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Posted by ブクログ
古美術品に絡めて、ひと儲けを企む海千山千の山師達が繰り広げる古美術ミステリの連作短編集。
舞台は関西。美術系出版社社員、古道具屋、表具屋、ブローカーと言った金の匂いに敏感な登場人物たちは悪徳業者ばっかりかといえばそうでもなく、読んでるうちに読者は彼らに味方してしまうのが不思議。活き活きとした関西弁の台詞は、ガツガツとした雰囲気もありながら人間味を感じる。そしてオチには思わずニヤリ。
黒川博行というとハードボイルドよりのミステリ作家という印象が強いのだが、美大を卒業して高校の美術教師というと経歴の持主だという。その経験を存分に活かした傑作だと思う。
Posted by ブクログ
黒川博行の珍しい短編集。ほとんど詐欺のような美術雑誌の副編集長佐保を中心に、その周辺でのホンモノ・ニセモノの騙し騙されあい。
敦賀市に残る蔵に眠る芦屋の茶釜。そこに「初だし屋」と呼ばれるハイエナがごとき2人組が現れ、不用品の回収と称して、時価500万円とも言われる茶釜をだまし取っていく。その家族からの依頼で、二人組に復讐を計画する…。
短編ということもあり、特に最初の2本で「あ、本物やと思ってたら偽物やったという話か」と納得してしまいがちだが、3本目からは流石にそうはいかんのが黒川流。偽物とわかってからの二転三転を短い中に折り込む超ハイスピードな展開で、飽きさせないというよりは、ついていくのが精一杯な作品が続く。
あとがきに本人が大学時に美術を専攻していたということから、なかなかに背景などをよく調べてあるもんだという点は感心する。そういう調べたものが血肉になっている作品だからこその、文章の深みというものが感じられる辺りは大変よろしい。
ただ、ちょっとハイスピードすぎるんよね。図録の話はもう少しベースの知識を共有してほしかったし、同じような名前の登場人物(末永と末武など)が多すぎるのもちょっとしんどい。
また、黒川作品の魅力でもある、関西弁での会話文がかなり少なく短く、誰が喋ったかという点も省略されがち。物足りない。1冊2篇くらいの中編で良かったのではないかと思う。震災時の石膏像の話は、ちょっと中途半端。
ストーリーは一級だし、テーマやコンゲームのような展開も面白いので、おすすめの作品では有るが、短編で読みやすかろうと手にとって、黒川博行はこんなもんかいと判断されるのなら、他の作品から入られることをおすすめする。
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