【感想・ネタバレ】プロタゴラス~あるソフィストとの対話~のレビュー

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 2011年5月23日(月)に阪大生協書籍部豊中店にて科研費で購入。同日読み始め、25日(水)に読み終える。

 訳文も読みやすいし解説もすばらしい。これは訳者というよりも光文社翻訳編集部に対する意見だが、たしかに訳者もあとがきで書いているようにプラトンの『プロタゴラス』は藤沢令夫訳が出てからすでに50年以上経っており、「光文社古典新訳文庫」が謳う「いま、息をしている言葉」ではなくなってきているのかもしれない。だとしても、誰でも手軽に読める文庫で新訳を出すのなら、『ニコマコス倫理学』とかもっと優先度が高いものがほかにもあるような気がする。

 今度から藤沢訳と交互に読みたい。

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2019年01月22日

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[高橋一生が演じているかのような生き生きとした鼻持ちならないアリストテレス]

ソクラテスの対話編を読むのははじめて。それ以上に古代ギリシャ哲学について書かれた本を読むのもはじめて。
しかし神業のような翻訳によって、まるで脚本 宮藤官九郎、ソクラテス 高橋一生というようなイメージで一気に読んだ。

いきなり冒頭から、最近自分が入れあげている美少年についてのろけるソクラテス(35歳)に大笑いする。
とにかくうざい高橋一生版ソクラテス。

・揚げ足とり
・はい、論破ー

新進気鋭のネット番長、ソクラテス35歳が著名作家プロタゴラス(60歳)に粘着リプライを繰り返す話。

物語のコアは、人間の徳(プラトー)は教育によって教える事が出来るのか?という点。

これって、今の学校教育でも言える。

多くの大衆は思う。「学校で教わる事など人生で役に立たない。知識、知恵を活かすよりも、人は小隊不明の非論理的衝動にかられて行動してしまう」


衝動とはなにか?
衝動と徳(アレトー)は異なるものなのか?
徳(アレトー)は教えられるものなのか?


これは哲学問答なので、答えは提示されない。
でも、これこそが今の学校教育に不足している事なのかもしれない。
教えるのではなくて、問う事。


そして、いい加減、高橋一生が「夕べの美少年良かったわぁ」としたり顔をする幻覚から肺胞されたい。

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2019年01月17日

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・哲学者プラトンが書いた初期対話篇です。
この書を読めば、如何にソクラテスが「知」というものを重視し、また自分は何を分かっており、何を分かっていないのかの線引きをハッキリさせる事に真剣だったかが理解出来ます。

新訳なのでスラスラ読めました。おすすめです。

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2018年12月19日

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ネタバレ

「人間の徳(アレテー)は、教えられるものなの か?」「ソフィストとは、そもそも何者か?」。若 くて血気盛んなソクラテスは、アテネを訪問中の プロタゴラスのもとにおもむき、徳をめぐる対話 を始める。しかし、議論は二転三転。次第に哲学 的色彩を強めながら、やがて意外な結末を迎える ことになる。プラトン対話篇、最良の入門書。

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2014年07月02日

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おもしろかったなあ
これが紀元前の作品だなんて…今読んでも色褪せないし、対話形式だから私たちの疑問も拾いながら連れて行ってもらってる感覚になる
考えることについて、その方法を物語形式で教えてくれている
中高生ぐらいのときに出会えていたらなあと思わずにはいられない

ソクラテスが処刑で死んだ理由は何となく分かるような気がする…これは本当にうまくやらないと、色んな人の反感を買いそう…

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2024年05月03日

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難しかったけど、読めなくはなかった。
対話形式でアレテーについて深めていく内容で、ソクラテスの論理的な思考が物凄いなと思った。仮説を立てて証明を行なっていく様がとても面白かったし、物事を深く考えるのって楽しいんだなと思った。

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2021年02月17日

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徳(アレテー)について。ソフィストのプロタゴラスとの対話。アレテーとは何か。アレテーは人に教えることができるのか。哲学とは、生きるとは対話(ディアレクティーク)。プラトンに貫かれている真理だと思う。

17.12.17

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2017年12月17日

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 ソクラテスは、知者として高名なプロタゴラスに対して最大限の敬意を払い、持ち上げると見せて、彼の演説の中の、一見些細なことにも思える問題点を指摘する。はじめは余裕で応じていたプロタゴラスも、ソクラテスから次々と繰り出される質問に次第に追い詰められ、最後は自分の発言の誤りを認めざるを得なくなる。そんなプロタゴラスの様子と、ソクラテスの鮮やかなやり口に、昔見た米国のテレビドラマ「刑事コロンボ」が想い起こされた。プラトンの著作の中でも、読み物としての面白さが特に際立つ作品となっている。
 「徳は生まれつき備わっているものではなく、教えられて身につくものである」というプロタゴラスの主張には、納得できる部分もあるように思う。だが「徳は知識である」というソクラテスの主張についてはどうか。作中のプロタゴラス同様、違和感を抱かざるをえない。だが知識でないなら、なぜ教えることができるのだろうか。
 一方、プロタゴラスの主張に反対していたソクラテスも、プロタゴラスとの問答の末に、徳は知識であり、したがって教えられるものであることを証明する結果となってしまう。二人とも自己矛盾に陥った格好だ。
 ソクラテスが言うように、議論のどこかに誤りがあるのか。あるとしたら、それはどこなのか。答えは読者に委ねられる。哲学するきっかけを読者に与えるという点でも、本書は優れた哲学入門書といえる。

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2016年07月30日

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ソクラテスがプロタゴラスに徳をテーマに論戦を挑み三段論法炸裂によるカタルシスは痛快というか、物語性がある。
古典新訳文庫は本当に読みやすい。

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2012年08月31日

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若き日のソクラテスが、当代最強のソフィストであるプロタゴラスとの間でスリリングな論争を繰り広げる。
苦戦を強いられるソクラテス。
果たして戦いの行方は!?

カジュアルな訳文で、心地よく読み進めていくことができる。また、いわゆるソクラテス・メソッドの実践本としても読むことができる良書。

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2012年03月31日

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 「人間は万物の尺度である」という言葉で知られる高名なソフィストであるところのプロタゴラスとソクラテスの徳に関する対話篇。ソクラテスというのは、本当に人を喰ったようなたぬきオヤジだなとつくづく思った(笑)。そして抜群に頭がいい。対話の主導権を握る方法の最も最古のものはソクラテスなのではないかと思ってしまうほどに。

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2012年02月27日

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まず一言にまとめるなら読みやすいということである。
古典だからとびくびくしながら手に取ったが読み進めるうちにものすごくのめりこんでいくのが心地よかった。さーっと読めてしまいそうで、実は一度突っかかってしまうと再起は困難である。毎項じっくり味わっていくのがいい。

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2011年12月16日

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ソクラテスの立論の仕方から感じるのは、「あいまいな応答」を許さない、ということ。質問に対して相手の答えを聞いたら、「それはどういうことか。AとBが考えられるが、そのどっちだ。」「その答えは、先に君が答えたこととは整合しない、つまり先に君が言ったことは間違いということだ」といった、混ぜ返しで本質に迫る、というもの。

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2018年10月14日

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ネタバレ

ソフィストのプロタゴラスと対話する若きソクラテスという設定で、「徳は教えられるのか」「正義や節度・敬虔や勇気などは一つの徳(アレテー)なのか、それとも一つの徳の一部分なのか」という二つの話題が中心になっている対話篇。

プラトンは「ソクラテスの弁明」しかまだ読んだことがないから分からないけど、若いソクラテスという設定ゆえなのか?ソクラテスが優位に対話を進めるという感じではない。
前半ではプロタゴラスの方が周りの支持も得ているし、説得力を感じる。ソクラテスは長い話は苦手だと言って話を逸らすが、そのあと詩の解釈でさらに長い話を自分でするのはどうなんだ(笑)。後半もソクラテスのやり方は揚げ足取りのように感じられて、あまりスマートとは思えなかった。「反対のものは一つしかない」などの前提がそもそもおかしいというか、プロタゴラスを罠にはめるための装置としか思えなかったからだ。
結局最後にはお互い主張があべこべになってしまい、もう一度議論をやり直したいが時間切れ、というところで終わってしまう。読者がこの対話を続けてくれ、ということなのだろう。私は前述のような理由でこの議論自体にもあまり魅力は感じられなかったので、あまり気乗りはしないけれど。もうちょっと別の作品を読んでみようと思う。

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2023年10月26日

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やや毛色の違うプラトン対話篇。
他の対話篇とあわせて読むことで面白さが増すと思う。


大抵のプラトン対話篇では、劇中のソクラテスの言葉が執筆時のプラトンの思考に近いものとして受け取って読まれる。
だが、この『プロタゴラス』でもそうだとは単純には言えない。

「快は、その帰結などを考慮しなければ、それ自体としては善いものである」
「善い快と悪い快の区別はない」
「快苦の大小を現時点からの遠近などで惑わされず(いわば幾何学的に)計算する技術としての知識」
他の対話篇での記述と整合させるには一手間かけないといけないような、これらの記述があるからだ。

しかも、これらは「大衆が同意してくれるか」という点で見解の妥当性が問われている。
いつもの劇中ソクラテスなら対話者と同意が得られるかどうかを問題にするだろうに。


他のプラトンの対話篇との整合性はおくとしても、当時の知識人たちの知的な遊戯を味あわせてくれる。

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2022年06月12日

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三十代のソクラテスと六十代のソフィスト、プロタゴラスの言葉によるタイマン。
後半はソクラテスの追及に胃が痛くなりそうに笑
議論自体は最初の議題から外れてしまい、自分はいつのまにか迷子に。後半の論理展開もついていけなかった。
詭弁めいたテクニックも使ってプロタゴラスに迫るソクラテスに、若さを感じる。
少し置いてからまた読み直して頭を整理したい。

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2022年01月01日

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プラトンが、ソクラテスとプロタゴラスの対話を描いた本。
大いに繁栄していた紀元前5世紀のアテネ。これだけ抽象的、哲学的な対話がされていたというのは流石だなぁと、今更ながら思いました。

対話のテーマは、人間としての「徳(アレテー)」とは、人に教えることができるものなのか?というもの。
ソクラテスは「教えることはできない」立場、プロタゴラスは「教えることはできる」立場で対話が始まって、徳(アレテー)の性質について論じていたのですが…、最後は確かに意外な結末で終わってしまったなぁと感じました。読者にバトンを渡したってコトなのでしょうか。
文章は新訳のおかげで意外なほど読みやすく、ストレスに感じる箇所はほぼありませんでした。

個人的には、哲学者って一本筋が通っていて、どれだけ対話をしていても考え方がその中で変わることは無いものだと思っていたのですが、言葉の定義を定めようとする中で主張が変化していく様を読んでいくと、これが本当に哲学的で本質に迫る議論だったのかなぁ…と釈然としない気持ちになりました。
大学時代に哲学をカケラほども齧らなかったので、もう少し素養と教養があれば深い読み方ができたのかもしれません。いつか再読してみたい本。

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2018年08月19日

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ソクラテスの弁がいかに凄まじいことがこのプロタゴラスでよくわかった。ソクラテスの弁明では、何かのテーマに対する実際の弁はなかったから。
ソクラテスとプロタゴラスとの対話が展開されていくのだが、読み進めていくと頭脳がが筋トレされてムキムキにバルクアップされていくような感覚になっていく。

一つ心に刻みたい事が語られていた。
それはソクラテスがある若者に忠告する言葉。
「君が体を大切に思っているのはわかる、しかし心はどうだろう?目に見えない知識や情報などは物よりはるかに危険が大きいのだよ。なぜなら心に一旦入ったら物と違い、突き返すことができないのだから」

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2015年03月05日

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初めてプラトンの本を読んだ。非常に平易。ソクラテスが相手との対話を通じて真実を明らかにしようという姿勢だったことはよく分かった。ただ初心者としては,ソクラテスが詭弁を弄して相手を論破しているだけのようにも思えたのも事実。

本の感想ではないが,2千年以上前の人が考えたことを本を通じて知ることができる,というのは凄いことだと改めて思った (勿論孔子とかにもいえます)。と同時に現在でも答えは出ていないと思うし,当時は現在ほど忙しくなくまた物質的にも豊かではなかったと思うので,逆に今以上によく考えられていたのでは,と思う。とすると寧ろ (なかなか哲学する時間や機運のない) 現在こそ古代の哲学に触れることは有意義ではないかと思った。

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2011年11月01日

Posted by ブクログ

徳は人に教えることができるか。
勇気とはどういうものか。
ソクラテスは対話の中で一定の答えを出すが、それがまた矛盾を生み結局うやむやになる。
それが哲学の宿命であることを理解せよと。
いかにも哲学っぽい物語だけど、正直面白くはない。

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2011年03月26日

Posted by ブクログ

初めて、プロタゴラスを読みました。
ソクラテスとプロタゴラスの哲学の議論。
前提条件をおきながら、それが正しいとすればとの問いかけが、なるほどと思わせる内容です。
短い中に、哲学議論のエッセンスが詰まっているように感じました。哲学の論理って難しいですね。

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2010年12月28日

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