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江戸末期の浪漫譚
まず、歴史小説としては書き方が現代的であり、非常に読みやすいです。なので若い人でも十分に楽しめます。むしろ若い人向けといえる無いようです。
七夕の織姫と彦星を連想させるような、くノ一の織江と賢い変わり者の彦馬。お互い再会を願いながらも、くノ一という過酷な運命を背負って孤独に戦い続ける織江、それを一途に追い続ける彦馬。ロマンチックでもあり、ドラマチックでもあり、悲劇も喜劇もありの恋物語です。
そこに彦馬の上司でもある松浦静山のスケールの大きな野望が絡んでくるので、壮大な歴史小説ともなっています。
そして実在の人物である松浦静山と彼が実際に記した甲子夜話も、物語の重要な鍵となっており、これらへの興味も掻き立てられます。