【感想・ネタバレ】足の裏に影はあるか?ないか? : 哲学随想のレビュー

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Posted by ブクログ

かなり充実したエッセイであった。 
『私たち』に外はない
足の裏に影はあるか?ないか?
無関係という関係
あらかじめ失われた
一回性と反復

メタについて考えるかなりたくさんの題材が眠っていた。
ないよりもっとない。ある人にとってない人はないことが分かる。1番目はすでに2番目…本当に面白かった。

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2020年08月08日

Posted by ブクログ

 哲学者入不二基義氏による初のエッセイ集である。既刊の序文を中心に構成された第ⅰ部、時間論的な哲学エッセイを集めた第ⅱ部、時事ネタを含む日常的エッセイの第ⅲ部、そして付録のプロレス論、どこから読んでも入不二哲学の魅力に触れることができる。
 同氏の既刊書はよくもあしくも本格的な哲学書がほとんどだったため、その分かりやすさとは裏腹に一般読者にとっては不当に馴染みの薄い哲学者であったが、本人をして「こういう本をずっと書きたいと思ってきた」と言わしめた本書は、読者を選ばぬ読みやすさと哲学ファンをも納得させる深さを兼ね備えた好著となった。
 個人的には第ⅱ部の書き下ろし三篇が最も刺激的であり眩暈すら覚えた。普段何気なく見過ごしている常識が入不二製の哲学メスによって解剖されてゆくさまは芸術的ですらあり、少なくとも表現力においては3N(中島義道・永井均・野矢茂樹)を凌いでいるのではないかと思われる。付録のプロレス論は再録であるが、独創性はもちろんのこと後に開花する入不二哲学の萌芽が見られ興味深い。
 松田行正氏の手による装丁も地味でありながら挑発的であり、「無さ」にこだわる入不二哲学を具現しているかのようである。入不二哲学のみならず哲学そのものの入口へと誘ってくれる本書は、一人でも多くの人に読んでもらいたい一冊である。

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2019年07月09日

Posted by ブクログ

日常のモチーフを徹底的に考察し、自然に哲学の世界にいざなってくれる本。平易にして難解、穏やかながら問題提起もある。全編豊かな情緒に満ちている。

かつてぼんやりと空想にふけっていた自分。今でも歳のわりに何事も上手く流せずいちいち引っかかりあまり生き方上手でない人間なもので、こういう本は知のストレス解消になる。

(蔵書につき引用省略)

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2018年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

哲学書とはいえ、内容はエッセイなので取り付きやすい。
ただ入り口はそうであっても、さすがは哲学家、そこから施策の迷宮に彷徨うことになる。
書いてある文章は読めるし分かるが、内容は複雑で理解できないところもある。しかし一方で、今まで自分が感じていながら表現(説明)出来ないことが見事に論理的に説明されてスッキリするところもある。
このレベルであれば、もう少し楽しんでみたい。

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2016年02月14日

Posted by ブクログ

哲学での旅
足の裏に影はあるのか?
平等な競争とは何か?
未来はやってくるのか?

日常ではあまり考えることのないことを考える。
先の一問目は、あるというのもないというのも正解だがないということにも二つの言葉があって......。
と終わりを見ない。
二問目は、平等というものを押し進めていくと、そもそも競争など必要ないではないか、という答えに繋がり、競争を競争として成り立たせるためには、些末な不平等はないものとして扱う、ということになる。
しかしそのどこまでが些末な不平等なのか、ということにまで考えを及ぼすと、やはりこれも万人がな得する終着点は見えない。
三問目も大変興味深い。
未来はやってくるでしょ、と私たちが信じていることが正しくないとしたら?
詳しくは本書に任せるとして、「やって来ないということに、未来としての未来の核心がある」というのは目から鱗の思考だ。

この他にも、プロレスであったりラブレターであったり、決して珍しくはないものから哲学の世界が広がっていく。
面白いのがゲームの話で、公務員試験ではおなじみの「数的推理」に登場する問題だ。
ABCの三人が赤と白の帽子をそれぞれかぶって階段にたっており、それぞれ正面を向いている。
一人ずつ聞いていくとわかったと答えるものがいた。
一体誰が何色の帽子をかぶっているか?
というもの。
これがまさか哲学に繋がるとは!

思考実験ではあるが、脳内で起きる不思議な旅が味わえる。
刺激的な一冊だ。

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2015年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

エッセイ集。付録のプロレス論が面白かった。なぜこれを「負の業績」と言ったのか、入不二先生の指導教官や先輩方にお伺いしたい。

「八百長」「ほんとうの強さ」という言葉は安易に使われる。スポーツライターは全員読め。

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2011年03月03日

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2010年度名古屋大学入試問題に出題されている。

すべての二項を無意味化してしまう。そこには、何モノでもない、ただ何かが存在しているだけ。常に内側は外側に従属しているし、外側は内側に規定されている。マトリョーシカの内側にも外側になれる。物事のある部分をマクロ的に見ると、すべての枠組みは無くなる。村上春樹風に言うと、「その偶然は必然だ」というところだろうか?

個人的には予備校講師の「ルサンチマン」のくだりが面白かった。

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2010年04月29日

Posted by ブクログ

『流れとよどみ』にはなり損ねたけど、十二分に面白い。
買って読んだあとも、時間を置いて再読してみようという気にさせられる。

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2010年03月11日

Posted by ブクログ

哲学っぽいお話を集めたエッセーみたいなものです。著者さんもおっしゃってるけど、哲学の深いところまで、というよりは入口までといった感じのものが多いかな。それほど難解というわけでもなく、けっこう楽しんで読めました。
「無関係という関係」「数と時の思考」がよかったですね。
特に後者については、かなり面白く読めました。1というのは多義的である、とかあんまりそういうふうに見たことがなかったから新鮮だったし、時間の流れの観念と結び付けてるのもおもしろかった。人類が数字やときの概念を生み出したってのは本当にすごいことだよね。
逆に若干こじつけの感が強かったのは「さまざまな「迷信」」。これはなんだかよくわからなかったな。著者本人も毒をもって毒を制しているだけなのかもしれない、てふうに述べてらっしゃいますが・・・。「運動」て概念の扱いかたをもちっと考えるべきではないかと。そうすれば「連続性」にかんしてももちっとわかりやすく書けるんじゃないかなとか思いましたが、消化不良ですかね。

あ、でも一番最後のプロレスのとこはざっとしか読んでないです。プロレスとボクシングの違いがわかんないからねぼく← 若干読む気しなくて。
なんか苦手なんだよな格闘技。

んー、でもやっぱり問題意識の違いっていうのは感じるなあ。それはこの本が悪いわけじゃなくて、わたしの問題なんだけども。哲学の問題は、面白いけど、それを専門にやってきたい、てほどではなくて、ちょいちょいつまみぐいしたい、くらいがわたしにはあってるかなあ。

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2009年10月22日

Posted by ブクログ

 随想ということで寸止め感いっぱいw その昔デリダが全然理解できなくて,全然関係ない入不二さんの本を読んだときに,「これって分析系の言語で書かれたデリダじゃん!」って思わず叫びそうになったのが懐かしい。そのときは何か理解が深まった気がしたものだ。まぁ,今思えば多分僕の誤読なんですけど。。。

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2012年06月19日

Posted by ブクログ

 父親と子供、子供は父親と母親の間から生まれるから、まず父親が存在しないと、その子供は存在し得ない。
 子供がいるから、男性に「父親」という属性が与えられるのであって、父親もやはり子供がいないと存在し得ない。
 つまり、どちらか一方が時間的に先じてるわけではない。

 こんな、とっても哲学的なことを徒然と書いている。
このパラドクスは言葉を使う限り、決して解決できない問題だけど、その難題を徒然と考えている。それがつまり哲学なのであって、どれだけ勉強しても歳を重ねても、結局その問題に立ち戻るのかいと思ってしまう。
 その堅苦しい思考に、詩的エッセンスを加えてみたら

「あらかじめ失われた恋人よ、一度もやってきたことのない恋人よ」byリルケ

こうなる。
この一文は、わからなさを美しさで包み込んでるようでとても良い。

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2009年10月11日

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