西郷隆盛が大事にしていた考え、信念などがまとめられており、人間がおさめるべき「道」についてしるした本。肝に銘じておべきことだらけでした。何度も読み返したい良書。
以下、印象に残った内容、引用。
・人間は、どうしても自分の好き嫌いで物事を判断しがちだが、組織を率いるものは私心を持ってはならない。「相
...続きを読む手を嫌う心」を封じて対せねばならない。
・地位を与えるときには、一時の功績や、年功序列といった概念で与えてはならない。地位を全うできるだけの「考え方」「能力」もなく地位を与えられると、本人にとっても、組織にとっても、マイナスでしかならない。人の能力を冷静に見極める目を養わなければならない。
・リーダが持つべきは「ビジョンと決意」。どうしたいという「ビジョン」を明確にし、しっかりと語れなければならない。そのビジョンがあればこそ、周囲の意見も素直に聞け、物事の判断ができる。目指すべきビジョンの推進に対しては、いかなる困難にあたっても一歩もひかないという決意がいる。
・子孫のために美田を買わず。苦労が伴って、初めて人は成長する、だからこそ楽をさせる(美田を買い与えない)、という意味で捉えてた。が、「自分の子孫「だけに」美田を買い与えることはしない」「親族関係なく、いかに次の世代に美田を残せるかを考える」という趣旨も含まれている。
・文明とは何か。気高い生き物として営む生き方であり、決して電気や鉄道などが進んでいることを指すわけでない。開国を武力で迫り、人権を踏みにじる西洋は「野蛮」そのものにも関わらず、西洋の利便性のみに目をやり取り入れることを「文明」というのは、間違い。人の道を外さないその心こそが本当の「文明」である。
・自分の欠点を見出し自覚せよ。欠点のない人などいない。その欠点を自分で自覚することで、他人の意見を素直に聞き居れることが出来る。
・計画を立てる際には、実行を誰に任せるかを考えておくこと。崇高な計画を立てたところで、実行できる人材が居なくては、絵に描いた餅。実行を任される側は、常にどんな仕事でも対応できるよう修練を重ねておくこと。
・克己を大事にせよ。人間とは、自分勝手な己を、そんな己を反省し自ら諌めようとする己、この2つの己がいる。後者の己が、前者の己を上回らなければならない。克己は、自分自身で高めるもの。他人が見ていようがいまいが、常に己を磨き上げること。
・学問をするものは、学問ができることを鼻にかけてるだけで、一向に実行に移さないものが多い。学問は非常に重要だが、学問を行かした「大志を持つ」ことと、私利私欲なく「道」を究めるために役立てる、という2つの思いを必ず持つことが肝要である。
・人を相手とせず、天を相手とせよ。自分の大志を成し遂げるためには、多くの困難に直面する。その時に、うまくいかない理由を「人のせい」にしてしまいたくなる。が、人のせいにしたところで、ことが好転する訳ではない。困難はあるものだという自覚と、困難にぶつかったときには天の性であり、自分の修練が足らないと思うべき。そして、早々に次の手を進めていくべきである。
・正道を貫くのは確かにつらい。うまくいっていない時に、世間から非難があれば、諦めてしまいたくもなる。が、自分の正道を世間の声を理由に投げ出すことほど、卑屈なことは無い。自分の道を、自分の意思で歩いてこそ、人生。
・道を志す者が尊ぶのは結果ではなく、心がけ。
・過去の賢人偉人を学び、自分には無理だと思って、やるべきとをから逃げ出すのは卑怯だ。できるできないではない、やるかやらないかの心がけが問われている。
・厚き誠心誠意の心を持って、死後tに対する純粋な真心だけを源にして、そうして成し遂げた仕事こそが、人々に感動を与え、いつまでも語り継がれる仕事である。
・チャンスをつかむ、の本当の意味は、おのれの努力の積み重ねが徐々に形になっていき、ついには機が熟して成功のきっかけとなることを指す。
・行動に映る土壇場で躊躇するものがいる、、しかしこうした迷いは逃避でしかない。自らの行動によって事態を動かすことの責任を負いたくないというだけ。