【感想・ネタバレ】グローバリズムという病のレビュー

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Posted by ブクログ

この本に書いてあることのすべてが真実かどうかはわかりませんが、今の世界のあり方、日本のあり方、日本の立ち位置を考える上では、役に立つ本でした。

国民国家と株式会社の関係、家族構成と組織構成の関係など、いろいろと示唆に富む記述が多かったように思います。

著者が理系の人ということもあってか、理系の自分にとって、読みやすい本でした。

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2015年01月11日

Posted by ブクログ

グローバリズムとグローバリゼーションの違い、などということ、今まで考えたことありませんでした。
グローバリズムは収奪のハイブリッドシステム…なるほどなぁと。
何だか結局よくわからなかった安倍総理が、どこを見て経済政策をしていたのかよぉくわかりました。国民生活などに目を全く向けてなかったんですね。そりゃ、税金が!福祉が!とピープルが叫んでもカケラも届きませんよね。

いい言葉がたくさん出てきます。引用にも記載しましたが、あと二つほど。

(引用)わたしたちは、ロジカルであるということは言葉の整合性があるかどうかであると思いがちだが、どんなに言葉が整合的であったとしても 、それが部分的なものであれば全体としては不整合であるかもしれないということを疑わなければならない。

これはすべてのロジカルであるということに、物事を見極めるということにあてはまる姿勢でしょうね。
疑ってみるという態度は必要ですよね。

(引用 吉本隆明の言葉)結婚して子供を産み、そして、子供に背かれ、老いてくたばって死ぬ、そういう生活者をもしも想定できるならば、そういう生活の仕方をして生涯を終える者が、いちばん価値のある存在なんだ
(引用 それを噛み砕いた著者の言葉)人間が、普通に生活をしていて、一生涯を生きていくということの意味の重さは、知識を積んだり、事業に成功して大金持ちになったり、会社で役職に就いたり、政治家になって権力の階段を上ったりすることとは無関係であると言っているのだ。

このような人が生きるということの本質について、心から納得、あるいは理解する人がどのくらいいるだろう。
吉本さんの言葉は、平易に本当のことを語っていると思います。

この言葉を知って、何も目に見える価値あるものを残さず苦労の絶えない人生を生きて この世を去った自分の両親も、自分だけにとってではなく充分に価値ある存在だったのだな、と思うことが出来た、ように思います。

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2014年11月25日

Posted by ブクログ

書いてあることの全てに同意してしまう。

「法人税やら優遇制度やら国内の事業環境が悪いと主張して日本を出て行った会社は二度と戻ってくるな」、これをはっきり言う人が居ない事にイライラしてたんだよね、はっきり言ってもらってすっきり爽快。

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2014年08月19日

Posted by ブクログ

グローバリズムとは何なのか?
世界がグローバル化している&国際的な取引が当たり前になってきていると言うならば、古代の時代から、人はグローバルを目指して商売をしてきているはずであり、それがなぜ今ここまでクローズアップされ、声高に叫ばれるのか不思議で不可解だったが、その疑問に答えてくれる本だった。
日本には日本の価値観があり、経済活動があり、人口減少の時代に入った成熟社会にとって、それは単純な成長ストーリーを描くことにどうしても無理を感じていたが、そもそもそのようなことを信じ叫ぶ人達とは世界観や歴史観、人間観が根本的に異なることがよくわかった。
目先の人も幸せにする気持ちも情もない存在に対して、貴重な自分の力を使うわけにはいかない。そんな風に感じた。

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2014年08月11日

Posted by ブクログ

 自分と考え方がここまで一致する本というのも珍しい。
 
 そもそもグローバルとはなんなのだろうと考えると人の持ち物を容赦なく奪うという事この一言に尽きるのではないだろうか。今までは多様化という言葉で成り立ってきた社会がグローバルという掛け声ひとつで強者に吸収されようとしている。こんな考え方が特に気持ちが悪い。

 たとえこの国の需要が絶え、自国でまかり得なければ外に出て商売をすればよい。こんな考え方がまともだとすれば遅かれ早かれ世界の需要はこの考えに太刀打ちできなくなり破綻してしまう。なら次はどうするか何十年何百年先には他の惑星の知的生命体とでも貿易することになるのだろうか、そんなことを考えると本当の核というのが分からなくなる。何が大切で何が大切ではないかという根拠は各々の国の社会的基盤にのみ裏打ちされることだろう。

 



 人間の身体は、せいぜい半径数キロメートルの範囲のなかで生きていくように設計されている。人間の身体性が持つ限界が告げているのは、その範囲のなかで耕作をし、モノやサービスをつくり、人々と交わり、生活を営んで余剰がないという生き方である。人間には、丈夫な二本の脚はあるが、広大な大空を渡るための翼もなければ、海洋を泳ぎ回る鰭もない。     52

 1971年制定の合衆国憲法修正第二条
 「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」
 A well regulated Militia, being necessary to the
security of a free State, the right of the people to
keep and bear Arms, shall not be infringed.
 この文章が成り立つためにはMilitia = Peopleが成り立たなければならない。
 原文を見ても、やはり前後の主語が異なっている。75

 しかし、それらの企業は、事業パートナー、顧客、下請けなどの経営基盤をもともと有していない、機動性だけが頼りの企業なのであり、出て行きたいのなら出て行けば良いと思う。
 そのかわりに、二度と帰ってくるなと言いたい。107

 

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2015年01月28日

Posted by ブクログ

グローバル化と言う言葉で何でも片付けられ、容認されることが多い昨今、非常に違和感を覚えていた。それにひとつの回答?を与えてくれた。

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2014年12月31日

Posted by ブクログ

この本の前に「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んだので、同じ方向へ加速されました。
大企業主義というか、成長主義によって、知らずにとてもひどい世界を作り上げてしまったことへの反省は、もっと日を浴びていいのではないかと思います。
後戻りはできないですが、ゆっくりとでも方向展開できればと思います。

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2014年12月16日

Posted by ブクログ

グローバルな人材、グローバルな企業、ここ何年も耳にタコな「グローバル」「グローバリズム」。かっこいいような、先進的なイメージながらも、なんとなく眉唾なものを漠然と感じる訳が分かった。やっぱりそういう面があったのね、と。そして、現政権への不安感って、右傾化だけじゃなく、そういう危ういものを推し進めようとする経済政策にも、やっぱりあったのか…と、腑に落ちた。
腑には落ちたけど、とりあえず、出来ることって、何なのか、じっくり考えてみなければ。

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2014年11月24日

Posted by ブクログ

ご本人も自覚ありそうだけど、夏目漱石の私の個人主義に通じそうな本だった。
読んでる最中はちょっと好きになれないかなーと思ったわりに、読み終わってみたら意外にふせん沢山貼っていた。
一番響いたのはウルグアイ大統領ホセ・ムヒカの演説の引用でしたが。。
これから先世界はどこに向かって行くのかなと考えさせられる本でした。

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2014年11月08日

Posted by ブクログ

・グローバリズムとは、アメリカが世界に広めたイデオロギーのことで、いわゆるグローバリゼーションとは区別している。

・「今や、英語ぐらいできないと世界に乗り遅れる」とか「グローバル化に対応して日本も鎖国的な上京から脱しないといけない」とか、「このままでは、日本は世界に取り残されてしまう」とはいうが、そこに「乗る」ことのメリットとデメリットとは何なのか、そもそもグローバリズムとは何なのかについての議論はほとんどなされていない。

・日本人は元来グローバルという言葉に弱いのである。その理由は、明治期以降、東アジアの島国から脱皮して、西欧近代国家にキャッチアップすることが国是であった時代、産官あげて西欧に範を求め、西欧に学んできた経験が、世界有数の経済大国になった今でも、西欧コンプレックスというかたちで一種のトラウマになって残っているからだろう。

・民主主義の発展段階において、常に海外先進国にキャッチアップするという明快な目標を持ち続けてきた日本人において、海外先進国との比較はただの目標である以上のものがあった。周囲を海で囲まれ、同一の言語を共有し、一億総中流という時代を経て、平和を教授してきた日本人は、自分たちが日本人であるということをほとんど意識しなくてもよかった。さらに言えば、戦後GHQによる統治と、日米安全保障条約や地域協定に規定された日米関係における米国への依存の構造を受け入れてきた日本人は、ナショナルアイデンティティという観念を屈折したかたちで内面化し、それを表だって議論するというkとおを避け続けてきたのである。それを突き詰めていけば、日本は政治的にも、軍事的にも、主体的な選択の余地はほとんど残されておらず、せいぜいが経済的な優位性というところに自らの存在理由を見出すことしかできないということを、多くの日本人が無意識のうちに感じ取っていたからだろう。主体的な選択の余地のないところに、主体的な自己定位もない。だから日本人は、常に何かからのビハインドというかたちでしか、自分たちのナショナルアイデンティティを確率するポジションをとることができない。日本人が自己を規定するときには、自分たちが何処にビハインドしているのかというかたちをとるのであり、その何処がない場合はには探し出すという奇妙な行動をとるのである。

・グローバルスタンダードなんていうものは本来存在していない。ただ、ビハインドによる自己定位を常態にしてきた日本の政府も、企業も、自分たちが何にビハインドしているかの明確な指標が欲しいのだ。そして、それがなければ作り出す。こうしてグローバルスタンダード信仰が生まれてきたのだろう。

・グローバリズムとは世界を豊かにし、人間を貧困や圧政から解放するための社会思想でも経済思想でもなく、ビジネス勝者が勝ち続けるための、露骨な、なりふり構わないお金儲けの方便に過ぎない。

・グローバリズムをつくり上げたのは「株式会社」というシステムであり、「株式会社」というものが対抗する障壁とは「国民国家」そのものである。「株式会社」は生まれながらに超国家的な存在として、この世界に生まれてきたのである。

・株式会社は資本と経営の分離という原理において、右肩上がりの社会を前提とした発展途上モデル。

・今、日本の人口は1億3000万人から急激に減少をしていく過程にある。この国民全体が、生活水準を維持してゆく方法を考えるのが、経済政策の基本的な目標になるべきだ。日本を企業が最も活動しやすい場所にすると安倍首相は述べたが、日本は企業のためにあるのではない。

・グローバリズムが主張する正当性がトリクルダウン効果である。富めるものがより裕福になることによって露が大木から滴り落ちて枝下の雑草に注がれるように、貧乏人にも恩恵があるというのがトリクルダウン効果。もう何年も前からそのようなことが言われているが、露が大木から滴り落ちてその恩恵にあやかったなどという話は、ついぞ聞いたことがない。

・グローバリズムは、これまでのところ、資源は無限に存在し、人間はそれらの資源を無限に消費できるという前提で思考されてきた。問題は、資源の流動性が不十分であること、この世界には非効率なものが残っていることであり、それらを効率化すれば、人間は更なる資源の恩恵にあずかれると考えてきた。・・・しかし、それはビジネスという枠組みの中だけで有効性を持つ限定的な論理である。

・この本のタイトルに「病」という語を使った理由は、それが何か悪いものであるとか、無くなってしまえばよいとかいう否定一辺倒の対象ではなく、むしろうまく付き合っていかなければならないものであり、ときには必要不可欠であり、ときには毒にもなるというものを表現したいと思ったからなのです。

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2014年10月20日

Posted by ブクログ

面白い。書かれてある内容についてはすべてにおいて
同意したいことばかり。
内田樹氏の仲間的な著者なので、内容的には
同じようなことではありますが、平川氏のほうが
論理的・理論的によくわかる気がします。

株式会社とグローバリズムに対しての警鐘。
成長すること・右肩上がりであることのみを
前提とした株式会社制度が先行きが成り立たなくなる。
そのためにグローバリズムを標榜し、国民国家の解体に
向かうということになってしまう。
それでいいのか?成長することだけが是なのか?
ということはいろんな方向で考えていく必要があるのだ
と思います。とはいえ無邪気に生活していかないと
いけない現実はあるのですが。。。

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2014年08月31日

Posted by ブクログ

グローバルスタンダードが、自分たちが何にビハインドしてるかの明確な指標が欲しいあまりに作り出されたものであり、本来は存在していないという考察を興味深く読みました。〜では、〜では、○○であるが、それに比して、日本の政府は〜、日本の企業は〜、日本の教育は〜という、何かに負けている、何かより劣っているという前提でしかものごとを語れない傾向は仕事をしていてもよく聞くロジックであるなあと思いました。その基準だけでなく、日本語を正しく操って内外に向けた表現や交渉が出来ているのか、それ以前にもっと内面内部に磨きをかけて外面外部ににじみだす努力も怠ってはいけないなと思う次第です。

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2015年02月19日

Posted by ブクログ

グローバリズムの問題点についての議論。
著者はグローバル化とグローバリズムは別のものだと考えている。
グローバル化は世界が小さくなってきていると言うことで避けがたい歴史の必然であるが、グローバリズムとはアメリカに代表される多国籍企業が国家という枠組みを超えて富を簒奪するためのイデオロギーだと考えている。
論点は株式会社資本主義の問題点をアメリカの歴史から見て考え、租税回避や新自由主義の欺瞞などについて批判している。
最大の問題点は株式会社資本主義が常に成長を求め利益を追求し、とどまることを知らないという点であり、議論は明快で十分納得できる。経済学者の故飯田経夫教授が言っていた「足るを知る」という経済学には必要なのだと思う。
筆者はアメリカのシリコンバレーが絶好調の時にアメリカで起業し、ITバブルがはじけた後に企業をたたみ、あれやこれや苦労をした人物なのでアメリカ資本主義の問題点もよくわかるのだと思う。
しかし、敗者であればこそ本書が書かれたのであり、もし大成功して超大金持ちになっていたら本書は書かれたのだろうか。

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2015年02月14日

Posted by ブクログ

確かに、企業や政治家や評論家などがアホの一つ覚えのようにグローバリズム、グローバリズムと言っているのにはうんざりする。

そういう事象が進行しているのも事実だろうけど、それが全てではもちろんない。

ローカルなことや、多様なことがなくなったらこの世はどれほど退屈でつまらない世界になるのだろう。

国をしていた時代、日本は小さな藩という地域社会がたくさんあり、総体として高いダイバーシティを実現していたように思うし、それが日本という国の強さになっていたように思う。

この本では世界規模でのグローバリズムをテーマにしているが、日本国内においても東京グローバリズムが蔓延し、地域社会からゆっくり命を吸い上げている。

世界でも、国内でも、優位なものがルールを押しつけている。世の中でよしとされているものに対して、その価値観は本当にそんなに素晴らしいものなのか?と、僕らはもう少し懐疑的になってもいいのではないかと思う。

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2014年08月03日

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