【感想・ネタバレ】エボラの正体 死のウイルスの謎を追うのレビュー

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2014年に西アフリカ諸国で猛威をふるったエボラウィルスの本である.怖いもの見たさもあって,過去に読んだ「ホットゾーン」の続きとして読んだ.前書より科学的にしっかりした本という印象である.

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2019年06月21日

Posted by ブクログ

エボラの恐ろしさがわかる本。
致死率70%越えは、狂犬病に次ぐ第2位であり、それでいて正確な感染経路がわからない唯一の病。

分かっているのは、ゴリラやチンパンジーが人間への直接の感染経路であることと、洞窟内のコウモリが保菌生物として怪しいということ。

世界的な感染が起これば人口が半減しかねないほどの脅威であることを改めて理解できた。

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2017年08月04日

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エボラの正体
エボラの正体

デビッド・クアメン、西原智昭(解説)

高すぎる致死率が意味するもの
2014年の春から夏に掛けて、エボラ出血熱(エボラウイルス病)が大発生(アウトブレイク)し、世界中を不安に陥れた。日本でも複数の感染疑い例があり、結果的にはいずれも陰性だったものの、世界中がネットワークでつながれている現代は、遠いアフリカで起こっている怖ろしい病気と対岸の火事的に眺めていられる時代ではないことを再認識させる出来事となった。

本書はエボラ出血熱の原因ウイルスであるエボラウイルスに関して、これまでわかっていること、わかっていないことをコンパクトにまとめたものである。
著者は、2012年、いくつかの人獣共通感染症(ズーノーシス:zoonosis)に関する本(『スピルオーバー(Spillover)』)を上梓(未訳)しているが、本書はこのうち、エボラウイルスに関する項を抜き出し、加筆した上、昨年のアウトブレイクに関する資料も付け加えた形になっている。
日本語版の巻末には、アフリカで野生生物研究調査・生物多様性保全に従事している日本人の解説が付いている。

エボラはひとたび発症すると、ヒトにとっては非常に致死性の高いウイルスである。2014年3月に始まったアウトブレイクでは、8月までの致死率は、実に54%である(cf:国立感染症研究所:エボラ出血熱とは。先端医療が受けにくい地域での発生とはいえ、季節性インフルエンザの致死率が0.05%程度とされているのと比較すると驚異的に高い。
これが何を意味するかといえば、ヒトはエボラの通常状態での宿主(=保有宿主:reservoir host)ではあり得ない、ということだ。
ウイルスは単独では子孫すら残せない。自ら増殖する機構を持たないからだ。宿主の複製装置を使い、宿主のエネルギーを拝借して、宿主に「寄生」しなければ増えることはできない。ウイルスにとって、宿主を殺してしまうほどの強い毒性を持つことは、自らも増殖するチャンスを失うことを意味する。戦略としては、宿主を殺さず、共存していく道を取る方がウイルスにとっても得であるはずなのだ。
エボラがヒトをこれほどまでに殺してしまうということは、普段は別の生物を宿主としており、ヒトでの感染は「たまたま」であることを示している。ヒトでのアウトブレイクはある意味、エボラウイルスにとっても、「事故」であったとも言える。宿主が死んでしまえば、ウイルスにとってもデッドエンドなのだから。
スピルオーバー(溢出、漏出)とは、ウイルスが何らかの理由で通常の宿主から「あふれ出て」、別の宿主に移ることを指す。人獣共通感染症では、よく見られる現象である。
保有宿主は何なのか? それを探ることが、こうした疾患に取り組む重要な手がかりとなる。

本書では、エボラウイルスとヒトとの関わりを歴史的に振り返り、その謎に迫ろうとする人々の試みを手際よくまとめている。ウイルス自体の構造や発症機構よりは、これまでのアウトブレイクの例に重点が置かれ、ヒトへの漏出が、どこから、どのように起こったかに迫っていく。
タイトルが期待させるような「エボラの正体」が明らかになるわけではなく、朧気なぼんやりとした輪郭が浮かび上がってくるだけとも言えるが、まったく得体の知れない怪しいものが、ある程度でも見えてくることには意義がある。

これまでのところ、エボラの保有宿主は明確には特定されていない。
有力な候補の1つがコウモリである。研究者による調査により、エボラウイルスのRNAを所持していたり、あるいはエボラウイルスに対する抗体を持つコウモリは見つかってきている。しかし、感染力のあるエボラウイルスは、コウモリではいまだに発見されていない。
コウモリが興味深いのは、種が多く(哺乳動物全体の種の実に40%がコウモリだという)、食虫動物でもあり、授粉を行い、種を蒔き、生態系の中で、「媒介者」としての働きを担うからである。また、コウモリは群れる動物である。洞窟に高密度で生活する空間はるつぼのようなもので、ウイルスが飛び回るには理想的とも言える。コウモリは往々にして、サルや齧歯類、イノシシなどの他の野生動物同様、「ブッシュミート」として現地の人々に食用とされている。
エボラと同じフィロウイルス科とされているマールブルグウイルスの場合は、コウモリから複製能力のあるものが分離されている。
コウモリは唯一の宿主ではないかもしれないが、少なくとも、宿主の1つである可能性が高い。

姿の見えないウイルスによる疾患であることから、現地には、「悪霊の仕業」としたり、「呪術」であるとする人々もいる。また積極的に病院での治療を受けたがらない人も多い。西側からやってきた医療従事者はよくわからない言葉をしゃべり、中味がわからない注射を打つ。連れて行かれた家族は病院で死んでしまい、遺体すら返してもらえないとなれば、治療を拒否する人が出るのも無理からぬことかも知れない。

専門的過ぎる細かい話は出てこないので、予備知識がなくても読みやすい本である。研究者の人間的なエピソードもあり、実際にエボラを取り扱うとはどういうことか、イメージが沸きやすい。1994年の一大ベストセラー、『ホット・ゾーン』の功罪に関するくだりも妥当な評価で興味深い。

アウトブレイクが起こる一因として疑われるのが、森林伐採による環境の急変である。これまでヒトとの接触がなかった熱帯雨林の奥地が、伐採により露わになり、隠れていたウイルスが姿を現し、それがたまたまヒトにとっては毒性の高いものだった、という見方もできる。
ヒトから見れば、エボラウイルスは熱帯雨林に潜む、怖ろしい病原体である。
だが一方、エボラウイルスから見れば、ヒトは、呼びもしないのにやってきた闖入者であるのかもしれない。
治療薬の開発はもちろん望まれるが、エボラや未だ知られぬウイルスのさらなるアウトブレイクを抑えるには、環境の急激な変化や生態系の崩壊を招かない資源利用の方策を探っていく必要があるのだろう。

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2015年01月16日

Posted by ブクログ

読書録「エボラの正体」3

著者 デビッド・クアメン
訳 山本光伸
出版 日経BP社

p128より引用
“それらは数百年にわたって宿主とともに進
化を遂げてきた。いくつかの棲み家にたどり
着き、ゆっくりだが着実に複製し、宿主の集
団内を目立たないように移動して長期的な生
存を図った。”

目次から抜粋引用
“山積みにされた13頭のゴリラの死体
 エボラはどこに隠れているのか?
 手袋を突き抜けた針
 すべては機会のもたらす産物
 冒険旅行の犠牲者”

 作家でジャーナリストである著者による、
エボラウイルスのルーツを探る一冊。
 チンパンジーからの感染についてからエボ
ラウイルスの変異についてまで、多くの事例
を参考に書かれています。

 上記の引用は、ウイルスや病原体と宿主に
ついて書かれた項での一節。
宿主を絶滅させてしまうほど増えると、ウイ
ルスにとっても不都合となるので、程々に増
えるように共存関係が出来上がってくるそう
です。昔、この先人間はどうなることだろう
と思われたHIVですが、現在は感染していて
も昔よりも潜伏期間が長くなり、発症しても
その症状は穏やかなものになるつつあるとか。
出来れば感染などしたくはないですが、新し
く抗ウイルス薬も出来てきているそうですし、
恐れてパニックにならないようにしたいもの
です。
 日本もアフリカの熱帯雨林の材木を随分と
輸入しているそうですので、いつか入ってく
るであろう覚悟はしておいたほうがいいかも
しれませんね。

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2015年03月28日

Posted by ブクログ

エボラについての最新情報(執筆は去年の秋頃?)を含めての解説です。いまだに何もわかっていないことがわかりました。

2015/1/7時点で感染者2万人、死者8千人だそうですが、どうなるんでしょう。

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2015年01月20日

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