【感想・ネタバレ】火刑法廷〔新訳版〕のレビュー

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Posted by ブクログ

読後感は随一でした。エピローグが本作の魅力を決定づけ、思いもよらない結末に衝撃が走ります。
ミステリーなのかホラーなのか、はたまたオカルトなのか。色々な要素があり、様々な解釈や楽しみ方をさせてくれる本作はやはり素晴らしい作品であると思いました。
詳しくは書けない作品の一つではありますが一読の価値はあると思います。

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2023年11月04日

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構成され切った本格ミステリ。

として完成されていること自体が、伏線。ラスト5ページで世界を一変させる。

「ラスト1行の衝撃」や「ラストで絶対騙される」的な煽り文句は、昔から多いけれど。「火刑法廷」ほど鮮やかに品よくひっくり返してくれるものがどれだけあるだろう。

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2023年02月17日

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これは面白い!
読むまで法廷ものなのかと思ってました。汗。

壁を通り抜ける幽霊、死体の消失、伝説の毒殺魔…。要素がてんこ盛りで、登場人物はどの人も怪しいオーラ満点。雰囲気たっぷり!
そして、すべての謎を回収していく後半部と、ラストの素晴らしさよ。めちゃくちゃかっこいいミステリです。

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2023年02月05日

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1937年に発表された小説ということで、もはや古典といっていい作品のようですが、まったく古臭さを感じることなく(もちろん新訳版ということもあるでしょうが)、グイグイと読み進めることができました。

情報は小出しにされ、些細な疑問ですら解決しないまま物語は進んでいきます。これ、どういうことなのかな?とモヤモヤが払拭されないまま、次々と新たな事態に突入。更なる謎や疑問が追加される展開に、もう翻弄させられっぱなし。うまい。この絡みあった糸をはやく解きたくて、頁を捲る手がとまりませんでした。
舞台は現代なるも、題材が近世フランスの魔女裁判、ということで、独特の雰囲気が醸しだされています。日本の怪談話のように、不気味で、刺激的で、興味が駆り立てられる。先述のモヤモヤした展開と非常にマッチしていて、この独特の雰囲気を楽しむことができました。

そして何より、わずか5頁の最終章の存在感。こりゃ名作ですわ。

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2023年01月12日

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最初のどう見てもオカルトな事件が、ちゃんと論理的に解決されて、そして…という展開がとてもハリウッドのサスペンス映画っぽくて面白い!

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2022年08月08日

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ネタバレ

以前読んだときよりも面白い。
っていうか~読書会というきっかけがなければ再読はしなかったなぁ~。
なぜなら、……………

エピローグまで、読んだとき「え!」「あ?」って思ったという記憶があったから。
そんな思いはやっぱり再読の今回も…だから。

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2019年08月22日

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 探偵小説の巨匠、ディクスン・カーの作品。
 
 デスパード家当主マイルズ・デスパードが死亡した。かかりつけ医は自然死と判断したが、マークはマイルズの部屋の現状から、砒素による毒殺を疑う。果たして、確かにマイルズは砒素により殺されていたのである。
 ヘンダーソン夫人がマイルズの部屋を隙見したときに見た、無いはずのドアを抜ける不思議な女性と思しき人影、霊廟に埋葬されたはずのマイルズの遺体が消失するという事件、そして、エドワード・スティーヴンズの妻マリーと19世紀初頭の毒殺魔マリー・ドブレーとの関係。オカルティックな雰囲気に包まれた事件は、意外な様相を呈し始める。

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2018年08月13日

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ネタバレ

冒頭から奇妙な符合がたて続き、それら全てが主人公の妻が犯人であることを示唆しており肝をひやす、というところまではよくできたミステリにおける、一種の定型だが、それだけではなくその奇妙な符合は全て彼の妻がすでに処刑された魔女であることを暗示しているように思われる、となっていて読者の心を掴む。
中盤では推理合戦が繰り広げられ、その過程でタイトルを意識したような、法廷尋問のようなくだりもあって、遊び心がある。
クライマックスで、探偵が謎解きし全てが実現可能なトリックとして解き明かされなーんだと思うのも束の間、最終的な結論としては、やはり魔女だったのか…?と思わせるようなものになっている。そんなことありえるか?と思い返す。彼の妻にはやはりアリバイはなく、しかし部屋の鍵はどうしたんだ?と考えたとき、作中の魔術に関する本の記述に思い至る。過去に不死者が鍵をすり抜けたというくだり。斯様に本作は、以前のところでサラッと出てきた一見無関係ながら興味深い記述が、読み進めると突然再浮上してピッタリと鍵穴におさまるような、奇術のような仕草が至るところに仕掛けられている。

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2023年07月26日

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ネタバレ

カーの不気味な雰囲気が存分に楽しめる作品だった。
推理小説かと思いきや、ホラー小説かな、これは。分類し難いところが既に洒落ている。


クロスが探偵役で登場したところから解決編がなかなか圧巻で、マリー視点のラスト素晴らしいの一言。
クロスの前世の魔女仲間がマリーで、現世でマリーに見つけてもらうために自身の顔写真を本に載せていたのはわかるけど、スティーブンズとゴーダンが結びついたのは偶然??ここがわからなかった。

仮面舞踏会や墓荒らしなどの場面はあるものの、全体的に重々しい、暗い雰囲気の作品だった。

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2022年11月27日

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カーの小説はどれも読み難いのが難点(私にとっては)だったけど、これは読みやすくて助かった。
冒頭からオカルト風味満載な雰囲気の中、ちゃんと合理的に解決できて安心した…けれども、終わり方がなんとも…
続けてM・R・ジェイムズが読みたくなったw

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2022年08月16日

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 とてもとてもJ.D.カーらしい、凝りに凝ったオカルトミステリ。

 殺害現場からの犯人の消失、と霊廟からの死体の消失、というふたつの密室を軸に、犯人含めた登場人物たちの思惑が絡み合った推理合戦から、異様な雰囲気を増していく中盤がキャッチーで読み進めやすい分、真打ち登場とばかりに躍り出る探偵役のオーラが凄い。キワモノ。
 謎解き自体は正統なミステリで、これまで醸成されていた不気味な雰囲気が祓われるように晴れてーーいったと思ったら。そこからの揺り返しが凄い。

 真実は何処、というか、真実の軽さよ…


 ☆3.5

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2022年06月29日

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終盤まではオカルトが絡んだ推理小説で、おもしろいが特段目を引くものでもなかった。

しかし最終盤、最後の最後でこの本が名作と評されているわけが分かった。
この結末を忘れることはできないだろう。

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2022年03月21日

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火刑法廷は17世紀フランスで行われた裁判。小説に登場するマリー・ドブレーは実在した毒殺魔の名前。この小説はデスパード家当主急死の謎を解くミステリー。だが最後5ページで小説はミステリーから怪奇小説になる。

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2022年01月23日

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魔女やら幽霊やら、オカルト色満載の舞台で繰り広げられる密室殺人。結末で明かされる事実は、それまでの文章を細かくよく読んでいけば確かにそうだなと思えるもので、決して後出しの情報で進んでいくわけではない。(事件のトリックに関連しない部分で後出しの部分はあるが)

最終章をどのように読めばいいのか。超常現象の見せかけを打ち砕いてきたそれまでの章からは考えられない不思議な最終章。

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2020年06月21日

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珍しく外国の小説を読んだ。ネットのお勧め小説だったかと思うが、期待を裏切らず面白い小説でした。
時代背景の違いや価値観の違いによる、洋書特有の違和感はあり感情移入は難しかったが、わかりやすいキャラクターやストーリーでその場の雰囲気が想像でき、オチには見事に騙されてしまいました。ミスリードに対する種明かしも納得のいくものでした。
また、エピローグで煙に巻くような後味の悪い終わり方をするので、それが苦手な方は注意してください。
あらすじとしては以下の通り。
主人公は編集者で仕事として、過去の犯罪を扱うノンフィクションの小説を渡される。そこには彼の妻とそっくりの、斬首刑となった犯罪者の写真が掲載されていた。
時を同じくして、彼の隣家で資産家の老人が亡くなるが、老人は毒殺された形跡がある。
使用された毒は、小説に出てきた妻と瓜二つの犯罪者が使用したものと同一であり…。

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2019年04月08日

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非常によくできたミステリ。表向き見事に解決したかに思われる事件が、最後の短い章ですべて覆される。最後の章がなければ、これほど長く評価はされなかったかもしれない。

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2018年07月03日

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海外の古典的名作とされる作品は
まだ殆ど読んでいない。
どれもがこの作品と同等の出来なら
全てを読破する必要がある。

タイトルから勝手に
法廷ミステリだとイメージしていた。
しかし、富豪の死の謎、
密室からの消失、
壁をすり抜けた不可解な女、
200年前の毒殺魔、不死者、
疑惑の妻、怪奇的雰囲気。
あらゆる要素を取り入れた
極上のエンタメミステリだった。

冒頭から読者を物語の中へ
一気に引きずり込む。
そこから、いくつもの謎を一生懸命
考えながら読むのだが、
一向にその真相が思い浮かばない、
可能性のありそうな流れが想像出来ない。
ここまで、一体どうなっているんだと
思いながら読み続けられた作品は
他になかなか覚えがない。
大抵は、ある程度大まかな終局への
流れを想像出来、
それをさらに裏切るラストを
楽しみにするってのが、
私のミステリの楽しみ方なんだが。
この作品には通用しなかった。

探偵登場、数々の謎についての
真相究明。更にラストのあのオチまで
とにかくずっと飽きさせる事なく
翻弄してくれた傑作。

新訳版だが、それでもあまり読み易い
文章でなかったのが唯一残念な所。

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2017年02月11日

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全編を覆う薄気味悪い空気の描き方がうまい。疑惑の渦中にいる人物は登場こそ少ないものの、物語全体に不気味な影を落とす。正直、西洋のオカルト要素に恐怖は感じないし、不死者や黒魔術などと言われるとファンタジーかと構えてしまう。でも終盤までのオカルトに完全にはオチない紙一重の緊迫感は実に見事だった。どちらかと言うとオカルト比重の方が強く、終盤に訪れる論理的な真相解明が残念に思えるほど。お陰で納得の『評決』(好みではないけど)。どちらに転んでも細かい疑問は多々あるが、それが気にならないくらい秀逸な出来栄えだった。
行方不明になったあの人がどこに消えたのか…はかなり気になるところ。

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2016年03月09日

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読んでみたいと思っていたディクスン・カー。
古典の正当な推理ものとしての面白味と怪奇ものとしての面白味と両方楽しめる作品。
殺人、遺体消失、壁に消える女といった謎を解いた先に待っているものとは。

読み終わると結局どういうことと悩んだりもするけれど、そういうところもこの作品の魅力なのかもしれない。

面白く読み終えた。



簡単な感想になっちゃった。
大掃除の仕上げして、注連飾りつけないと。
昨日、植木屋さんばりに植え込みを手入れして全身筋肉痛と闘っています。

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2016年01月28日

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「部屋の壁の中に消えた婦人の謎」では、トリック自体は大したことはないものの、犯人によるミスリードが巧妙でした。
「密室から忽然と消えた死体の謎」も、一連の怪奇現象を用いて不自然さを消すことに成功しています。何れもトリックというより、「ないように隠す手法」が非常に上手いなと思いました。
最後のオチは好みではありませんが、不思議な余韻を残すことに成功しているので良く出来ていると思います。

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2015年12月25日

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ネタバレ

過去の毒殺婦と瓜二つの妻マリー。彼女と毒殺婦の関係を疑う夫スティーブンズ。
そんな中彼の友人マーク・デスパード宅で父親マイルズが毒殺された。使用人のヘンダーソン婦人が目撃した密室から壁に消えた女の姿。その姿がマークの妻ルシーに似ていると訴えるヘンダーソン婦人。そして、検死のためにマイルズの遺体を調べようとしたが墓地から消えた死体。使用人の部屋に現れた死んだはずの男。マイルズの看護婦コルベット嬢が盗まれた薬。マリーが助けを求め事件解決に現れたゴータン・クロス。クロスが語る事件の真相。毒殺されたクロスとエピローグ。

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2015年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

手持ちの文庫本は表紙がクラシカルな雰囲気の女性のポートレートで登録されている表紙より好きだが、もはやポップとも言えるようなどんでん返しの本書には多少アニメっぽいイラストの方が合ってるのかもしれない。本作より後のクリスティ「蒼ざめた馬」がかなり好きで、本作もヘンダーソンが引用する昔の知人バリンジャーさんの「死んだ人間などちっとも怖くない、注意しなきゃいかんのは生きたろくでなしどもだ」という名言通り、怪奇現象を科学的に解明する話だろうと思いながら読み進めて説示までなかなか面白かったが、いきなり探偵役が倒れるあたりから収拾のつかない展開に。評決と言う短い終章でガラッとオカルトに揺り戻され、ここが本作の最大の魅力なんだろうけど、魑魅魍魎を斬る蒼ざめた馬のさっぱりとしたラストとは対照的。ツッコミを入れながら楽しむ作品のようです。鏡の前で手持ちの服をとっかえひっかえする若い女の子みたいにお洒落好きなおじいさん、殺されてかわいそう!「アクロイド殺し」で犯人が犯行当日あれだけの行動をとるのは忙しすぎて時間が足りず無理、との指摘を読んだことがあるが、本作の死体消失トリックも相当際どい短時間決戦。看護師は確かに正妻に罪を着せようと試みたり人が悪いかもしれないけれど過去の経緯は気の毒なところもあるし、「本当は罪を犯していない」のに終身刑ってかわいそう。いつの間にかゴーダン・クロス殺人事件にすり替わってしまっているが、これ結局真相不明だし、その前の毒殺のドレスの謎とか警察が深追いしなくてよいのかなあ…マークが急いで金が必要な理由どこかに書いてましたっけ?事件後行方不明になった、で終わるのは省略の美?何世代も放置していたにもかかわらず、この物語の時点から過去世の復讐話になるなら、あの「奥様は魔女」はマークだけでなく妹や弟(珍しい性格設定だけど知人で似ている人います)も亡き者にしてその際に夫を仲間に引き込む展開が想定されているのか。マイルズは図らずも死後に火刑に処されており、八つ墓村(映画しか見てないけど)なら被害者の子孫が復讐という形になっていたが、こちらでは犠牲者の甥が無意識のうちに自ら手を下すのが凄まじい。

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2023年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世評の高いミステリー。期待して読み始めた。

「火刑法廷」という題名からも推測できるが、オカルティズムに溢れて、魅力的な謎に密室。そして訳ありの登場人物の面々と、てんこ盛りではあるのだが、どうにも気に入らないのは、最後に登場する探偵役に今一つ魅力とキレがないことと、登場する必然性に作為がありかなり無理がある事。

ただこれも、最後の最後に訪れるビッグサプライズの布石だと思えば納得できるが、この最後のサプライズで本書はミステリーからホラー小説に変わる。

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2023年04月29日

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オカルトムード漂って何が事実かどうかわからないままずっと進みでいった。状況がイマイチ想像力足りずついていけず、入り込めなかったけど最後5ページで、最後まで読んで良かったと思った。が、スッキリはしない!

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2023年03月19日

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死体消失と人間消失。2つの謎があり、その真相をきいてなるほどと思ったと同時に疑問も持った。読み終わっても読者に考えさせるものを作った作品だと感じた。

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2022年04月11日

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 ニューヨークの出版社の編集部員であるエドワードが週末を過ごす別荘へ向かう車中で出版予定の小説原稿に添えられた写真と名前は別荘で待つ妻マリーだった・・・小説は事実を基にした70年前の毒殺事件でマリーである筈がないがエドワードの心にはシコリが残る。。。

時期を同じくして別荘近くの大地主でデスパード家の当主が病死するが甥で友人でもあるマークから砒素を使った殺人の疑いがあり容疑者探しを行う。

妻似の70年前の砒素毒殺事件犯人は魔女で”不死者”といわれ時代を超越した幽霊が犯人なのか?
霊廟に安置された筈の当主の亡骸は何処へ?
唯一の目撃情報である”古いフランス様式のドレスを着た女性”は誰なのか?

デスパード家の一族・使用人とエドワード夫妻及び友人医師の怪しい人間関係と隠されたトリックは予測出来ない驚きです!

火刑法廷とは毒殺犯罪者(主たる犯罪者は女性が多い)が処刑として生前や死後に焼かれる事。
特に毒殺は魔術とされ火刑で罰せられた女性を”不死者”として魔術信仰された。

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2021年08月24日

Posted by ブクログ

冒頭の妖しいムードに惹き込まれつつも、ついつい混同する登場人物の名前や序盤のもたついた筋運びに乗り切れないまま読み進めたが、第Ⅲ章から俄然面白くなる。解決編の第Ⅳ章で探偵役が推理を披露するのだが、消える人影の種明かしはまだしも遺体消失のトリックや犯行動機について後出し感が拭い切れないのは私が普段所謂本格推理ものを嗜まない所為だろうか。目眩し的に積み上げてきたオカルティックなネタをエピローグの第Ⅴ章で反転に用いる試みは功を奏したようだが、中世魔女事情に精通していない私には今一つピンと来ない部分も多かったり。

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2021年08月06日

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ネタバレ

随分前に「読みたい」に登録していてなかなかだったのですがようやく読みました。
オカルト的な雰囲気がそこかしこから漂っていて、これはミステリーなのか?と疑問に思いながらもきちんと納得のいくトリックが明かされます。ホッ。
でも探偵役の人は死んでしまうわ、最後の最後にまたやっぱりオカルト?と思わせる章があり、ちょっと嫌な余韻を残す本でした。

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2021年04月23日

Posted by ブクログ

本格推理の古典みたいな作品らしい(知らなかった)。怪奇趣味も混じりつつ、現実的な犯罪事件…横溝正史作品と似ているかなと思ったのは私だけ?
デスパード家の当主が急死。その夜目撃された当主と向かい合う謎の夫人の後姿。現当主マークが叔父は毒殺されたのではと疑い、墓を暴いて遺体を出そうとするが…
一方、マークの友人で編集者のスティーヴンスは担当する作家クロスの原稿に添付されていた昔の毒殺魔の写真が妻マリーとそっくりなのに驚き…
いろいろたたみかけるような謎が続き、読みやすいです。犯人も真相も合理的なものですが、若干解決できない部分を残している(ホラー的な?)ところも個人的には面白かった。

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2016年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

魔女裁判の話と見せかけて、毒殺魔の話で……という流れで、面白かった。
翻訳ものはあまり得意ではなく避けて来たが、これは読みやすかった。
けれど、本格ミステリー好きにはおすすめしない。


以下、あらすじ(オチつき)覚え書き。

編集長から、ゴーダン・クロスの原稿を渡されるスティーヴン(以降、テッド)
彼は過去の事件をあたかも見て来たかのように書くことを得意とする作家で、テッドもファンのひとりだった。
原稿を渡す際の編集長の様子が気にかかったが、列車の中で原稿をひも解くテッド。
内容は毒殺魔の女性・ブランヴィリエ侯爵婦人の話だったが、そこには自分の妻・マリーの旧姓(マリー・ドブレー)と顔写真が貼られていた。
その女性は火刑裁判にかけられた上、ギロチンで処刑されていた。(魔女扱い)
マリーの先祖が毒殺魔だったのかと恐れるが、それにしても写真が似すぎている。
疑心暗鬼に陥るテッド。
別荘で夫を待っていたマリーは、テッドが知った事実から目を背けさせようとする素振りを見せる。

そんな中、友人であるマークが、先日胃腸炎で亡くなった叔父はヒ素で毒殺されたかもしれないと訴えて来る。
それを確かめたいからと墓場を暴くことに、手伝い夫と元医師と共に協力する。
墓を暴いてみたところ、叔父の遺体はなくなっていた。

遺体がなければ証拠も出ない。
しかし、墓場に荒らされた形跡はなく、盗めるはずもないと手伝い夫は訴える。
さらに、叔父がなくなる直前、手伝い夫の妻は奇妙なものを目撃していた。
それは、叔父と話していた古くさいドレスを着た女性の姿で、女性は壁の中に消えたのだと言う。
その女性の衣装が、マークの家の廊下にかかっていた肖像画(顔と肩は酸で焼かれてわからない)のものだというから、問題は大きくなっていく。
何故なら、その日は仮想舞踏会があり、マークの妻・ルーシーがその衣装を作って着ていたからだった。

警察もやってきて、事態は明るみに出る。
はじめ、ルーシーに疑いの目がかけられていたが、看護師の証言により、マリーに疑いがうつっていく。
しかし、看護師がマークの愛人と発覚し、事態は大きく様変わりする。

この事件はマークと看護師が企てたものだと判明し、その謎を解いてみせたのはかの作家・クロスだった。
しかし、謎解きのラストにそのクロスが毒殺される。
グラスを渡した看護師が犯人として逮捕されるが、無実だと訴えている。

マリーは過去は、もらわれ子であり、虐待を受けていた記憶によりトラウマが魔女の証拠のように見えていたという説明がつけられている。テッドもそれに納得し、事件は解決したに見えた。

しかし、ラストにマリーがやはり魔女なのではとにおわせてエンド。

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2015年07月27日

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