【感想・ネタバレ】文福茶釜のレビュー

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ネタバレ

正直、美術品の良し悪しなんて全くわからないし、ましてや作家の名前もわからないけど、物語のテンポの良さはさすが黒川さんって感じですね。
物語に描かれている人物はどいつもこいつも守銭奴ばっかりのクズばかりなのですが、すべてがうまくいかないように描かれているのが逆に楽しかったです。

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2022年11月29日

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ネタバレ

こないだ吉本興業がつくった映画『文福茶釜』を楽しく見ちゃったんですが、わりと評価低くてね。駿河太郎の熱演とぽっちゃり小芝風花ちゃんが可愛くて良かったんですよ。そしたら原作が素晴らしいっていうんで、これ。

言っちゃえば古美術を小道具に人の騙し合いを愛でるといったところでしょうか。もうやんなっちゃう。あたし呑気に暮らしすぎ。凄いんですね贋作の世界! まずは相剥。和紙は重ねてあるのでそれを剥いで1枚目を真本として2枚目を相剥本(正確には贋作ではないみたい)としてお金儲ける人がいるんだとか。

茶杓、茶碗、茶釜といった茶道具も贋作の宝庫。これは「誰がどこで使っていたか」が重要になるんだとか。信長が武功をあげた部下にあげる土地がなくなっちゃったんで「名物」として茶器を与えるとかってもうちょっとした詐欺よね。

最後のお話はタイムリー。新興宗教の教祖が持っている中国の古い焼物について。あの詐欺師どもは税金がかからないことを良いことに信者さんから集めたお金でごっそり買うんでしょうねぇ。「信者」を縮めて「儲ける」だもんなぁ。昔っからこの関係はあるんでしょうね。

好きなところいくつか。

「美術品なんてもんは、所詮は金ですわ。値段が上がった下がったで、持ち主は一喜一憂する。ただ好きなだけで、何百万、何千万とする絵を買う人間はいてません」

「あの番組はヤラセやから派手な値がつく、売るとなったら半値ですわ」

「偽物を買ってしまったときはどうするんです?」「贋物は天下のまわりもの、いうてね、目利きの甘い道具屋に売りつけるんですわ。道具屋が道具屋を騙すのは褒められこそすれ、非難されるもんやない。騙されるほうが悪いんでっせ」

「お客さんに売ったりはしないんですか?」
「そら、売りますがな。きれいごとはいうてられへん。その代わり、客にクレームつけられたら、売値で買いもどすのが道具屋の仁義ですわ」

「我々のような素人が掘り出し物を手に入れることはないんですね」
「道具屋が掘り出しもんを客に売ってどないしますねん。飯の食い上げですがな」

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2022年08月01日

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古美術品に絡めて、ひと儲けを企む海千山千の山師達が繰り広げる古美術ミステリの連作短編集。
舞台は関西。美術系出版社社員、古道具屋、表具屋、ブローカーと言った金の匂いに敏感な登場人物たちは悪徳業者ばっかりかといえばそうでもなく、読んでるうちに読者は彼らに味方してしまうのが不思議。活き活きとした関西弁の台詞は、ガツガツとした雰囲気もありながら人間味を感じる。そしてオチには思わずニヤリ。
黒川博行というとハードボイルドよりのミステリ作家という印象が強いのだが、美大を卒業して高校の美術教師というと経歴の持主だという。その経験を存分に活かした傑作だと思う。

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2021年03月14日

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古美術でひと儲けをたくらむ男たちの騙しあいの短編集。
水墨画を薄く剥いで二枚にする相剥本、入札目録の図版差し替え等々あらゆる手段を用いて贋作づくりに励む。

騙し騙され、狐と狸の化かし合い。
面白かった。

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2019年03月03日

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美術や骨董の贋作を中心とした悪巧みの顛末を書いた短編集。
人物や会話が独特で飽きがなく、懲悪をベースとした展開も、意外性がないのにとにかく面白い。
毎回テーマとなる品が変わっていき、それぞれの「偽物造り」や「詐欺手口」はバラエティに富み、いづれも唸るような奥深いものばかり。品のいい舞台に、品のない人たちばかり出てきて化かし合いをするスタイルは、趣と可笑しみという他では両立しない味わいを生んでいる。
表題作と最後の一話が特に読ませるが、これは何話でも何冊でも読める。
4+

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2016年05月13日

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な○でも鑑定団が好きな人には面白いと思う。真っ黒ではない主人公が騙し騙され、ドタバタが伝わってくるようでよかった。

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2014年12月31日

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さらに引續いて黒川博行。

この作品は、古美術に關はる連作短篇集。
「なんでも鑑定團」のお蔭で、書畫骨董に興味を持つ人が増えたといふが、この本を讀めば恐ろしくなること請合ひである。
贋作の世界の、なんと奧の深いこと!

京都市立藝大で彫刻を學び、高校の美術教師をしてゐた作者の面目躍如といつたところか

2004年10月5日讀了

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2009年10月04日

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美術の真贋とそれを取り巻く様々な人々の話。人脈が真贋の見極めにつながり、それぞれの人がとてもキャラが濃い。97年から98年に発表された短編を集めたものなので、2022年に読むと連絡方法や雑な個人情報の扱いはかえって新鮮に思える。
※評価はすべて3にしています

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2022年07月25日

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書画骨董の古美術取引の詐欺を扱う短編集。
大阪弁もそこまで嫌味ではなくテンポ良く話が進む。これくらいならいい登場人物も分かり易い。
偽作の手口や真贋の見極め、古物商の気概など、リアルな描写が作品を支えている。

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2022年05月23日

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黒川博行の珍しい短編集。ほとんど詐欺のような美術雑誌の副編集長佐保を中心に、その周辺でのホンモノ・ニセモノの騙し騙されあい。

敦賀市に残る蔵に眠る芦屋の茶釜。そこに「初だし屋」と呼ばれるハイエナがごとき2人組が現れ、不用品の回収と称して、時価500万円とも言われる茶釜をだまし取っていく。その家族からの依頼で、二人組に復讐を計画する…。

短編ということもあり、特に最初の2本で「あ、本物やと思ってたら偽物やったという話か」と納得してしまいがちだが、3本目からは流石にそうはいかんのが黒川流。偽物とわかってからの二転三転を短い中に折り込む超ハイスピードな展開で、飽きさせないというよりは、ついていくのが精一杯な作品が続く。

あとがきに本人が大学時に美術を専攻していたということから、なかなかに背景などをよく調べてあるもんだという点は感心する。そういう調べたものが血肉になっている作品だからこその、文章の深みというものが感じられる辺りは大変よろしい。

ただ、ちょっとハイスピードすぎるんよね。図録の話はもう少しベースの知識を共有してほしかったし、同じような名前の登場人物(末永と末武など)が多すぎるのもちょっとしんどい。

また、黒川作品の魅力でもある、関西弁での会話文がかなり少なく短く、誰が喋ったかという点も省略されがち。物足りない。1冊2篇くらいの中編で良かったのではないかと思う。震災時の石膏像の話は、ちょっと中途半端。

ストーリーは一級だし、テーマやコンゲームのような展開も面白いので、おすすめの作品では有るが、短編で読みやすかろうと手にとって、黒川博行はこんなもんかいと判断されるのなら、他の作品から入られることをおすすめする。

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2019年09月11日

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内容(「BOOK」データベースより)

古美術でひと儲けをたくらむ男たちの騙しあいに容赦はない。入札目録の図版さしかえ、水墨画を薄く剥いで二枚にする相剥本、ブロンズ彫像の分割線のチェック、あらゆる手段を用いて贋作づくりに励む男たちの姿は、ある種感動的ともいえる。はたして「茶釜」に狸の足は生えるのか?古美術ミステリーの傑作。

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2018年10月22日

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3月-12。3.0点。
美術界の内情を描く、怪しげな短編集。
長編に繋がるらしいが、サラッと読んだ。

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2016年03月28日

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わぁー、これは面白い。
文福茶釜のタイトルに納得。

紹介文に古美術ミステリーと書いてありますが、そんな堅苦しい感じではなく
いい具合にトンチのきいた落語みたい。

骨董品の事をほぼ知らない私でもとても楽しんで読むことが出来ました。
作者はとても賢い人なのだろうなぁ。

他の作品も読んでみよう。

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2015年09月10日

Posted by ブクログ

古美術の贋作をテーマにした短編集。

物語に登場する男たち(美術雑誌の副編集者、表具師、美術ブローカー、初だし屋etc)は、とにかく欲の皮がつっぱった小悪人ばかり。

登場人物に善人がいないし、
騙した方も結局ババを引くようなオチが読めてくるので、
とにかく「関西弁で繰り広げられる腹の探りあい・騙しあい」と、
「次々と明かされる贋作作りの手口・薀蓄」を楽しむのが筋の作品です。

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2011年05月22日

Posted by ブクログ

『今日はきっちり二日酔いや。頭の中でコロポックルが踊ってますねん』

海千山千のわるうい奴しか出てこない。
知らない美術用語が乱発されるにも関わらず、つつつん、と楽に読めるのは大阪弁のなせる業でしょうか。知ってる地名がちょいちょいあるのも嬉し。

ミステリというより、スティングみたいな展開の小噺が5つ。

もっかい読むことはないと思うけど、おもろかったわぁ。

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2011年09月04日

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