【感想・ネタバレ】ゴーマニズム宣言6のレビュー

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Posted by ブクログ

扶桑社の『SPA!』誌に平成六年6月8日号から9月14日号まで連載された分、第104章から117章までを書籍化。本編のほかに『月刊コロコロコミック』に平成四年9月号から六年5月号まで連載された「おこっちゃまくん こども編」全12頁が掲載されている。

パリで人肉食事件を引き起こした佐川一政との対談を描いた105・106章。あの事件に至る佐川の心理を見事に漫画で表現した秀作だが、自身の描かれ方に佐川が激怒。文庫版では「後悔かましてよかですか?」と1頁を使って、「描くんじゃなかった・・・」と吐露。佐川から抗議の電話・FAX・手紙を幾度も送られ、雑誌に悪口雑言を書かれるなどで作者は相当に辟易したらしい。この二章の作風はいつもの『ゴー宣』なのだが、何が気にいらなかったのか。自分の顔を醜く描かれたことにご立腹なら笑止であろう。

本巻一番の傑作は111章「美は才能である」だ。『SPA!』誌に掲載された女権拡張論者のミスコン批判に対し、作者が正面から批判したもの。ミスコン批判への批判としては見事な論理構成である。この頃から雑誌を中心に作者への批判が激しくなり、本巻でスガ秀実氏・永尾カルビ氏に猛反論。批判者に対して徹底抗戦の構えを取り、"死闘篇"の開始を宣言する。怒れる作者のゴーマンが鈍い光を放ち始めた一巻だ。

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2023年09月30日

Posted by ブクログ

今回の目玉はなんと云っても人喰い佐川一政との対談だろう。
その内容はなんとも重く、特に佐川氏が赤裸々に人喰い事件に至る葛藤を語り、そして獄中で殺害したオランダ人女性の手記を読んで愕然とする件は衝撃の一言だ。

後は朝日新聞の記者との衝突事件、世に蔓延る知識人、評論家の肩書きを自称する駄文書きどもの「よしりんバッシング」に対する口論が途轍もない熱量を持っており、多少、読者への示唆的な解釈が見受けられるが、内容のヴォルテージを限界まで上げている。

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2019年01月10日

Posted by ブクログ

この巻では、差別論をテーマに文芸批評家の絓秀実との論戦がスタートします。

佐川一政との対談では、佐川からモラトリアムから脱することができなかったという心理的背景があったことを指摘し、彼に対して倫理の立場を示す役割を買って出ています。また、カリスマ不在の時代において、プロフェッショナルの自覚をもつ者の活躍する世のなかが到来することを期待するという著者の意見が語られます。他方で著者は、北朝鮮の金日成主席の死去にさいしてえがかれた、著者自身がカリスマとなる夢の章で、みずからの意見をパロディ化するような試みをおこなっています。

その後著者は、対立していた社会学者の宮台真司と歩調をあわせるような立場へと進んでいきますが、現在から振り返ってみると、当時において宮台たちが指摘していた困難に著者が入り込んでいくことになる経緯をこうした描写が暗示していたようにも感じられます。

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2022年01月26日

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