【感想・ネタバレ】国連の政治力学 日本はどこにいるのかのレビュー

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Posted by ブクログ

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[ 内容 ]
国家を超える結束の場として構想された国連が誕生して六十年。
冷戦とその後の激動を経て、その地位と役割は大きく変動した。
国際社会でアメリカ中心のシステムが機能するなか、国連は世界の平和と安全の維持という最大の目的を果たしうるのか。
また、一九二の「対等」な加盟国をもつ組織の意思決定はどうなされているのか。
研究室から外交の現場へ身を移した著者の二年半の体験から、国連の現在と未来を照らし出す。

[ 目次 ]
1 国連システムとアメリカ・システム(世界の中の国連、国連の中の日本 二〇〇五年世界サミット―総会のダイナミクス 戦後日本外交と国連)
2 国連代表部の仕事(外交という仕事 国連代表部の多忙な一日―二〇〇五年一月十日 安保理の多忙な一ヵ月―二〇〇五年七月 安保理視察団)
3 安保理改革の軌跡(安保理常任理事国入りの大義―二〇〇四年十一月 中国の日本批判に答える―二〇〇五年四月 改革はなぜ停滞するのか―二〇〇六年三月)
4 これからの日本と国連(グローバル・プレーヤーの条件―二〇〇六年三月 北朝鮮問題と国連)

[ POP ]


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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年03月30日

Posted by ブクログ

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〈メモ〉事実として、国連本部はアメリカに位置している。このことは常に意識しておきたい。

国連は60年余の歴史を持つが、米ソ協調期、冷戦時代、冷戦以後という3つの時代に、その役割は大きく変わった。p72

一部に、日本が常任理事国に入って、国連はどう変わるのか、あるいは、日本は常任理事国になれば、どのようなことをするのかと尋ねる人がある。私は、これは問題の立て方が間違っていると思う。現在、日本は、常任理事国のすべてとは言わないが、そのいくつかの国を上回る貢献を、すでに行っている。つまり、日本は常任理事国になっているのが当然なのであって、現状は差別を受けているといっても過言ではない。常任理事国入りは、この差別を是正するだけのことである。p74

〈メモ〉現場での職務の経験を軸にして書かれているので、臨場感・リアリティがある。日本政府国連代表部次席代表

鳩、ぴーす、うぉー、国連p79

知的格闘技としての外交p80

【サックス・レポートの要望】
先進国から途上国への資金の流れをともかく増やすことが必要であるといい、一人当たりGDP比0.7%を先進国は出すべきである。p128

日本の援助に哲学があるとすれば、それは「自助」である。明治以来、敗戦後の一時期を除き、日本は外国の援助なしに発展した。自ら努力する国を助けること、言い換えれば、主役は現地の人であって、国際社会ではないということが、重要だ。これをオーナーシップと呼んでいる。日本は堂々とオーナーシップを主張して、腐敗した政府はバイパスして、村おこし、教育、病院、井戸掘りなどをやっていくことがよいと思う。p177

日本のような、核を持たず、アジアの国であって、途上国経験を持つ、シヴィリアン・パワーが、安保理の常任理事国となることは、重要であり、むしろ日本の責任というべきだろう。それはたんなる日本の国益を超えた、世界秩序に対する日本の責任である。こうした大義があり、ある程度の展望があるとき、日本は当然、全力でこれに取り組むべきであろう。p206

小泉首相は、靖国神社に参拝するたびに、「あの戦争は誤った戦争だった、自分は戦犯を拝みに行くのではない、戦争に行かざるをえず、戦場で倒れざるをえなかった無名の兵士のために行くのだ」と述べている。p224

今、国連では、エンクローチメント(浸食)という言葉がはやっていて、安保理による総会権限の浸食が懸念されている。p237

二国間関係を持ち込むな、というのは、国連の基本ルールである。p240

外交はお金と違う。お金は使えばなくなるが、外交は適度に使えば、さらに強化される。筋肉を適度に使えば発達するのと同じである。p247

日本のPKO参加はずいぶん少ない。要員派遣国のトップは、バングラデシュ、パキスタン、インドである。ヨルダン、ネパールなども多い。こうした国々は、生活水準の高くない国である。PKOには兵士一人あたり月1000ドル程度の資金が出る。すべて兵士のものになるわけではないが、それにしても、これらの国々にとっては相当の水準である。したがって、PKOの主力は、途上国となるのである。p268

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2011年11月22日

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