置き続けることを強制する。
最後まで幽閉され続けたガリレオの地動説が正しいと、再度見直し認められたのは1992年になってから。
ガリレオが1642年に没してから実に350年後。
Posted by ブクログ
地動説をめぐる教会との対立と、自説の撤回。そこから「新科学対話」を弟子に託すまでのガリレオの人生が戯曲化された作品。
印象に残った場面…
アンドレア「英雄のいない国は不幸だ」
ガリレオ「英雄を必要とする国が不幸なのだよ」
ガリレオ先生!!!
Posted by ブクログ
教皇ヨハネ・パウロ二世がガリレオに謝罪した日に,読んでみた。前半は全15景の戯曲。数学教師だった彼の半生は七転八起である。望遠鏡を発明してコペルニクスの天動説を証明したが,教皇庁によって禁書の憂き目に遭う。次に科学者である新教皇のもと太陽黒点の研究に着手したが,10年後,これも当の教皇によって学説を撤回させられる。異端審問所の監視のもと生涯を終えた彼だったが,その中でも新科学対話を執筆する。戯曲のあとは,アインシュタインと大震災とガリレオを結びつけた訳者の論考。真理探求への内面に共感する。