【感想・ネタバレ】逆接の民主主義 ――格闘する思想のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

むむ、この人はすごい。
素直にそう思えた本。

ありきたりなことでなく、
しっかりと自分の頭で一から思考している学者だなと。

「第三者の審級」とか「愛」についてのくだりとか、
思わずそっか〜っと感心する話がボロボロでてきた。

言い回しがややわかりずらいところがあったような気もしたが、
知的な刺激を受けたい方におススメ。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

「他者性」、他者になる(赦す)こと(デリダとハーバーマスを超えて)、といったことで、これは2005年あたりからいってきたこと。今回新書だからかわかりやすくて、丁寧で、攻撃的。この人が50人くらいいれば世界は変わると思う。とりあえず政治家になるか、ブレーンになるか。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

・北朝鮮を民主主義国にするために、日本は北朝鮮からの難民を積極的に受け入れるべき。
・自衛隊は解体し、国際貢献をするための部隊Xを作る。
・民主主義は多様性を認めているという上で優れたものと考えられているが、本当にそうだろうか?民主主義を受け入れていない考え方は排除するという方法をとるし、結局は少数の存在を許しつつ多数決によって多数の勝利を決定づけているだけの仕組みなのかもしれない。

なかなかおもしろい視点が盛りだくさん。きちんと読み込んでみたら別に珍しいことを言っているわけじゃないのかもしれないけど…少し考えてみる必要がある。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

北朝鮮を民主化する!?
という非常に衝撃的な章から幕を開ける、大澤社会学の捉える民主主義。
若干抽象的な大澤真幸の論理が展開される中で、今までの本の中で紹介されて来た馴染み深い事例が出てくるので、妙な親近感が湧いた。
引用---
「裏切りを孕んだ愛こそが、普遍的な連帯を導く可能性を有しているのでないか。公共圏と交響圏は、同じものでもなければ、異なるものではない。交響圏を構成する、共同性を内へと凝縮させる力には、それと背馳する別のベクトルの力が備わっている。一方に、特定の他者へと志向する、特定の他者を愛想とする力がある。だが、他方で、同時に、不定の他者への、<無としての他者>への志向が作用している。この後者の志向によってこそ、普遍的な公共圏を構成する事ができるのではないか。」
大澤真幸が常に言うのは、つまり私たちが他者であり、他者が私たちでもある、ということである。私たちと「他者」との対立の原因になる憎悪のようなものが、実は私たちにも内在しているという、お互いが合わせ鏡のように見えてしまうということだ。(これを大澤真幸は「妄想の相互投射」という)
しかし逆にこの感覚を、希望の兆候として解釈する、すなわち私たちの中に侵入している「他者」こそ、逆接的な民主主義の開放性をもたらす「排除された他者」である。
その「他者」を媒介にしてこそ、逆に、普遍的な開放性がもたらされるのである。
ということ。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

この本を読んでゾッとした。こんな戦慄は初めて感じた。これは知の暴走だ。テーマは北朝鮮、歴史解釈、自衛隊、民主主義といった今の日本でホットな問題で、それに対して著者が持論を述べる。よくある形だ。でもその持論までの理論的過程が恐ろしい。著者が持ち出すのはデリダであり、キリスト教であり、ベンヤミンなのだ。何もかもを飛び越してダイナミックに思考をつなぎ、日本のために世界を持ち出す。これが哲学の真髄だ。これを新書で出すとは何を考えてるんだろうか。
 ほぼ理解できないし、著者も僕なんかに歩幅を合わせようとはしない。走り抜けるのだ。
・ベンヤミンの鋭さ
・ハンガリーでのピクニック
・民主主義という欺瞞
・「歴史」という勝者の自叙
この辺は何とか理解できた。でもこれが限界だ

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

現代の日本が直面しているいくつかの問題をとりあげ、民主主義そのものについての思想的に掘り下げて、大胆な提言をおこなっている本です。

著者は、本書の提言が非現実的なものではないということをたびたび述べていますが、これを常識的な意味で実現可能性のある提言として受けとるべきではないのでしょう。それは、本書の提言が非現実的な理想主義であるということではなく、それを実現するにあたって必要となる技術的な細部を欠いているからです。本書の冒頭で著者は、現代の政治哲学におけるハーバーマスとデリダの相互批判がもっとも中核的な問題であると主張していることからも、著者は理論と実践を切り分けることがむしろ不適切であると考えており、現実への提言というパフォーマティヴな振る舞いを通じて民主主義をめぐる思想的な掘り下げをおこなうことをめざしていたと理解することができるように思います。

そのように理解してよいとするならば、本書の議論において注目するべきなのは、その提言の具体性ではなく、その提言を通じて上述のハーバーマス・デリダ論争の問題がどのようにあつかわれ、その相克から抜け出す道筋が示されているのかということであるということができるでしょう。著者は、ハーバーマスとデリダの相互批判が構成する問題は、「他者の尊重」という倫理が空疎なものになってしまうということだとまとめています。そのうえで、現代の民主主義が「われわれ」と「絶対的な他者」との対立という構造を抱え込んでいることを指摘し、見田宗介の図式を改変して「交響圏」と「公共圏」がクロス・オーバーするような逆説的な民主主義の可能性をえがこうとする試みがなされています。

思想的な冒険を積極的に推し進めていくことで、従来の思考の枠組みを打ち破ろうとするのが著者の意図なのだとすれば、本書の試みは一定の成功を収めていると評価できるのではないかと思います。

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2021年11月23日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
グローバル化は地獄への道だ。なぜ私たちは受け入れるのか?
いま必要なのは、力もない、地位もない、排除された人を社会の代表とみなし、日本の民主主義をつくり直すことだ。
いまこそ、先の見えない時代を打ち破る“ユートピア”を!
そう、未来を決して諦めず、“理想”を取り戻す時である。

[ 目次 ]
第1章 北朝鮮を民主化する-日本国憲法への提案1
第2章 自衛隊を解体する-日本国憲法への提案2
第3章 デモクラシーの嘘を暴く-まやかしの「美点」
第4章 「正義」を立て直す-「みんなのルール」のつくり方
第5章 歴史問題を解決する-隣国とのつきあい方
第6章 未来社会を構想する-裏切りを孕んだ愛が希望をつくる

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2011年05月24日

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