【感想・ネタバレ】菊と刀のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

アメリカ人と仕事をすることが多く、自分の行動原理や観念的な素地がそもそも米国人と違うことを日々感じていた。
ただそれを言語化できず認知できていなかった今の自分に必要な本だった。

本稿の中でベネディクトの示す「恩の貸借」の概念はとても納得感があった。
また「日本人の特性を子育てから見る」くだりも、な...続きを読むるほど全く同じではなくとも伝統的に親から受ける教育には戦前戦後共通項があり、それが日本人らしさに還元されているという考えは私たち20代にも共感できる部分があったと思う。

方法論的にもコロンビアのフランツ・ボアズから受け継いだ比較論がとても興味深かった。

国外に向けて仕事をする人は、まず日本をよく知るべきだと思いここ数年は「日本」について考えることが多かったが日本人としての自分の視座は「当たり前」の範疇を客観的に特性として認識できなかった。
だから、ベネディクトの米国人からみた日本人という客観性は非常に有益だと感じた。
訳者があとがきで述べる『アメリカで借金の返済に向けて強制力が作用しているのと同様に、日本では恩返し(義理を果たすこと)を促す力が働いている。その強制力とは「恥」である。義理を果たさないと、恥を知らない人間として世間の嘲笑を買う。だから、日本人は義理を尽くす─』という要約は、端的かつベネディクトの意を簡易的に汲むにはすばらしい要約。

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Posted by ブクログ 2023年01月26日

日本人が相対的価値観にとらわれる理由

この本は日本人が相対的価値観(世間の目、人からの評判、身分、貧富の差等)に囚われがちであり、だからこそ相対的価値観とは逆の絶対的価値観(自分の軸で生きる)を説いている自己啓発本が人気が出る理由が分かった。

気付き
・恩と愛の違い
恩は返さなければならない、ま...続きを読むたは返したい
愛は見返りを求めない
日本人は恩のほうが強い。これは義務感的な役割も持つ。
・恥の文化
日本人は自分が馬鹿にされたり、けなされたり、恥をかくことを気にする。
これは道徳心が自分の中にあるか、外にあるかが大きな要因。
キリスト教ならば、自分は常に神に見られているので自分の中に道徳を置く
日本は神の教えがないため、世間の目が道徳となる。だから空気を読むとか、同調圧力が一層強い。

評価の基準を外に置くことが多い理由が分かった。
このように本で書かれてしまうと、国民性なので仕方ないとも思える。
ならば、なおさら相対的価値観を持つのではなく、自分の軸で生きていく絶対的価値観で生きていくことの重要性が理解できた。

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Posted by ブクログ 2023年01月05日

かつての日本人の生活様式をつぶさに分析した本。様変わりした現代に読んでも情景が浮かぶことに驚嘆するとともに、敵を理解すべくこのような分析を行なっているアメリカ人の恐ろしさをひしひしと感じた。

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Posted by ブクログ 2022年11月18日

面白かったー
訳も読みやすかった。

特に第12章の子育てと第13章(終章)の戦後日本についてがいい。
第12章では西洋人から見れば矛盾している日本人の態度の豹変ぶり(戦時中の愛国精神から戦後の占領統治に従い得ないと予想されていたが、的外れに終わったなど。他にも多々ある。)の謎が解ける。
第13章は...続きを読む戦後日本の平和主義への方向転換に矛盾はないことを本書を通したまとめとして書く。よい。

個人的に、先日まで試験に合格するかしないかでかなり気を揉んでいたのだが、これが日本人的な思考だと論じられて、世界には同じ局面に対峙してもこんなに精神をやられないんだなと、自分が小さく見えたし、気持ちが軽くなった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年12月28日

太平洋戦争終結時に敵国日本がどのような態度に出るかを予想するために、アメリカ軍情報局が文化人類学者に指示し編纂された軍事報告書が元になっている本書。

当時、アメリカ軍は不可解な敵国「日本」に困惑していた。
最高の礼節を身に着けている にもかかわらず 思い上がった態度の大きい国民である など、これほ...続きを読むど「~にも関わらず」という言葉が多用された民族は他にない。

極めつけは、戦争終結前に国民の大半が徹底抗戦を肚にくくっていたのに、戦争が終結するや否や、進駐軍に笑顔を振る舞いている。

この急激な態度の変化にアメリカ軍は面食らった。

以上のような状況を踏まえ、日本人がそのような態度を取るもしくは取り得る文化的背景を解明し、今後の占領計画に反映するというのが本書制作の背景である。

内容は
・戦時下の日本
・応分の場を占める事
・明治維新
・過去と世間に負い目があるもの
・万分の一の恩返し
・義理ほどつらいものはない
・汚名をすすぐ
・「人間の楽しみ」の領域
・徳目と徳目の板挟み
・鍛錬
・子供は学ぶ
・敗戦後の日本人

で構成されている。

ルース先生自身、日本に来ることなく本書を書き上げている。
よって日本人からするとさすがにそこまで社会的圧力によってばかり生きているわけではないよ。
と反論したくなる部分はあるものの、中にいるからこそ
見えない視点も多く、学ぶところの多い書だった。

70年近く前に書かれた本だけあって、現代日本人に当てはまらない部分も多いが、当てはまる部分もある。

私たち日本人は大きな変化を経験したが、完全に入れ替わったわけではない。
日本人という民族として連綿と続いていると改めて実感した。
だからこそ、悪習も残ってしまっているのだが。。

以下、簡単な論旨。

・日本は古来、階層社会である。

・侵略戦争を経験しなかったため、周りとうまくやり、役割を回すことが生き延びる上で最善であった。(だから土着信仰である神道が今に至るまで根付いている)

・社会構成員にとって重要なのが「義理」と「恥」である。

・社会的規範を遵守する外への義理がある。基本的には恩の授受をバランスよく行う事と、義務を果たすことである。

・もうひとつ、自分の名誉を守る内への義理がある。これは強烈な攻撃性を発揮してでも守らねばならない。

・以上の義理を守れないものは「恥さらし」「恥知らず」として最低位の非難を受け、これは母集団からの排除につながる。これは個人的な死より恐ろしい。

・このように制約ばかりであるが、人間的な楽しみで義務に反しない限りは大いに自由が認められている。

・ある義理が義務と対立するとき、注意深く両方の義務を全うするか、片方の義務を全うできなかった責務を受け入れる(自害)のが美徳とされた。

・目的が明確でない苦難を日本人は「修行」という見方で捉え、何をするにも役立つという見方をすることにより耐えている。

【ここが一番大事】
・日本人は幼少期に自由で奔放に育てられる。だから家族が大切な拠り所になる。
 しかし家族は同時に義理や義務を強制する。それを放棄すれば居場所を失う。その恐れから困難な義務や義理を受け入れる。

・この自由奔放な幼少期と緊張と規律ばかりの青年期の大きなギャップが日本人独特の2面生を形成する元となっている。


以上の理屈を現実に応用すると、過去の振る舞いもだが、現代日本人の振る舞いにもある一定の説明が付く。

最後にしびれたのが表題。
菊から制約となる針金の輪を外す
錆に侵されやすい身内の刀を錆びつかせないよう

作者の一番の願いが表題に現れていました。

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Posted by ブクログ 2019年01月31日

500P超えの大著。
アメリカの文化人類学者ベネディクトによる『菊と刀』

アメリカとの第二次世界大戦中に、
敵国日本の情報収集の意を担ったこの研究は、
表層的な日本の軍事行動ではなく、
日本人の行動原理を深層から理解するために、日本人の文化発祥から当時に至るまでの歴史的観点で、日本人ならではの文化...続きを読む特性を鋭く考察した著書だ。

この本は1996年の時点で日本語版だけで230万部を売る、1946年からのロングセラーとなっている。
1945年第二次世界大戦終結の翌年に出版されている。

日本人をアメリカ人の社会文化構造の価値観の中から判断するのではなく、
日本人の社会文化構造の根底からの理解に努め、その流れや枠組みを汲み取り対象を見ようとしており、だからこそのアメリカとの違い、日本人であるからこその様々な特徴が浮き彫りになって見えてくる。

日本人とはこうゆうものなのか、逆に日本人が日本人を理解するような、非常に腑に落ちる感覚になる。


秩序と階層的な上下関係を重んじる日本人。
自由と平等を重んじるアメリカ人。

ジョン・ロックの『市民政府論』などに見える「自由」、「平等」の自由主義や民主主義的なバックボーンをもつアメリカとは、日本は背景が違うのだ。



戦後70年以上たつ今観るからこそ、
アメリカナイズされた日本、だがアメリカナイズしきらない日本、どこに日本人本来の特性があるか。その一点が眼前に観えてくる。

時を経ても「忠臣蔵」に対する義理を重んじる姿に感銘を受けずにはいられない。
今もまだ日本人には「義理」の心が息づいている。


こういった日本とアメリカの本質的な違い
ということをテーマにおかれた主題

アメリカ人にとっては理解不能な、一見矛盾しているように見える日本人の行動原理には、日本人には矛盾ではなくそこに秩序があり

そういったようなことを真に理解していくには
物事の表層的なことだけを捉えても理解は浅く、
歴史、宗教、政治、経済などのあらゆる全人間的知識を総動員して読み抜く必要がある。

そういった気概で向き合う価値のある骨太な良書である。

本質を見抜くには、多角的視点は不可欠だ。

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Posted by ブクログ 2018年09月08日

これはもう、とんでもない研究論文である。
読む時間が相当かかったのは、日本人たる自身や周りに垣間見える、見ようと思わないと気がつかない日本人の姿そのものが細かく描写されていて、いちいち読み込まねばならなかったからだ。
戦後、大きく日本人の文化は変わり、アメリカ人の文化も変わって、互いに融合して重なる...続きを読む部分が増えたように思う。しかし、本書で指摘されている恥の文化のようなファンダメンタルな日本人は変わっていない。その事を認識すれば、日本社会のみならず、国際的な活動における指針となるだろう。

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Posted by ブクログ 2014年03月31日

すごく精緻な日本人の分析だった。日本人あるあるネタもあるし、自分が考える所以となった背景が分析されていたのはすごく興味深かった。

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Posted by ブクログ 2023年09月30日

アメリカ人の文化人類学者であるベネディクトが日本人の特性・特徴を研究して著した本。

本著の起因は1945年、太平洋戦争終結後にアメリカ軍が日本を統治するにあたって分析を試みた際、ベネディクトに鉢が回ったことにある。
アメリカ人からすれば当時の日本人は不可解な行動を取る国民であった。
日本人は、攻撃...続きを読む的であるかと思えば、一面では温和であり、軍事を優先する一方で、美も追求する。このような二面性が彼らには理解できなかった。

ベネディクトは、アメリカ人には理解できないこのような不可解さも日本人なりの価値観や論理に基づいた相互に有機的な関係であると考えた。
そこで、日本人捕虜の尋問録、日本の映画、新聞、小説などから分析を行い、日本人の不可解さを説明する幾つかの鍵を見つけた。

それが、「応分の場」「報恩」「義理」「特目」「名」である。
つまり、己の分を知り、自身を抑制することで慎重にこれを弁える。自分が受けた恩には何があっても報いる。受けた義理は、たとえそれが不本意なものであったとしても、必ず返す。自分の評判を輝かしいものにしておくことをなによりも尊び、名誉を回復するためなら誰かを殺すことも自らの命を差し出すことも辞さない。
ベネディクトは、これらの性質を持つのが日本人だとする。

またベネディクトは、日本人に二面性をもたらすのは幼少期における教育の極端なまでの甘さであるとする。日本人の子どもは幼少期、欧米の子どもと比較して遥かな自由を認められる。
しかし、10歳頃になるまでに躾の一環として「コミュニティから仲間外れにされる恐怖」やそれに付随する恥や嘲笑を与えられるため、日本人は壮年期には自分の衝動を抑えることが常となってしまう。
それでも、時折、自由奔放の身であった幼少期の記憶がフラッシュバックする。これが日本人の二面性として表出するというのだ。

本書は80年も前に発表された本だが、深く西洋化された現在の日本にも通ずる内容だと感じる。それほど日本人の本質の部分を的確に捉えている。

高度成長期の日本は敗戦後の荒野から、先を行く欧米諸国にキャッチアップするだけで成長が約束されていた。しかし、それに追いついてしまってバブルが崩壊し、日本経済は底を打った。そしてそこから30年間、遂に浮上することなく今日に至る。

日本経済の復活のためには、官民学のあらゆる領域において抜本的な改革が必要である。経営学のトレンドを追うことや細かな経済施策を考えるだけではなく、より根本的で徹底的な革新が必要だ。
そしてその革新の準備のために、今一度日本人の特徴・資質を見つめ直すべきだと思う。本書はその一助となる古典だ。

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Posted by ブクログ 2023年08月07日

米国の目から日本の心理を考察した本。日本人がどう見えていたか、どうだったかに関する考察は非常に興味深い

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Posted by ブクログ 2022年11月11日

途中で飽きてしまい、最後まで読んでいないのですが笑
戦時中の雰囲気を感じつつ、現地調査ができない中でのベネディクトの鋭い考察には感心した。
戦後から半世紀以上が経って日本人の行動パターンも若者を中心に変化しており(ジェネレーションシフトというやつ?)、私もその世代の一人なので共感できないところも多々...続きを読む。しかし高齢者率が高いことを考えればこの本で述べられている日本の行動パターンを理解するのには意義がある。

日本人は法律や制度、役割を設けて過剰に環境面の秩序を保とうとする。"過剰に"、"環境面の"というのが日本独自のポイントだと思う。秩序を保とうとするのは、どこのどの程度かに差はあれど生存欲求をもつ人類共通のものである。

まず、なぜ日本人は"環境"の秩序なのかというと日本人の世界の認識が、環境→主体だからだ。言語の構造と世界の見方には深い関係性があって日本語は英語と違って周囲から中心に向かう言語だということを最近知り、このように思った。ここらへんは今後学んでいきたいところだが、日本人は主体よりも先に環境を捉えるのだろう。

そしてその環境だけを見つめていると、誰もコントロールできない創造と破壊の世界(無常観)であることに気づく。その流れに身を任せられる勇気があればいいものの、大抵は個を失ってしまうというのではないかと危機感が芽生える。だから自分という存在を見失わないような法律、制度、役割を欲するのである。

運が悪いことに法律や制度というのは権力と相性が良く、歴史上のトップは日本人らしさを悪用して不安を煽り"過剰"なまでにはってしまったのだろう。

環境面の秩序を重んじる日本人らしさはらしさでいい。でもそれが自分や誰かを傷つけるほど過剰なものにならなってはならない。遠くの誰か見えないなにかではなく、目の前の自分と他人に素直でありたい。これからは東洋と西洋の行動パターンをバランスよく取り入れていくことが大事である。

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Posted by ブクログ 2022年08月19日

1ヶ月かけて読み終わった!
今まで疑問に思ってた自国の文化について分析されていて、また理解が深まった。大学の時に文化人類学の授業で読んだんやけどなー
一部しか記憶になかった

日本に興味のある外国人は読むべき、もちろん日本人も

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Posted by ブクログ 2021年09月30日

難しかったー。
でも面白かった。

簡単に説明するならば。
第二次世界大戦の折のアメリカ。
「日本人、不可解すぎるよ」
攻撃的なのに温和。
思い上がりつつ礼儀正しい。
頑固さと柔軟さを兼ね備え。
従順でありながらぞんざいに扱われると怒る。
節操あると思いきや二心もある。
勇敢でもあり小心でもあり。
...続きを読む保守的であると同時に新しいものを歓迎する。
他者の目線を気にし見られていなくても気にし。
上からの規律を守るが上に反抗的な態度もとる。
竹槍で戦闘機は落ちないよ。
ラジオ体操で空腹はおさまらないよ。
冬場の乾布摩擦や滝行、何?
寝ずの行軍練習で極限に慣れる、なんてやめとけ。
とまあ、矛盾しすぎて次の行動が読めず、
「この民族滅ぼすしかないんじゃね?」
日本人を知るための研究レポートに加筆修正を加えたのが本書です。

面白かった考え方。
「恩」について。
受けた分はきっちり返さなければならない、まるで借金のようなもの。日本人は「恥」を以って、返済を強要されている。「名前」「名誉」を汚すことのないよう、他者からの評価、つまり自分に向けられる目線を気にして生きている。
「そんなことしてたら人に笑われるよ」
と小さい頃からしつけられる。
もし「名」が汚されたときには「復讐」として人に返すことを好む。侮辱には報復を。しかし仕返しが叶わなければ、憎悪は自分自身に向かっていく。
「やられたらやり返す…」
って現代でもやってますもんね。
忠臣蔵のときからそれは変わらん、と。
そして、人からの目線が気にならない人間を「悟った!」と崇め、皆鍛錬を積んで目指す。
無我の境地。ゾーン。邪魔をするなら仏でも倒す。
日本人にとっての修行はそんな感じ。
「恥」から逃れた生き方ができるのが、達人。
わがままに過ごせた幼児期に帰る、とも言う。
それこそが日本人の二面性を生むらしい。
大胆不敵な子どもだった自己。
慎重に「恥」に気を配る、自重する大人の自己。
菊を愛でる美的感覚を持ちながら。
武士のように刀を振るうのを厭わない。

日本人の国民性を浮き彫りにした著作として、ロングセラーになる理由がわかりました。


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Posted by ブクログ 2021年05月17日

これ著者女性だったんだ。知らなかった。
太平洋戦争前後の日本人的価値観をアメリカ人文化人類学者の視点から紐解いた本。

アメリカ人との対比でさらに理解が深まる。そして70年以上経った今も日本人に根付いている価値観ばかりで面白い。恥を重んじる文化とか特にそう。夏目漱石の小説から分析したくだり超面白かっ...続きを読むた。奢ってもらった友人に馬鹿にされてることを知って、貸しを作っていることに屈辱を感じ、代金分を投げ返した話。確かに未だに日常で目にするわ〜、絶対につまらない貸しを作りたくない人いる〜。格下だと思っている相手だと特に。かたじけのうございまする(笑)だわ。

読んで良かった。誰かも言ってたけど、フィールドワークしないでここまで日本人という独特な人種を分析できたのスゴい。

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Posted by ブクログ 2018年10月08日

日本人としてはごく当たり前のことではあるのだけれど
その指摘の鋭さに、しかもほぼ全編に渡って文献研究のみ、というところに
ただただ感心しきりの1冊でした。

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Posted by ブクログ 2017年09月26日

思わぬほどに時間がかかってしまいました。そんなに
読みづらい文章ではないのですが。
昔から読んでみたいと思っていて読めずにいた本です。
1946年の本。いまから70年以上も前の本
ではありますが、日本人の考え方についてよく分析している
と思いますし。自分でもなるほどと納得する部分もあります。
自分自...続きを読む身の根っこの部分は、両親から教えられたことが
そこに純然としてあって、それは、応分の場を意識すること
義理を果たすこと。恥を嫌うこと。過去に負い目を持っておくこと。などが確かにあると思います。
ただ、やはり日本人も少しずつかわっているのだと
思いますし、自分よりも後の世代の人たちがどのように
受け取るのかは興味があります。

最後の部分
”日本人は現在、軍国主義が輝きを失ったことを知っている。日本人は、世界のほかの国々においても事態は同じなのだろうかと、目を凝らして見守ることになるだろう。同じでないとすれば、日本はふたたび好戦的な情熱を燃やす可能性がある。そして、事に加担する力があるということを誇示するであろう”
については、安部首相とその仲間たちとそれを喜々として騒ぐネット系の人たちのイメージがわいてくるのですが、もしそうであれば、そのまま言い当てられていると思いました。

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Posted by ブクログ 2016年05月03日

心理学に興味を持つきっかけになった本。
初めて読んだのは高校生の時で読書感想文を書くために渋々読み始めましたが、想像以上の面白さで一気に読みました。
それから何度も繰り返し読んでいますが、読むたびに新しい発見、共感、考察が生まれます。

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Posted by ブクログ 2015年08月14日

【日本に一度も来たことない/アメリカ人女性による/70年近くも前に書かれた】本のはずなのに、「あーね」「分かるわー」「それな」連発。参りました。笑

少し前の「そのツイート玄関に貼れますか?」事案もそうだが、表面は変われど本質は変わってないんだろうな、日本人って。ベネディクトさんまじ慧眼。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月29日

はじめに驚いたこと、
結構多いみたいですが、著者は女性(!)だということ。
そして、一度も日本に行ったことはないこと。

確かに誤っている部分はありますが
それでも、十分すぎるほどに
日本人、というものを鋭く捉えています。
しかもこれが書かれたのはおよそ70年前。
驚きですね。

そして、遠い未来は...続きを読む予測されてますね。
もしかしたらこれを読んで
「いけない」ということを学ぶことが
ある種の鍵なのかも…

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Posted by ブクログ 2014年12月25日

日本人を考察した古典的な本。内容の精密さという点では稚拙な部分があったが、当時の時代背景等を考えればこの点については仕方がないだろう。それ以上に、著者の日本人に対する見方・観点はたいへん鋭いものがあり、ハッと気づかされる部分が多かった。現在の日本の「恥の文化」は著者が感想を抱いた過去の日本と比較すれ...続きを読むば大分濃度は薄れているように感じるが、その根底は変わらないだろう。

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Posted by ブクログ 2014年05月15日

日本人論の古典的作品として有名な本書、学生時代に読んでみた時には翻訳が難解すぎて、数ページ読んだだけであっけなく挫折。新訳書が出ていることを知り、ウン十年ぶりに再挑戦したら、読みやすかった。
もっとステレオタイプな日本人論が展開されているのかと勝手に思っていたが、日本人の行いや心理への目のつけどころ...続きを読むが鋭く洞察が深い。特に、日本人自身も明瞭に説明しずらい天皇制についての考察は興味深い。
戦後生まれの世代には、名実ともに「古典」となってしまっている日本人の習わしも分析されているが、子供の頃の昔話を聞いているような懐かしさがある。

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Posted by ブクログ 2013年10月25日

昔からこの著書のことは知っていたが「日本語の論理」(外山滋比古氏)に書かれていたので読んでみたいと思った。訳者泣かせの難解な部分があり、途中何度も読みずらいと感じた。しかし、これを超える優れた日本論はなかなか現れないというのはうなずける。学問的裏づけ、方法論をもった著書である。題名の「菊」と「刀」の...続きを読む意味がわかるのは終盤である。読者それぞれが自分のイメージをもって読むと面白いかもしれない。マッカーサーと天皇の話にもふれられていて、戦後処理を知る上でも興味深い。

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Posted by ブクログ 2014年07月17日

今なお「日本人論」の決定版といえる古典的名著。実は大学時代にゼミの教授から「絶対に読んでおきなさい」と言われ、「はい」と答えて放置すること20年。ようやく義理を果たせました。
そう。本書はこの「義理」が大きなテーマです。日本では、義理を果たすことを促す力が強力に働いています。義理を果たさないでいると...続きを読む、妙にそわそわすることがありますね。それはどうやら私たち日本人に特有の性向らしいです。
60年以上も前に著された本書ですが、今もなお売れ続けるのは、やはり時代を超えた洞察力でしょう。今も色あせない、というより、今こそ耳を傾けるべき示唆に富んでいます。
たとえば―。
「アメリカの生活の仕組みにおいては、競争は望ましい社会的効果をあげるが、日本ではそれと同じ水準の効果は期待できない。(中略)心理テストが示すところによると、わたしたち(米国人)の仕事の出来が最高になるのは、競争に刺激されたときである。ところが日本では、(中略)事情が変わってくる。競争相手がいる状況でテストを受けると、成績が落ちるのである」
「誠という言葉は、私利私欲に恬淡としている人を称賛するために、繰り返し用いられている。このことは、日本人の倫理が利益の追求を強く非難していることの現れである。利益は、階層的秩序のもたらす自然な結果でない限り、搾取の結果と判断される」
「中国の当面の目標は軍事力の増強である。そして、その野心はアメリカによって支えられている。日本は、軍事力の増強を予算に計上しなければ、やる気次第で数年のうちに繁栄のための態勢を整えることができよう」
現在、盛んに報道されているTPPを念頭に置けば、次の指摘は実に考えさせられます。
「アメリカ人は、絶えず挑戦してくる世界に対応するために、生活全体の調子を加減する。また、そのような挑戦を受けて立つ構えができている。ところが日本人は、手順通りの図式的な生活様式に支えられて初めて安心するのである。そこでは、見えないところからやって来る脅威が最大の脅威と見なされている」
専門家によれば、明らかな事実誤認や瑕疵が見受けられるそうですし、素人の私から見ても現代の日本人にはそぐわない記述も随所に見受けられます。
たとえば―。
「妻は夫のために人生を犠牲にする。夫は自分の自由を犠牲にして、一家の稼ぎ手となる」
このような自己犠牲の観念は、特に若い世代の多くには理解しがたいことでしょう。
「なぜ夫のために自分を犠牲にしなければならないのか」
「なぜ自分の自由を犠牲にしてまで家族を守らなければならないのか」
そんな反論が容易に予想されます。
しかし、それ以上に本書は、日本人とはどういう性質を持つ国民なのかについて、実に正鵠を射た論考を展開しています。
著されてから60年以上たった今も、日本人はほとんど変わっていないことに気づかされ、喜ぶべきか悲しむべきか、複雑な気持ちになりました。

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Posted by ブクログ 2024年04月25日

長い。流し読みで気になったところだけ記録。

多くの東洋人と異なって日本人は、文を綴ることによって自分自身をさらけ出そうとする強い衝動をそなえている。

人間は日常生活の中で行動を学習する──。ある人の行動や意見がどれほど異様に見えようと、当人の感じ方や考え方は、経験してきたことと一定の関係を持って...続きを読むいるのである。

「世界はひとつ」を唱道する善意の人々は、世界中の人々を自分たちの見方で染めることに期待をかけてきた。

日本は戦争の大義をほかの観点から見ていた。つまり、各国が絶対的な主権を持っている限り、世界の無秩序は一掃されない。日本は国際的な上下関係を確立するために戦う必要がある。そのような階層の頂点に立つのは、もちろん日本である。なぜなら日本だけが、国内において頂上から底辺へと正真正銘の階層を形成し、したがって、「おのおのがその所を得る」必要を理解していたからである。

精神が物質を制する戦いに勝利する。

精神はすべての源泉であり、不滅である。モノはもちろん必要であるが、精神に次ぐものでしかない。しかもいずれ消滅する。

達観せる魂は千年不滅

大きな苦難に襲われたとき、人は進んで機会を設けなければならない」。

アメリカ人は、絶えず挑戦してくる世界に対応するために、生活全体の調子を加減する。また、そのような挑戦を受けて立つ構えができている。ところが日本人は、手順どおりの図式的な生活様式に支えられて初めて安心するのである。そこでは、見えないところからやって来る脅威が最大の脅威と見なされている。

生死にかかわる危険に身をゆだねてこそ潔い。事前に対策を講ずるのは卑劣である。

死はそれ自体、精神の勝利である。アメリカ式の病人の手当ては、爆撃機の安全装置と同じように、捨て身の精神を妨げるものである」

名誉は死ぬまで戦うこと

死以外に何も残されていない日本兵

ちょうど、百姓が搾取されたときと同様に。それは本人にとっては危険なことであったが、公認の行為でもある

日本人の見方によれば、法に従うということは最重要の恩義、すなわち皇恩を返すことに他ならない。このような物の見方ほど、アメリカ人の思考様式との対照性を浮き彫りにするものはないだろう。アメリカ人にとって新規の法律は、赤信号の設置に関する道路交通法から所得税法に至るまで、全国民から忌み嫌われる。なぜならそれによって、自分のことを自分で決める自由を奪われるからである

嘲笑者とは、他人の魂と心を抹殺する者のことである。

「世界中の注視の的となっているというのに」、空襲のあとの瓦礫の始末もできず、電気・ガス・水道などの公共サービスの中にはまだ復旧していないものもある。これは日本の名にとって何という汚点であろうか──。

日本人は、世界の中で尊敬を集めたいという焦慮に駆られている。

四海兄弟論 市井 慰撫 空文化 応分の場 背馳

覚書 因習 纏足 満腔 開闢 容喙 輔弼

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

冒頭、異なる文化の人間を理解することは難しい、分析も難しい、真に理解し合うことは困難だ、という言い訳が長々と続く。

次からは日本人に対する分析が始まる。
内容については賛否あると思う。
よく言われる恥の文化というのはピンと来ない。

著者は日本で取材せずにこの本を書いたと聞く。
今で言うコタツ記事...続きを読む

何かと言うと引き合いに出される本だが、日本人が気にするべき内容ではないのでは?外国人が日本を知ろうとして読むのは自由だが…

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Posted by ブクログ 2023年05月20日

途中話がバラバラしている感じがしたが、最後まで読んだら話の道筋を理解することができた。日本社会のこともアメリカ社会のことも賛美することなく、倫理感覚の違いによるそれぞれの社会構造を説明している。読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2022年08月13日

とても興味深かった。
タイトルの『菊と刀』のことを、何となく皇室と武家?みたいな感じにとらえていたので、本文読み始めてびっくりした。私が単に常識知らずなのかもしれないけど思い込みってこういうことあるよな〜としみじみ。
ベネディクトが日本人論を著す必要に迫られた時代と現代とではずいぶん日本人も変わって...続きを読むいると思うし、色々と指摘されているとおり誤解や誤りも多々ある。また、ベネディクトの視点には、偏見をなるべく取り除こうという意識も感じられるけれど(レンズの下りなど……)、やはりアメリカについて語るとき「そのレンズは少し曇っていないか?」と思ってしまうところ(建国以来平等が人権の基盤とは?南北戦争のあった、奴隷制のあった国が?とか……)などもあり、難しいものなんだなと感じた。
それでも、いわゆる「日本人論」の基礎基盤として現代にも通じるベストセラーであることにはとても納得したし、読んでいて面白かった。
訳者あとがきも大変興味深く、日米露の遵法意識の違いの下りなんか目から鱗というか、書かれているとおり、そんな形の一味違った比較文化論も面白そうで、読んでみたい。

それにしても、子育ての様子などをあんなに生き生きと描写しているのに、一度も日本に来たことがないとは驚いた。すごいな。
アメリカの情報収集能力もすごいだろうけど、それもベネディクトの才能なんだろうなあ。

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Posted by ブクログ 2021年04月14日

全編通して、日本に対する外からの視点で語られているのは非常に面白かった。そのような特性から、これまで意識することのなかった日本の特性に気づけた。
一方で、刊行された時代と現在に隔たりがあることやフィールドワークなくして行われた研究であることなどから、誤りや現代にそぐわない内容も多く、歴史の勉強にはな...続きを読むっても現在の分析にはなり得ない箇所も当然散見された。
それでも、戦時中の慣行から、当時ほど過激ではないとはいえ、現代の日本にも通底する要素が見られた。それは例えば、精神論であったり、階級制度の絶対視であったり、恥の文化であったり、応分の場を弁えることであったりする。
「精神はどんな物理的なものにも勝るし、肉体を追い込めばその精神は鍛えられる。」バカバカしいとも思える主張だが、このような考えをもとに形作られた文化や風潮は未だに根強く残っている。
階級制度とそれがもたらす秩序の絶対視も未だに根強く残っている。それは先輩後輩など年齢による過剰な区分に表れている。能力や人格ではなく、年齢によって敬意を示す相手が左右されるなんて自由のかけらもない。これは朱子学、儒学などに由来すると聞いたことがあるため今後関連する著書にも目を通してみたい。
本書を通じて、時代や場所によって常識があまりにも左右されるということが改めて感じられた。今、自分が過去の日本について読んでいて愚かであると感じたり、変わっていると感じたりするように、他国の人々や未来の日本人にとっては自分にとっての常識が非常識に映ることが大いに有り得るということを考えなければならない。そしてこれはいつの時代、どの場所でもそうなのだろう。我々人類は不変性や必然性をもった良識なんて見つけることが出来ないのだから。

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Posted by ブクログ 2021年04月04日

山口周さんの本の中に出てきた「欧米人の罪の文化に対して、日本人は恥の文化」というのが気になって読んでみました!

第二次世界大戦中に米国戦時情報局の依頼を受けた文化人類学者が、日本の気質や行動の研究・考察をまとめた本。いまだにベストセラーってすごい

日本の外からだからこその着眼点とか、逆にちょっと...続きを読むずれた解釈とか、どちらにしてもいちいち詳細で深掘りしてあってびっくりする。戦時中だから日本に調査に行くこともできない中、どうしたらこんなに鮮やかに描き出せるんだろう…!
同じ日本人でも時代がかなり変わっているし、恩とか忠とかの話は途中から難しくてついていけないところも多々あったけど、外国から見た日本の特異性って自分たちではなかなか気づけないからおもしろいな

なにより、日本人の理解できない行動や思考を、自分たちの持つ価値基準とは異なる価値基準にあるとしてそれを解明しようとする姿勢、めちゃくちゃ格好いい


わたしは何か理不尽なことやイラッとしたことがあった時に、心の中で相手に「恥を知れ!」って言うことが多いのですが笑、これって日本独特な考え方なのかな!?というのに興味が沸いて…
結局恥の文化も一読ではぜんぜん理解できてないのでそのうち再チャレンジしたい笑


ー日本人を描写するために、「その反面…」という言い回しが数え切れないほど繰り返されてきた。世界中でこれほど頻繁にこのフレーズを適用された国民はないー
これらの矛盾はいずれも日本に関する書物の縦糸と横糸であって、すべて真実である。菊も刀も、同じ日本像の一部なのであるー

最初のこの導入の文章が大好き!

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Posted by ブクログ 2019年06月14日

よくぞここまで研究したもんだと感心した。
が、研究結果と論文の出来は別物で前述で完結したものとばかり思っていた言葉が二度も三度も繰り返して別の例でくどくど蒸し返すのでテンポの悪さが目立つ。
日本人特有の特徴をうまく表現しているだけに例えば忠臣蔵のくだりなど、どこまで論文から離れて忠臣蔵の詳細を延々と...続きを読む書くのだろうと胸焼け気味。
最後の菊と刀はタイトルにするがためのこじつけたかのような印象を受けるが日本好きな外国人らしいかなと目を瞑ることにして星3つ

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