【感想・ネタバレ】災厄の街〔新訳版〕のレビュー

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Posted by ブクログ

96点:「ぼくならできました」

エラリイクイーンが単なる外部の観察者ではなく、事件の当事者として裁判で証言をする。名探偵というものと行動の不自然さ、一般常識とミステリロジックの衝突、世間からみた探偵のいかがわしさが裁判の中であきらかになり、ただそういったものをロジックで突破するところは大きな爽快感を感じる。
世界文学としてもミステリとしてもクイーンシリーズとしても圧倒的におもしろい‼️

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2023年09月11日

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国名シリーズを読み終えてからの、災厄の町。
キレッキレのエラリーに馴染んでいたので、しがらみに埋もれてなかなか動けないエラリーが、風采が上がらないように見えて、もどかしい。。

ただ、背後に不穏な音楽がずっと流れているようでざわざわしながら、先へ先へとページを送りました。
排他的な集団の結束や、親しい間柄程話し合いができず問題を大きくしていくことの恐ろしさを感じました。

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2023年04月21日

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こ、これは面白い!
ライツヴィルという町を舞台にしたシリーズの第一作目。田舎の空気と、名家の人たちのあれやこれやから、事件が起こり、エラリィは隣人として関わっていきます。
お父さんがいないのが寂しい…ですが、エラリィの客観的立場の観察と、時々入れ込んでしまうところとか、絶妙な感じです。
真相もよく練られていて、唸ってしまいます。

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2023年03月11日

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ネタバレ

エラリー・クイーンの1942年発表の本、その新訳。
災厄の家、という話かと思ったら、災厄は町全体、その人々。
銀行家のライト氏の美しい3人の娘たちと、
偶然訪れた小説家、エラリー・クイーン(?都合良すぎ!)アメリカの田舎の富裕層の家庭が、推測ではあるけれど垣間見られて、長閑で平和だけれど悪意に満ちた物見高い庶民達の噂話が大きくこのストーリーを左右している。だけど、年代をみたら大戦前夜。
この町も国も、そして我が国もやがて時代の大きな波に飲み込まれてゆくんじゃないですか!
アメリカという大きな国のまた、その一部をみつけてしまった

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2022年08月14日

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エラリー クイーン作品のなかでも話の展開が大きくてスピード感がありリズムよく読める一冊だった。
トリック・犯人共に最後までわからなくて焦らしに焦らされた。なんとなく国名シリーズ内のエラリークイーンよりもアクティブな印象を受けた。ちょっと恋愛要素が強めだったのが意外。

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2021年10月09日

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ライツヴィルの名士の家で起こった毒殺事件。夫が資産家の妻を殺そうとしたという実に単純な、しかし考えてみれば奇怪な事件にエラリイ・クイーンが挑むミステリ。
事件が起こって以降のライツヴィルが本当に嫌です。まあミステリではありがちなんですがこういう閉鎖的な村だとか町だとか。疎外されてしまうほうからすればたまったものじゃないなあ。そんな中でジムの無実を証明しようとするライト家の人々とエラリイ。とはいえ傍から見ればジムが犯人で全然おかしくない、むしろそれ以外にどんな真相があるというのか、と決めつけたくなる気持ちもわかりました。だからこそその事件の後で起こる悲劇と明かされる真相にはやりきれないものが。
わかってみれば手掛かりはいろいろあったのだけれど全然気づけなかった……登場人物のさまざまな発言の裏に隠された真実にも愕然。ものすごーくシンプルな謎だと思っていたけれど、これは解けません。完敗。

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2020年12月30日

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ネタバレ

初めて読んだエラリイ・クイーンの小説。
前半では、田舎町の良い面も描かれるが、事件後は圧倒的に悪い面が多く描かれる。
登場人物たちの濃い人間関係によって拗れていく事件が、緻密な人間描写によって、なんの無理もなく展開されていく様子は、圧巻だった。
こうした、ドロドロとした関係のミステリ、そして、探偵が気付くのがあまりにも遅いミステリは、イライラして読むのが辛いこともあるのだが、今作は、エラリイの人柄もあって、スルスルと読めた。
真犯人が被害者となるはずだったノーラであることに関しては、状況的に考えて、わりとすぐわかるのだが、ジムの姉にまつわる謎解きは、最後までわからなかった。
何より、意外だったのは、ノーラが、夫を犯人に仕立て上げた事で、物語序盤から、魅力的なパットに感情移入させられてしまっていたので、読者もエラリイも、ノーラの狂気に気づくことができない、という仕掛けを、作者は作っていたのかなと思った。

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2023年05月07日

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ライツヴィルものの第1作。
謎解きももちろん素晴らしいのだけど、今回読んでみてそれ以上に感心したのが、ライツヴィルの街そのもの。
無責任で、人の不幸を待ち望み、煽るためなら嘘も厭わない街の人たち。これって現代と何らかわらない。ことにネットではなおさらで、人の本質ってものはこういうものかと納得してしまう。だからこそ理性的な振る舞いが求められるのでしょうね。

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2023年04月29日

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ネタバレ

お正月に読むのにぴったり!

よく言われているプロットがすごい、の意味を初めて理解したかもしれない
犯人やトリックや動機を知ることより、一連の真実を知ったことで"今まで見てきたもの"が全く違う見え方になるのが、そしてそれがとても哀しい話なのが独特の読後感に繋がってるのかな…と思っ
裁判のパートは飽きるかなと思ったけどそうでもなくて、全体的に面白かった

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2023年01月02日

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国名シリーズとはまた違ったエラリイが見られた。人間模様がまじまじと描かれており、また結末もなんとも儚げなものであった。

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2022年07月24日

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 読み了えてみれば、犯人はこの人しかいないだろうと思えるのに、そのこの人が解らない。今回もしてやられた。
 なかなか事件が起こらず、ページを繰る手が進まない。「クイーンの最高傑作」というお墨付きを信じて読む。
 エラリイ、モテモテである。ニッキーやポーラはどうなったのだろう?
 1940年といえば太平洋戦争前年。にも関わらず、アメリカ地方都市では余裕ある日常が続いている。
 

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2022年07月22日

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 評判の良いライツヴィル物。再読になるが、読み終えた今も全く覚えてないし思い出せない(^^;;。が、読んで良かった印象。懐かしいエラリイ、再度逢えただけで満足してる。新訳のハヤカワ文庫、かなり分厚いし。邦画「配達されない三通の手紙」も観てるはず。暇があれば発掘します。また、ミステリーの古典物、再読したい。流れで「フォックス家の殺人」に手を伸ばし……。

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2022年01月24日

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ネタバレ

面白かった。クイーンは旧訳のドルリー・レーンものを四苦八苦しながら読んで以来なので、新訳の読みやすさに感動しながら読んだ。

エラリイが偽名で滞在するライツヴィルで、借りた家の持ち主の家族の中で計画殺人が??という話だけど、クイーンらしくとてもフェアだし、手がかりは全て読者に示されていて、そこそこミステリ読んできた人なら、なんとなくの真相の大枠は掴めるのではないかなと思う。
本が梱包されていた件にしたって、エラリイには最終盤になってパットから聞かされるまでわからないけれど、読者にはもう最初から詳らかにされていたわけだし。
手紙にしても現在進行形のものではないだろう、とか、ジムが不在の三年のうちに誰か別の妻を持ったのでは、とか“姉”の正体だとか、察しはつくよね。“姉”殺しだって、この不可能性を見れば、読みなれた人ならすぐ真犯人にたどり着く。
でも、そこはそんなに問題じゃない。作者のクイーンは「ほらみなさん、作中のエラリイは知らなかったけど、みなさんには最初から明かしていたでしょう?」と言いたげで面白いけど、そこはそんなに問題じゃない。

私が読んでて面白かったのは、このフェアさもだけど、やはり、「ライツヴィルの町」自体が主人公と言えるこの町の物語。群衆のいやらしさ、陪審制の気味の悪さに圧倒されながら読んだ。
そして、クイーンが"パズル小説"から"人間ドラマ"に移行しようと買いたものと解説にあったけれど、それを目指しながら、やはりフェアな謎解きでもあるところ、さすがクイーンという感じで、おもしろい推理小説だった。すごくよかった。

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2021年08月22日

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ライツヴィルシリーズ第一作。推理だけでなく小説として面白く、読み始めると止まらなくなる。訳も相変わらず読みやすくて助かる。真相はほぼ自分でも推理できた。傑作と言われるのも納得。

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2021年04月11日

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ネタバレ

殺人は一件だけで、しかも百ページを超えてもまだ起きない。トリックも軽量級で、迂生でさえ最初の手紙の下りで、ほぼこの先の展開が読めてしまった。そんなわけで「エラリー・クインの最高傑作」てな惹句に惹かれて、緻密過ぎる謎解きや、凝りまくったトリックを期待すると当てが外れる。巻末の解説に依ると、本作はエラリー・クインが所謂パズラーに一種の行き詰まりを感じていた時期の作らしい。なるほど。とは言え、読んでてすごく楽しかったのは事実。

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2021年03月01日

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ネタバレ

 本格推理と言うよりも、家庭小説と呼んだ方がいい作品ですね。

 クイーンがこのライツヴィルの作品で変わったというのが、よくわかります。

 勿論、小説の基本は推理だともいわれるわけですので、これだけの力量があるのは当然だったのだと思うのですが、離れてしまったがゆえにこれまで読まなかったことに大後悔です。

 とても家庭的な悲劇な作品でした。読みごたえがありました!

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2021年02月25日

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中学生のころ、エラリー・クイーンのいわゆる"国名シリーズ"をいくつか読んで、「エラリーってかっこいい…」と憧れていたことを思い出した。はっきりと「美形」として描かれていたのか覚えていないが、若く、長身?で、切れ者?で、そして鼻眼鏡だか縁なし眼鏡だかをしょっちゅう磨いていたような(眼鏡萌えだったのかもしれない)。あとなんといっても名前が素敵。エラリー・クイーン。説明が前後したが、これは20世紀アメリカの推理小説作家名=従兄弟同士の二人の共作のためのペンネームであり、作中の探偵役(ややこしいことに職業は推理小説作家)の人物の名前でもある。

それで急に、果たして探偵エラリー・クイーンはかっこいいのか、つまりそう書いてあるのか、そしていまの自分が読んでもかっこいいと思うのか、を確認したくなり、何を読もうか検討した結果、未読の中期の長編『災厄の町』(1942発表、訳:越前敏弥[2014])にしてみた。これは"ライツヴィルシリーズ"と呼ばれる作品群の第一作で、ライツヴィルというアメリカの架空の田舎町が舞台だ。

やはりはっきりと「美形」とは書いていなかった。というか容姿はおろか年齢も明らかでない。発表時点でもうじゅうぶん知られたキャラクターだったから、しかたない。でも、事件の関係者である若い娘とあれよあれよという間にいい感じになり、「あなたってハンサムだわ」と言われたりはしている(とはいえ出会う女性の誰もが多少の好意を寄せる、みたいな「モテ」感はない)。またあるときは「彼女は昨晩出かけましたよ、そしてマティーニを飲んだ。なぜわかるか?彼女とキスしたからです。――僕には僕のやり方があるんですよ」こんな感じだ。

いや、これはこれで、昔読んだときの印象とは違う…もうちょっと硬派だったような…。いろいろと世の言説を読むと、初期("国名シリーズ"も含まれる)と中期以降ではエラリー像が変化しているというのは定説のようだから、「昔憧れたエラリー探し」は改めて初期作品の再読によって行った方が良さそうだ。ということがわかった。
(あ、いま突然思い付いたけど、「昔憧れたエラリー」は、今ならオノナツメさんの【大きい人】絵がとても似合うイメージ!)

肝心の事件、謎解きに関しての感想は割愛。ネタバレせずにコメントするのが難しいという理由もあるが、世評のとおり、この作品は犯罪のトリックや推理手腕の見事さよりも、田舎町の名家に起こった凄惨な事件がその町の人々の人間性を剥き出しにする様子が、見所かなあと思う。

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2021年02月07日

Posted by ブクログ

久しぶりにエラリイ・クイーンを読んだ。
ほんとに誰が犯人なのかなかなかわかりませんでした。
地方の名門一家に起こる不思議な殺人事件。
結末は・・・
なかなか面白い筋書きで楽しめました。

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2019年10月22日

Posted by ブクログ

国名シリーズは若かりし頃に良くよんだが、この名作はよんでなかっので、新訳ということで、手にとって見たが確かに面白い。謎の部分は、どこかで見たか、読んだかしているのに、最後まで引っ張られ、やはり、ライツヴィルという田舎町自体を描いている部分もあり、その上、法廷物も兼ね備え、ミステリーの古典というにふさわしい。ただ、エラリイって、なんかこんなに女性と絡んだっけ?

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2016年12月10日

Posted by ブクログ

地元の名士の娘と婿のために建てられたものの、婿が結婚式直前に失踪したという曰くつきの家を借りることとなったエラリイ。そんな中、数年間音信不通だった婿が突然戻り、よりを戻す。ところが彼は妻の殺害を企てているらしい。そこでどういうわけか彼の姉が殺害されてしまう…。結末の意外性ではそこまでなのですが、なんといっても人間ドラマが面白い。そして、題名のセンス。家ではなく町としたところがさすがな所。町の柱だったはずの一家を事件が起こった途端に追い詰めていく姿からは狂気を感じさせられます。ともかく傑作。面白かったです。

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2016年03月01日

Posted by ブクログ

全体的に作品の雰囲気が大好き。裁判のシーンはすごく興奮する。個人的にはだいぶ長編だったけど最後まで楽しんで読めた。

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2016年02月03日

Posted by ブクログ

人間関係を巡る本格ミステリーで、前期の作品とはかなり趣きが異なります。
事件の構図は単純なので比較的容易に推測出来てしまいます。被害者に渡るまで毒入りカクテルを残す手段は高リスクでそう都合良くいくものなのか疑問に思いますし、クイーンが最後に披露する推理も物的証拠がないので推測の域を出ず、正直ミステリーとしては不満が残ります。
しかし、ドラマとしては非常に良い出来。登場人物が生き生きと描かれていますし、表面はアットホームだがスキャンダルが起きれば一転して悪意に満ちた中傷でライト家を追い込む、という田舎町ライツヴィルの描写が生々しく、しかもそういった点がしっかり事件に結び付くので、トータルで見れば満足感を得られる作品ではないかと思います。

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2015年12月25日

Posted by ブクログ

クイーン×地域社会×毒殺。
構図で魅せるミステリ。全体としての構成がとてもうまく、結論自体はわかりやすいものの最期の解決が上手にはまっている。
新訳での改定については旧訳を読んでないため、素直には言いがたいが、解説を読むとこちらの方がしっくりくるのではないかと思う。
ただ久しぶりに読んだ海外ミステリは、やっぱり名前が頭に入らないんだと思った。しかしとても楽しい読書でした。

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2015年01月04日

Posted by ブクログ

アメリカの作家「エラリー・クイーン」の長篇ミステリ作品『災厄の町〔新訳版〕(原題:Calamity Town)』を読みました。

「エラリー・クイーン」作品は、『オランダ靴の謎』以来なので、約3年振りですね。

-----story-------------
【巨匠の代表作を新訳で贈る】
結婚式直前に失踪した「ジム」が、突如としてライツヴィルの町に戻ってくる。
三年間じっと彼の帰りを待っていた婚約者の「ノーラ」と式を挙げ、幸福な日々が始まったかに見えた。
ところがある日、「ノーラ」は夫の持ち物から奇妙な手紙を見つけた。
そこには妻の死を知らせる文面が……旧家に起こった奇怪な毒殺事件の真相に、名探偵「エラリイ」が見出した苦い結末とは?
「クイーン」が新境地に挑んだ代表作を新訳で贈る!
解説/「飯城勇三」
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1942年(昭和17年)に刊行された「エラリー・クイーン」のミステリ長篇… 作者と同名の探偵「エラリー・クイーン(エラリイ・クイーン)」が登場する作品で、ニューヨークの北方(ニューヨークとモントリオールを結ぶ鉄道路線上)に位置しのマホガニー山地・ボールド・マウンテン山麓に位置する架空の町ライツヴィルを舞台にしたライツヴィルシリーズの最初の作品、、、

『東西ミステリーベスト100』では、海外篇の42位にランクインしている作品です。

 ■第一部
  1 クイーン氏、アメリカを発見する
  2 厄災の家
  3 "有名作家、ライツヴァルに住む"
  4 三姉妹
  5 恋人の帰還
  6 "ライト家とヘイト家、本日婚礼"
  7 ハロウィン――仮面
  8 ハロウィン――緋文字の手紙
 ■第二部
  9 焼かれた贈り物
  10 ジムと享楽
  11 感謝祭――第一の警告
  12 クリスマス――第二の警告
  13 元日――最後の晩餐
 ■第三部
  14 余波
  15 ノーラは語る
  16 アラム人
  17 アメリカ、ライツヴァルを発見する
  18 聖ヴァレンタインの日――愛は何にも勝たず
 ■第四部
  19 ふたつの世界の戦争
  20 プライドを捨てて
  21 民衆の声
  22 参謀会議
 ■第五部
  23 ローラと小切手
  24 エラリイ・スミス、証言台へ
  25 パトリシア・ライト嬢の奇妙な要請
  26 陪審員第七号
  27 復活祭――ノーラの贈り物
 ■第六部
  28 ツイン・ヒルの悲劇
  29 エラリイ・クイーンの帰還
  30 五月の第二日曜日

 ■訳者あとがき
 ■解説 クイーンの最高傑作 飯城勇三

結婚式の前日に姿を消して3年、「ジム・ヘイト」が突然、故郷ライツヴィルに戻ってきた… 彼は、その帰りを待ち、独身でいた許婚の「ノーラ」と結婚し、二人は夫婦となった、、、

そんなある日、「ノーラ」は夫の読みかけの本の間に、夫が書いたと思われる未投函の手紙を発見する… そこには妻の病状が悪化と、三通目には妻の死を知らせる文面が載っており、「ジム」の辞書には砒素の項目に書き込みがあった。

これは予定された殺人計画なのか? 自分はこんなにも愛している夫に殺されるのだろうか! 新婚生活が始まるとまもなく、「ジム」の姉「ローズマリー」が居着きだし、しばらくすると周囲のものは彼女の下品な話と奔放な生活に悩まされるようになった、、、

そして、「ジム」はどういう訳か金に困り、荒れていた… 「ノーラ」は神経質になり二度も倒れ、二度目の時「ノーラ」の食べたものをチェックした「エラリー」は砒素が入っていると確信する。

あの手紙のように、誰かが「ノーラ」暗殺を狙っている! たまたまライツヴィルを訪れた「エラリー・クイーン」は、美しい三人姉妹のいる旧家「ライト家」に起きた毒殺事件を名探偵としての正体を隠し殺人を未然に防ごうとする。

しかし、新年のパーテイの夜、「ノーラ」が口を付けたカクテルを、「ローズマリー」が飲んだところ、砒素中毒で「ノーラ」が重態、「ローズマリー」が死んでしまい、「ジム」が僕が用意したと告白する、、、

「ジム」は逮捕され、有罪は確定と思われた… 何より、あの手紙の件がある! しかし「ノーラ」はあれは偽の手紙だ、「ジム」は私を愛していた、そんな事をする分けがない、と主張する。

新聞は破廉恥な犯罪と書き立て、世間は非難したが、女性新聞記者の「ロバータ・ロバーツ」だけが「ジム」支援の記事を書いた… 「ノーラ」の妹「パトリシア(パット)」と陪審員の一人の関係が暴露され、裁判は一時中断される、、、

カクテルに砒素を混ぜることができたのは「ジム」だけと思われた… 彼が「ノーラ」を殺そうとして、誤って姉の「ローズマリー」が死んでしまったのか!? 

旧家「ライト家」に起きた奇怪な毒殺事件と、醜聞によって猜疑心に苛まれて行く田舎町の人間模様にもたらす波紋… 名探偵「エラリー」が見出した苦い結末とは? 


うーん、なかなか哀しい結末でしたね… 「ジム」は「ノーラ」を守ろうとして、「ノーラ」は「ジム」を守ろうとしていたなんてね、、、

もっと早く真相に気付いていれば、二人の人生は変わっていたかもしれませんね… 本作は1979年(昭和54年)に監督「野村芳太郎」、脚本「新藤兼人」で、出演は「蟇目良」、「佐分利信」、「乙羽信子」、「松坂慶子」等で『配達されない三通の手紙』という題名で映画化されているようです。ちょっと気になりますね。



以下、主な登場人物です。

「ジョン・F・ライト」
 ライツヴァル・ナショナル銀行頭取

「ハーマイオニー(ハーミー)」
 ジョンの妻

「ローラ」
 ジョンとハーミーの長女。駆け落ちして、夫に先立たれる。
 ライト家に帰ることができず郊外に住み、飲んだくれている。

「ノーラ」
 ジョンとハーミーの次女。結婚式前日失踪したジムを待っている

「パトリシア(パット)」
 ジョンとハーミーの三女。活発な十代の娘

「ダビサ」
 ジョンの妹

「ジム・ヘイト」
 ノーラの夫。結婚式前日に失踪したが3年振りにライツヴァルに戻ってきた

「ローズマリー・ヘイト」
 ジムの姉

「ヘンリー・クレイ・ジャクソン」
 ライト家の執事

「ルディー」
 ライト家の老女中

「エミリーン・デュプレ」
 ライト家の隣人

「マイロ・ウィロビー」
 医師

「フランク・ロイド」
 《ライツヴァル・レコード》紙編集長

「ロバータ・ロバーツ」
 新聞記者

「イーライ・マーティン」
 判事

「クラリス」
 イーライの妻

「カーター・ブラッドフォード」
 ライト郡検事

「デイキン」
 ライツヴィル警察署長

「ライサンダー・ニューボールド」
 裁判長

「エラリー・クイーン(エラリイ・クイーン)」
 推理作家の名探偵。
 ライツヴィルの名家であるライト一家から部屋を借り、エラリイ・スミスと名乗って新作執筆に務める。

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

クリスティ読みすぎて先が読めてしまっていたのが残念だったものの、そうでなければもっと楽しめたであろうにな、と思うのであった。

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2022年11月21日

Posted by ブクログ

クィンの長編で新訳版。読み易く古さを感じさせ無いストーリー。映画化もされており犯人の目星がつきやすい。

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2021年03月14日

Posted by ブクログ


・厄災の家がライツヴィルという田舎町に広がるミステリー。

・女性記者ロバータが隠しているものは何?
ローラが隠しているものは何?って思いながら読んだ。
・ジムの証拠が揃いすぎてる気がしたが。それは。

・498pあるけど400pすぎてもいったいだれが犯人なのか不明だった。
・時々参加している朝カフェ読書会でよんで紹介したら、懐かしい!!といわれた。有名なのね。でも新訳と旧訳では違うところあり、旧訳読んだ人はちょっと混乱するかもって解説あり。
・ミステリー苦手かなって思ってたけど、楽しく読めた。
・作者が作中に同名でててくるとことか。町の人の噂好きというかミーハーで流されやすいとことかみてて怖くなった。それが1940年代のアメリカなのかなぁ。全体主義的な町。
・あの種明かしはわからん。
・なんでジムはノーラとの最初の結婚のときいなくなったのか?なんで戻ってきたのか。
・ちょっと設定が無理やり感ある。
・お手伝いは何人だったんだろ。ジムは何歳くらいだったんだろ?書かれてたっけかな?

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2020年08月16日

Posted by ブクログ

bookmarkの書評で新訳がおすすめとあったので購入。
名作の新訳ということで期待して読んだけれど…
これは2度目の方が楽しめるかもしれない。一度目はは物語がどの方向に向いているのか最後までわからないので退屈に感じる部分もある。

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2020年06月25日

Posted by ブクログ

ライツヴィルの民衆の怒りが中盤恐ろしい敵としてヘイト家へ襲いかかってくる。真相で明らかにされた、この町の住人から侮辱を受けることを心底恐れ重婚の事実を妻ノーラに告げたら自殺しかねないと考え、そのことを告げられない夫ジムから伺い知れるように、ライツヴィルという田舎の町が第2の主役になっている。
ただ、ここまでライツヴィルを描いていても、重婚を知らせられないがでも妻から金の無心はできる夫というのが理解できない。金を無心することは重婚を知らせることより罪が軽いのか? この部分は本編の真相の根幹をなす部分で、ここがなんだか納得いかないため、ラストの推理の部分も一気に疑問が氷解した、ということにはならなかった。

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2020年03月07日

Posted by ブクログ

何十年かぶりに読んだエラリークイーン。
これは読んでなかった。
というかエラリークイーンはYの悲劇とか有名どころしか読んでなかったんだな。
なんとも不思議な作品です。
いわゆる本格物、としてはタブーが多すぎ(笑)
過去訳には誤訳もあったらしい。
いずれにしても不思議な読後感の作品です。

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2015年04月26日

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