【感想・ネタバレ】拮抗のレビュー

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Posted by ブクログ

イギリスの作家「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の長篇ミステリ作品『拮抗(原題:Even Money)』を読みました。

『審判』に続き「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の作品です。

-----story-------------
「おれはおまえの父親だ」ロイヤル・アスコットの初日、ブックメーカーを営む「ネッド」の前にやってきた男は、三十年以上前に自動車事故で死んだと聞かされていた父だと名乗った。
にわかには信じがたい話に混乱する「ネッド」。
だがその直後、突如出現した暴漢が父を刺殺してしまう。
なぜ父は今頃になって現われたのか? 
「ネッド」は否応なしに錯綜する謎の渦中へ巻き込まれてゆく。
スピーディかつスリリングに描くサスペンス巨篇 〔解説:「関口苑生」〕
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競馬シリーズの第43作目… 「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著としては3作品目となる作品、、、

本作の主人公は競馬専門のブックメーカー… 追い詰められて、困難に陥った主人公が、事件の遠因となっている家族の暗い過去を明らかにしつつ、敵と対峙し、難局を乗り越えて行く醍醐味が感じられる作品で、感情移入しながら愉しめました。


亡き祖父から受け継ぎ、競馬専門のブックメーカー業を営む「ネッド・タルボット」… 女王陛下が観戦する英国最大の競馬レース“ロイヤル・アスコット”の初日、馬券を売っている彼の前に、父親の「ピーター」と名乗る男が現われた、、、

両親は自動車事故で死んだと祖父母から聞かされていた「ネッド」は、にわかに信用することはできなかったが、その男は36年前に「ネッド」の母が死んだあと、当時一歳の「ネッド」を残してオーストラリアに渡ったという… その驚くべき話が終わった直後、二人の前に暴漢が出現し、抵抗した「ピーター」は刺殺されてしまう。

警察のDNA鑑定の結果、「ピーター」が「ネッド」の父親であることが確定するが、同時に「ネッド」は警察から思わぬことを告げられる… 「ピーター」が36年前に妻を殺した容疑者だというのだ、、、

「ネッド」はその真偽と父が帰国した目的を探るが、やがて暴漢が父の持ち物を探していることを知る… さらに、別の男が父の持ち物を狙って彼の家に侵入する事件が発生する。

父はいったい何をしていたのか? 競馬場内が通信不能になる事件が続発する中、病気の妻「ソフィ」をいたわりながら謎を追う「ネッド」に、さらなる苦難が、、、

死んだと思っていた父親が表れ、直後に殺されるという序盤のドラマティックな展開から、苦境に立たされた「ネッド」が、競馬業界における馬の入れ替えによる出走馬詐称や保険金詐欺、オッズの不正操作を暴きつつ、自らが事件に巻き込まれる遠因となった家族の秘密を明らかにしていく終盤の展開まで、物語の中に引き込まれながら集中して読めましたね。

でも、オーストラリアの競馬界も絡んだ不正事件の真相は概ね知ることができたものの、社会的な制裁を受けるまで暴くことができなかったので、ちょっと中途半端な感じがしたなぁ… 個人の力の限界かな。

それにしても… 両親は、幼い頃に交通事故で亡くなったと思っていたのに、実は母親は殺害され、その直後に父親は行方不明になり容疑者となっていたことを知っただけでも、相当なショックなのに、、、

実は育ての親の祖父の犯行で、それを手引きしていたのは祖母だった… その動機は母親が祖父の子どもを身籠ったことだったという展開は、ショッキングだったですね。

でも、父親が人生の大半を過ごしたオーストラリアを妻とともに訪れ、母親違いの妹たちと心を通わせ、新しい家族の誕生を予感させるエピローグは、明るい未来を予感させる締めくくり方で良かったですね… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。


以下、主な登場人物です。

「ネッド(エドワード)・タルボット」
 ブックメーカー

「ソフィ・タルボット」
 ネットの妻

「ピーター・ジェイムズ・タルボット」
 ネッドの父親

「トリシア(パトリシア)・ジェイン・タルボット」
 ネッドの母親。ピーターの妻

「テディ・タルボット」
 ネッドの祖父。ピーターの父親

「アリス」
 ソフィの妹

「ルカ・マンディーニ」
 ネッドのアシスタント

「ベッツィ」
 ルカのガールフレンド

「ダギー(ダグラス)・マスターズ」
 ネッドの新しいジュニア・アシスタント

「ラリー・ポーター」
 ブックメーカー

「ノーマン・ジョイナー」
 ブックメーカー

「キッパー」
 ピーターを殺した男

「ジョン・スミス」
 マイクロコーダーを探す男

「パディ・マーフィ」
 ピーターの知人

「ヘンリー・リチャード・フェルドマン」
 大手ブックメーカー会社の取締役

「ラキー(ラクラン)・ハリス」
 私立探偵

「ルウェリン」
 テムズ・ヴァレー警察主任警部

「マーレー」
 テムズ・ヴァレー警察部長刑事

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2022年10月22日

Posted by ブクログ

大好きなのは初期の作品のいくつかなんだけど、やっぱり買ってしまうフランシス。息子との共著になって何となく違うよな〜と思いながらも…。責任感があってストイックな大人の男の魅力に惹かれてって、そうかイギリスの健さんなんだ!

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2012年09月07日

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