【感想・ネタバレ】話し言葉で読める「西郷南洲翁遺訓」 無事は有事のごとく、有事は無事のごとくのレビュー

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Posted by ブクログ 2013年01月13日

西郷隆盛が大事にしていた考え、信念などがまとめられており、人間がおさめるべき「道」についてしるした本。肝に銘じておべきことだらけでした。何度も読み返したい良書。

以下、印象に残った内容、引用。
・人間は、どうしても自分の好き嫌いで物事を判断しがちだが、組織を率いるものは私心を持ってはならない。「相...続きを読む手を嫌う心」を封じて対せねばならない。

・地位を与えるときには、一時の功績や、年功序列といった概念で与えてはならない。地位を全うできるだけの「考え方」「能力」もなく地位を与えられると、本人にとっても、組織にとっても、マイナスでしかならない。人の能力を冷静に見極める目を養わなければならない。

・リーダが持つべきは「ビジョンと決意」。どうしたいという「ビジョン」を明確にし、しっかりと語れなければならない。そのビジョンがあればこそ、周囲の意見も素直に聞け、物事の判断ができる。目指すべきビジョンの推進に対しては、いかなる困難にあたっても一歩もひかないという決意がいる。

・子孫のために美田を買わず。苦労が伴って、初めて人は成長する、だからこそ楽をさせる(美田を買い与えない)、という意味で捉えてた。が、「自分の子孫「だけに」美田を買い与えることはしない」「親族関係なく、いかに次の世代に美田を残せるかを考える」という趣旨も含まれている。

・文明とは何か。気高い生き物として営む生き方であり、決して電気や鉄道などが進んでいることを指すわけでない。開国を武力で迫り、人権を踏みにじる西洋は「野蛮」そのものにも関わらず、西洋の利便性のみに目をやり取り入れることを「文明」というのは、間違い。人の道を外さないその心こそが本当の「文明」である。

・自分の欠点を見出し自覚せよ。欠点のない人などいない。その欠点を自分で自覚することで、他人の意見を素直に聞き居れることが出来る。

・計画を立てる際には、実行を誰に任せるかを考えておくこと。崇高な計画を立てたところで、実行できる人材が居なくては、絵に描いた餅。実行を任される側は、常にどんな仕事でも対応できるよう修練を重ねておくこと。

・克己を大事にせよ。人間とは、自分勝手な己を、そんな己を反省し自ら諌めようとする己、この2つの己がいる。後者の己が、前者の己を上回らなければならない。克己は、自分自身で高めるもの。他人が見ていようがいまいが、常に己を磨き上げること。

・学問をするものは、学問ができることを鼻にかけてるだけで、一向に実行に移さないものが多い。学問は非常に重要だが、学問を行かした「大志を持つ」ことと、私利私欲なく「道」を究めるために役立てる、という2つの思いを必ず持つことが肝要である。

・人を相手とせず、天を相手とせよ。自分の大志を成し遂げるためには、多くの困難に直面する。その時に、うまくいかない理由を「人のせい」にしてしまいたくなる。が、人のせいにしたところで、ことが好転する訳ではない。困難はあるものだという自覚と、困難にぶつかったときには天の性であり、自分の修練が足らないと思うべき。そして、早々に次の手を進めていくべきである。

・正道を貫くのは確かにつらい。うまくいっていない時に、世間から非難があれば、諦めてしまいたくもなる。が、自分の正道を世間の声を理由に投げ出すことほど、卑屈なことは無い。自分の道を、自分の意思で歩いてこそ、人生。

・道を志す者が尊ぶのは結果ではなく、心がけ。
・過去の賢人偉人を学び、自分には無理だと思って、やるべきとをから逃げ出すのは卑怯だ。できるできないではない、やるかやらないかの心がけが問われている。

・厚き誠心誠意の心を持って、死後tに対する純粋な真心だけを源にして、そうして成し遂げた仕事こそが、人々に感動を与え、いつまでも語り継がれる仕事である。

・チャンスをつかむ、の本当の意味は、おのれの努力の積み重ねが徐々に形になっていき、ついには機が熟して成功のきっかけとなることを指す。

・行動に映る土壇場で躊躇するものがいる、、しかしこうした迷いは逃避でしかない。自らの行動によって事態を動かすことの責任を負いたくないというだけ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年08月19日

西郷隆盛の談話集「西郷南洲翁遺訓」を現代口語訳にしたもの。JALを立て直した稲盛和夫さんが、西郷さんを敬愛していたので、その流れで本書を手に取ったが、すばらしかった。

<印象的な言葉>
(仕事の理想)
・どんな小さなことでも誠心誠意、目の前の仕事に取り組むこと。策謀を用いてはならない。策謀を用いれ...続きを読むば、後に報復されるわずらいが生じる。
・喜びも楽しみも、理想の中にあってこそ。理想を忘れて享楽を追い求めるだけになったら、国は滅びる。
・人は己に克つことによって最後に成功を収め、己を愛し過ぎることによって、最後には失敗する。
・ある程度成功すると、賞賛されるようになる。すると、純粋な理想を忘れ、傲慢で尊大になり、自分を愛しすぎるようになり、失敗する危険が生じる。

(学問)
・学問をする者は、大志と克己の心が必要。自ら選んだ分野でおおいに奮発し、学問の力で人々を幸せにするのだという高い志を胸に抱いて欲しい。
・学問にのめりこむと、いつしか学び覚えることだけに心囚われる者も出る。書斎に引きこもって、ただ知識を詰め込む自己満足の学問をすると、世の中に何の寄与もせぬ、民の幸せなど考えもせぬ、愚かしい自分勝手な人間になってしまう。

(敬天愛人の道)
・道とは、「この世の全ての存在が幸せになること」。その根本は愛。
・人を相手にせず、天を相手にせよ。他人の思惑は眼中におかず、ただ信じる道を堂々と進むこと。
・天を相手にするとは、たとえ恨みのある他人がいたとしても、相手にしないこと。復讐心、憎悪の心は仕事を暴走させる。
・道を行うのに、尊卑貴賎の差別は関係ない。全てはその者の心構えにあるから、立場や地位は関係ない。
・周りの評判は、よい評判も悪い評判も、関係ない。ただ天の道を行うのみ。増長せず、恨まず、道を進む。
・「世間が違うと言うのだから、この生き方をやめよう」と言うのは、道から逃げる口実。世間に言われて仕方なくといった態度で道から逃げて、安易な私利私欲の生き方を求めるようになる。
・日頃から道を行う者は、異変に動じなくなる。用意周到になり、火事が起きても慌てず騒がず、速やかに対処できる。

(日々の心得)
・誠心誠意、古の書に向き合い、記されている行いを自らも実践すること。記された内容を覚えただけで学問をしたと思い込むなど、恥知らずもいいところ。
・真心の仕事は、後世に必ず認められ、尊ばれる。為した者の誠意を見抜いてくれる者が、必ず現れる。
・まぐれ当たりのチャンスを喜ぶのは、道ではない。ほんの一瞬だけ世間からちやほやされるかもしれないが、やがて忘れられる。常日頃から世の中についてよく考え、自分だけではなく人々の幸福を願って、出来ることは厭わず何でも努力する。そうした日々の積み重ねが、後世語り継がれる真の成功を導く。

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Posted by ブクログ 2012年04月03日

-まず自らの責任において「おのれのビジョンと決意」が用意されてなければならぬ。
-上に立つ者の心得
 1.おのれを慎んで品行を正しくすること。 
   誰のいらぬところにあっても、神仏に対して恥ずかしくないよう節度を守る事です。
 2.贅沢を戒めて倹約に努めること。
  上に立つ者の仕事とは、「万民...続きを読むの暮らしを幸福にすること」
 3.仕事に精を出すおのれお姿を下のものたちに示し、下の者の模範となること。
 民はよく見ている。上の門の働きぶるを、きっと見落とさぬ。 
- 「貴君の周りにいる小人たちを、決して軽蔑してはならぬ。彼らもまた、この国の大切な同志である。ともに手を添えて進むなかまである。彼らにはきっと何かしらの才芸がある。だからその才芸を生かすよう用いてやりなさい。 さりとて、あまり重い責任んを持たせてはなりません。彼らは、その責任に押しつぶされてダメになるか、責任を理解せぬまま権力に舞い上がって暴走します。」
-仕事おいうものは、大小にかかわらず正々堂々とまっとうなやり方で進まねばなりません。
-細かく決められた制度、計画であれ、それを実行に移す人材がなければ、計画は現実に動かない。
-怨みの心は未来に何も、もたさぬ。
-「人を相手にせず、天を相手にせよ。」
 他人の思惑だの悪意だのはは、端から眼中に置かぬのです。自分はただ信ずる道を堂々と進むのみです。
-過ちを犯した罪は、決して消えぬ。それを忘れ事は許されません。
 謝ってしまった事実は、そのままにしておくしない。振り向くことなく、新たに一歩を踏み出すしかないのです。
-平時の時の策略は、道に外れたもの。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

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▼ 100文字感想 ▼ 
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まず庄内藩士が編纂したという事実に驚いた。小さい頃
から恥ずかしいことはするな、お天道...続きを読む様がみてるぞ!と
いわれてきたが、その原点は西郷さんだったのですね。
意必固我の四つの心を無くし、サラッと生きたいなぁ。


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▼ 5つの共感ポイント ▼ 
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■「信用」こそが、仕事を成し遂げるためにもっとも大切
 なものである

■「子孫のために美田を買わず」身内だけでなく、全て
 の人たちが子孫。血のつながった身内だけでなく、
 『万民のために美田』を残そうということ

■何度も辛い目にあって挫折を味わって、人の志・信念
 とは、はじめて堅くなる。挫折を味わっていない信念な
 ど当てにならない

■誰に見られていなくても、恥ずかしいことはしないで、
 志を持ち自分を律することを忘れずにいること。全て
 は天が見ている

■他者から学ぶ、諸外国の文物を取り入れる、よい成
 果に結びつけるためには、まず「自分の本体」を据え
 ることをわすれてはならん

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Posted by ブクログ 2014年09月21日

「他者から学ぶ」「人智の開発」「克己」「人を相手にせず、天を相手にせよ」「正義を貫く」
このまま道徳教育の教科書にできそうなぐらい金言が凝縮されている。
日本人としての生き方、有り様に少しでも迷ったら読むべし。

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Posted by ブクログ 2011年02月11日

・「意・必・固・我」を消し去る。意:私利私欲、必:私利私欲を満たすなら何でもやってやろう。固:意にこだわり、意に閉じこもる心。我:自分の意の他は何も見まい、とする心。
・人を相手にせず、天を相手にせよ。
・独りを慎む。誰にも見られていない所にいても、つつしみの気持ちを忘れず行動する、という心がけ。
...続きを読む・天から与えられた使命、と信じて、世間的な損得を度外視してこつこつと努力する。そうした結果の仕事こそが、あらゆる人々の心に共感を呼び、尊敬を受けるのです。

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Posted by ブクログ 2016年01月02日

西郷隆盛の述べる人の進むべき「正しき道」に関する教え。リーダーとして政治や事業を行うべき立場の人間、そのような立場を目指す人間、それだけでなく人として生きる者すべてが持つべき日々の心構えが述べられています。幕府側として戊辰戦争に敗れた庄内藩士達が、明治政府から離れて下野した後の西郷隆盛に合って教えら...続きを読むれた話なので、明治政府の批判を多分に含んだ敗者の愚痴のように聞こえなくもない。本書は現代語訳というだけでなく著者の解釈によって話が付け加えられ読みやすくなっています。所々具体的な話しになるとなるほど、役に立つなぁ、と思う箇所もありますが、基本的には儒教的な正道なので、大部分は「ははぁ、仰る通りです」(そうは言ってもなぁ・・)と首肯するしかないと思います。

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