【感想・ネタバレ】聖書のなかの女性たちのレビュー

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Posted by ブクログ

遠藤周作作品を読むと、一気に人間の幅が広がる気がする。
本題はもちろんのこと、聖書と関係ないが「ひよこ」という偏でも、非常に心とらわれた。「秋の日記」でも、著者の心に刻み込まれた、もうすぐ死期を迎える夫とその妻の手を握り合った姿。どんなに愛し合っていても、人は死から救い出すことはできない、という当たり前だけど受け入れるしかないつらい現実。そこから残されたものが救われるためのヒントやなにかが聖書にはあると思った。
誰も人を裁き、軽蔑する権力などもたない。それと同時に、相手の全てを理解するというのもできないのだと、しみじみと痛感させられる。当たり前の事実なのだが、過ぎていく日常の中で、私たちは驕ってこの事実を忘れ捻じ曲げて生きてやしないだろうか。

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2016年08月29日

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聖書のなかの女性たちとして一人の娼婦、ヴェロニカ、病める女、カヤパの女中、サロメとヘロジャデ、マグダラのマリア、マルタ、ピラトの妻、聖母マリア、ルルドの聖母について書かれており、そのあとに「エルサレム」や「秋の日記」として、体験や思いが綴られている。とても分かりやすく、また感じるものも大きい。女性の話も面白いが、あとの日記がとても良かった。
2010/11/23

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2010年11月23日

Posted by ブクログ

大好きで何度も何度も読んでます。
一番好きなのは、本文ではなくて『ひよこ』との話。
この本を読むたびに、愛と優しさを感じます。
ただ、ひとつだけ。
サロメの話だけが切なくて悲しい。
たくさんの人を救ってきたけれど、サロメはその対象にはならなかった。
サロメというと、7つのヴェールの妖艶な踊りが有名で、生まれながらに淫乱・残虐非道な少女となっていますが、オスカー・ワイルドの小説のせいか、本当にそうだったのかとも思えてきます。
(遠藤氏の文章でも、その疑問は書かれています。)
神さまにも、救われたいと思っていないものは救えないのかなと思うと、何だか切なくて悲しくなります。

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2009年10月04日

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遠藤周作による聖書とキリスト教についてのエッセー集。キリスト教系でない雑誌の連載というのもあって、とても読みやすい。聖書の解釈はカトリック的にはきわめて妥当なもの。最後の「秋の日記」に登場する「ひよこ」には実在のモデルが居て、現在も修道女として祈りの日々をおくっておられる。

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2017年04月28日

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聖母マリアやマグダラのマリア、サロメ、マルタとマリアなど、聖書に登場する11人の女性たちのエピソードを紹介し、彼女たちの生き方とイエスの言行がどのように交わったのかを説いています。著者の女性論でもあり、ちょっと珍しい視点からの聖書入門でもあるという本です。

最終章の「秋の日記」は、著者の大学時代の同級生でのちに修道女となった「ひよこ」と呼ばれた女性の思い出などが綴られています。

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2016年10月26日

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大人になって、読むとなかなか感慨深い。
聖書を語った随筆だが、文学的な要素も色濃く、その点、小説となんら遜色ない。キリスト教がテーマというより、現代人の生がテーマというのも、他の遠藤周作の作品と変わらない。
私はたくさんの人間ドラマがある聖書が好きだ。
年をとって、少しは読み方も深くなったのか、語られている聖書の場面の臨場感に感嘆した。目の前にマリアを感じたし、エルサレムの風景をイメージ、いつかいけることがあるのかなあと思いを馳せた。
それぞれの女性のエピソードは全て覚えていたけれど、はじめて、今回で、遠藤周作の言わんとすることが、体系的に分かったような気がする。

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2011年11月18日

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キリスト教については授業でやってたけど、こんな考えにまでは至らなかった。勉強になったと思うし、やっぱり遠藤さんの考え方というか、捉え方が好きだなぁと感じた。

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2011年04月19日

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血ぬられたキリストの顔を布で拭ったヴェロニカ、マグダラのマリア、大司祭長カヤパの女中、ヨハネの首を得たサロメ、良妻賢母型のマルタ、ローマ総督ピラトの妻等、聖書のなかから11人の女性を選び、“苦しみの連帯感”ともいうべき人間論を展開。遠藤文学の基調音を奏でた、感動を呼ぶエッセイ。

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2009年11月02日

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カトリック信者である遠藤周作が、聖書の中に登場する様々な女性たちにスポットを当て、彼女たちの味わった深い苦しみや哀しみを紐解き、またそのときキリストが彼女たちに何をしたのかを解説しているエッセイです。私は今までキリスト教に関する知識が殆ど無く、何だか遠い存在のようにも感じられていましたが、この本を読んだことで、聖書に描かれている女性たちの中に、現在の私たちと通じる部分を数多く見いだすことが出来ました。信者にとってキリストがどのような存在であるのか、また、キリスト教が説く女性の本質とは何か、是非この本を通じて考えてみて下さい。

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2009年11月30日

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遠藤周作は、生きることと死ぬこと、を深く掘り下げ私達に人生の意味を問いかける。宗教的背景がそれをより推し進めているのだろうが、それを省いても人間が必ず行き着く場所に、堂と構えて私達に問いかける。良心的な諦め的解釈を超えた、人間の根源が求めるところに近い答えを与えてくれているように感じる。

聖書の中の女性達は、誰とも分かち合うことの出来なかった孤独な苦しみを、イエスとの出会いの中に分かち合い、慰められた一人ひとりです。心貧しき、飢え乾いた者達がそれでも一番イエスを慰めたのではないか。


09/4/7

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2009年10月04日

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聖書に出てくる女性たちを著者の遠藤さんが豊かな想像も織り交ぜて描き出す。
とにかく謙遜になることを学んだ。今読めてよかったなと思う。
本当かどうかはわからないけど、西洋人の中に三つの異なる女性像ってのが同時にあって、ヴィーナスとイブと聖母マリアと。その考察はおもしろかった。

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2009年10月07日

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聖書を読んだことがなくても普通の物語としても読めるし、聖書を知っている人なら新たな感動と発見がある。
実際に、カトリック信者の作者だから描けるキリストからみた女性像。
聖母だけが救われるのではない、様々な苦悩のなかで生きながらも清くあろうとする、女性達の姿は、皆美しい。男性社会だった時代にも強く生きた女性達は現代の私たちにも勇気を与えてくれる。

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2009年10月04日

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宗教に生きるってどんな感じなんだろう?
ほんの少しだけ垣間見ることができるエッセイかな。
ともかく色んな教養が無いと内容が理解し切れないことだけはよく分かりました。

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2018年10月13日

Posted by ブクログ

苦しみは分かち合うものなんだと。
だからイエス・キリストはあえてあなたたちを選んだんですよってさぁ。彼女たちは私たち現代女性の等身である。

支えてほしいと口にだしていえないときもある。でも言わなくとも支えてくれる人がいる。

多くの人々のそんな存在であり続けたいと願った、彼を、その最後の瞬間まで支えたものは一体、何やったんやろ?

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2014年05月11日

Posted by ブクログ

k_55:遠藤 周作さんの人となり、考え方や生き方に少し触れられた気がする。たまたまだけど、今日という日に必要な一冊だった。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

聖書の中の女性たちは、特別な人たちではない。
というのを作者は言いたかったのかもしれない。
敬虔なクリスチャンであり、小説家の遠藤周作さんのエッセイ。
多少古い本なので、女性はかくあるべし的な表現が少し気になるが、全体としては勉強になった。

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2019年04月02日

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