感情タグBEST3
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私小説のような感触の新書。それくらいあけすけと心情が書かれていて逆にほっとする。そこには諧謔的なところもあり迷いや素直な思いが書かれていていいと思う。精神科医も人間だということがよくわかる。人間らしい精神科医だと思った。そのことが精神科医としていいのかどうか患者や専門家ではないのでよくわからないが悩める人には共感できるものがあると思う。
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ひっじょうに面白い。
なんか,リアルです。内容的にも面白いけども,個人的には濃密な文体に妙に魅了されてしまった。
ぜひとも他の本も読んでみたいですな。
それにしても,この人は捻くれてるというか,斜に構えてるというか・・・。でも,そんなところがとっても良いし,ある意味で素直な人なんだろうなぁと想像しながら楽しく読ませていただきました。
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「精神科医あるある本」なんだと思う。
100人の精神科医(実在の場合も、イメージの場合もあり)を挙げながら、精神科医が仕事をしながらどんなことを考えているのかをつらつら紹介?していく本。
この著者はいい意味でかっこよくないと言うか、「いいことを言おう」としてないので好きです。ちょっと卑屈すぎるきらいはありますが・・・
でも患者さんはこんな事情知らないわけだから、つまんない医者にあたると余計具合悪くなりそうだな・・・と思ってしまいました。
精神科だけじゃないけど、医者との出会いって運だよね。
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精神科医の日常の考えをストレートに書いた良書。精神科という医学の中でも判断が難しい、ともすると哲学や何かにも関連しそうな分野で処方を出す医師の考えを良い例、悪い例様々に紹介している。
三ツ星レストランのシェフのレシピみたいな処方をする医師
自信とステータスとで自在に患者を治してしまえる医師
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ブログ等を見ると精神科医に対する患者の不満をよくみかける。
俗に言う3分診療などというものである。
この本は、あまり表には出てこない精神科医の本音、つぶやきのような事象が多くあり、そのへんの事情についても書かれている。
患者にとっては、医者は唯一の存在だが、医者からみれば大勢の患者の一人であり、全員にカウンセリングを行うことは不可能だとわかる。
個人的には第七章の幸福・平穏・家族の章は大変考えさせられた。
病気という契機以外でも同様の価値観の変化が起こる可能性もあり、ステレオタイプな幸福は本当は大事ではないと皆気がつきながら、逆にそういった幸福がないと本当の幸福に辿り着けないというジレンマは大いに共感してしまった。
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[ 内容 ]
精神科医とはどんな人たちなんだろうか。
人の心を治療する医者だから、人の心の闇を知り精神の歪みにも精通し、人格的にも高い成長を遂げているはず。
だが本当はどうなのか。
テレビに出てくるあの人はあやしくないか。
臨床体験豊富で熟練の精神科医である著者が、エクソシスト医師、無責任医師、赤ひげ医師、新興宗教の教祖的医師、タレント医師、世間知らず医師などなど累計100名を、裏も表も建前も本音もすべてリアルに描き尽くす。
[ 目次 ]
第1章 赤ひげ医師・熱血医師・愚かな医師
第2章 相性ということ
第3章 技術と人柄
第4章 優しさと支配
第5章 物語・心・世界
第6章 偽善と方便
第7章 幸福・平穏・家族
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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「酷薄を冷静沈着と思っている医師」や「有名なゆえに診療が雑な医師」、「患者が少なくて自然、丁寧になる医師」とかいろいろな医師の考えが書いてあるが、もちろん全部著者の独演。
治癒したかどうか確実でない病を扱うだけに、断言は避けて、第三者的に自分でツッコミを入れているのわけで、あまり思い込みが過ぎないような工夫だろうか。
精神科医でなく一般人ても、顧客や同僚、同業者相手に思うはず。
措置入院の現場の描写は興味深かった。力技で引っ張っていくんじゃないんだ。
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内容は赤裸々、が一番な表現。文末ごとの「○○な医師」は要らないな。こんなこと考えているのか、こうやって患者を捌いて診察時間を捻出しているのか、など現状を伝える部分あり。通院している人はあまり読まない方がいいかも、自分がこう思われている?と疑心暗鬼になりかねない。
Posted by ブクログ
読み物として面白い。
何か役に立つとか、そういう本ではないのだけれども、作者の正直な告白がめっぽう面白い。そして好ましい。
ここまで言っていいのかなーっていうレベル。ぶっちゃけ本の一種。
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タイトル通りの内容。精神科医とはどんな人達で、患者にとって良い医者、名医とはどのような医者なのかを綴ったエッセイ。読んで精神科医は大変だなあとつくづく思いました。春日武彦さんの著作は面白いので見つけては読んでいますが、患者としてはあんまり罹りたくない医者だなあというのが本音です(ごめんなさい)。
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お医者さんは頭が良くて優しくて、ニコニコしてて尊敬している。という方は読まれないほうが良いでしょう。そういう医師もいらっしゃるかと思いますが、この本には載っていないようです。
興味深かったのは第7章でした。不幸な環境から脱するのではなく、そこで安定と維持を試みるのは女性にありがちかもしれません。
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臨床の精神科医が、主として患者との関係においてどのようなことを考えながら治療に当たっているかを、主に本人の経験を通じて若干シニカルに100人の精神科医のパターンとしてエッセイ風に触れており、そのことによって相対する「患者」が実にバリエーションに飛んだ人々が存在するのかも浮かび上がらせている。
特殊な症例が多いので、「ふつう」の患者に対して医師がどう考えているかはあまり分からないかも。
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人の狂い方はせいぜい100種類しかないということだが、むしろそんなにあるのか!と驚いた一方で、世の中淡々と過ごすためには裕福であることが前提条件ということについては、なるほどその通りだなと。
当たり前だけど医者も一人の人間なんだということが再認識できたことが一番の収穫。
Posted by ブクログ
本著には実にさまざまな精神科医(の類型)があ登場する。つい、くすりと笑ってしまう人物もあれば思わず眉を顰めてしまうような人物もいる。エピソードのあとに挿入される人物描写は、シニカルで、流石という不思議な感想をもつ。そして著者のことばによれば、100人登場する精神科医のうち、その2/3は著者自身だという。むすびにて、「人間誰しもフランケンシュタインのようにパッチワークで出来上がっておりツギハギなのだからほころんだり矛盾したり不連続であるのは当然のことで…」とかかれているが、人間ほんとにそんなものだよなあ。と思わせる本でした。春日先生の本が好きな方は好きなはず。
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精神科医を100のタイプに分け、精神科医と患者との関係、そもそも精神医療において「治る」とはどういうことかといった問題を取り上げる。
医者はクライアントに対して診察中は真摯に対応しつつも、常に一定の距離を保って客観的に病状を捉える必要がある。その“客観的”な部分の内容が綴られているので、内容はものすごく冷静かつ淡々とした印象。でも多くのクライアントを担当するゆえに、これくらいの冷めた視点というのは精神科医には必要なのかもしれないとも思った。
腹の底で何を考えているか「語る」というより、終始「吐露する」といった様子。口語的な文章は読みやすかった。
精神科医のタイプ、クライアント、姿勢を覗き見したいときに。
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春日武彦"精神科医は腹の底で何を考えているか"を読む。
都立病院の精神科部長を務めた著者が豊富な臨床経験から、患者を通じて見た精神科医の内面に迫ったもの。身も蓋もない語り口がいっそいさぎよく、好感が持てます。
精神問題で倒れる人が続くような場合、その周囲にパーソナリティ障害の攻撃者が存在するように思います。
【精神障害の類型について】
◯パーソナリティ障害の一部、たとえば境界性パーソナリティ障害といったものの特徴のひとつとして、とにかく周囲を振り回し飜弄するといった行動様式がある。しかも、はっきりとした思惑などないまま、ひたすら他人を操り糸を引きたがる。他者を玩弄することそのものが目的のようにすら映る。もちろんそうした振る舞いの背後には慢性の空虚感とか見捨てられ不安、情動の不安定さといったものが指摘されようが、そのような前提はさておき、やはり他人をコントロールすること自体で何らかのリアリティーや万能感を得たいといった心性を感じ取らずにはいられないのである。
【医師について】
◯精神科医に向かって、患者が自殺という言葉をつきつけてもそれは決め台詞にはならない。自殺というきわめてどぎつい言葉であっても、それが本当の自殺を意味する可能性はむしろ低いからである。自殺したいくらいに辛いといったレトリックでしかないこともあれば、自殺という「おどし文句」で相手をコントロールしたいということなのかもしれない。…自殺すると口から発することによって、やっと自分の存在感を確認しているのかもしれない。
◯患者と同じ文脈でしか物事を考えられない精神科医は、愚かな医師である。そのような医師は、常に歯切れのよい回答や気の利いた対応を理想としつつも決してそこにたどり着けない。問題をパズルと同じようにしか捉えられないので、したがってパズルを解くように事態を解決しようとする。しかしそんなことができるくらいなら苦労はしない。それは自殺をすると電話をしてきた患者へ、それを思いとどまらせる上手い台詞はどんなものだろうと考えるようなものである。さもなければ、幻聴に悩まされている患者に耳栓を与える振る舞いに似ている。
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患者に共感し思いやる労りをもちながらも、別の視点から事態を整理し、デキることと出来ないことを見極め、なすべきことの優先順位を冷静に判断するのが精神科医。本書には多種多様な百人の精神科医をモデルに彼らが実際のところ、どう考えどう行動しているのかをデリケートな分野にまで一歩踏み込みんで語られている。
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幻覚や妄想とともに、どこか自分はおかしいぞという違和感や収まりの悪さを感じていたに違いなく、あなたは病気なんだと真っ向から指摘されることに不快感と同時に安ど感を感じていたのだろう。
精神科の病では完治のとらえ方が難しく、99パーセント治っても残りの1パーセントが感性にかかわってくる部分だったりして、もともととても質のよい発想ができた人が、一度病気にかかったことで野暮な発想しかできなくなったりして、小市民的生き方をせざるをえなくなるような場合もある。
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笑ったー。
嫌いな患者の件は興味深かった。
こちらの気持ちを逆撫でしてきたり、不快な言動に及んでくる精神疾患者がいたとしても、それこそが精神状態であり、「生きづらさ」だと思った時に、仕事として接している時点で「好き、嫌い」の判断をしてしまう事はプロではないよね。で・も!本当に腹立たしくさせる人っているよ!!どんなトンデモ利用者だとしても適切で寛容な対応ができるようになりたい。
三ツ星レストランのシェフのレシピみたいな処方をする医師
世間知らずのくせに、逸脱した事象には明るい医師
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精神科医と患者のやりとりが、論理の優先ではなく、相手の立場を立てることなどパワーゲームに収まりきらない微妙なモノが決定権を握る(p127)というのは臨床家ならではの意見だと思った。そのためには、論理を精緻にするよりも視野を広げて人格的に成長すること(p108)というのも納得である。そして、精神科医自身がそれらに悩みつつも患者と同じ文脈ではなくもっと遠くが見える人間として立ち現われる必要がある(p40)。
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私は医療関係者でもなんでもないが、どういうわけか仕事として、精神科医や精神疾患をお持ちの方とお話をしなければならないことがある。そんなとき、すごく頭にきたり、納得できなかったり、落ち込んでいつまでも暗い気持ちになったりすることがあるのであるが、(相手に対してむかつくこともあるし、この本の187ページで描かれているような自分自身のスタンスに嫌気がさすこともある)それはそれで仕方のないことだよな、と思えるようになった。春日センセイありがとう。
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商売として医師をしていれば
患者は 悪く言えば金づる。。。
面倒な患者よりも 楽な患者の方がいい と思うの自然
患者に良くなって欲しいと思う事もあれば
この患者との関係を解消したいとも 思うこともある
薬によって 症状をコントールしているとしたら
それは 一生続く
医者とも薬とも 一生続く関係となる
医師はそれを知っている
食い扶持の誕生
そんな 感じがしました。
Posted by ブクログ
いい先生だなぁと思う人の本ばかり読んでいたので、ちょっと毒な部分を覗いてみた。
いろいろな精神科医がいるものだ。人格を疑う人もいた。
日常の出来事に著者はこんなことを思ってしまうだったり、見聞きした他の精神科医の話。
中島らもは強い副作用が出ているにもかかわらず、ほぼ十年、同じ処方だったらしい。
処方の内容はかなり強いもので、あまり意味をなさない組み合わせだったりするらしい。
恐ろしいね。
この著者は、普段カルテに記している病名はせいぜい6つで、おおよそ事足りるらしい。
それぞれの病名において、パターン(普遍性のあるバリエーション)は10〜20くらいで、
つまり全部で100ぐらいらしい。