【感想・ネタバレ】“町内会”は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~(小学館新書)のレビュー

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Posted by ブクログ

p.110
 ただ、輪番制のように、「半ば無理矢理、係になるしくみ」というのは「初めは嫌々やったけど、やってみたらけっこう楽しかった」ということが町内会の仕事の場合は少なくないんですけどね。
→ 町内のそうじとか、近隣業者の説明会への代表出席など、やってみると学びがあり楽しいものです。町内会の役員は積極的に引き受けましょう♪

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

目次:
序章 町内会って入らなくてもいいの?
1 イヤ~な顔をされる加入勧誘
2 「何をしているかわからん」「抜けられない」 ほか
第1章 町内会は必要です!
1 町内会長が死んだ!―なんで私が会長に
2 町内会ってなに? ほか
第2章 町内会は要らない?
1 加入のお願いはつらいよ
2 町内会費はこんなに払う必要があるのかよ ほか
第3章 ゆるゆるな新町内会をつくってみた
1 校区でつるしあげ―ココロが折れた日
2 自治会長をやめようと決心 ほか
第4章 町内会は今後どうしたらいい?
1 基本はボランティア
2 校区(連合体)から考えるな ほか
終章 親睦だけでもなんとかなる


ピックアップと一言:
・若い・アパート暮らしの人を想定した場合、加入チラシはそこにもっと焦点をあてるべきではないかと思います。たとえば高齢者や子どもの安全の見守りなんですが、単身の人間には「関係ない」と受け取られかねませんよね。災害のときに手をとりあえるという「メリット」はどうでしょうか。高齢者や子どもの場合は災害で手助けが必要だとすぐわかるんですが、若い人は自分の力でなんとかできると思ってしまうかもしれません。たとえば、若い独身女性にむけては「防犯灯」の役割、非正規の若い男性には「失業や貧困に陥った際に行政窓口につなげる相談」とか。
→自治会・町内会として一番取り組む必要がありそうな、福祉と防犯が、特定の世代にしかメリットを感じられないという考え方はとても示唆に富みます。チラシはターゲット層毎に複数種類作ることが必要ということですね。

・善意で「町内会の仕事を少し手伝ってもいいよ」という人はいます。そして実際に手伝ってくれます。しかし、自分がずるずるとハマりこんでしまう、負担が増えていくというのはとても恐ろしいことなのです。すぐできることは、班長や役員になったときの拘束時間の目安を示すことです。そして、仕事や生活優先であって、事情を伝えて、無理なときはちゃんと断っていいんだというルールを確立することです。
→入会チラシもそうですが、役員をお願いする時にも、年間行事予定などの負担の詳細や細かなルールを書面で記すことが必要ですね。

・自治やコミュニティの基本単位は、「一目で見渡すことができる程度」、つまり単位町内会のレベルです。校区が基本単位ではありません。私のいた団地自治会のある小学校区は2万人も住んでおり、ちょっとした市です。これではコミュニケーションがスムーズにいくような自治はできません。行政は中間団体である校区、しかもその幹部とさえうまくやれれば、面倒な個別町内会とのやりとりや責任がなくなるので、校区を掌握したがりますし、校区を単位にものを考えがちです。しかし、これはあくまで行政の都合というべきでしょう。そう考えれば、校区の役割はとても限られたものになるのではないでしょうか。
→現在、三ツ城自治協議会(約1万世帯)ではいわゆる校区の部会での活動が主であり、各区(自治会・町内会)の活動は最低限(回覧くらい)のものになっています。その方がよい活動もありますが、やはりもう少し小さな範囲で行う方がよい活動もあるので、今後、校区の部会と、各区の活動の住みわけが必要になってきますね。

・ボランティアだということを踏まえると、町内会の仕事をやる人もそういう構えになります。参加してない人たちを見て、「俺だけこんなに一生懸命やっているのに、あいつらはなんだ!」とか、そういう被害妄想がなくなります。好きでやっているんだから、好きでやっていない人たちのことを恨みがましく言うことはなくなるはずです。「地域の為の義務だ」と肩肘をはるから、町内会の仕事に参加しない人を「フリーライダー(ただ乗り)」のように見てしまうのです。
→私はボランティアだと思っているので、いろいろ大変ですが楽しんでやっています。問題は、嫌々役員をやっている人がいると、会議や活動がギスギスするということですね。なんとか楽しくしたいと、新しい取り組みを考えてみたり、飲み会を企画して見たりしていますが、なかなか難しいです。

・校区のような町内会の連合体組織の場合、行政からの依頼はもちろんのことですが、校区で話し合って決定した行事や仕事についても、個別町内会にはそれを拒否したり保留したりする自由がきちんと保障されなければなりません。たとえば、市が行政広報紙を配布する仕事を校区に委託します。校区はそれを町内会や町内会長におろすわけですが、「私のところは力がなくて配布できません」という自由を残しておくということです。その場合は市が民間業者を使ったりする保障をもうけておく必要があります。
→これは東広島市でやっています。広報紙の配布を住民自治協議会に依頼し、無理ならその地区は業者に委託する。自治協によっては、配布活動が繋がりづくりになるからという理由で引き受けるところもあったり、世帯数が多すぎて対応できないと断る自治協もあったりします。

・本当に課題解決の仕事をしようと思えば、町内にこだわらず、広く人材を募らなければいけないことはまったくそのとおりです。これに対して、ある課題を解決するために、その地域を代表して行政や企業などに対してモノを言うことは、まずは町内会にしかできない仕事です。たとえば、近くに道路計画ができる、そのとき、地域住民の声を代表して発信するのが町内会の非常に重要な役割となります。本領とさえいえると私は思います。なぜなら、これはNPOなどにはできないことだからです。
→任意加入とはいえ、やはり地域の代表組織なんですよね。この「ねじれ」をなるべくなくすために、自治協(自治会・町内会)は全住民への情報提供や参加の権利を保障したうえで、参加したい人が参加して運営していく必要がありますね。


・小諸市も北九州市も、(条例で自治会への加入の)義務や責務をうたっているとはいえ、参加しない権利とセットであったり、あくまで「自主的な参加」であるものとされています。これは、強制するところまではいかないけれども、“本来はみんな入るべきなんだよ”ということを宣言しつつ、任意であることをかろうじて確保したものだといえます。全員加入の建前と任意加入の実態の「ねじれ」への一つの対応だとはいえますが、相当気をつけないと、現場では乱暴な加入攻勢がされるんじゃないかと心配にもなります。
→確かに、逐条解説を読まなければ分からないと言うのは、条例としては不十分だと思いますが、なるべく加入して欲しい、という思いとのせめぎあいですね。

・では、町内会は不要なのでしょうか。私はそうは思いません。こうした社会サービスの分野では主体は行政や民間企業、つまり巨大で効率的な組織体になってきており、町内会でできることはプラスアルファでしかないとしても、それでもなお町内会にしかできないことがあります。それは、「自分はこのまちの一員だ」というコミュニティ意識、共同体意識をつくりだすことそのものです。草むしりなんて、共益費のなかから公社や管理会社が委託業者に頼んでパッとやってもらった方がはるかに早いでしょう。しかし、みんなで集まってだらだらとおしゃべりしながら草むしりをした方が、情報交換になって、親睦がふかまり、知らず知らずのうちに、コミュニティー意識を持つことができます。制度化されキツい義務になったり、委託された責任ある業務になったりしたとたんに、私たちはその草むしりを「嫌だなあ」と感じるのではないでしょうか。
→情報提供をしっかりやったとしても、ただ単に「草むしりしたい人募集」では人は集まりません。家族同士でバーベキューをしたり、草むしりの後に神楽を見たり、楽しいことと組み合わせることで、まずは参加してもらう工夫が必要ですね。


感想等:
・旧態依然とした町内会というのは今でも残っていますが、まさにその中で奮闘された著者の経験談です。最終的にはできる人が出来ることをやる最低限の町内会を目指し、それでも自治会・町内会は必要だとまとめています。こんなにひどい扱いを受けてなお、前向きに捉えることができる筆者はとてもすごいと思います。そしてひどい扱いを受けたからこそ、本当に必要なものが見えてきており、自治会・町内会不要論と必要論の両面からみた説得力のある本です。
・文体もやさしく、具体的な経験談も分かりやすく書かれており、とても読みやすい。
・私は、自治体職員ですし、自治協議会の事務局長もしているので、割と必要論に偏っているところがありますので、やり過ぎないように気をつけようと思いました。
・不要論の人、必要論の人、どちらの方にも有意義な内容という意味で、とても貴重な本だと思います。

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2020年03月23日

ネタバレ 購入済み

GGQと町内会にも触れていた

2016年には引っ越す予定と最後にあり、その引越し先での感覚は同じようなものなのでしょうか。
転出されたお二方が行事に参加、手伝ってくれる、の記事を読んで男性と女性の違いかな?とも。
町内会役員の経験者も未経験者も一読の価値あり。

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2018年06月06日

Posted by ブクログ

町内会長を経験した筆者の町内会論。
自分の経験をもとに、各種データや研究者の主張も盛り込みながら町内会を論じており、共感できる部分が多い。
私が住んでいるマンションで、最近急に自治会をつくりましょう的なポスターが貼られはじめていて、正直やめてくれよと思っていてこの本に出会った。
行政の担当者と話したこともあるが、この本に出てくるような町内会を行政の下請けとして扱う典型的な話だった。そんなものは行政サービスとしてふつーにやるべきだとそのときも思ったが、この本を読んで改めてそう思った。

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2017年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったです。少なくとも、こういう論点の本はほとんど初めて読みました。ゼミで社会関係資本(ソーシャルキャピタル)について学び、その力を万能だと思っていた僕にとっては、斬新な切り口でした。
この本の中で示唆されている事って、かなり重要なことが多いのですが、紙屋さんはとてもおだやかな書き方でそれを伝えていて、とても読みやすかったです。

内容は、著者の実体験をもとに町内会の光と影について、説明がなされています。
町内の力、ご近所の絆、そういったものは震災以降頻繁に語られるようになり、ある意味では行政を超えるほどの効果があるように持ち上げられることも少なくありません。

実際、僕も地域の課題はそういった関係が解決することも多々あると信じています。

と、同時に、そういった絆が人々に負担を強い、プライベートを侵害し、悪影響を与えるということを忘れてはいけません。

そういった問題を回避するためには、町内会などの組織はあくまでもボランティアであって、適度に都合に合わせて距離をとれるようにしておくこと。現在のように行政の末端組織であるかのように振る舞い、住民を拘束するようなことはやめるべきだということです。

筆者は、町内会はボランティアでも十分にその役割を果たせるし、逆にそれで手が回らない部分は、当然行政が行うべきであると述べています。

この考え方は、行政がもういっぱいいっぱいで(お金的に)、住民にできることは住民にやってもらおうってなってる今日の流れには逆行する気がします。
でも、そもそも、行政ができないから住民に投げるという考え自体、かなり無理があるものだというのが著者の問題意識です。

行政に頼ることが現実的に難しくなっていく中で、住民にも過度の負担をかけないで社会関係資本のプラスの面を増幅していく、そんな仕組みを考えていきたいです。

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2015年06月19日

Posted by ブクログ

町内会の仕組みを見直して、良いものに変えたい改革派がいても、今のままでいいと思う保守的な人やそんなものには関わりたくないと思う無関心な人もいるので、
思いがバラバラだから上手く行かないのかなぁと思った。

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2015年06月09日

Posted by ブクログ

最高裁判決 町内会は強制加入団体でなく、脱退は自由

委任状 事実上白紙委任になってしまい、あとで「あなたも賛成しただろう」というので、私は用心して、「書面決議書」というものを出すようにしていました。これは意見を聞いて、賛成反対保留などの自分の態度を表明しておけるものです。私は出席でいない会議については、すべて「保留」という態度にしていました。

ミニマム町内会のすすめ

経験を解毒する
ただし、経験というものは、強い毒があります。
あまりに強烈に体と心にしみ込むために、自分の経験こそが絶対だという思いが、抜けきらなくなってしまうのです。
それを解毒するためには、他のものと比較したり、結びつけたり、筋道だって考えたりするしかありません。大げさにいえば、理論の力でその経験を組立直すのです。
昨今、観光客のように軽く接することの方が、あたかも、経験の奴隷とならない賢いやり方であるように主張するむきもありますが、「少し経験して、悟る」なんてことは、そうそう凡人にできることではありません。少なくとも私は、経験に泥まみれになり、みっともない格好になりながら、物事を筋道だって考えることでそこから這い上がってくる他ないだろうと思っています。

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2015年05月17日

Posted by ブクログ

ひょんなことから団地の町会長となった経験から説きおこした町内会論。町会が任意だとする最高裁判決にもふれていますが、それでは成り立たない田舎とは違いすぎるというのが率直な感想。

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2014年12月12日

購入済み

自治会会長として読むと とても参

私も約300世帯ある団地の自治会会長をしていて、いろいろとぶつかる問題に対して、悩んでいたので、とても参考になった。

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2014年12月09日

Posted by ブクログ

2023.05.14
おっしゃるとおり、町内会は義務ではないです。そう説明しているのだから、行政にかみつくのはやめてもらえないでしょうか。

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2023年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

義務ではありませんが、行政の下部組織かのような構図も垣間見えます(´・ω・`)
校区の自治団体協議会を見ると、行政が抱えている問題毎の組織が求められている
防犯
交通安全
衛星
環境
男女共同参画
青少年健全育成
社会福祉
・・・
町内会も役割を果たす意識になるし、行政も下請け(?)に卸すかの様に役割を背負わせる
リサイクルも環境委員会が行い行政が補助金を出すなど多くの活動に補助金がかかわる時代なのです

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2022年08月19日

Posted by ブクログ

町内会役員が回ってきていた頃に出て買った一冊。
町内会の体質、その頃から変わってない印象。
本音と建前、なかなか世の中は動かない。

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

町内会は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~
(小学館新書) 2014/10/1
著:紙屋 高雪

著者は、京都大学法学部卒。自らのブログで軽妙な文体にて漫画評論や育児論等の社会時評を綴り、朝日新聞社運営の言説サイト等で転載紹介されるブロガー。

町内会とは、防災・防犯・掃除・祭り・見守り・リサイクル等、その地域のいろんな身近な問題を、住民自身が動いて解決する組織だとされている。

本書は、著者が町内会いついてほとんど知らないまま、いきなり町内会の会長になり、その体験と実践をつうじて考えた町内会論、ひいてはコミュニティーと自由についてを以下の5章により説明している。
①町内会って入らなくてもいいの?
②町内会は必要です
③町内会は要らない?
④ゆるゆるな新町内会をつくってみた
⑤町内会は今後どうしたらいい

物事を知るにはやはり「経験」から学ぶべき。
本書は、上記の通り町内会の会長として奮闘してきた著者自身の体験をもとに書かれている。本書を読み、「よし!!役員頑張るぞ!!」という気持ちにはなれない・・。良いことばかりではなく、問題が山積みである。
若干の予想はついていたもののこれほどねじれ、もつれ、苦悩する姿が書かれているとは思わなかった。

もちろん地域や環境により違うことも多々ある。
ひとつの事実としてしっかりと受け止め、自分は自分のやり方で意見を取り入れながらやっていくしかない。

どれが正解なのかは自分がやりながら探していくしかないというのは仕事でもプライベートでもなんでも同じである。

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2016年01月23日

Posted by ブクログ

存在していることは知っているが、
めんどくさそうというイメージしかない町内会。

必要な組織なんだろうけれど、
付随する業務というか、
会議の出席とかやることが多すぎる。

著者が主張するように、
やれることをやっていくっていう方向性は良いのかなと思う。

本書の感想からは外れるが、町内会とかPTAに参加していた親は
大変だったんだろうなぁと、今更ながら思う。
当時はまだ幼かったので、そんなこと思いもしなかったが。

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2015年05月20日

Posted by ブクログ

町内会は強制参加ではないという判決が最高裁からでている。一方町内会は行政の出先機関の役割を知らず知らずのうちに担わされていることも多い。二律背反を内在する町内会の在り方を示唆する。無くてはいけないもの、住民全員が恩恵を享受するもの、全員参加が必要なものは税金から支出すべき。あった方がいいもの、地域の繋がりを深める親睦行事を手弁当で行うのが町内会の位置付け

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2015年03月28日

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