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少しばかりのミステリーと腹を突き上げるようなホラーが入り混じった怪奇譚・幻想譚が7篇おさめられた短編集。どれもこれも不気味で、思わず目眩のするような気持ち悪さを感じる場面も少なくなかったが、それは作者の表現力によって読者が場面をありありとイメージさせられるからだろうと思う。目を背けたくなるのだが、続きが気になり目を背けられない、ホラーとはそういうものだと感じる部分があるため個人的にすごく大好きな小説に出会えた。
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怪奇・幻想的な作品を7編収録した短編集。
最も印象的な短編は「特別料理」
変わったものを食べることに喜びを感じる主人公とその妻が、"YUI"という料理屋の虜になっていく話です。
その中に出てくる料理名や解説が妙に生々しくそしてシュール、
想像するだけで気持ち悪くなるとともに、もはや笑えてきます(主人公がそうした食癖に目覚めたきっかけ、ミジンコ風味のチャーハン、カマキリ料理をめぐっての主人公と店員のちょっとしたやり取りなどなど)。
そして読み進めるほど料理のレベルが上がっていき、自分の中で徐々に不穏な感情が浮かんできます。これがミステリ的な伏線と共に明かされ、そしてラストに収束した時、一線を越えた人々の異常さと彼らの幸せそうな描写に震えました。
他の短編もミステリ的なトリックを使いつつ、見事な怪奇・幻想短編になっています。「再生」はその典型でトリックを見事に畸形への愛という美しさに昇華させた作品だと思います。
「呼子池の怪魚」もラストが美しく「人形」は読み終えたときの不思議な読み心地が印象的。
表題作「眼球奇譚」は作中に出てくるオブジェの描写や女性の執念が凄まじく、一ひねりも加えられていて大満足!
江戸川乱歩の短編を読んだときにも思ったのですが、こうしたジャンルの作品って、文学の本流からは外れている気がするのですが、完成度が高いと文学作品以上に美しく見えてくるのが不思議です。
そんなことを考えているうちに思いだしたのが「特別料理」の主人公夫妻。彼らは常識外の料理を食べることに喜びを見出します。それはこんなものを食べている、という一種の誇らしい感情と罪悪感が混ざり合った甘美なものらしいです。
料理で考えるとなかなか共感はできても理解はしにくい彼らの感情ですが、それを怪奇や幻想小説といった本流から外れた文学作品に夢中になる自分と重ね合わせると、
ほんの少し彼らの抱いた甘美な気持ちが理解できるような気がします。
ちなみにこの作品はコミカライズ化もされてるそうですね。表題作をどんなふうに書いているのかももちろん興味はありますが、
収録されているかどうかは知らないのですが「特別料理」がやっぱり一番気になるなあ。読みたいような、読みたくないような…
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久しぶりに、綾辻さんの本を読んだけど、やはり面白かった。
中でも、特別料理のインパクトがすごかった。
ずっと前に何かの拍子で読んだのに、題名や収録先が分からなかった。
でも、ふとしたことで、再会できた。
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作者が書きたいものを書いたという雰囲気が文体から沸々と伝わってきました。
いわゆる怪奇モノの短編集なのですが、『由伊』という女性(別人)が全ての作品に登場しており、それぞれの作品に関連性は無いのに、最後の『眼球奇譚』という作品の『由伊』の存在が、より枢要な存在に感じる不思議。
余談ですけど、戸川純の『眼球奇譚』という曲も好きです。
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何かに対する異常な愛をテーマに
「由伊」という女性とその関わりを描く
先日Rawというカニバリズムの映画を観たので
最近はこんなのばかりになった。
誰かの一部なのか、はたまた違う生物への愛なのか
愛ゆえの行動なのか。
艶かしくリアルな描写がキモいと言えばキモいけど、
これがまた癖になる。
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内容は少しグロめのことが多いかもしれないです。
場面場面の表現が生々しく、自分が体験したことも見たこともないけれど、すごく想像が出来ました。個人的にはぶっ飛んだ発想と豊かな表現が読んでいて面白かったです。
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世にも奇妙な物語のようなガチガチのホラーではないが、背筋がゾクッとする短編が収録された小説。
気持ち悪かったのはゲテモノ料理を提供するYUIという店に通うカップルの話。特別料理として寄生虫、人肉、最後には自分の指が提供されるという狂気。
タイトルにもなっている眼球綺譚も良かった。読んでください、夜中に一人での意味がよくわからなかったが、見事な伏線回収だと思った。
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まさに日本のホラーという感じの短編集だった。
作品を通して同じ名前の人物が登場するのだが、その人物は果たして同一人物なのか、全くの別人なのか、もう一つの可能性として並行世界の存在なのか、とも考えたが答えは出なかった。
いくつかの並行世界のその人物が影響を与え合い、その性質が集約されていったものが最後に位置する作品「眼球綺譚」に登場するその人のようにも思える。
不思議で怪奇的で猟奇的な、とてもおもしろい作品だった。
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どなたか(多分辻村深月さん。違ったらごめんなさい。)のエッセイに出てきてメモしておいた本。グロ・ホラー系だったのでちょっとびっくり。7つの短編からなる短編集。あとがきによると、綾辻さん初の短編集らしい。
由伊という人物がどの話にも出てくるけど、同一人物ではなさそう。
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7話の短編作品で、すべての作品に「由伊」という名の人物が出てきます。
綾辻行人のこだわりなのだろうか、すべてが同一人物ではなく、話により美しく、妖艶で、性格も年齢もそれぞれだ。
恋人や夫婦愛、親子愛、動食物愛。
眼球奇譚の中の一文、「お食べなさい。噛み砕いて、味わって、飲み込みなさい。消化して、吸収して、そして排泄しなさい。」ゾクゾクするが、身体の奥底も一体になれそうな快感と愛を想像してしまいました。
ホラーではなく、どれも独特の世界観の中の、美しく奇妙な愛の話と感じられました。
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とても不思議なお話がいくつか詰まっています。
綾辻行人先生の、「深泥丘奇談」が好きと言う方には積極的にお勧めしたいです。
不思議な話は読みたいけれど、意味がはっきりわからない話は読みたくない、と言う人にはあまりお勧めしません。
私は中でも「特別料理」の話が好きです。
読む前に戻ってもう一度お話に引き込まれたい気がします。
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初めの「再生」で度肝を抜かれ、その後も「盛りだくさん」な展開に目が回りました。何個か印象に残ったものを上げると、まず「特別料理」。題名と内容から想像するにほぼ間違いなくスタンリイ・エリンの小説を踏まえた一作です。最後の一文、最強のハッピーエンドのようで最恐のバッドエンドとも取れます。エッジのきいた、あとは何と言っても「再生」。形容しづらい気持ちの悪さ。同じ話をされるのにも、話し方によって印象が変わりますが、これはその語りが良い。短編一つ一つのレベルが高いだけでなく、短編集としても良いまとまり。満腹。
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綾辻さんの作品はどれも好き。
本作品は短編集になっているものの、由衣という人物の名前は一貫して登場するため、各作品は独立しておらず関連性があるのかと不思議な気持ちになる。
脳内変換される映像がどれもグロテスクだが、
特別料理という作品は、読み進めるにつれて昆虫系が出てきて想像するのが辛くなった、、、笑
どんどん読みたくなる文章なので、一気に読めます。
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静かな狂気に彩られた七つのホラー、幻想怪奇譚。全編通して非常によい出来で楽しめました。
綾辻さんらしく伏線やオチがしっかり作り込まれているのが特徴でしょうか。上手さが目立つ反面、怖さは今ひとつとも感じました。
印象的なのは「再生」と「特別料理」、好きなのは「呼子池の怪魚」ですね。
以下、個々の感想
「再生」身体を切られても再生する体質の女性とその旦那の話。オチもきれいでよくまとまってますね。ラストはまあグロいといえばグロいか。旦那の最後の最後の行動が印象に残ってる。
「呼子池の怪魚」一番好き。子供が出来ないことに悩む妻は、夫が釣ってきた奇妙な魚を育てるのに夢中になる。不安を煽りつつもラストは爽やかでほっとした。ホラーというよりファンタジー色が強いですね。
「特別料理」最高に悪趣味。話はシンプルなんですけど、もっていきかた、読ませかたが上手いなぁと。
「バースデー・プレゼント」誕生日の悪夢。他と少し趣が異なる作品。正直よくわからないが雰囲気はなかなかよい。
「鉄橋」怪談話をしていたら…上手くまとまってますが印象は薄いかな。
「人形」驚くような部分はないですが、一番寒々しい怖さを感じました。これも好きです。
「眼球綺譚」ちょっと長めの表題作。綾辻さんらしい構成と仕掛けでしたね。
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ホラー短編集だけど女性の名前が共通してるのが面白い。
奇想だけどシンプルで読みやすい話が多い。「特別料理」の気持ち悪さは映像化は出来ないだろうけどやって欲しい。
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少しずつ少しずつ、訳の分からない奇怪な世界に引き摺りこまれるような感じでした。あとがきで綾辻先生がおっしゃるように「謎→解決」の構図で作られたホラーなので、ひとつの作品を読み終えるとそしたらあれってこういうことなのかというわかるけどゾワッとする感覚がすごいです。風間さんの解説も読み応えがあり、その視点で本書を振り返るとなるほどそういう見方もあるのか……と別の楽しみが見いだせてよかったです。
個人的に表題作の眼球綺譚が本当に騙された…と強く感じ入りました。
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ホラーであり、世にも奇妙な物語のよう。スターシステム的に存在する「由伊」を軸に時空が捻じ曲がって繋がる、つまり理屈で説明できない何か繋がりがある短編集。でも、結末が全て恐怖で終わるわけではない。特に好きなのは「呼子池の怪魚」。これがほんとに祝福と生誕の奇跡。ただ「特別料理」は苦手。最後に、何故急にそんなことを言いだしたのか。嫌な想像(その子供を……)をして恐くなった。そうではないと願いたい。「人形」のループ感も面白かったけど、「バースデー・プレゼント」と「鉄橋」は結末がよく分からなかった。奇妙
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ちょっとグロやホラーが入った系のお話。
毎話何かしらミステリーっぽさが入ってはいるのだが、それらはおまけかな。個人的には「特別料理」のゲテモノ食いの話の描写が凄く良くできていて、読んでいてなんとも言えない気分になった。こういうの苦手なんだけれども、なんか読んでしまったみたいな。
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由伊を巡る様々な短編集。
自分は嫌な気持ちになれる小説が好きなので割と好みに感じた。
特に最初の再生する由伊と、ゲテモノ好きが高じて自分を食べてしまった話が良かった!
愛の狂気と狂気ゆえの愛どちらも楽しめた。
尚、自分を食べる事をオートカニバリズムと言うらしい
人が考える事は多くの場合実現されていることが多いが少し検索するだけで色々出てくる。
事実は小説よりも奇なり……
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綾辻行人氏の初めての短編集、怪奇幻想短編小説を7篇収録。
全篇を通して「咲谷由伊」という女性が登場するが同一人物では無さそうだ。しかしあとがきで綾辻氏は「普通に読めば彼女らが同一人物だとはとうてい考えられないはずである。」とあるが、読み方によっては違う考え方があるのかもしれない。
おどろおどろしい不気味な物語に引き込まれ背筋がゾクゾクする。「再生」は最後にハッとさせられ、「呼子池の怪魚」ではホッとさせられた。「特別料理」ではゾワゾワが止まらない。ホラーは苦手だが、程よい怪奇幻想作品集。
★★★✩✩ 3.0
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気色わる〜!
タイトルが気になって読んだけど、結構、グロいのある〜!
ホラーにミステリーテイストが付いてる感じ。
短編7編、全部のストーリーにユイがててくる。どういう意味かは、読者が考えて欲しいとの事。
で、私には分からん(涙)
特に『特別料理』が…こんな美味しいそうな料理が食べれるなんて!多分、食べたら…私なら…((((;゚Д゚)))))))
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再読。短編集。昔読んだ時は読書初心者ということもあってどの話も興味深く読めたものだが、いま改めて読んでみると現在では似たような話が氾濫しているからか今更感が強かった。この作品が発表された当時に読めていたらその時はもっとぶっ飛んだ感想を抱けていたんだろうなぁ。一番好きなのはやっぱり「再生」かな。
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最近エリンの特別料理を読んだので、読みたくなった。多分10年以上前に一度読んだ事がある。
全体的に陰鬱でよい。なんていうか、記述されてる内容に関係なく、どんよりした曇りの日とか湿度の高い寝苦しい夜みたいな空気がずっとあって、不安感や不快感がある。
あと解説がうるさい。
Posted by ブクログ
ちょっとグロめの短編集。
特に、「特別料理」の気持ち悪さは圧巻です。ちょっと妻がアホすぎないかという気はするけれども。雫井侑介さんと同じく、文章に変なクセがないので読みやすいです。
Posted by ブクログ
小品を集めたものという感じ。
「人形」「眼球綺譚」あたりはよかったが。
綾辻氏の作品は確かに輝いていたが、最近はこちらの問題か、あまり感じられない。
地の文を二層にする、というか、異なる層の語りを入れ込む、というお得意の方法も、多少「安っぽさ」を感じさせる。
ここぞ! というときに使用を絞ってほしいところ。
ただし、この人の持つ美学(ホラー、メルヘン、センチメンタル)には大いに共感できる。
Posted by ブクログ
前3編のテンポの良さにのめり込み、その後3編に少し物足りなさを感じてたら、最終話にて、なんとも言えない後味の悪さ。たしかにミステリーとも違うし、ホラーとも違う。作者の思う通り、怪奇、幻想という言葉が一番しっくりくる。
Posted by ブクログ
なんというか、ど真ん中3の評価しか付けられない作品だと思う。
呼子池の怪魚みたいな短編があと四つも並べば、名作と呼べたのかもしれないけど、あれ以外は取り立てて面白い作品だとは思えなかった。怪談としても幻想綺譚としても弱い。
Posted by ブクログ
綾辻さんのホラーはやっぱり面白いけど怖い。
「特別料理」のハードル高すぎた!
これは読んじゃいけないやつや!!
読み終えるのしんどかったー!
由伊さん、凄く美人らしいので、本当に凄い美人を思い描きながら読みました。しかしハッピーエンドは一つもなかったけどw
たまにこういうの読むと楽しいね!
後味悪いのがまた良い!
次は「フリークス」を読もうかな。