【感想・ネタバレ】日本銀行のレビュー

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Posted by ブクログ

[円の守護神]日本経済・金融において欠かせない存在でありながら、その歴史や業務についてはあまり広く知られていない日本銀行。一般的に中央銀行とは何かという議論から始まり、近年のアベノミクスに関する議論まで、日本銀行とそれを取り巻く事象を広く取り上げた作品です。著者は、自身も日本銀行へ入行した経歴を持つ翁邦雄。


昨今ではデフレ脱却の先導役としても大きな注目を集めている日本銀行ですが、実際に何をやっている組織なのかわからないという、初歩の初歩を知りたい方が手にするには本当にオススメの一冊。専門的になりすぎる(おそらくは)一歩手前で止めてくれているので、無理なく読み通すことができます。また、「日銀トリビア」的な情報も各所に散りばめられており、それがまた読書中に困難を覚えない一助になっているかと。


個人的に興味深かったのは、各国の中央銀行の歴史を比較した上で、その国や銀行が経験したトラウマが大きく中央銀行の政策決定に影響を与えているという点と、日本が非伝統的な金融政策を含め、世界各国と比較しても多くの実験的な政策をこれまで実施してきたという点。また、日本銀行はそもそもどういう役割を果たすべきかという根本的な点に筆を進めてくれたところに好感が持てました。

〜金融政策は万能薬ではない。高まる期待に対し中央銀行がどう折り合いをつけるか。そこに中央銀行の悩みがある。〜

網羅的かつわかりやすい解説書として☆5つ

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2015年10月16日

Posted by ブクログ

何しろ新書らしく分かりやすいのがいい。各国中央銀行の成立過程や役割といった基礎的知識から、日本のバブル前後の金融政策の変遷、貨幣数量説の限界を経て、非伝統的金融政策ひいては黒田緩和の問題点に至るまでの流れに澱みがなく、まさに一気に読める。同氏の「ポストマネタリズムの金融政策」が、主に(日本の異次元緩和前であったこともあり)米FRBにおけるマネタリストの挫折に重点が置かれているのに比べると、本書は題名どおり日本における金融政策にフォーカスしているためはるかに読みやすい。

同氏の従来からの主張は「ゼロ金利下での量的緩和は総需要に影響しない」というもの。大規模緩和後、マネーが流れ込んでいるのは主に株や不動産等、その都度生産されるわけではない「既存アセット」であり、消費者物価の上昇はいまひとつということをみると、同氏の主張は現状では当を得ているなと感じてしまう。また、クルーグマンのいう「無責任な中銀」に対する反論も直感的に納得できる。そもそも、「中央銀行がインフレ的な政策をとるからインフレが起こるに違いない」という期待には同語反復的な怪しさがあるし、本当にインフレを起こす勇気も事後策も、日銀にはないと思えるからだ。

おそらく黒田総裁もクルーグマンと同様、インフレ政策が有効であると頭から信じ込んではいまい。「やらないよりまし」だからだろう。だが、本書の最終章ではそれが巨額の財政コストとなり日銀のBSを両側から苛むことが指摘されている。このことも理解していながら、ここに市場がフォーカスを当てることを巧妙に避けようとしているのだとしたら、もの凄い胆力だと思う。

そもそも量的・質的金融緩和は、政治サイドからすれば中央銀行側に負担を押し付けながら緊縮財政という不人気政策をバイパスすることができるという、完全なフリーランチ。これが日米欧どの国でも選挙で真っ当に選ばれた政権に要請されたものだということに問題の根深さを感じる。民主主義の限界という言葉が頭をよぎる。

ところで、最近の日銀の発表(H26.4)によれば、日本の需給ギャップはゼロに近づいているのだという。失業にトラウマ意識のない日本人にとって、完全雇用水準に近づきつつあるにもかかわらずインフレ率を上昇させる意味はどのくらいあるのだろうか。

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2014年06月29日

Posted by ブクログ

(130815)
日銀が、消費者物価の前年比上昇率2%を目標とした金融緩和の導入を決定したけど、それっていったいどういう仕組みなのよ?!とか思って購入。
日銀の説明はわかりやすいし、各国における中央銀行の歴史も面白い。

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2013年08月15日

Posted by ブクログ

おれが学生時代にリアルタイムで追いかけてた米国の金融緩和や、今話題のアベノミクスについて触れてる上に、中央銀行の起源や歴史、役割といったものにも触れていて面白かった。
中央銀行の最古はスウェーデンのリクスバンク、中央銀行像を作り上げたのはイングランド銀行なんてトリビア。大恐慌というトラウマとを抱えるFRBとハイパーインフレというトラウマを抱えるECBの違いなど、それぞれのトラウマが中央銀行の行動様式に与える違い。日本銀行創設からの歴史と業務、バブル期までの金融政策からバブル崩壊後のゼロ金利政策や量的緩和など。デフレ脱却の理論として貨幣数量説やベビーシッター協同組合の寓話の紹介。中央銀行と財政政策の関連性として、ECBとソブリンリスクの話や日本の財政持続性の話。またアベノミクスの分析として、体温に過ぎない物価を温めようとするのでなく、機動的な財政運営、民間投資を促進する成長戦略からなる三本の矢に加えて財政の持続可能性が必要であり、社会保障などで抜本的な改革が必要とする。

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2013年09月04日

Posted by ブクログ

日本銀行について、やや専門的な部分も多いのですが、その目的や仕事について詳しく書かれています。諸外国の中央銀行その成り立ちから入り、日本銀行の設立、そして現在。これほど誰でも知っている銀行でありながら、その働きについてはあまり知っていませんでした。

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2014年02月16日

Posted by ブクログ

日本銀行というかなり雑駁なタイトルなので、中身は呼んでみるまでわからなかった。

まずは中央銀行の歴史から説明してから、日銀の登場を解説。
その後、日銀の役割を説明して、最近の日銀の考え方について最新の学説と比較している。

経済学というかなりファジーな学問なので、ある学説では日銀の行動を正当化できるが、この学説を使うとむしろ悪影響になりかねない。
という論調。

最後に正解は時間が教えてくれるというところで締めている。
これが書かれたのが、2013年7月なのでその後に日経平均は上昇しているが、この状況を筆者はどのように説明するだろうか。

また、現在の日銀はインフレ率2%を標榜しているが、重要なのはそれが達成したあとの出口戦略だと言う。
確かに、このほど大規模に日銀が介入しているのでそれを収束させることは容易ではないように思える。

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2014年02月06日

Posted by ブクログ

後半はクルーグマンの援用などで、現日銀執行部をチクチクやろうとしていて、その内容の当否については素人の私が判断することでもないでしょうが、前半の各国中銀のうんちくや、戦後の金融史の話はなかなか面白く読めました

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2013年07月27日

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