【感想・ネタバレ】なんとなく、クリスタルのレビュー

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Posted by ブクログ

80年代を喉から手が出るほど吸収したいと思ってる私にとってはまさにバイブル的本になりそう。確かにクリスタルですねぇ、、こんな洒落た生き方したいわぁ

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2024年03月08日

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自分が生まれていない1980年代前半の空気感が伝わってきて、貴重な体験ができたと感じる本だった。
物語自体に抑揚はなくて、当時の日常そのものが切り取られているような内容は、興味深かった。

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2023年04月11日

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意外とインスタ世代に通じるものを感じる。
年代的な話は、注釈読んでもわからん。
でも、一番衝撃なのは、最後のページの、
高齢化に関する統計データ。
このクリスタルな世代で日本のいい時代が終わることを予言しているのか。

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2022年12月17日

購入済み

素直に読む

女子大学生であるうちにこの作品に出会えてよかったと思う。気分の良い方を選んでると言いつつ、社会的に恥じないように心掛けているのが垣間見える由利のような華々しい生活を送っているわけではない。ただ、自身の認識の中で気分の良い方を選んでいるのは私と同じだった。現代ではそのように生きている人が多い

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2020年07月22日

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人生で一番読み返している本。
ある時は脚注を丁寧に参照しながら。ある時は脚注は無視して物語だけに集中して。

平成5年生まれの私にとってバブル期の大学生の輝きは「なんとなく」なんかではないと思っていた。しかし、この作品を通してどんな時代でもキラキラだけでなくもやもやしたものがどこかに絶対に存在しているということを知った。

18まで長野県にいた私は、こんな人が知事をやっていたんだなあ、と本の内容からやっと著者の内面を見た気がした。

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2017年03月18日

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「軽薄な作家が、軽薄な学生のことを書いた小説。何でこんな小説が『芥川賞』の候補になったのか、訳がわからない」それがこの本を読み終えた第一印象だった。一流大学に通う、セレブな階層に所属する女子大生が、誰もがうらやむような生活を送る様子を描く小説。格差社会の現代で、こんな小説を発表する作家がいたら、周囲から総スカンを食らうことは確実である。ところが、作者のあとがきを読んだとたん、その印象は一変した。彼によれば、自分で読みたい青春小説を書きたかったのだという。今まで彼が読んできた「青春小説」は、現代の大学生の実態とはあまりにもかけ離れていた。そのことに違和感を覚えた彼は、それだったら自分で、今の大学生が何を考え、どう思っているのかをみんなに知ってもらいたかったのだ。そういう意味では、この作品は’80年代を代表する小説といえるかも知れない。

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2016年05月14日

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35年前の小説ですが、いくつかの固有名詞を置き換えれば今のことを書かれているかのようで、びっくりしながら読みました。と同時に、なんだか私たちの時代のその先が恐くなりました。「なんとなく」というのは適当に生きてるわけではないのだけれども、確たる感じもないので…。それをこんなふうに、ある意味見事に開陳されてしまうと、自分で保てる自分の身の置き場がない感じになるというか、落ち着かなくなります。なのでこの小説は結構ショッキングでしたが、『33年後の~』も気になってしまいます。

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2015年01月03日

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光源からの光を受けて輝く「クリスタル」のように派手な生活を送る学生たちのストーリーと、著者のユーモアと皮肉が盛り込まれた注というストーリーが並行して進み、最後に日本の将来を(まだ甘いながら)悲観的に予測する政府の統計が示される。
注には今では聞かないブランドやショップの名が並ぶ。1980年の大学生はいま50歳前後。
高橋源一郎さんの解説も冴えています。
続編の『33年後のなんとなく、クリスタル』も読んでみたい。

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2014年01月19日

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新装版が出たので、再読。今でこそ、日本文学のマッチョな教訓的なものとは違う軟派な欧米化された小説は村上春樹や片岡義男などにより見慣れたものとなったが、当時は賛否あったのだろう。業界用語の連続のように横文字が並び、それぞれに細かい注釈が本文に溶け込んだ補足のように不思議に書いてある。現代人の、都会人の小説。

あと、高橋源一郎の解説レベル低すぎ。この人もう『さようなら、ギャングたち』と『ジョン・レノン対火星人』ぐらいで終わってるからそろそろ静かにして欲しい。

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2013年12月28日

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連休を利用して祖母宅に遊びに行った際に、今年で還暦を迎える叔父の本棚から引っ張り出して読んだ。新装版ではなく河出文庫版の第三版(1983年)、やや黄ばんだ裏表紙にはバーコードは無く、刻印された価格は実に320円であった。

『なんとなく、クリスタル』は、1980年当時の「感覚で生きる世代」の生活を独自の視点と文体で描いた小説である。小説とは言っても、大半が地名やブランド名といった固有名詞とそれを説明する註釈で埋め尽くされたこの文章には、意外な展開や起承転結はこれといって用意されていない。描かれるのは当時の日本にもたらされていた暴力的なまでの物質的豊かさと、それを安穏と享受する裕福な若者たちの心情に尽きる。学歴、親の職業、最寄駅、住居のタイプ、飲みに行く街、お気に入りのレストランの名前、身につけるブランド、日用品や食糧を買う店。こうした記号を何よりも重要視する人々を中心に、東京に染みついた資本主義を淡々と(薄っぺらく)書き出した作品である。

特筆すべきは、これらのきわめて資本主義的な考え方や生活が冷笑的もしくは批判的に描かれているのではなく、著者・田中康夫が「そちら側」であることが、本文や註釈の行間からありありと伝わってくることである。田中康夫は東京・武蔵野に生まれ、一浪の末に(本文風に言えば)「中央線の西端付近に位置する国立(こくりつ)の文系大学」に進学、四年生時に日本興業銀行の内定を得るも留年し、その暇を利用して『なんとなく、クリスタル』を書いた。バブルを目前に控えた1980年という時代背景、成功と挫折・プライドとコンプレックスが織り混ざる経歴を鑑みると、彼の文章から滲み出る資本主義的価値観や俗物感は何ら違和感のないものと言えよう。彼は堅物な文筆家ではなく、単なる中上流家庭出身のエリート就活生に過ぎないのだから。言うなれば、本書は昭和版の「タワマン文学」と言ったところだろうか。

もっとたくさんのお金が、もっと良い肩書が、もっと高級なブランド品が、もっと好立地で広くて綺麗なマンションが、もっとイケてる恋人が欲しい。もっと周りからすごいと、かっこいいと、羨ましいと思われたい。日本が相対的に特段豊かな国ではなくなり、今後も衰退の一途を辿ることが目に見えている現代においては、こうしたギラギラした価値観を顕にする人々はもはや港区周辺でしか見られなくなった。一方で、資本主義的な物欲が人々の間から無くなったわけではない。給料は上がらず、税金と社会保障費が上がり、不動産価格を中心に物価が高騰し、ほとんどの人が「物質的に豊かである」と感じられなくなった現代だからこそ、資本主義の「勝者」に対するルサンチマンは1980年当時と比べても肥大化しているとも言える。『なんとなく、クリスタル』を読んだ感想は、当時の若者と今の若者の間でどう違うのだろうか。「このような生活がしたい、羨ましい」と思う人が多いのか、「くだらない価値観だ、空虚だ」と感じる人が多いのか。はたまた、「そうだそうだ、良いモノやイケてる人に囲まれてないと生きてる意味ない」と同意する人が多いのか。おそらく読んでことのない人の方が多い同世代に是非読んで欲しい一冊。

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2023年05月05日

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80年代初頭の若者文化を描いた作品。
左頁に連なる膨大な注釈が、記号的消費に耽る当時の若者に対する皮肉の様で面白かった!
ただ、主人公の恋愛美学はともかく、生活観や消費行動には少し共感してしまう。

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2023年01月04日

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とにかく「注」が多く、ページ数の半分を占める。
その注がまったく意味をなさない。だけど、それが
時代を表していて、バブル前の社会を思い出させる。
「なんとなくクリスタル」何十年ぶりに読み直しても、
薄っぺらだけど心に残る不思議な作品。

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2021年06月06日

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『なんとなく、クリスタル』は大衆消費社会の勃興と、バブル経済前の日本、そして日本に忍び寄る衰退の影を描いたポストモダン小説だ。作者は長野県知事を務めたこともある田中康夫だ。
この『なんとなく、クリスタル』の特徴は、時代を象徴する固有名詞の多用と、それに対する膨大な量の注釈だ。文学作品では普遍性を持たせるために固有名詞を多用することを避けたりするのだが、『なんとなく、クリスタル』は女子大生兼ファッションモデルの由利の生活を中心に若者にしか理解できない様なブランドや固有名詞が散りばめられている。そして、それぞれの固有名詞に田中の視点を基にした442個の注釈と分析が加えられている。
ブランド名と言った固有名詞を多用していることで、大衆が増えたことにより知識人というものには意味がないという知識人を批判している様にも思える。

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2020年12月16日

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当時のリア充たちの記録的な青春小説

ページの左側に占領する脚注が斬新で、どう読めばよいのか最初は戸惑う。右側の本文と交互に読むことで、脚注が語り手の役目をしているのがわかる。当時のなんとなくな空気感が味わえる。

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2019年05月02日

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昔読まなかったので.読んだ.気がついたことは「買ってしまう」など「〜しいてしまう」という表現が多い.音楽やおしゃれ,食事など今風に言えば「こだわり」だらけの本だが「〜してしまう」とふわーっと流れていくところがこだわらずさすが「なんとなくクリスタル」始めの雨の目覚めのアンニュイなところが特に好き.

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2015年09月21日

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クリスタルというクールでは表現しきれない時代感覚?
表紙を除けば今時の出版でもおかしくないのだろう
音楽だのファッソンだのグルメだのの情報が
今に通じるのかどうかわからないけれども
一晩で読み切れてしまったところを見ると
感覚としては今の娘たちに読ませても面白いのだろうと思う

当時の私には興味がなかったけれど
政治家以来の田中さんを知ってから読んでみると
小説に興味のない者でもそれなりに読めてしまう

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2015年03月08日

Posted by ブクログ

最初は注釈の多さに読みづらさを感じて物語に入り込めなかったけどだんだん慣れてきた。
知らない80年代の雰囲気を味わえた。今流行りのタワマン文学〜昭和版〜のようだった。

#ほんタメ!

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2024年02月26日

Posted by ブクログ

巻末で高橋源一郎さんが激奨しているけど、80年代のアーバンでアッパークラスの若者の日常の雰囲気をそのまま描写したという意味では見事なのかもしれない。
オスカー・ワイルドやスコット・フィッツジェラルド的アッパークラスの苦悩には近づけず、ただ淡々と80年代の都会の若者的風景とその薄い感覚を結末も無く描いただけ。
それ故に前時代的文学のアンチテーゼとして同時代を生きた若者にとって真実なのだ、と源一郎さんも言いたいのだろうけど。
ピチカート・ファイヴを聴いている時にロスジェネの僕たちが共有できた感覚をこの小説を通じて80年代の若者たちは感じたのだろうか、と思ったりする。
風俗とその時代の気分のカットアップ。
蛇足だけど、某社会学者の古市憲寿はこの小説の世界観を模倣してると思うけど、2000年代以降にそれやるのほんとダサいからやめた方がいいと自分は思っている。

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2023年03月26日

Posted by ブクログ

こどものころに評判となったという記憶があって手に取った。いぜん読もうとして途中で投げた覚えがあるのだが、今回はすんなり読めた。若い男女の話で、それ自体はどうということはないのだが、たくさんつけられた注釈を通して、執筆された80年当時の風俗というか東京の風景が見えるようで楽しめた。

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2022年11月17日

Posted by ブクログ


(2017年2月のブログから2020年11月に転記)

まず、この本を手に取ったのは、「膨大な注があることで有名(*1)」だったから。
要するに物珍しさというか、歴史の1ページというか、そういうのを知っておきたかったから。

で、読み始めたところ、注のほとんどは、作中で紹介されているブランド品の説明とか、お店、楽曲、洋楽シンガーの説明(*2)とか固有名詞のための注。だから思いました。

注のための注(*3)なんだな、と。

でも、読み進めていくと、不意に本質的なことにたどり着く。

何のために生きているのだろうか。

しかし、この年代の主人公は現代の私たちとは違って楽観的。

「クリスタルな生き方」

文脈から察するに、自分のフィーリング(*4)、肌感覚で、自分がいいと思ったものを身に着け、パートナーを選び、刹那的な男女の関係を結び、まさに、自分のために生きる、という感覚。

それは、私が目指したい感覚。

乱暴に結び付ければ、夏目漱石の「個人主義」の感覚かも。「自分の酒を人に飲んで貰って、後からその品評を聴いて、それを理が非でもそうだとしてしまう人真似」してしまわないような、そんな生き方。

で、肝心のクリスタルの注はcrystalとただつづってあるだけ。

本文を読めば、「クール」の対義語として「クリスタル」とある。

「クール」というのは、ここでは自分のまわりの人たちが作り上げた「かっこいいものの幻想」ということなんでしょうか。「こうすれば、かっこいい」って決めあげられたことがら。
それの対概念が「クリスタル」な生き方なんでしょう。

と、いろいろ考えると、膨大な量の注もじつは、意味のある、作者が大学生時代に見つけた、みんなに知らせたいけど隠したい、クリスタルの輝きを、包んでおくためのベールなのでは?と深読み(*5)。

クリスタルな生き方、皆さんはどう思いますか?

(*1) 「クイズマジックアカデミー」などのクイズゲームで、よく出題されています。
(*2) 世代なのか文化なのか、わたしには、ほとんどわかりません。
(*3) 世の中政治家も「反論のための反論」なんかをしていて、嫌になります。
(*4) feeling
(*5) この記事についている注は、特に意味のない、ただ、本文の雰囲気を感じてもらうために似せて作ったものです。

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2020年11月23日

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留年した学生時代に一気に書き上げたというこの作品、見開きの左半分は注釈という特異な形式もさることながら、それ以上に今までにはなかった、感覚で生きる自分たちの世代の青春小説を描きたかったという。

主人公は、青学とおぼしき大学に通う女子大生。モデルの仕事もこなし、同居するミュージシャンの恋人がいながら複数の男友達もいる。経済的にも恵まれ、ファッションも音楽も生き方も、すべてを自分のセンスで選び、何ひとつ不自由することなく、なんとなくクリスタルな毎日を楽しんでいるが、その視線は常にどこか冷めている。

1980年といえば、バブルにはまだ間があるものの、物質的には豊かになる一方の日本だった。ブランド品がもてはやされ、きらびやかなファッション雑誌が女の子たちの生き方を先導し、How to本を片手に男の子たちが恋愛のノウハウを学ぶ。
クリスタル族という言葉が生まれ、社会現象にまでなったこの作品は、そんな軽薄な若者たちのバイブルのように感じ、当時はふふんと小バカにしていた記憶がある。
でもそれは、私がまさにそのお年頃、主人公たちと近い世代であったため、本質が見えていなかったんだ。小説として楽しむ以前に、ブランドやらレストランやら、その他の溢れかえるカタカナを嫌悪し、私はこんなふわふわした生き方はしない!と、反感を持っていた。だから、そんな表面的な捉え方しかできなかったんだなと、十分な大人になった今、青臭かった自分に気付き、ちょっと懐かしくもなった。

おそらくこの作品は、読者の世代によって捉え方が大きく異なるだろう。年配の方は理解に苦しみ、若い世代はこんなお気楽な時代があったんだ、へーと感じるのでは。で、ほぼ同世代の人たちは、それぞれ当時の自分の立場によって、共感したりしなかったり…。
ストーリーそのものよりも、やりたいことが何でもできたあの時代にしか存在しなかった、あの年齢の若者たちを描いたという意味で、非常に貴重な作品だと改めて感じる。同時に、それを今になって、身をもって感じることのできる自分の立場にも、感謝!
33年後を先に読んだが、考えるところも多く、順番としては正解だった。

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2015年02月19日

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33年後から読んだが、そちらがあまりにも酷かったので、期待していなかったが…
当時の文化を残すと言う意味で価値のある本だとは思う。しかし、内容は薄い。そう感じるのは自分の読み方が薄っぺらいだけか…

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2015年02月13日

Posted by ブクログ

舞台は1980年代前半。なんとなくブランド物を身につけて、なんとなく美味しいものを食べて、なんとなく楽しいところで遊んで…というお気楽な大学生たちの物語。
悩みもなく、金銭的な心配もなく、未来を憂うこともない。本当にそういう時代だったらしい。
ちょうどその年代に生まれた私からすると、羨ましいの一言だけど、たった30数年で日本の国力が随分と落ちてしまったってことでもあるのだと思う。

かるく読めるから何も考えたくないときにはぴったり。
たぶんこの小説はタイトル通り“なんとなく”読むのが正解だと思う。
物語は右半分だけで、左半分は脚注みたいになってる変わったつくりの小説だから、あっという間に読めてしまう。その脚注もちゃんと見るとけっこうシュールでおもしろい。

こういうおしゃれっぽくて重たくなくどこか乾いている小説、発表された時代にはきっと新鮮だったのだと思う。

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2014年06月05日

Posted by ブクログ

若く美しく、経済的にも恵まれたエピキュリアンたちの生活
これこそが戦後日本のハッピーエンドであり
ここに添えられた大量の註釈は、いわば戦果の目録である
終わったはずの物語のなかで
人々は、快楽に浸りながら、それが永遠に続くものと信じている

新装版の表紙はセピア色の写真をイメージしたのかもしれないが
あんまりいい趣味とは思えなかった

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2013年12月05日

Posted by ブクログ

酷評が常、一方で、ある時代を象徴する小説として、決して表舞台から消えることなく、ついには新装版が発売される作品に興味を覚えて。

バブル期の人たちって、何にも考えずにふわふわしてたの?理解不能って思っていたけれど、作中の大学生のちょっと冷めた、でも軽い感覚はリアルで納得できた。巻末に、明るい未来を予感してないのもすごい感性。クリスタルだもの。壊れるんだよね。想像してたより、ずっと面白かったですよ!

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2013年11月30日

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