感情タグBEST3
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うますぎ。ぞわぞわっと薄気味悪くなるのが、官能めいてすらいてたまらない。文体のしんしんとした静けさがまたいい。
…わたしはホラーだとは思わないんだよねえこれ。乱歩をホラーだとは思わないように。
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タイトルから「赤煉蛇(ヤマカガシ)」を想起させられた。
ひやりとしているが温度も感じられる、という爬虫類的特徴は本作ぴったり。
恋焦がれる「モノ」への倒錯的な愛が低温・高熱で描かれた短編集。
愛の形については、いわゆる「フィリア」であって、マニアとかフリークとか
とは異なるもの。ただ、そこに帯に書かれたような絶対的な「おぞましさ」を
感じることはなく、綺麗さが伴っているのがさすが。
作者にしては珍しいエロチズムがそこかしこに書かれていて違和感はあるが、
得意とするレトロスペクティブな情景描写で上手くコーティングされていて
そんなに卑猥な感じは受けず、これもまた手腕によるものかと。
見たくないものに限って無意識的に見てしまう人間の性。
「きれいはきたない、きたないはきれい」を地で行く一冊。
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官能、性的嗜好、死や死体。そして不可思議なもの。普段の私とは縁のない世界のため、息苦しさを感じたり目を背けたくなった。でも、怖いもの見たさで先が読みたくなる。見てはいけないけど、だからこそ見たくなる。そんな本だった。
全体的に暗黒な雰囲気の作品だったが、不思議と心に切なく染みてきた。気に入ったのは以下の三つ。
●「アタシの、いちばん、ほしいもの」
アタシが欲しいものにはっとさせられた。目の前で小さな命が散っていくのを止められなかった場面が印象的だった。
●「私はフランセス」
「あぁ……人を愛するって、どういうことなのでしょう?」以降で女の情念の深さをしみじみと感じた。業か…個人的には好きな結末?
●「いつか、静かの海に」
不思議で綺麗な話。月光レンズで月の光を集めて水を作るというのが素敵だと思った。最後に主人公が月光レンズを作らなかったことにほっとした。
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普通、ではない人達の愛情のお話
怖さもあり、切なさもあり
「わたしはフランセス」が好き
なんとなく、文庫じゃなくてハードカバーで読めて良かった
っておもいました、なんとなく
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ホラーテイストな短編小説。
ちょうどSimon & GarfunkelのApril Come She Willを聴いていたのもあり、レイニーエレーンが好き。
「ヤスラカニネムレ、ワスレナイ」からの「君が好きだった」でグッときた。
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表紙が違う。。。
女性が片手を伸ばしているイラストだったのだが、該当なし。
なかなかぶっ飛んだ題材を扱っているのに、 さらりさらりと表現してしまうのが毎回凄い。
性的な関係も絡むので、中高生にお薦めできるのと出来ないのがあるが。。
3作目は読んで欲しい。
『死体写真師』
→写真師の動機は何なのだろう。。あくまでも、その後のシステムは商売人である葬儀社の思惑から来ているのだろうし。
『レイニー・エレーン』
→これまた、主人公は何故にそういった行為に走ったのか。。。本当、子供がいる人はそちらを優先して欲しいと思うのは綺麗ごとなのだろうか。。
『アタシの、いちばん、ほしいもの』
→欲しいものは何なのだろう、というのにナルホドな、という答え。
言葉が足りない時、逆に説明しすぎてしまう時、何となく、そうなってしまった時の心情。
もやもやする思春期の感情をこうも的確に表現できるとは。。。
読み終えた時、一番苦しくなる作品。
『私はフランセス』
→マイノリティであることを理解しながら生きるのは辛い。。こんな長文の手紙をもらったら読みきれないが、本当、作家さんの力は凄い。
『いつか、静かの海に』
→どうなるのだろう、という展開に対し静かな結末。
けれど、これからどう転ぶかは分からない。。
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2004年から2005年にかけて雑誌『ミステリーズ!』に発表された短編5編からなる短編集。
5編のうち1編はネクロフィリア(死体性愛)、もう1編はアクロトモフィリア(四肢欠損性愛)、更にもう1編は アポテムノフィリア(身体欠損性愛)、というなかなかド変態な内容ですが、朱川湊人氏の筆にかかると、ダークなファンタジーになります。
5編のうちもう2編は幽霊もので、変態性はありません。
5編に共通してバッド・エンディングですが、イヤーな感じのするエンディングではなく、切なくホロ苦く哀しい、という感じです。
この感じ、何かに似ていると考えると、解説の中の「特撮」というキーワードから、市川森一脚本に思い当たりました。
刑事ドラマや特撮ヒーローもので、何とも言えない苦ーい結末を迎えることもある市川森一脚本回。変態性は別にして、後味はこの作品集と共通する気がします。
そういう意味では、自分の世代には、これもノスタルジー作品集といえます。。
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朱川湊人がノスタルジー色を抑えて、ホラーと幻想を押しだしたら、こういう短編を書くのだなぁ、とある意味感心した1冊。古き良き郷愁を存分に味わいたい人にとっては、この本は外れなんだろうな。実際評価も割れているようである。
俺は、これはこれでアリだと思う。こういうのが読みたくない気分の日もあるんだけど、そうじゃない日は妖艶に耽溺したいタイミングもある。(俺的に)ちょっと歪んだ性癖を、リアル体験する趣味はないし勇気もないが、怖いもの見たさって野次馬根性はある。その欲求を程度の低い媒体で満たそうとすると悪酔いしてしまいがち。気分が悪くなる程度なら自業自得と納得もできるが、酔いが行動に出そうになると…非常に怖い。
この本では、そんな低い次元の酔い方せずに「こういう世界もあるんだなぁ」的に、野次馬根性を満足させられた。もっとも嵌まってしまって行動に出ると、それが悪酔いじゃないだけに一層ヤバいことになるんだろうけど…。
余談:収録作品「アタシの、いちばん、ほしいもの」が映画化されている。その映画の監督さんが「ウルトラマンメビウス」の監督だったらしく、メビウスの脚本を数本書いた「朱川湊人」作品を是非映画化したい、というとこから話が進展したらしい。
映画はどっちでも良いが、朱川脚本のメビウス、これは観てみたいぞ。
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ストーリーはグロテスクだったり
オドロオドロしかったり怖かったり
だけど、全然怖くないし気持ち悪くもなく
人間の業の悲しさが漂ってくる短編ばかりで
読み終わると、なんだかホッとする
朱川さんの小説は、他の小説では味わえない
独特の世界を味わえるのです
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黒朱川作品。
様々な愛を描いた5編の短編集。
どのお話も人の業の深さや狂気を、恥美的でおぞましく描いています。
「死体写真師」の救いのなさと偏執、「私はフランセス」のどこか美しさすら感じさせる妄執、「いつか、静かの海に」のおぞましさが特に好みでした。
後味も悪いので好みは分かれるとは思いますが、個人的には好みの作品です。
ぞくぞくするような歪んだ愛の世界に惹き込まれます。
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ちょっと特殊な世界を描いた短編集。光景はおそらく不気味なはずなのに、叙情的で…気がつくと引き込まれていた。「アタシの、いちばん、ほしいもの」が一番好き。伏線のすごさには驚き読み返したほど!
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22歳、若く美しいまま亡くなった妹の思い出を残したいと、遺体の撮影をカメラマンに託したら…。
ネクロフィリアやアクロトモフィリア、全く共感はできないが朱川氏の描き方が美しいので引き込まれてしまう。
こうやって読むと東電OLをモチーフにした作品は相当数あって、いかに作家魂を刺激する事件だったのかが伺える。
個人的には、私はフランセス と いつか、静かの海に が好き。
どこか乙一っぽいホラー。
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初・朱川湊人。
結構好きな短編集でした。
エロで話のオチがあり、結構変態。すき。
「死体写真師」ラスト主人公が婚約者を好きなのは納得行かないな。女なのに。
「レイニー・エレーナ」この主婦ちゃんが結構好きである。
「わたしの、いちばん、欲しいもの」ポジティブだった主人公が後ろ向きに……。虫男気持ち悪い……!
「私はフランソワ」綾辻の眼球綺譚(懐かしい)が好きならきゅんきゅんする。
「いつか、静かの海に」ひらがなの題名の方がいい。
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短編集。エロくてグロいが哀しくて美しい。人間の欲望や癖(へき)がテーマ。
・死体写真師
死体に欲情する心理が分からない。元日に読んでへこんだ。
・レイニー・エレーン
特にないが、ラブホでお手製の弁当は食べれないような気がする。
・アタシの、いちばん、ほしいもの
この中で一番好きかな。虫男、虫女がかなり気持ち悪い。
・私はフランセス
盗癖とアクロトモフィリア。業を持った人同士の愛。
・いつか、静かの海に
鉱物でできた月星姫。
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本作品はネクロフィリアやアポテムノフィリアという病的なテーマを扱っているので嫌悪感を覚える読者もいるだろう。相変わらずネタもバラエティーに富んで読ませる力もあるので、やっぱりこの人の短編集はハズレが無い。物語途中から急に気色悪くなる展開の斬れ味は流石。この展開の落差が病みつきになる。泣かせどこなど1片も無くグロい話なんだけど、どこか美しくさせるのも朱川湊人の筆力と人柄であろう(笑)。歪みきった愛や性癖のおぞましさを切なく感じた心の余韻は今もざらついている。
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本当に怖いのは霊魂ではなく、理性のたがが外れた恨み辛み妬み嫉み欲を抱えた人。一線を越えた人の行為は本当に恐ろしい。だけど、個人的には優しく無償の奉仕を行えるのもまた人だと思うのでいちばん怖いのは人と結論付けることはしたくはないかな。
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オビに直木賞作家の新機軸と書いてある。
確かに朱川湊人らしさもありつつ、よりえぐさが新鮮味はあるのかも。ちょっと乙一っぽい?
こういうのばっかり読むと心に潤いのクリームを塗りたくなる。
人間の欲望を赤裸々にえがくって、こっちも精神強靭な時によまないとなー
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おぞましさが際立っていて、ホラーっぽい不気味さが強い。そこらへんが、あんまり朱川さんぽくないなと感じたりする。
恋と執着と狂気、それがどこかで区切られるわけではなく、グラデーションのように延長線上に並んでいる。
それぞれの物語に、嫌悪感を感じてしまうのは、それぞれの登場人物がかけ離れた存在ではなく、自分たちの延長線上に位置していることを否応なく意識させられてしまうから。それがリアリティということか。
『アタシの、いちばん、ほしいもの』がいちばん朱川さんらしくて好きかな。
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異形の愛の形を描いた短編集。
今まで読んだ朱川作品に比べたらちょいとアダルトな感じでしたがえぐさとか下品さを感じさせないところがさすがです。
「死体写真師」と「アタシの、いちばん、ほしいもの」と「私はフランシス」がすきです。
異形のものには恐怖を感じる反面美しさを感じて引き寄せられる気持ちはわかる気がする…。
Posted by ブクログ
タイトルから、抒情的なタイプの作品を想定していたら
水銀虫ラインの作品集だった。
だからどう、というわけではないけど。
この本に納められているどの作品も、ある一瞬の美しい情景や人、がメインイメージになっている気がするな。
ストーリーやその中での登場人物の選択などに対する印象は
また別として、それらのシーンは本当に美しかった。
月光レンズで月の水を集めるシーンは映像的に素敵だ。