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国家を超える結束の場として構想された国連が誕生して六十年。冷戦とその後の激動を経て、その地位と役割は大きく変動した。国際社会でアメリカ中心のシステムが機能するなか、国連は世界の平和と安全の維持という最大の目的を果たしうるのか。また、一九二の「対等」な加盟国をもつ組織の意思決定はどうなされているのか。研究室から外交の現場へ身を移した著者の二年半の体験から、国連の現在と未来を照らし出す。
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Posted by ブクログ
[unknownからUN knownへ]ときに期待をもって、ときに失望をもって語られる国際連合。次席大使として、アカデミックの分野から国連における実務の分野に飛び込んだ著者が目にしたものとは、そして日本が国連でなすべきこととは......。実体験を踏まえて書かれた国連の入門書です。著者は、日本政治史...続きを読む及び外交史を専門とされている北岡伸一。 概説的な紹介と著者自らの体験談が一冊に収められているため、多角的な視点から国連について学ぶことができます。巨大すぎて何が行われているのかわかりづらい組織であることは間違いないのですが、その巨大さが何から構成されていて、どのような役割を果たしているかの一端は本作で大まかなりとも把握できるかと。 〜どちらかといえば国連の枠外で起こった日本の発展と東アジアの発展の経緯を、国連を通して世界に提供していくことが、日本と世界の利益にかなうと考える。〜 一度足を運んでみたいものです☆5つ
国連次席大使を務めた北岡伸一氏の、国連に関する著作。 もっともinternationalで一番のマルチ外交の場である国際連合における、「政治力学」を描き出してある本である。日々の安保理における活動や、安保理改革運動についての記述は実に興味深い。 中国に対する北岡先生流の反論、北朝鮮問題に対するア...続きを読むプローチは、まさに北岡伸一「らしい」記述であり、北岡伸一個人としてのハッキリとした態度を示すあたり、単純な保守とは一線を画していて実に気に入っている。決して思考停止には陥らないこと。そういったことが非常に重要であることを気づかされる。 気軽に手に取れて、北岡氏の思考を丁寧に読むことができる貴重な本。
非常任理事国になって国連安保理改革の軌跡。 失敗に終わりましたが、実際まだ改革自体は 水面下では続けられている。 ウクライナ戦争から更に改革の必要性が問われています。
保守派政治学者北岡伸一が国連大使として外交実務に携わった際の記録。想像以上に生々しい現場が垣間見えて、自分の中の国連のイメージがガラッと変わった。 Ⅰ国連システム 米国よりも途上国の方が強いのではと思える程に平等主義が徹底されているようだ。日本の分担金負担も重く、それに見合うだけの発言力の必要性を感...続きを読むじた。経済協力はそうだが、人間の安全保障が日本中心の発想だったことは驚いた。 Ⅱ国連代表部 国連に居る外交官は選りすぐりで、その中で激しい知的競争が行われていることが分かった。電話や交渉、会議を繰り返し、利害のすり合わせへと持っていくのは一苦労だろう。安保理での活動(特にハイチ・スーダンへの視察)は体力的にもきつそうだった。その中でも筆者は知的な仕事を魅力的に感じたという。 Ⅲ安保理常任理事国 筆者の歯痒い思いが伝わってきた。国連で日本の存在感を増すには常任理事国入りは必須だろうが、本交渉では米中の思惑やコーヒークラブ(初耳!)の反対をかわすために悪戦苦闘した結果、結局アフリカのよくわからない要求のせいで頓挫するという残念な結果に終わってしまった。G4は日本にしては画期的な戦略だとは思うが、安保理や国際関係の原理上なかなか難しいものがあったのだろう。 Ⅳこれから キーワードはODA、PKO、安保理。筆者は国連重視を強調しているが、日本の経済低迷、少子化、アジアの台頭、米中対立を鑑みるに日本の国連での存在感(特に経済協力)は段々と薄れていくと思う。そういう意味では2005年の交渉がラストチャンスだったのかもしれない。ただ、最近は国連外の多国間連合(ASEAN/TPP)で日本が主導できる場所が増えている。そういう場所で巧みな外交を展開できれば国力低下を緩和できるかもしれないと思う。もう20年前の本なので、アフリカはもっと親中だし、日本の分担金は減った(19%→8%)。気候変動でも後れを取った日本が次にリードできる分野は何なのだろう。
政治学者である著者が実際に国連で外交官として勤務していた経験を綴った1冊。 2007年刊行の本なので少し古いが、実際の現場の様子がわかりやすく書かれていて、読んでいて楽しかった。 この本を読んで実際の様子と日本のメディアが報道している内容は随分と違うのだな…と感じた。 日本のメディアは優秀な人材を...続きを読む潰したり貶したりすることが多く、それに迎合する国民が多いことはある意味で国益に反する、との著者の意見は正しいと思う。 そういった「国民」にウケそうな報道をするのだろう。 国連の予算の20%ほど(当時)を負担しても日本は常任理事国にはなれない。大国も小国も1国1票の投票権。 この本の時点で既に12年ほど議論されていた国連の安保理改革が未だになされていないことを考えると国連不要論に傾きがちだが、それなりに機能している部分もありますよ…ということは理解できた。 中国の日本批判に対する現実的な意見が特に良かった。
国連に次席代表として席を2年半置いた著者が 国連の簡単な仕組みから、各国と渡り合う日々、 安保理の現場を臨場感を持って伝える一冊。 さすがに現場経験者だけあって話に説得力があり、 国連を少し身近に感じられた。 やや日本の力を過評価しているのではないかという面もあったが、 国連に働きかけ、国連の行動に...続きを読む影響を与えていくという主張には 納得できた。
国連の現状と日本の外交政策に関して、国連の場を実際に経験した筆者が書いた本。印象に残ったのは、「外交は筋肉のようなもので、使えば使うほど強化されていく」という言葉である。
具体的。 文章読みやすい。 安保理改革に実際に携わった方の著書なので 雰囲気をつかむのにすごく助かります。
外交は、社交ではなく、知的格闘技、だって。いろんなものを背負って、戦ってくれてる人がいるんだ。強くてかないそうもない大人を見ることがあると、うれしくなり、わくわくし、安心する。がんばろうと思う。
[ 内容 ] 国家を超える結束の場として構想された国連が誕生して六十年。 冷戦とその後の激動を経て、その地位と役割は大きく変動した。 国際社会でアメリカ中心のシステムが機能するなか、国連は世界の平和と安全の維持という最大の目的を果たしうるのか。 また、一九二の「対等」な加盟国をもつ組織の意思決定はど...続きを読むうなされているのか。 研究室から外交の現場へ身を移した著者の二年半の体験から、国連の現在と未来を照らし出す。 [ 目次 ] 1 国連システムとアメリカ・システム(世界の中の国連、国連の中の日本 二〇〇五年世界サミット―総会のダイナミクス 戦後日本外交と国連) 2 国連代表部の仕事(外交という仕事 国連代表部の多忙な一日―二〇〇五年一月十日 安保理の多忙な一ヵ月―二〇〇五年七月 安保理視察団) 3 安保理改革の軌跡(安保理常任理事国入りの大義―二〇〇四年十一月 中国の日本批判に答える―二〇〇五年四月 改革はなぜ停滞するのか―二〇〇六年三月) 4 これからの日本と国連(グローバル・プレーヤーの条件―二〇〇六年三月 北朝鮮問題と国連) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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