【感想・ネタバレ】ナビゲート!日本経済のレビュー

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Posted by ブクログ

 日本経済の現状について、「わかりやすく」「説得力」がある本は数少ないが、本書はその少ない本の一つと思えた。
 経済の短期の動きの「サイクル」と長期の動きの「トレンド」。「輸出重視」と「内需重視」の視点。「労働市場」と「非正規」の取り上げ方。
 どれをとってもわかりやすいし、昨今において安部政権が「賃上げ」を経済界に異例の要請をするなどの状況を踏まえると、「輸出」で「種火」に火をつけて「内需」で「所得から消費という経済の第二段階に火をつける」という本書の視点には実に説得力がある。
 しかし、経済とは本当にこんなにわかりやすいものなのだろうか。
 だとしたならば、「円安」で輸出を増やし、非正規などなくす「労働市場の改革」をおこない、消費を増やせばいいだけの話なのだが…。
 それが実は難しいということなのだろうか。本書は、昨今よんだどの本よりも興味深かった。

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2013年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短期、中期、長期の経済の3つの波を一時的な風邪、慢性病、老化と見立て、一時的な風邪と老化では治療法が異なるため、それぞれの状況に応じた適切な診断を施していこうというのが本書の趣旨。金融政策、財政政策も、日本経済の状況をみながら適時適切に処理していかなければならないということ。当たり前のことかもしれないが非常に大切な視点と感じた。これまで日本政府は円高対策として低金利政策をとり、ひたすら安売り狙いの輸出産業優先でやってきたが、過大な金融緩和はバブルを呼びバブル崩壊が齎した過剰設備は長年にわたり日本経済を苦しめることとなってしまった。景気のサイクルを超えて金利を下げっぱなしであった金融政策は、効果に耐性を生ぜしめ、緊急避難策としてはともかく標準的なマクロ政策としては有効性を失わせてしまった。また、2003年の不況時に政府の円高介入がなければ円キャリートレードという問題はなかったかもしれない。また、2005年から2007年にかけての景気拡大局面においては利潤を賃金に回さず投資に回してしまったため、過剰設備を生み結果的にはこれが日本に大損失を齎すこととなった。製品価格は低下し物価を急速に下落させ賃金低下とデフレを引き起こした。不良債権問題に対して小泉改革は有効な手術を施したが、家計に所得を返さず企業の内部留保を高めただけであったため、消費は低迷し企業を過剰投資に苦しめることとなった。日本経済は過剰投資の結果、企業の資本収益率が著しく低い。少子高齢化にある日本で、もはや過剰投資と企業優遇を繰り返す余裕はない。一刻も早く正道に戻さなければならないのだが。

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2012年07月04日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
日本経済の動き方には法則がある。
それは「体質」といってもいい特性である。
経済はどう動き、どう認識され、そして時にどう「誤診」されるのか。
それをよく知れば、地価や株価の変化を察知し、予想外のショックにも対応できる。
本書では、さまざまな経済データを用いて「病状」を読み解き、不景気の病因を「診断」し、経済学で「治療」を試みる。
大局的な視点から日本経済の過去と未来を整理する、信頼できるナビゲーター。

[ 目次 ]
第1章 景気「診断」と「治療」
第2章 「平熱」と「発熱」―経済政策のインパクト
第3章 「病状」の進行―経済の基本リズム
第4章 「モルヒネ」としての金融政策
第5章 「病巣」の「転移」と「再発」―金融危機への波及
第6章 「手術」の成功と「リハビリ」の失敗―小泉構造改革
第7章 「老化」と「生活習慣病」―これからの日本

[ POP ]


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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年10月28日

Posted by ブクログ

日本経済に起こっていることを、現実の数値に即して解説しているので説得力がある。小泉改革が実は改革と呼べるほど革新的でなかったこと、しかし、日本の経済危機を救ったことは間違いないことがここでも確認されている。

ただ、筆者が述べるように輸出産業の利潤を労働者に還元すれば、企業は将来的に膨大な固定費を背負わされる。結果的に無駄に終わった大企業の内部留保も、その過程で下請けや外注先といった中小企業を潤してきたのは事実である。

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2010年02月05日

Posted by ブクログ

初心者向けということですが、少し経済学をかじったことがある人向けでしょう。各章ごとにテーマが設定されていますが、その結論がわかりにくいところも多い。まず1章と最終章を読みましょう。
そこまでおすすめはしませんが、新書で安価ということで買っても損はないかも。

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2010年03月11日

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