感情タグBEST3
Posted by ブクログ
97年までの作品はそれこそ全部読み尽くした筒井好きだったが、その後はぷっつりだった(満足してしまったのだ)。最近、筒井の名前を(時評含め、パプリカ、時かけetc)聞く事が多く、また読みたくなって、買った。
それぞれ何時ごろの作品か明示していないが、ほとんどは読んだ記憶があった。そういうものは冒頭の3行で思い出せた。筒井は、どれもが筒井の文体なのに、作品だけの文体がある。すごさだな、と思う。
『下の世界』の最後の一行に、ガツンといかれた記憶を思い出した――いまでは、トオルをまるで自分みたく感じる。『走る男』の、オリンピックの事務員に以前感じた索莫としたやるせなさを、「こうならないように時代をどうにかしよう」と前向きに捉えられるのは、以前に読んだ10代の頃限定の特権だな、と思った――このやるせなさに、いまは暖かみすら感じる。
あの頃の自分の一番、はふたつあった。『わが良き狼』と『佇む人』だった。
涙が出た。感想は書けない。10年後に、もう一度読もうと思った。
6年ほど前か、高校生の頃読んだ時、分かったつもりになっていた事が、今度は「しっかりと」、「まだ」分からないと感じられた。掴めないなりに泣かせる(6年前と同じく)ものがあった。
小説には、ワインと同じで、読むべき時があると思う。
この2つの作品を、本当に味わうには、どこか若いな、自分、と思えた。
僕は、筒井でよく笑ったのとたぶん同じくらい、よく考えて、よく泣いた。『懲戒の部屋』で怯えて泣いたし、『霊長類、南へ』で茫然として泣いた。『俗物図鑑』でも感動で泣いた。これは変だと思うが、ともかくビル屋上に孤立し、最期の時まで、全くもってよくわからない世間に立ち向かいながら、屹立して死んでいく俗物の姿に泣かされた。
『七瀬ふたたび』や『旅のラゴス』でも、やっぱり泣いた。リリカル筒井と言えば、長編ではこのふたつだと思う。
自分が筒井に、そのリリカルを銘打った短編集で何を求めたかというと、20も半ばになって、でももう一度泣かせて欲しかったのだ――そしてこの短編集は、この上なく、期待通りだった。
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カバーに惹かれて買ったけど、当たりだった。想像力のたまもののような物語設定と、収録されている話の幅広さが文句なく楽しい。特に、「底流」はすばらしい。
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荒唐無稽な設定ばかりなのに、どの物語も人間が生き生きと描かれていて、荒唐無稽だと思わせない。感傷的でありながら、じめっとしすぎない。それでいて共感できて入り込める。特に表題作「佇む人」は今まさに読むべき。
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はじめて筒井康隆を読んだ。星新一みたいなショートショート。とくに説明のない日常風味に(当然でしょ?という雰囲気で)異世界という世界観を理解させるのがうまい。それは星新一といっしょだが、星新一は現代からみた落語的なオチがつくのに対して、筒井康隆は異世界が異世界に閉じているままおわるのが新鮮だった。
ショートショートはお話によって違う世界観を理解するので疲れる・・・
印象に残った話
・わが良き狼
物語になるような宇宙海賊が年をとって故郷に帰ってくる話。雰囲気的に宮崎駿のシャーロック・ホームズ思い出した。狼。。。
・母子像
買ってきたさるのおもちゃが異次元空間に母子をひきずりこんでしまう話。夫は懸命に取り戻そうとするが・・・。めっちゃくちゃ怖くなった。総毛立った。
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リリカル…今さっきその意味を調べてみたんですけれども、なんでも「叙情的」だとかそんな意味らしいのですけれども、果たしてその意味するところが本書の個々の短編に当てはまっているかと言えば…どうでしょう!?
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、切ない…みたいな読後感に浸る短編もありましたけれども、基本的には筒井氏の想像力と言いますか、よくこんなお話思いつくな…とまあ、解説の小池真理子さん?と似たような感想になりましたねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
僕も小池さん同様、ラストの「母子像」とかいう短編に恐怖と凄い…といった感嘆の思いを抱きましたね! 設定もさることながら主人公の男の感じている恐怖感のようなものが…活字を通して伝わってくるのでした。おしまい…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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筒井康隆氏らしいシニカルさを備えつつも哀愁漂う短編集である。技法はいわゆる擬人化や象徴化といった凡庸なものだが、小説の表現手段を知り尽くしており、例えば表題作『佇むひと』のように退廃したやや悲観的な未来像と相まって、読者に不思議な感情を起こさせる(この感情がリリカルというものか)。
個人的に好きな作品は『わが良き狼』『白き異邦人」で、『旅のラゴス』を思い起こさせる作品であった。
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【本の内容】
ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。
次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは…。
宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。
かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。
郷愁にみちた束の間の再会は…。
奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。
[ 目次 ]
[ POP ]
筒井康隆さんの短篇集『佇むひと』は、その独特の世界観にただただ圧倒された一冊です。
なかでも表題作の、生きたまま道路に植えられ、人々の目に晒されながら段々と植物化していく妻とその夫の小説の話は、どんなホラー小説よりも恐怖です。
ただしそこにも、筒井流のユーモアがきちんと盛り込まれ、たんに奇怪なだけの小説では終わらないのですが。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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四角い顔した昭和おじさんの夢物語(ほめてる)。
きもかわいく愛おしい短編集。
「きつね」「睡魔のいる夏」が良かった。
それにしても、皆さん、奥様大好きで微笑ましい。
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短編集。とにかく、表題作が最高です。社会批判をした妻が密告され、逮捕。土に植えられてしまいます。次第に植物化し、感情を失っていく妻の描き方が素晴らしかったです。
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20話のショートストーリーからなる短編集。
・ぐれ健が戻った
・碧い底
・きつね
・佇むひと
・姉弟
・ベルト・ウェーの女
・怪段
・下の世界
・睡魔のいる夏
・我が良き狼
・ミスター・サンドマン
・白き異邦人
・ヒッピー
・走る男
・わかれ
・底流
・時の女神
・横車の大八
・みすていく・ざ・あどれす
・母子像
どの話も話を読み進めて、気がつくと自分が不思議な世界に迷い込んでいる事に気がつく。
「世にも奇妙な物語」みたいな世界観。
文章の言い回しがなんとなく古い感じなのが抵抗あったけれど、
短編なので読みやすい。
好きだった話は「姉弟」「佇むひと」「母子像」。
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「ぐれ健が戻った」「碧い底」「きつね」「佇むひと」「姉弟」「ベルト・ウェーの女」「怪段」「下の世界」「睡魔のいる夏」「わが良き狼」「ミスター・サンドマン」「白き異邦人」「ヒッピー」「走る男」「わかれ」「底流」「時の女神」「横車の大八」「みすていく・ざ・あどれす
」「母子像」