【感想・ネタバレ】ホメロス オデュッセイア 上のレビュー

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「イリアス」とともにニ大叙事詩と仰がれるギリシア最古の英雄物語。トロイア戦争終結後のオデュッセウスの冒険。

「アキレウスの怒り」がテーマの戦記ものであった前作から一転、オデュッセウスを中心とした冒険ファンタジーとなっている。父の消息を求めてテレマコスが旅立つ冒頭からワクワクがとまらない。神々が介入してくるのはイリアスとも共通するが、本作ではさらに王宮や冥府、魔女や巨人、漂流や裏切りなど、波瀾万丈の要素が盛りだくさん。紋切り型といわれればまさにその通りで、それは長い時を通してこの偉大な古典が愛されてきたことの証明でもある。無双すぎてモテすぎるオデュッセウス、やってることは今のラノベも変わらんではないか?(笑)。

上巻はこれまでの経緯がすべて語られ、さぁこれからどうなる!?というところで終わる。ここで訳者の解説が入るが、《上巻巻末の解説で下巻のネタバレをする》のはやめてほしい。有名なタイトルとはいえこれから触れる人もいるのだから……。これから読む初見の人は注意してほしいと思う。

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2022年10月13日

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ネタバレ

現代でも様々な作品で登場するアテネやゼウス、ポセイドンなどの神話世界の人物や、セイレーン、サイクロップス、スキュラなどの怪物が紀元前の世界ではどのように扱われているかを知れる。

物語の展開力も凄い。どんどん気になってページが進む。紀元前の時代の作品だと少しなめていた自分が愚かだった。

上巻では苦難が続く話がメインで、後半での逆転劇に期待してしまう。

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2020年09月09日

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『イリアス』よりもエピソードに富んでいることから、とても読みやすい。もちろん『イリアス』の続きの位置づけなので、そこからくる読みやすさもある。

訳者あとがきは本文を読み終わってから、読むと味わい深い。『イリアス』との文献学的な違いなどが話題になっているからだ。

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2020年05月19日

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ネタバレ

松平訳はギリシャ劇の形式はやや犠牲にしながらも,この大切な作品の真髄を今の私達に読みやすい形で提供してくれる。

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2020年02月18日

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イリアスと並び称されるホメロスの大叙事詩。オデュッセウスの試練の冒険譚と、その家族の苦難の物語が並行して展開され、尽きることない面白さです。これも、もっと早く読んでおけばよかった。

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2016年05月15日

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オデュッセウスの帰国の旅とその妻に群がる求婚者たちそれぞれの情景は生き生きと描かれている。極上のエンターテインメントでもある。女神との悦楽を捨て、巨人を痛めつけ、最後には手管も使い、妻の求婚者たちを打ち滅ぼすのが爽快である。息子テレマコスの存在も大きい。夫婦愛・親子の愛も優れて感じられる。二千数百年語り、読み継がれてきた不朽の名作である。

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2015年01月14日

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イーリアスで息子自慢ばかりしていオデュッセウスを軸とした家族の物語。

イーリアスでは男同士の生死をかけた戦を描いたが、こちらは異境をまわり、化け物にも相対する冒険譚 。

話しの展開的にはイーリアスより読みやすい気もするけれど、
トロイア戦争の知識がないと楽しめない気がする。

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2013年01月10日

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トロイヤ戦争後のオデュッセイアの冒険談。やたらややっこしい名前の神やら怪物やらが登場してきて、登場人物(?)の把握に往生しますが、オデュッセイアは運命の赴くがままに旅を進めます。ギリシャ神話の知識がないと、流石にきついかも。

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2013年01月04日

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ジョイスの『ユリシーズ』を読むにあたっての再読です。
『オデュッセイア』は、言わずと知れたホメロスの『イリアス』と並ぶ長編叙事詩。

ポセイドンの逆鱗に触れたオデュッセウスは、トロイア戦争終結後、10年もの間、苦難の冒険を続け、やっと妻子の待つ故郷のイタケ島に帰り着く。

『オデュッセイア』12110行から成る英雄叙事詩であり、『イリアス』よりのちに誕生したものらしい。

オデュッセウスといえば、トロイア戦争で、トロイの木馬と呼ばれることになる木で作った大きな馬を城内に運び込み、味方を勝利に導いた英雄である。

トロイア戦争勃発時、オデュッセウスには、若く美しい妻ペネロペと生まれたばかりの息子テレマコスがあった。
オデュッセウスは、後ろ髪を引かれる思いで出征する。
予想以上に戦は長引き、10年も続いた。
しかし、オデュッセウスは、そののち、ポセイドンの怒りはおさまらず、10年、海上及び諸国を漂流し、やっと故郷に帰り着く。

オデュッセウスの留守の間に息子のテレマコスは20歳の若者に成長し、妻のペネロペは夫の無事帰還を信じて待ち続けるが、城は厚顔無恥な求婚者で溢れ、妻子は悲嘆の日々を送っていた。
そこに、オデュッセウスが乞食の身なりで現れ、彼自身の弓で、矢を12本の斧の穴に通し、無礼者たちを格好よく成敗する。

叙事詩は、オデュッセウスの漂流中の数ある冒険談と、帰国後の彼の活躍ぶりで構成されている。

とにかくオデュッセウスは格好よく、英雄のなかの英雄であり、絵画の素材としても多く描かれている。

近世、映画として、フランシス・F・コッポラ製作総指揮で、「オデュッセイア 魔の海の大航海」が作られている。

1922年刊行のジョイスの小説『ユリシーズ』は、『オデュッセイア』を下敷きに描かれている。

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2012年08月25日

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ネタバレ

『イリアス』と並ぶホメロスの大叙事詩。上巻ではテレマコスの旅立ちからオデュッセウスの漂流譚まで(第一歌~第十二歌)を収録する。
本筋であるオデュッセウスの漂流譚だけでなく、「ヘパイストスによるアレス・アプロディテ捕縛」等といったギリシャ神話の有名なエピソードも収められている為、神話好きにもそれ以外の人にも楽しめる。ただ、一般的な小説の文体とは違う叙事詩の文体や、漂流譚に入るまでに長い前半部がある事から、読み通すのは少し苦痛かもしれない。
ちなみに、最も印象に残ったのは第十一歌、生きながら冥府へ下ったオデュッセウスが母アンティクレイアと対話する場面。「わたしの甘美の命を奪ったのは奪ったのは他でもない、名も高きオデュッセウスよ、そなたの明知、そなたの孝心を偲びつつ、帰って来ぬそなたを待ち侘びる辛い気持ちだったのだよ。」(p286)この言葉を聞いたオデュッセウスが母を掻き抱こうとするも、亡霊である母を抱く事は叶わない。あまりにも哀しい。

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2012年07月10日

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ネタバレ

非常に精巧な叙事詩です。
そして何より、古代ギリシア文明の時点で文学作品が果たすべき課題が完遂されていることが分かります。ニーチェが『悲劇の誕生』にてギリシアの時代に立ち返るべきと主張したのは、ゲーテの古典復興の理念に通じるものがありますし、ギリシア文明に完成した明確な美的基準がルネサンスにおける芸術復興の兆しともなったのです。
ホメロスが『オデュッセイア』で成したことは、古典の価値観の成立でもあり、数々のギリシア神話を叙事詩に集成したことです。ちょうど『旧約聖書』が数ある記述を用いて書かれたように、ホメロスを通してギリシア神話が集成されたと結論づけられます。
ギリシアの叙事詩は常に新しく、また精緻に造られています。聖書同様、常に手元に置いて読み返すことが習慣になると、レオナルドを繰り返し鑑賞するとき、あるいは黒澤明を鑑賞するときと同じく無限と無数の味わいが広がることでしょう。
「古典」について知りたい場合はシェイクスピアももちろんなのですが、それ以前のホメロス、あるいはギリシア悲劇をご覧になってはいかがでしょうか。

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2012年04月15日

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謎の素性を持った主人公が旅を行い、危機を脱し帰還するまでの物語。
正直『イリアス』の方が好き。
キュクロプス、ナウシカ、セイレン、キルケなど、触れなければいけないキーワードが盛り盛り。

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2023年06月25日

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あらかじめ言うと話が特段面白いわけではない。
ただ「ドラえもん」みたいに誰もが知ってる(とされる)名作だから色々な作品の色々な場面でオデュッセイアのワンシーンなんかが引用されている。
ふと昼下がりにテレビで名前も知らない映画を眺めていたらオデュッセイアとキュクロプスの戦闘シーンが出てきて、「あ!これオデュッセイアで読んだ!知ってる知ってる!」と声が出た。
知識が別のものと結びついた瞬間って気持ち良いなと改めて思ったものでした。

また随所に出てくるギリシャ的な表現がなんだか仰々しくて面白いので要注目です。
朝が来る=朝のまだきに生まれ指バラ色の曙の女神が姿を表す 等

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2021年09月15日

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かなり久しぶりの再読になる。最古の冒険物語とも言われる本書。やはり文句なしに面白い。同じホメロスでも「イリアス」と比べて親しみやすいと思う。前編である本書の後半は一人語りが延々と続く構成だが、不思議と気にならない。

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2021年04月17日

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個人的には、イリアスの方が好みです。オデュッセウスが今一つ好きになりきれないからです。人類の生んだ傑作であるのは間違いないと思います。

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2020年09月19日

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幼い頃、私は親に、お前はオデュッセウスを知ってるか?ギリシャ神話の英雄で、20年もの間冒険の旅を続け、故国に帰ってきたんだ。人生は冒険だ。冒険をしなさい、みたいなことを言われたことがある。当時はよく意味がわからなかったが、「オデュッセウス」という名前だけが脳裏に残っていて、ずっと気になっていた。

そんな『オデュッセイア』を、このたびようやく読むことができた。
なにせ、古代ギリシャ時代の作品だし、上下巻あるし、なかなか読みにくい本なのだろうなと思って読み始めたのだが、あっさりと予想を裏切られた。訳が新しいこともあってか、とても読みやすく、ぐいぐいと引き込まれた。

冒頭は、オデュッセウスの息子テレマコスの話が中心で、彼がお父ちゃんを探しにゆく姿が描かれるが、途中から場面が切り替わって、オデュッセウスが登場して冒険譚を語ったり(これがまた、よく喋るのだ)、また夫を待つペネロペイアと彼女に詰め寄る求婚者たちの姿が描かれたりしながら、3地点の物語が同時並行で進んでゆく。まるでトランジションで切り替わる動画を見ているようで面白い。そして、下巻にいたって、その3点がオデュッセウス邸という一点に集約されてくる描き方は、古代ギリシャ時代の作品において、よくできたものだと感嘆した。

パラス・アテネの献身的な応援を受けつつも、ゼウスやポセイダオン、カリュプソ、キルケなど神々の、嫉妬や怒りや愛情に翻弄されながら続ける冒険部分は痛快だ。中でもキュクロプスやスキュレなど異形の怪物たちが行く手を阻む描写は、ゲームのようで時代を経てなお古びていない。

こんな面白い作品だけれど、とかく登場人物が多く、途中で誰が誰だかわからなくなったので、神々たちと人間たちとそれぞれ、家系図みたいな関係図を書きながら読んだ。そうしたら、恐ろしく近親相姦な図がかけてしまって、知っていたとはいえ、我ながら驚いた。

ところで、これは全編を通してのことではあるが、名詞に特定の修辞的な言葉が付く形が多用されているのは面白いと思った。例えば、パラス・アテネには「眼光輝く女神アテネ」、オデュッセウスには「知略縦横たるオデュッセウス」、言葉という単語には「翼ある言葉」や「言葉の翼をもがれてしまう」などなどである。夜が明けて朝日が昇る様は「朝のまだきに生れ指ばら色の曙の女神が姿を現す」と書かれている。おそらく琵琶法師よろしく、物語を耳で聴く際には、こうした手法が表現をよりダイナミックにし、迫力あるものにしたのだろう。一度耳で聴いてもみたいものである。

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2019年08月18日

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イリアスのような戦記ではないけどそれでも読み応えのある英雄譚。オデュッセウスの旅を通して当時の風俗や神々の捉え方が分かるので、とても興味深い。下巻も楽しみ。

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2016年01月01日

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古典だけど、登場人物に人間味があって親しみやすかったし、言葉遣いもそれほど堅苦しくない。
枕詞的なお決まりの言い回しに、様式美というか、安心感を覚える。「夜が明けると」➡「朝まだきに生れ指ばら色の曙の女神が姿を現すと」とか。
僕も眼光輝く女神アテネに勇気やら力やら吹き込んでもらいたい。

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2015年10月24日

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 往きて帰りし物語のプロトタイプといっていい。冒険譚のほとんどが、オデュッセイアと同じような構造を持っているということがよくわかって面白い。

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2012年08月19日

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下巻があると便利。
下巻の最後に人名・地名索引が付いていて、上巻を読む際にも登場人物などの確認に便利。

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2012年03月29日

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言わずと知れたホメロスの叙事詩

約3000年の歴史を経た物語

オデュッセイアが神に導かれ放浪する旅の記録

引き込まれるように一気に読んだ

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2010年04月01日

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10年間続いたトロイア戦争が終結、帰国の途についたオデュッセウスはさらに10年の放浪の旅をすることに…。冒険譚だけに、戦争物「イリアス」よりストーリー展開が派手で、一気に読めます。3000年前の文学作品なのに、現代でも面白く読めてしまうのが凄い。現代の論理では納得の行かない部分ももちろんありますが、そうした違和感を超える普遍的な娯楽性のある作品です。全二巻。

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2020年12月18日

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トロイア戦争終結後から消息不明となっていたオデュッセウスの冒険譚。

様々な神の助言や妨害を含めた介入を受け、いろんな土地や島に流れ着く。
オデュッセウスの部下が一つ目巨人のキュクロプス族に蹂躙される様は痛々しい。

オデュッセウスとは別に息子のテレマコスも父の足跡を辿って旅しているため、どのように父子再会となるのか下巻も楽しみです。

解説にある通り、オデュッセウス単独の物語ではなくオデュッセウスや息子、妻を含めた一族の物語ですね。

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2024年01月08日

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ネタバレ

血なまぐさい戦争英雄譚だった「イリアス」とはうってかわって、戦後のオデュッセウスが散々苦労して国へ帰る冒険譚。様々な民族や怪物、海の難所を超えて最終的に部下たち全員と船を失うことになるまでを語っている。イリアスはひたすら英雄たちが戦いあって臓物やら脳、脳髄やら飛び散りまくっていたが、こちらではそういった現実的なグロ描写はかなり抑えられてファンタジー的な趣が強い。もともと神たちが人間に話しかけ、力を貸したり罰したりという世界観がベースにあるから、ファンタジーな怪物もそんなに違和感なく地続きに受け止められているのだろうか。
オデュッセウスが知恵や工夫で怪物たちに立ち向かうのも面白いのだが、長年に渡って主不在の実家を荒らしている求婚者たちにどう落とし前をつけさせるのかとか、今後同時並行している息子テレマコスの旅で青年の成長が見られそうなので下巻が楽しみ。

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2023年08月04日

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集英社 世界文学全集1、ホメーロスのオデュッセイアの代わり。呉茂一訳。
言い回しが回りくどいのが気にならなくなれば、物語として面白くなってくる。
日本の桃太郎的な存在なのかな。

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2021年12月23日

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2019.3.10
オデュッセウスは意外と人間くさいおじさんで、英雄的な肉体も知恵?ももってるけど、時折みせる部下に対する冷淡さや、強欲さ、生臭さがなんとも言えない。
ダイ・ハードの主人公みたいなもんかもしれんなぁ。

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2019年03月10日

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ホメロス 「 オデュッセイア 」1/2

イリアスとの違い
*神が人間を助けている→神同士が対立
*ゼウスの意見が必ずしも通らない
*争いのシーンが少なく、食事や風呂のシーンが多い
*女性、女神がキーマン

争い一辺倒のイリアス とは 全く異なり、ストーリーの転回が多い

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2017年12月01日

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トロイア戦争を描いた「イリアス」に続くギリシア長編叙事詩。まずは上巻。「イリアス」のような激しさはないが、かわりにより落ち着いた雰囲気。作品の性格が双方まったく違うのでどちらも楽しめるが、ほとんどが戦闘の描写に費やされる「イリアス」に比べ「オデュッセイア」のほうが物語の起伏が豊かで現代人には読みやすい。
ちなみに、オデュッセウスを手厚く保護したスケリア島の王女ナウシカアというのは、宮崎駿のナウシカの名前の元ネタですね。

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2014年11月19日

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馴れない文体に加えて、ツッコミどころばかりが目に付いてしまって読むのに時間が掛かりました。オデュッセウスは自分の身の上を頻繁に嘆いてるけど大抵は自業自得じゃないかとか、部下の死を涙を流して嘆く割に部下が犠牲になるのを隠して出発するとか挙げれば切りがないです。やっぱり為政者のための物語なんですよね。寧ろ訳註の冷静な分析を楽しむという邪道な読み方をしていました。そうはいっても現在の物語に通じる多視点による描写や時系列を混成した構成がこの時代に出来ていたのかと考えるとすごいです。続けて下巻にいきます。

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2012年01月06日

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まだ小説という形式すらなかった時代の物語。
神々がまだ人間性を帯びていて、だからこそ純粋に物語として楽しめた。

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2010年03月20日

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