【感想・ネタバレ】花失せては面白からず 山田教授の生き方・考え方のレビュー

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Posted by ブクログ

イデオロギーに囚われてはいけない、という、現場から遠いと言われる学者が限りなく現場に近づこうとする。こんな素敵な議論ができるようた師弟関係がうらやましい。この時代の一橋で学びたかったと思ったが、はて、どの時代だろうが中身のない自分にはついていけないではないかと、すべてを時代のせいにすることを自省。

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2011年08月17日

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城山三郎 「 花失せては面白からず 」

恩師 山田教授との交流を中心とした自伝。山田教授の生き方、考え方に焦点を当てている。タイトル中の「花」という言葉は、山田教授の求道心、人間探究心、価値多様性を意味すると思う。

山田教授の生き方、考え方
*客観的な事実認識による人間探究
*価値多元論(多様性)〜異なる価値を認める
*異なる価値観は 相互批判と意見修正により一歩進める

著者の生き方、考え方でもあり、城山作品の気骨ある主人公は 山田教授をイメージしているように思う。

資本主義者と社会主義者などの価値対立をどう乗り越えるか、研究の優先順位、ゲーム理論、力の法則が とても参考になった。



「資本主義者と社会主義者など価値の対立をどう乗り越えるか」
客観的な事実を突き合わせて 相互批判をしても 意見の修正が図られない場合、多数決による合意しかない


研究の優先順位
*全体より部分、一般より特殊を重視〜現実の変化の意義を探る*部分や特殊な問題への取り組みの積重ねが全体につながる
*正常より異常、調和より不調和を取り組みの出発点とすべき
*一元論より多元論、独裁制より民主制を基盤とすべき

◎ゲーム理論
各方法の最小のゲインを比べその中の最大を選ぶ または 各方法の最大ロスを比べ、最小を選ぶ

◎力の法則
力を持つ者も 常に敵の動きに合わせて 自分の態度を決める


経済学のあるべき姿
*客観的な事実認識に徹する
*実証研究を通して 人間探究を行う
*問題は 個人と全体の関係、人と人との関係
*理論の仮説と事実の観察との結びつきを求める


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2020年01月09日

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城山三郎と、氏の大学の恩師である山田教授との2人ゼミナールの話を中心に対談形式で話が進んでいく。
この本は城山氏のいつもの経済小説とは違い、人間城山三郎と触れられる興味深い一冊。
学生時代の恩師と、その恩師が亡くなるまで、2人で経済やそれに関連する倫理に関してそれぞれの主張を熱くぶつけ合う。読んでいて非常に羨ましい関係だなと感じた。やはり偉大な師というのは、師であるご本人自体が、非常に人間味溢れていて、謙虚でいて気さく。自分より若くてもその人のことを尊敬し、何かを学び取ろうとされる。だからこちらも師から何かを得ようと必死にぶつかっていく。私にもお会いして色々ご指導頂ける人生の先輩がいらっしゃるので、そういった関係は本当に大事にしたいと思う。

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2012年03月05日

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経済小説の先駆者、城山三郎氏とその師である山田雄三氏の評伝。

城山氏の作品が醸し出す素地がこういうところに起因していたのかと分かる一冊でした。

忠君愛国以外に生き甲斐なしと信じ、海軍少年兵に志願入隊した著者は、敗戦によって価値観の根本的な考え直しを迫られ、東京商大に入学。そこで、山田雄三教授と出会う。出会いから40年、探究心で結ばれた師弟の歴史。

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2021年06月11日

Posted by ブクログ

一橋の石川先生のオススメ本。城山三郎の2冊ある自叙伝的小説のうちの一つ。城山三郎と、彼の大学時代の指導教官でその後生涯を通して師となる山田雄三教授との師弟愛を描いたもの。城山三郎が一橋で理論経済学を学び、作家に転身する前は学者だったなんて知らなかった。さらに驚くべきは、山田ゼミの当時のゼミテキストがモルゲンシュテルンとノイマンの『ゲーム理論と経済行動』だったこと。ケインズかマルクスかの時代に当時外務省にのみ入っていたというゲーム理論のテキストを学んでいたなんて、今日のその分野の隆盛を見ればその先見の明に驚かされるばかりです。もっと言えば、この数理経済学の難解さが城山を文学の世界へと誘い、大小説家「城山三郎」が誕生するわけです。城山と山田教授の<二人ゼミナール>のテーマは経済に関するものは勿論、『花伝書』の解釈にまで及び、タイトルはそれに由来します。「花のしおれたらんことこそ面白けれ」。

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2009年10月04日

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