【感想・ネタバレ】家族喰い――尼崎連続変死事件の真相のレビュー

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Posted by ブクログ

【もし悪魔という存在を具現化するとしたら,それは一目見てわかる邪悪な顔ではなく,このような屈託のない顔をしているだろう】(文中より引用)

家族間での殺害といった特異な手法により,日本中を震撼させることになった尼崎連続変死事件。留置所内で自殺した角田美代子の生い立ちをたどりながら,いかにしてこの凄惨な事件が引き起こされたかに迫るノンフィクション。著者は,事件及び戦場ルポで高い評価を得る小野一光。

ここまで読者を絶句させる作品も珍しいのではないでしょうか。見知らぬ家族の中に文字通り巣喰い,金と命と尊厳を巻き上げられるだけ巻き上げていくその行為に,恐怖以上の何かを感じました。数ある事件ノンフィクションの中でも出色の一冊です。

読んだ後にドッと疲労感に襲われます☆5つ

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2019年09月04日

Posted by ブクログ

我々の記憶に新しい、被疑者自殺で全貌解明が絶望的となった“尼崎連続変死事件”。その真相に迫った執念のルポ。

マスコミが挙って報道した事件当時、被害者の数も逮捕者の数も多く、またその殆どが“1人の女を介した親戚関係”にあるという、とんでもない事件だったのは記憶していたものの、新聞などで人物相関図を見たらとてつもなくややこしかったので読むのを放棄していた一冊。
いや、もっと早くに読めば良かったです。
この事件より10年ほど前に、北九州監禁殺人事件があり、これも1人の人物による親類への洗脳、監禁、暴行、殺人であったことを思い出した。
角田美代子のような怪物がどのようにして生まれたのか、なんとなくわかった気になった。
読めば読むほど、警察への不甲斐なさ(民事不介入を理由に相談に行っても対応してくれず、最後には角田美代子の自殺も止められず)を感じてしまった。

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2019年08月29日

Posted by ブクログ

恐ろしすぎる。家族を人質に取られ、暴力で支配された人間は家族をも傷つけるのか…
これが21世紀の事件ということが信じられない。警察は忙しいのかもしれないけど、こういう事件を見過ごしてきたということは罪深いし、責任を誰も取っていないというのも腹立たしい。

自分がこういう事に巻き込まれた時に家族を守れるんだろうか。自分は大丈夫と思っていても、身内や知り合いから飛び火してくることもあるので、弁護士の知り合いを何人か見つけておきたいところである

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2018年09月01日

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主犯である角田美代子が留置所で自殺し、犯罪が被害者のプライバシーに深く関わることから、報道が停止してしまった尼崎連続殺人事件のルポ。

この事件の異常性は角田美代子を長とする家族グループが他人家族の住居に押しかけ、その家族を丸ごと監禁状態にして、自らの支配下においてしまう点だ。支配の方法は弱みを握ったり、子どもを手懐けたりと、様々。警察に告発しても、警察は家族間の争いには関わろうとしない。

支配された家族は家族同士で殴り合い、告げ口し合う。そして、不動産売却や退職金、サラ金などで得た金を角田美代子に貢ぐ。やがて、金も尽き、家族間の争いもエスカレートした結果、衰弱した者から亡くなっていく。その間、角田美代子は直接暴力を振るうことはなく、話術や仲間の指示によって家族間を相互不信にするようにコントロールする

他人家族に寄生し、財産を吸い尽くし、それが尽きればまた次のターゲットを探す。そんな「家族喰い」を職にして、10数年間生計を立てていた角田ファミリーは常識では理解し難い。

本書を読むと、どうしても比べてしまうのが「消された一家―北九州・連続監禁殺人事件」での事件。両事件とも、家族を軟禁状態にしてカネを貢がせ、殺人にまで発展した事件だ。家族の絆というのは、悪人から見るとメシの種になるのだな。

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2014年12月23日

購入済み

かなしい事件

お金と暴力によって、多くの一族を崩壊させ、命が失われた。これは日本人の家族や一族への強い連帯感(悪くいえば世間体)をうまく利用したほんとうに可哀想な事件だった。
もちろん警察がどこまで介入できるか?という問題もあるが、悲しい事件としかいいようがない。
ただ、おな助ような境遇の人がまだいるのではという締めくくりに社会の歪みを感じずにはいられない。

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2014年06月21日

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とりあえず人物関係図見て下さい。どんな大河小説にも勝てるよこの奇っ怪さ。
「脳が殺す」の、被虐待経験と精神疾患が殺人鬼を生む論をちらりと思い出したり。ただ角田美代子は自分で殺さないし、殺すのが目的じゃないから違うのだけど…でもネグレクトで被暴力な中で育てば素養はあろう。愛着に多大な問題があるのだろうね。人格障害に近いのかもしれない。そのへんの原因を追究できなかったのは本当にもう…中で散々語られてるけど言わせて下さい。兵庫県警。呆れる。すべてがなんつーかもう…抑止する気があるならこんな顛末にはならないよ。
総じて、ルポとしての語り口はあまり肌に合わなかったし凄惨すぎて読み苦しかったけど、悪を知ることができたこと、そして何よりこんな悲痛を語ってくれた方のために読みました。ありがとうございました。

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2016年01月22日

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犯人の生い立ちを知り、寂しい人なんだと思った。ニュースでしか知らなかったこの事件、この本を読んで人間味が増した。犯罪者の心理をもっと知りたくなった。

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2023年03月31日

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尼崎連続変死事件のルポ。この本を読むまで、ここまで人間関係が複雑だとは思わなかったし、いくら美代子に脅されたとしても、大の大人が本当の家族に対して、暴行を加えたりするようになるなんて考えたくもない。また被害者達が警察に訴えても、「民事不介入」と言って取り合ってもらえないなんて、一体どこにすがればいいんだろう。もっと早くに警察が動いていれば、こんなに多くの犠牲者が出ることもなかったんじゃないかと思うといたたまれない。「仲間だって残っとるし、同じようなんはなんぼでもおるんやから…」という最後の言葉は恐ろしい。

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

ネット等では載ってない事件の詳細や、美代子の過去の事などもたくさん載っており勉強になった。家系図は複雑すぎて、結局のところ最後まで全ては理解できなかった。美代子の生い立ちは両親にあまり構ってもらえないという、かわいそうなものであったが、それを理由に罪のない人を傷つけ追い込み殺してもいい理由にはならない。恵まれない過去があったとして、そこからどうするかというのは、その人次第だと思った。本当に異常な事。少し思ったのは著者の方は熱血型で、情がふかそう。著者の方の主観が少し強い感じがしましたので、読む時は注意してください。

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2020年05月06日

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ここ日本では、俺みたいにのほほんとした日常を過ごしている人が大多数だろうけど、こんな荒んだ闇と地獄の日常を過ごしている人がいるということに戦慄を覚える。
それにしても民事不介入。わかっちゃいるけど、もうちょっと何とかならんのか。

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2018年10月17日

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恐かった。怖ろしかった。「事実は小説よりも奇なり」と言うけれど、確かに普通の人間であれば考えつかない残酷な事件だ。鬼畜の所業とはこのことを言うのだろう。フィクションにありがちな硬さやまどろっこしさはなく、なかなかの筆力で小説のようにスラスラ読めてしまった。そして小説よりも胸にズシンと来た。インパクトが強すぎる。さてこの本から得た教訓は、警察はアテにならないと言うこと。また自分たちだけで解決しようとせず早い段階で弁護士などに相談するのが得策だと思った。

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2017年01月05日

Posted by ブクログ

わたしは今慄然としている。少なくとも10人以上の連続変死事件が起きたこの尼崎事件の内容を読めば読むほど、わたしが事件を知るキッカケになった北九州監禁連続殺人事件との関連性があぶり出されるのである。北九州は7人の死者を出している。ただ、わたしが気に入らないのは、主犯角田美代子の自殺を隠れ蓑にして、角田ファミリーの7人が、果たして強制されて殺人したのか、或いは進んで自らの親族を殺したのかわからないことだ。その全容の解明がまだ明らかにされていないまま、どうやら次々と結審しているらしいことだ。

この本は、尼崎事件について書かれた詳しいルポの中の一冊である。それでも著者の認めている通り、事件の全容は不明のままだし、角田美代子の生い立ちは分かっても、彼女の人心コントロール方法はヒントぐらいしか書かれていない。読んだあとは、わたしは北九州事件のように裁判で明らかにするのだと思っていた。しかし、少しネットでググると兵庫の検察も裁判所も、兵庫県警や香川県警の失態を隠すかのように早々と幕引きを図ったようだ。それを汲んでか、ほとんどの容疑者が控訴しなかった。もしかしたら、もっと大きな闇が隠されているのかもしれない。

わたしがこのワイドショーネタのような事件に興味を持ったのは、遺族には申し訳ないが被害者に対する義憤からではない。このような、親族が親族を殺すような、しかも連続殺人をする人間の「システム」に興味があるからである。

北九州事件は、究極のマインドコントロールだったと思う。密室性、絶対的な権力者、通電による思考能力をなくさせる環境、それぞれを疑心暗鬼にさせ密告を奨励し孤立化させる仕組み、罪の意識の植え付けと殺人に無感覚になる価値観の変換。小さな綻びで事件は表面化したが、ひとつ間違えれば永遠に事件化されなかった可能性もある。一方尼崎事件は、被害者並びに被害親族が倍化しているし、容疑者も多くなり、「民事不介入」という新たな技も使っているという「新味」もある。しかし、全ての家族が何回も脱走していて、北九州のような徹底的なマインドコントロールではなかったのは明らかである。だから、いつかは事件は表面化したと思う。

わたしが空恐ろしく思うのは、徹底していなくても、子供が親を殺し、親族が姪を殺すような殺人が、この「密室性、絶対権力、環境、孤立化、価値観の変換」というシステムでは可能だったということだ。

わたしの問題意識は何処にあるか。そうです、これは戦時における「兵士の作り方」と同じだと思うのである。教育基本法の改悪、秘密保護法の成立、そして教師の政治活動の密告を奨励するような現政権のもとでは、この本にあるように価値観の変換が起こり、「戦時環境下」での「敵を殺す」事をなんとも思わない時代が来ないとも限らない。いくつかの条件が揃うと、人間という者は「やってしまう」のだ。わたしはホントに身の毛がよだつ想いだ。

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2016年08月24日

Posted by ブクログ

直接そのものを書くんじゃなくて、読み手にこう思わせたいんだろうなーこういう印象を抱かせたいんだろうなー的な技法がちょいちょい目につくものの、なかなか読みごたえのある一冊。

あと、事件発覚逮捕&みょーこちゃん自殺から、もうこんな年月が経ってるのか。他人事ゆえの忘却力って怖いなー。余りに荒唐無稽で、彼岸の出来事にしか思えへんもんなー。なんなら、お隣さんの家族構成なんか、知らんし。

めっちゃクリーピー。

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2016年07月31日

Posted by ブクログ

★角田美代子がみせた「民事不介入」と「集団心理」の闇

尼崎連続変死事件のルポ。ルポライターの著者が、手探りで事件の情報を集め断片がどんどん繋がる形で話が展開するので、臨場感はあるが、解釈や学術的な観点はない。ルポなので当然と言えば当然だが、期待していた部分もあったので少し残念。
主犯格である角田美代子を中心にした家系図、すなわち親族の誰がどう関係して誰が誰を殺したのか、を整理して説明されているのが良い。この事件は、それが複雑すぎてその闇の深さがなかなか見えない側面があるが、この本を読むことで家系図がある程度頭に入った状態になるので、話を読み進めたり他の記事を見るとさらに理解が深まりやすくなる。

読んでいると、角田の直感的な「他人の足元を見る才能」をビシバシ感じる。おそらく、角田は考えてこの方法を編み出したのではない。

警察に何度かお世話になりながら、本能的に警察がどこまで自分が起こす問題に介入し、介入できないのかを掴んできたのだろう。いわゆる「民事不介入」だ。
最近DV法などが出てきてはいるが、それでも未だに家族・親族間の問題に対しては司法も行政(警察)も<役に立たない>ということは、この国の殺人事件の半数以上家族・親族間のものであるということが証明している。強い絆が生み出すのは愛だけではない。愛は憎しみと両輪だ。そういう意味で、ストーカー法も同じだ。ここ数年でこの手の法律が立て続けに出てきたということが、この「民事不介入」の闇に飲み込まれ犠牲になってきた人間が今までいかに多かったのかを象徴している。

警察に対する直感と同じように、自分以外の人間をどのように自由にし服従させるのかも本能的に学んだのだろう。どこまで踏み込み、どこまで自由にすれば、どんな風に自分の都合の良いように操れる人間に「教育」できるか。角田の用いた相手を徹底的に恐怖と緩和で服従させる人心掌握術は、ミルグリム実験で証明された人間の本質的な心理を、巧妙に利用している。しかし、彼女は集団心理学を学び論理的に戦術としてそれを取り入れたのではないだろう。

「家族」と聞いて思い描くイメージ。世の中には「家族」や「絆」という言葉に対して良いイメージを持つ人が、想像以上に多いと感じる。そういう人には、角田やこの事件は理解できないものなのかもしれない。
「民事不介入」という恐さを身をもって経験しているか否かは、この事件の恐怖を理解する上である程度必要な素養なのかもしれない。家族・親族間でなくても良いが、どうやら「民事不介入」と直面した時にようやく人は「社会は自分を守ってくれるわけではない」という重大な真実に気が付くらしい。非常に愚かだが、この感覚は犯罪に関するルポを読みく際には役立つ。

格差は、産まれた時から始まっている。どんな場所に、どんな家庭に、どんな身体と能力を持って産まれるか。角田は、自分がうまれたその場所で、最低な方向に才能を開花させたのだろう。いや、劣悪な環境の中だからこそ開花した才能なのかもしれない。その才能で、彼女は本当に恐ろしい事実に辿り着いたのだ。「最も効率の良く安全な金の儲け方は、家族や親戚からむしり取ること」だと。

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2016年06月12日

Posted by ブクログ

虚しい、本当に。
美代子が自殺して終わってしまってるなんてな…。
どれだけこの事件が解明されるのか。

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2015年12月02日

Posted by ブクログ

尼崎連続変死事件がどのように起こったのかを時系列ではなく、筆者視点で追うノンフィクションです。
筆者の事実が徐々に明らかになっていきますが、主犯とされる角田美代子の心理は結局闇の中で終わります。
ボクら一般人が凶悪犯罪の心理を知る目的は、単なる好奇心でしかないので、この事件をモデルとした小説を期待しています。

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2015年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フィクションのエンタメもや純文学も好きなんだけど、
ノンフィクションも好きなんだよね。
東電OLや婚活殺人、
オンナが起こした事件が、あたしは特に気になるのだ。
「ホラー小説も逃げ出すくらいの気味の悪い本だった!」と
百田尚樹が帯によせているが、まさにその通り。
鬼畜の所業としか思えない。

何十年も平和に生きて暮らしてきた家族が
あっという間に他者に破壊され、駆逐され、
乗っ取られていく。
小説でもこんな陰惨な話なかったことだろう。
つまり、本来の情を持つ人間には
思いもよらない恐ろしいことばかり。
婚姻や養子縁組で縁戚関係になっている人たちとの
トラブルは
『民事不介入』といって警察は助けてくれないそうだ。。。
恐ろしい。。。
恐ろしすぎて結婚なんてできない。。
惚れた相手すらほんとうに正しい人間かもわからないのに
その遠縁すべてをたどって全員が
まっしろな人間だって言い切れる?

だってここに出てきてこなごなにされた人々は、
あたしのように毎日、
めんどくさいなあと思いながらも会社に行って、働いて、
そんな人々のはずだ。

やっぱり他人と関わるのはコワいわあ・・・

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2015年02月09日

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どうして誰も抵抗しなかったのだろう、という当初の感想は、茉莉子さんの様に反抗した者は殺され、それを間近で見て抗えなくなった人たちが残っただけだと理解して、戦慄した。自分の周りでは想像できない濃密な人間関係、他人の家にもズカズカと上がり込むような近所付き合いは、確かにそういう慣習が残る地域もあり、こういった犯罪を生む素地になっていることが、丁寧に地元に密着した取材からも読み取れた。長大で複雑な人物相関だが、家族間で起きたこの事件の主犯である角田美代子とは誰一人血縁関係に無いという事実は、この女がいかに巧妙に家族に入り込み、寄生し、滅ぼしていったかを物語る。その力に対しあまりにも脆くバラバラにされていった家族の絆は、血のつながりによる信頼関係の脆弱さを思い知らされた。

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2014年09月15日

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ネタバレ

先日の「モンスター」と違い、取材したまんまの書き方。結局背後にはヤクザがいた、みたいな書かれ方で、こないだのと一緒じゃないかと思う。「モンスター」の方が早く出版されたんだっけ。この人は自殺は家族に裏切られたから説をとってるけど。連載してたからか、残酷なのは少な目に書いてあるけど、ほんと切ない。角田美代子だけでなく、警察の怠慢をもっと怒るべきではないか。この家庭内には入りません、っていうの、何とかならんもんかね。ていうか、児童虐待とかで警察も入ってくれるようになったんじゃないのか、2000年代には。裁判とかどうなってんだろうな。ほんと美代子が死んだら、全然やらなくなった。情報がないのか。結局、家族が人質に取られていようと、警察を呼ぶなり断固拒否する態度を示すことが大事なのだ。親族会議なんてしちゃならん。

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2014年08月10日

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主犯の美代子は子供の頃からネグレクトの中で育った。
現在服役中の実弟も、彼女と同じく非常に暴力的なことから、
おそらく暴力は日常的だったのだろう。
誰にも愛されない孤独な寂しさと不条理な暴力が、人間形成に大きく作用し、
負の感情だけがとてつもなく増殖してしまったようだ。

乗り込んだ家の子供を引き取る際、
不当な暴力に立ち向かえない情けない親の姿を見せつけ、
親への失望を子供の心に植え付け、互いに殴り合いを命じる。
このやり口は、子供の頃自分が感じた辛さを同じように体感させることで、
自分の気持ちを誰かに解って欲しかったのではないか?
そして優しさを装い手なずけて、ファミリーに加えた後は絶対的な忠誠を求めた。

彼女をよく知る人は口を揃えて、「本当は寂しがりや」だと言うそうだ。
留置場で同房だった30代の女性には、気持ち悪いほど甘えたらしい。

これは勝手な推測であり、もとより弁護する気など毛頭ないが、
美代子の心に空いた底なしの穴のような寂寥と、家族に対する狂おしいほどの渇望が、
この事件の根源ではないだろうか。
自殺という卑怯な手段で全てから逃げたことが、
弱く憐れな本当の彼女を物語っているように思った。

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2015年01月13日

Posted by ブクログ

こわいこわいこわい。
ひとりのなんでもない中年女性がどうして、何人もの人を死に追いやり身内を死に追いやったのか。
時間をかけてひとりひとり糸をつなぐように聞き出していった。
人物相関図を見ても結局よく把握できなかった。家族が全滅していたり、逮捕と死亡が絡まりめちゃくちゃになっていた。

彼女が自殺してはいおしまい、ではなく、類似した組織があちこちにあるような記述が一番怖かった。

まったく関係なくても、ある日突然そうなってしまって、しかも警察は助けてくれない、となると結局どうしたらよかったんだろう。

負の連鎖は断ち切れないのかな、救いは、ないのかな。

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2020年08月18日

Posted by ブクログ

生まれ育った環境や境遇は、人の価値観や人格を形成するのに少なからず影響を及ぼすのだろうとは思うが、私には角田美代子という人物が全く理解できなかった。
でも、確実にこういう人間が存在していた、もしかすると今もどこかにいるのかもしれないと思うと恐怖しか感じない。

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2019年03月06日

Posted by ブクログ

尼崎連続変死事件のルポルタージュ。
あの事件は当時TVの報道で見て、かなり衝撃を受けた。マンションのベランダに設置された「監禁小屋」はまだ記憶に新しい。今回この本で詳しく内容を知って、その異常さに改めて戦慄した。戦後まもなくの時代とかではなく、これがごく最近の出来事だということに驚く。
推理小説なら投げ出しているレベルで人物相関図がややこしい。身内や関係ない人をも巻き込んで、角田美代子という一人のおばさんが、暴力と洗脳でこんなに人を支配してしまえるものなのか。茉莉子さんや猪俣光江さんなど、救える命もあっただけに、警察が民事不介入ということで周りの訴えをことごとく無視していたことに怒りを覚える。角田美代子はその尋常ならざる洞察力と人を操るすべを、会社経営とかもっと正当なことに使えなかったのだろうか…。

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2018年08月12日

Posted by ブクログ

余罪あるなぁ‥。
これだけ?やないんだろう。
だって64年やもんね。


民事不介入‥、
殴られるんが他人なら、動いてくれるん?
身内がろくでなしなら、仕方ない。
殺されてもあきらめよう、なのか。
なんじゃそりゃ。

脅されて、庇って、黙るん 当たり前やろ。
忖度せい。
変えろ、法律。

イラつきました。

環境、大事やね。子供は保護して。
ダメな親からは離したげて。
加害者は、被害者でもあるから。

怒りが込み上げる。

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2017年08月16日

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こんな事件なんで起こるの?
何人も殺されてるのに、警察はどうなってるんでしょう。
角田美代子も恐ろしいけど
角田瑠衣も怖いな、まったく理解できない。

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2016年09月21日

Posted by ブクログ

20140112
どうしてこんなひどいことが、できてしまうのか知りたくて読んだ。元を正せば、美代子の親がひどく、さらにひどくなってしまったのが、美代子だと思った。救えた命があったことが本当に悲しい。家族内で殴り合いをできてしまう精神状態は誰にも理解できないほど、つらいことなのだろう。そして、川村大江さんたちがそうだったように、いつ誰にふりかかるかわからないことが、怖くて仕方なかった。本としては少しわかりづらかったけど、仕方ないのかな、

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2015年01月13日

Posted by ブクログ

美代子の暴力団まがいの支配も恐ろしいが、助けを求めてきた人々を見殺しにした兵庫県警の反省が全く見られないのがもっと恐ろしい。

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2015年01月05日

Posted by ブクログ

こういう事件で本を読んでもわからないのは、なぜ角田美代子のようなおばさんにみんな言いなりになるのか?よほど言葉巧みなのか?もともとの家族ならいざ知らず苦情の相手をしたひとまでが丸め込まれて被害者になっている。それと本書を読んだ人なら警察の対応に対しても腹が立つと思う。

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2015年01月03日

Posted by ブクログ

確実に気分が悪くなるので、薄目で読んだ。
目を瞑りたいけど、知りたいし、知らねば。
虚構より現実のがキツイ。「モンスター」も読むか…

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2014年10月15日

Posted by ブクログ

あまりにも事件が入り組んでいて、初めは読むのを諦めようかと思ったほど。。
美代子の息子が二人とも実子ではないのにビックリ。
うーん・・・読んでて殺伐としてくるこの事件・・・。
警察ももう少し、早めに介入してほしいと思った。。
まりこさんとか、助けようと思ったら助かった人がたくさんいたと思う。家族同士の争いは入らない・・・ではなく変なババアがそばにいるんだから・・・もうすこし
どうにかならなかったのかなあ・・・。

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2014年09月17日

Posted by ブクログ

角田美代子容疑者に関しては、なぜこれだけ大勢の人物がいて、誰も抗うことができず、洗脳に近い形で言うなりになっていたのか疑問に思う。
家族に対しての監禁、暴行、死体遺棄など、普通の神経ではとうていできないはずである。
そこまで、人を変えてしまう何かとはいったい何なのだろう。
民事不介入で、どんなに訴えても警察が全く相手にしてくれなかったら、いったいどこに救いの手を求めたら良いのだろうか。
このような凄惨な事件を起こした美代子容疑者ではあるが、留置生活では、鬼畜とは違った、人恋しい寂しがりの面も見せる。
生まれながらにしての悪人はいないはずで、何が角田美代子をここまで変えたのだろうか。

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2014年09月06日

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