【感想・ネタバレ】アンドロメダ病原体〔新装版〕のレビュー

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ネタバレ

物質とエネルギー

・地球上の生物は、蛋白質酵素の助力のもとに、小さいスペースで生化学反応を行う方法を身に付けて進化してきた。
生化学者たちも、ようやくそれらの反応を再現できるまでになっているが、
それは他の全てから一つの反応を切り離したときだけである。
生きた細胞の場合は違う。そこでは小さい場の中で、さまざまな反応が同時に進行し、
エネルギーと生長と運動を供給している。
それはばらばらではなく、人間には到底それを再現するすべがない。
前菜からデザートまで揃ったディナーコースを準備するのに、それらの材料を全部一皿に混ぜ合わせ、
火にかけてから、あとでアップルパイをチーズソースの中から取り出そうとしても無理なのと同じことである。
細胞は酵素を使って、何百種類もの反応を同時にやってのける。
種々の酵素は調理場でただ一つの仕事をしているコックのようなものだ。
パン焼き係がステーキを作ることはできないし、ステーキ係がその道具を使って前菜を拵えることはできない。
だが、酵素にはそれ以上の役目がある。
酵素は他の方法では起こり得ない化学反応を可能にする。
生化学者も、非常な高温や高圧、あるいは強い酸を使えば、その反応を再現することはできる。
しかし人体も、個々の細胞も、そういう極端な環境には耐えられない。
酵素は、生命の媒介者として、体温と大気圧のもとで、化学反応の進行を助けるのだ。
・正常な環境には、抑制と均衡が存在する。それが細菌の猛烈な生長を鈍らせる。
抑制の無くなった生長は、数学的に見て恐るべきものになる。
大腸菌の一つの細胞は、理想的な条件下に置くと、20分に1回の割合で分裂し、幾何級数的に増殖していく。
それこそ、1日で地球と同じ大きさの超巨大集落を生み出してしまう。
それが現実に起こらないのは、環境には抑制と均衡が存在するからだ。
たとえ”理想的な環境”のもとでも、生長を無限に続けることはできない。
食物が無くなる。酸素が無くなる。
コロニーの中の局所的条件が変わり、生物の発育を抑制する。
だが、もしここに、物質を直接、エネルギーに転化できる生物があり、
それに対して核爆発のような巨大で潤沢なエネルギー源を与えられたとしたら…
・実際には、効率100%の生命体は存在しえない。そもそも100%だったら、熱力学の法則に反する。

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

あまりに面白くて、朝まで徹夜で読んでしまった。
途中で、子供時代にテレビで映画を観たのを思い出した。

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2020年06月20日

Posted by ブクログ

光学顕微鏡と電子顕微鏡の比較をカーブを曲がるときの大型トラックとスポーツカーに例え、さらに電顕の長所(光学系に比べて圧倒的な倍率)、短所(電子を利用するために内部は真空が必要、切片が極端に薄いために観察対象の立体的概念がつかみにくいこと)が素人にも染み入るように分かりやすく説明する。(p333)

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2015年06月27日

Posted by ブクログ

科学的描写の細かなことに驚きながら読んだ。その点では比類なき名作と呼んで然るべきだろう。

ただ、あとがきにある通り登場人物も科学的描写を裏付けるいちパーツでしかなく、ゆえに人間味が感じられない味気ない描写が多い。私は、正体不明のウイルスに不気味な怪人のような人間性を感じながら読んでいたのだが、それもオチであっさりと消失してしまう。
そこだけ拍子抜けだった…

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2023年10月12日

Posted by ブクログ

ドキュメンタリー調というだけあって、人物の掘り下げは浅く出来事を刻々と描写していく。
それでも名作の期待を裏切らず、飽きずにどんどん読ませるスリリングな展開がすごい。

話の終盤へ読み進めて行く途中、この残りページ数でまとまるん???と心配になりましたが、きちんと終わりました。
思ったよりあっさりとした結論でしたが、それはそれでドキュメンタリーテイストを貫いているのかも。

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

#日本SF読者クラブ 「未知の病原体」もの。昔、TVで映画版を見た記憶がある。50年以上前に書かれたマイケル・クライトンの出世作でもある。描写に時代的な古さを感じさせるところがあるが、物語としては良くできている。小松左京の「復活の日」をヒントにしてるともいわれるが、架空の報告書の体裁で書かれているのが巧いところ。

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2020年03月16日

Posted by ブクログ

『アンドロメダ病原体』マイケル・クライトン 著。
原題"The Andromeda Strain" Michael Crichton
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軍の人工衛星がアメリカの小さな町に落ち、そこに未知の病原体が付着していた…。
そこで、秘密裏に作られた組織がこの病原体を解明するサイエンス・フィクション。
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マイケル・クライトンは、フィクションをノンフィクションのように描いて、臨場感と緊迫感にドキュメンタリーを読んでるようで、夢中になってしまう。
作中に出てくる統計表や格言が現実感を増して、子供の頃は本物だと思ってしまったな 笑
あの書き方はすごい。
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彼はこの作品を医学生の時代に書き上げたんだって。
医療知識があるから、こういった作品を数多く書けたんだよね。
今夜中にやってる医療ドラマ『er』も彼が原案。
いやー、『er』も面白くて夢中で見ちゃうわぁ。
昔、NHKでやってたのたまに見てたけど、あれも子供ながらに面白かったもんなぁ。
医療知識があって物語を書いてるってので、当時は手塚治虫さんみたいだなぁと思った記憶がある。
二人とも素晴らしい作品を残してるよね。
*
で、この作品実は子供の頃に読んでた。
気づかず読み始めて、途中であれ?って思ったんだけど、最後まで結局読んだ。
読んでるうちに結末も思い出して。
当時も結末がちょっとあっさりしてるなぁと思ったんだけど、今回も思った。
これ、映画化してるって初めて知ったよ。
見たいなー。
映像化した方が、あの緊迫感は凄そう。
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それにしても、中学生当時の私よくこれ読めたな。
今でも難しかったよ。
…と言うよりも、この当時から脳が全く成長してないってことかしら。
それはそれでへこむ…。

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2017年01月06日

Posted by ブクログ

発想がよく、実際にあった出来事のように感じさせるのに最後の終わり方がもったいない。
クライトンはジュラシックパークといい時代の先を行く人だなと思った。

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2013年02月05日

Posted by ブクログ

5日間の事柄を報告書を読むという形式で、
実際に起こった事件かのよう。
地球外生命というのは宇宙人だけではなく、
脅威はもっと多様です(ストーリーはシンプル)。
『「すべてが解決だ。われわれのトラブルは終わったよ」
これはとんでもない思いちがいだった。』(P402 4行目)
サクサク読めて「ココまで来てまだなにかあるの!?」と思ったが
本当にとんでもない思い違い。最後まで楽しめるが
ラストは拍子抜けするほどあっさり気味。

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2012年07月08日

Posted by ブクログ

物語は主要舞台であるネバダ州の政府科学研究施設での5日間。地球外生物の実態は何?という謎を追って一気読み。50年近く前に発表されたとは思えない、古さは全く感じなかった。

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2022年05月21日

Posted by ブクログ

❖前半部、事件発生からその原因であるらしい未知の病原体を解析するための秘密施設の紹介まではゆるいテンポ、後半部は物語が徐々に加速していきスリリングな展開に惹きこまれた。様々な書式(報告書・交信記録他)、図形(地図・グラフ・病原体の構造図)を多量に組み入れ、ドキュメンタリー風な強面(スタイル)を巧く装ってリアリティ(緊迫感)を演出している。専門用語が頻出するけれど、疫学(病原体)についての考察なども退屈せずに読むことができた。エンタメ作品として見事に成立していると思う。クライトン二十代の作・・畏るべし。

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2016年02月24日

Posted by ブクログ

宇宙からの病原体の侵入は現実にあり得る話。
病原体にもっとストーリを持たせて欲しかった。
読後、えっ、これで終わりって感じだった。

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2015年04月26日

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