【感想・ネタバレ】アンリ・ルソー 楽園の謎のレビュー

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Posted by ブクログ

ルソーは圧倒的に変おじさん!
この本はルソーの生涯をたどっている伝記的な本で、ルソーの奇妙な絵の秘密に一歩迫れる研究書でもある。そして分かりやすい。
いわゆる芸術家って感じの奇行や言動によってではなく、むしろ善良さや、税関に勤めていた経歴やきっちりした絵から連想されるように真面目さが目立つ人柄だけど、すべてのエピソードがちょっとずつおかしい。
先達の微妙な(チープな)モチーフを使って奇跡的な絵を描く「眠れるジプシー女」。植物園で書いたのに密林体験を偽る一連の密林絵画群。写真を使って書いてもルソーの世界「ジェニエ親父の二輪馬車」。ルソーはどんなものでもルソーの絵にしてしまう。恋に全力で、その絵は嘲笑されたり誤解されてばかりだけど、ホントは誰よりも絵の天才のルソー。生前もっともっと認められて絵が大事に保管されていればよかったのに。断固ルソーを応援してしまう。

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2011年02月27日

Posted by ブクログ

小学生の頃からルソーとダリとモジリアニとベンシャーンが大好きだったのですが、中でもルソーは特別な存在でした。

いま思うと、彼を薄々自分自身の分身であるかのように感じていたのかも知れません。実は私も、世間的には絵が上手な方ではありませんでした。それで、抜群に上手い二人の友達の描いた絵をいつも模写・デフォルメするのを得意としていて、その真似した絵が市長賞や知事賞などを何度も受賞しました。

自分の方がはるかにうまいのに、と彼らは悔しがったものです。この体験の後にルソーと出会います。その時は何も知らずに、ただすぐ好きになりました。

今度はじめて絵以外のルソーについて知ることになって驚きました。

ルソーの秘密、それは私自身となんと酷似していることか。そう、彼も当時の有名画家をそっくり真似して、似て非なるものを描いたのでした。もちろんただの偶然、むこうは天才こちらは気まぐれにすぎませんが。 
                    
それより、生前ほとんど一部でしか評価されなかったルソーは、生活費を稼ぐために似顔絵を描いて、渡した先でその絵の価値がわからない人たちが、絵の具を洗い流してキャンバスとしての評価しかしなかった、という件を読んで、不覚にも嗚咽をもらして大泣きしてしまいました。

生きているあいだ大勢の人たちからほとんど無視・嘲笑の的でしかなかったルソーは、でも、ただ一人、自分自身を確信して生きた稀有な存在でした。

アンリー・ルソー・・・そのすばらしい絵と生き方に、きっとあなたも魅了されるはずだと思います。

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2011年08月05日

Posted by ブクログ

世田谷美術館でルソーの絵を見る前に読めばよかった。
ルソーの絵を見ているとものぐるおしい気分になってくるが、どうやらルソーもやや彼岸の人であったことがこの本から窺える。とは言っても、ルソー自身がまったくの無垢な人間だったのではなく、他の人よりも歴史から切り離された上での計算はしてたのだろうとは思う。

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2009年10月07日

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ルソーの描く、濃密なジャングルに魅かれる。
その静けさ。
そこに潜む、生命の息づかい。
葉をぬって流れる風。
絵に、吸い込まれる思いがする。

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2012年06月27日

Posted by ブクログ

この人の絵も好きだけれど、この本を読んで人柄にも興味を持ちました。まさに素朴という言葉が絵だけでなく、その人柄にも当てはまることが、分かります。職人的な面もあり現代の画家とも違う世代であり、才能の自由を認められない時代に生きていたことも解かりました。

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2009年10月04日

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ルソーについては作品しか知らなかったが、ルソーの人生を知ることが出来て、作品を見方が変わった気がする。原田マハさんが「楽園のカンヴス」で、ルソーがバイオリンを弾いたり、ボンボンを売ったりする話を入れたのは史実だったかと思った。

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2022年03月21日

Posted by ブクログ

謎の多い、画家ルソーの評伝。
「楽園のカンヴァス」を読み、ルソーについて知りたかったので読んだ。
ルソーという人は、捉えどころのない不思議な人物である。
また、とてもお人好しで純粋である。
その純粋さは、常人には理解し難いほどである。
そして、物事に対してだけでなく女性に対してもとても情熱的である。
純粋で情熱的なその彼が、片思いの恋人に宛てた手紙はなんだかとても切なかった。

ルソーが描く子供は、笑っておらず、大人たちが可愛いと思うような表情はしていない。
子供を可愛いと思うのは、著者の言うように「子供に対する優越感から生まれた大人の偏見」かもしれない。
ルソーはその点において、「子供に対して決して優越感を持たない。彼は、子供と同じ平面で向かい合う」という著者の考察は、ルソーの性格から考えても、なるほどと頷ける。
そして、「子供だけでなく、自然の風景や静物も含めて、ルソーはすべてのモデルに対して優越感を持たない」という部分は、ルソーの純粋で実直な性格の一端を言い得ている。
そして、ルソーのその性格が遠近法になじめなかった所以ではないかと著者はいう。
また、肖像画を描くときはその人物の寸法を隈なく測るという彼のやり方は、現実主義者ならではであり、興味深い事実である。

ルソーの人となりが垣間見え、その時代の空気が感じられ面白かった。

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2014年04月23日

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「楽園のカンヴァス」より派生
通常の絵画はやはり日曜画家のように感じるが、植物率が高くなると何か得体の知れなさを感じさせる

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2013年09月30日

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ネタバレ

小説「楽園のカンヴァス」を読んでルソーのことが知りたくなったので、参考文献にもなっているこの本を読んでみました。
しかし、私には詳しすぎたようです。

強い願望がいつしか実現したように思い込む性質、恋多き人、自分の中の絵を現実にあらわした人。
実はフリーメーソンに入っていた。
晩年、絵は売れ出してきていたが、そのお金は女性に貢いでいたらしい!とか。
晩年のルソーと描き途中の絵の写真は、興味深いものがありました。

いつかルソーの絵(できれば「夢」)を見てみたいです。

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2013年06月07日

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夢の世界と言われるルソーの楽園の絵。いくつかあるその絵の根源は何であろうか?その問いに、ルソーの生い立ちから整理して、考察する。楽園のカンバスを読んでみると、スローのヤドヴィガに対する恋心が大きなエネルギーとなっていることがテーマになっている。本書では、その彼女の見ている夢を、ルソーが見ているという二重の夢という仮説が面白い。ルソーの絵が持つ、正面性はへたくそではない。密林の絵は夢の中の世界である。その迫りくるリアリズムと、あり得ない構図に、当時は嘲笑の対象であったというのも、絵を見ていると納得できる。確かにのっぺり平面で下手だ。そこから迫りくる感情こそが、ルソーの絵に力を与えているのだという。絵の世界は本当に深い。美術館で絵と対話する時間をとって、じっくりと見たいものです。

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2013年03月09日

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ルソーの絵が好きなので、彼がどういう人間だったかも知りたくなって読んでみたが、著者が自由に書いており、時系列がときどきおかしかったり、ルソーの周りの人のコメントを難しい表現のまま引用していたり、知っていて当たり前なのか解説がなく当たり前のように使われるわからない言葉があったりして、私にはわかりにくかった。

あと、ルソーが描いた絵の解説の際、その絵がなかったりあったとしても違うページにあったりして見にくかった。
もっとレイアウトを工夫してほしいと思う。

ただ、ルソーがとても純粋無垢で、恋愛にまっすぐで、人がよかったことと、それを周りの人間も著者も愛していることが強く伝わってきて、それを知ることができただけでもよかった。

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2012年12月19日

Posted by ブクログ

アンリ・ルソーの描く葉っぱと漆黒が大好きなので。
自分が所有したい、あるいはその中で生きたいと望んだ世界を、誰にも影響されることなくまっすぐに孤独に描き続けた画家。だいぶ変わった人だったんだなぁ。でも、なんだかその「変さ」を支える情熱は、応援したくなる。
描く対象に呪縛された彼を、彼が生きた時代に置いて知ることで、絵を見る際の眼差しがまた一つ豊かになりました。仕上げに当たって、一度に一つの色彩しか使わなかったというのは驚き。

うちの親なんかは「夜中に絵の中から蛇が出てきそうだから家に飾りたいとは思わない」と言ってますが、私はこの、見ていると奥へ奥へと引き込まれそうな絵に、引き続き魅了されます。

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2011年12月27日

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