【感想・ネタバレ】若者殺しの時代のレビュー

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Posted by ブクログ

 「クリスマスが恋人のものになる」「みんながディズニーランドに行くようになる」「みんなが携帯を持つようになる」といった出来事をいろんなデータを集めまくって、著者の体験と実感混み込みで語っている素晴らしい本。
 一番面白いのは2章のクリスマスと3章のディズニーランドの話。80年代以前が想像できないくらいライフスタイルが変わっている感じがするんだな。
 同時代を象徴する人物は、この本では描かれていないけど、島耕作だよね。島耕作が課長になったのが1983年で、クリスマスを島課長は上司と居酒屋で過ごしたりしている。1980年代後半には授業参観で「将来の夢はディズニーランドになることです!」という児童が出てくる。
 80年代は田中角栄が列島改造を終えて刑務所に入っている時代。フォーカス・フラッシュ・フライデーがスキャンダルを追いかける時代。日本が最も熟れている面白い時代なんだよね。

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2013年05月11日

Posted by ブクログ

北田暁大「嗤う日本のナショナリズム」で確か引用されていたので気になっていた。堀井憲一郎というと、僕には「テレビおじゃマンボ」でつまらないクイズコーナーを担当していた人、くらいのイメージしかなかったので、まさかそんな本に引用されるなんて思ってなかった。
読んだ。とても面白かった。良かった。別にアカデミックに裏打ちされた何かがあるわけではない。文体も軽快で、コラムみたいなものだ。ただ、1989年生まれの自分にはわかりえない生前から幼少期にかけての時代の「雰囲気」みたいなものはひしひしと伝わる。
クリスマスやディズニーランドが神聖化されていく渦中にいた人間の体験記として、平成生まれの人間が読んでおいて確実に損はしない。

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2011年01月27日

Posted by ブクログ

著者は、1958年生まれのコラムニストで、週刊文春にて「ホリイのずんずん調査」を連載中とのこと。本書は、その連載をもとに、80年代から90年代にかけての若者と社会を論じたものです。

雑誌やテレビを丹念に調べ上げることから浮かび上がってくる事実と、実際に見聞きしたこととを重ね合わせながら、時代の風景や空気感をリアルに浮かび上がらせていくのが堀井氏の手法です。日常の些細な出来事の集積から、その底に流れる大きな潮流をつかみとっていく手口は見事です。一見、とるに足らないように見える情報もデータベースにして分析してみると、こんなに社会の実相を捉えることができるものになるのかと目が覚める思いがします。

本書で取り上げられるのは、「一杯のかけそば」、クリスマス、トレンディドラマ、連続テレビ小説、漫画、携帯電話、ビデオデッキ、アダルトビデオ、コンビニ、新幹線などなど。これらの変遷をデータで追いかけながら、背景にある事象や、その影響が分析されます。

1983年:クリスマスの恋愛化。ディズニーランド開園。おしん。
1989年:天皇崩御。天安門事件。宮崎勤逮捕。ベルリンの壁崩壊。
1995年:阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件。
2001年:同時多発テロ。

こうやって並べてみると、1983年以降、ほぼ5年ごとに社会を揺るがすような大事件が起きていることに気付かされます。昭和天皇が崩御し、ベルリンの壁が崩れてから、社会は静かに、でも、確実に崩壊に向かってきたのだと思います。80年代は、崩れる前の最後の馬鹿騒ぎの10年間だったのでしょう。

著者は、社会の寿命も人間の寿命と同じようなものではないかと言います。だとすると、戦後に作られた社会のシステムは一体いつまでもちこたえることができるのでしょう?既に戦後65年たっています。男性の平均寿命は79歳、女性は86歳ですから、せいぜいもってあと20年というのが妥当なところではないでしょうか。

タイトルにある「若者殺し」とは、「若者」が消費社会のターゲットとして「発見」され、消費社会のシステムに組み込まれていった過程のことを指しています。システムに飲み込まれることで、一見好きなように生きている若者が、どんどん息苦しくなり、希望がなくなっていった。つまり若者は社会によって緩慢に殺されていったわけで、その端緒が80年代にあったというのが本書の主題です。

そして、こうなった状況下で若者にできることは、システムを壊すことか、システムから逃げることだ、と著者は主張します。

なるほど。確かに、いつの時代も若者は社会を壊そうとして、文化に逃げ道を見つけてきました。では、若者達が逃げる先にある文化とは何なのか?著者の最終結論には意見が分かれるかもしれません。

本書には、確かに80年代から90年代にかけてのリアルな風景が描かれています。そして、再現されたその風景は多くの気付きを与えてくれます。滅法面白い本なので、是非、読んでみてください。

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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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1989年。
僕は、この年は『一杯のかけそば』の年だったとおもっている。
1989年は80年代最後の年で、昭和最後の年だった。(…)
春にいきなり消費税が取られ始め、春の終りに中国の天安門で多くの若者が殺され、美空ひばりが死に、夏に宮崎勤が逮捕され、横浜の花火大会で花火が暴発し、総理大臣が竹下から宇野になったかとおもうと海部になり、秋の終わりにベルリンの壁が崩れ、カルト教団と戦っていた坂本弁護士一家の行方がわからなくなった。
たいへんな一年だ。いろんなことがこの一年に詰まっているとおもう。

クリスマスが恋人たちのものになったのは1983年からだ。
そしてそれは同時に、若者から金をまきあげようと、日本の社会が動き出す時期でもある。「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうするべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである。若い人たちにとって、大きな曲がり角が1983年にあった。女子が先に曲がった。それを追いかけて、僕たち男子も曲がっていった。

1983年4月15日金曜日。東京ディズニーランドが開園した。(…)
1987年、ディズニーランドが聖地化しはじめていた。ポパイがクリスマス特集を始めた年だった。

連続テレビ小説のピークは「おしん」である。
1983年のドラマだ。いろんなものが1983年に始まっている。
「おしん」の平均視聴率は52%だった。三百回以上放送されるドラマの平均視聴率が52%というのは、めちゃくちゃである。

80年代に目に見えて普及して、日本人の生活を変えたものは、ビデオデッキとコンビニエンスストアだ。(…)
ビデオとコンビニは、いくつかの楽しみを個人所有のものに変え、集団で行動する原理を解体し、家族を解体し、家庭をばらしていった。そのおかげで、女性は家庭からも家族からも自由になっていったのだ。

90年代は恋愛と携帯しか売られなかった。そして恋愛と携帯からは、何も生まれなかった。

空虚なドラマは、当時トレンディドラマと呼ばれた。88年からトレンディが始まり、1990年代の空虚な時代を支えていった。それ以前のドラマは家庭が舞台だった。ホームドラマだ。

90年代の女性の処方箋が恋愛ドラマなら、男の処方箋はヘアヌードだった。身も蓋もない。でもそうだったから仕方がない。

1991年11月13日、宮沢りえのヌード写真が新聞全面広告に載った。
日本中を衝撃が走った。
トップアイドルである。掛け値なしに一番人気だったアイドルだ。その彼女がヘアヌード写真集を出したのだ。おそろしい時代になった。日本史上、空前の出来事だった。

僕たちの社会がダイナミズムをなくしていく過程と、携帯電話が普及していく時期はちょうど重なっている。

たぶんベビーブーマーたちは、1968年に破壊できなかった何かを、もう一度、やんわりと破壊しようとしているのではないか。若者をゆっくりと殺していくことで、何かに復讐しようとしてるのではないだろうか。日本と、日本がもたらしたものと、近代のシステムと、そしてできれば近代そのものを、憎んでるだけではないか。

のぞみ、という命名には、いかにも90年代らしい気分が見てとれる。それまでの「ひかり」「こだま」というのは実にわかりやすいネーミングである。一番速いのが光速、次に速いのが音速。わかりやすい。
その光速より速い列車にどういう名前をつけるか。JRも悩んだのだろう。そこで、のぞみを出してきた。内的世界である。精神論だ。宗教的とも言える。60年代の科学的気分から大きく逸脱して、内側へ向かってしまった。

日本が近代国家を始めたのが1868年。そのシステムをやめたのが1945年。これは78 年もった。大敗戦後のシステムは1945年に始めて、さてどこまで延命できるだろうか。早いと2015年。もって2030年だ。

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●[2]編集後記

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先日、娘と宮崎駿のアニメ「となりのトトロ」を観ました。久しぶりのトトロです。この映画が上映されたのは、1988年のこと。バブルまっただ中の作品です。

明るい明日を皆が信じていた時代に、昭和30年代を彷彿とさせる内容の映画です。公開当時の配給収入は5.8億円、観客動員数80万人。興行的には失敗でした。トトロと言えば、宮崎駿監督の代表作の一つですから、今では信じられないことですが、当時の前向きな時代の空気とは明らかにミスマッチだったのでしょう。はっきり言って、貧乏くさい、単なる懐古趣味の映画に思われたのだと思います。

勿論、トトロは「昔は良かった」的な単なる懐古趣味の映画ではありません。描かれたのは、自然と人との交流であり、日本人の暮しに根づいた自然な霊性がテーマであったと思います。

例えば、主人公の少女・五月がお地蔵さんの祠で雨宿りするシーンがあります。五月は、お地蔵さんに手を合わせ、ここで休ませてください、と許可をとってから雨宿りをします。こういう暮しに根づいた自然な霊性、見えないものへのリスペクトが宮崎監督の描きたいものだったのでしょう。

それは、当時47歳の宮崎監督の、バブルに踊らされる社会に対する精一杯の違和感の表明だったのだと思います。そして、バブルが弾け、目が覚めるかと思いきや、自然とのつながりも、日々の暮しの中の霊性も、むしろどんどん失われていった。そのことに対する怒りが、その後の「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」に明瞭に表れているように思えます。

ちなみに、「千と千尋の神隠し」の興行収入は304億円、観客動員数は2,350万人でした。トトロが2000年代の映画だったら、どれだけ観客動員できたのか、興味深いところです。

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2010年11月08日

Posted by ブクログ

どうして今の若者に元気がないのか? 若者が未来に希望を持てないのは何故か? そういった疑問に答えつつ、上の世代からの一方的な偏見に統計とユーモアで切り替えした奇作です。

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2010年05月27日

Posted by ブクログ

83年にクリスマスが恋人たちのものになり、以後若者という消費者層をつくり恋愛を通して金が動いた…。80年代日本で何が動いていたのか知るための本。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

週刊文春に長期連載の『ズンズン調査』をもとに時代の変化をさぐった本。/「’80年代の入り口は、可能性に満ち満ちまもなく豊かになるだろうと信じ…’89には十年前には想像できなかったほど贅沢に暮らしていた。欲望が僕たちを追い越してしまい、欲望の指し示す道を突き進むしかなかった」→若者に消費を勧める「恋愛至上主義」トレンディドラマ/クリスマスの外泊推進/TDL聖地化/ワープロでミステリは分厚くなるばかり/ヘアヌード。宮沢りえ’91菅野美穂’97/携帯電話で社会が覆われた。友達数の格差が鮮明に/新幹線のぞみ停車駅に’85新横浜、’06品川が加わる。東京の拡張

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

物騒なタイトルだけど、1980~90年代の日本の社会風俗史をクリスマスやトレンディドラマ等のユニークな視点と文体で纏めてておもしろおかしい。
それぞれの時代で“若者”がどう扱われてきたかを分析し、「若者であることが得をした時代」と「若者であることが損でも得でもない時代」と「若者であることで損をする時代」などと表現している。タイトルもそういう意味。
社会のシステムの1タームがおよそ60年とし、敗戦後社会の「裕福で幸せな社会を目指して右肩上がりで発展していくこと」を目標にしていたタームはもう終わろうとし、これからは別の目標の新しいタームに入ろうとしているクダリが面白かった。
最近 昭和懐古のコンテンツが多いのも、もうテールエンドからゆるやかに新しいタームに移ろうとしているからかもしれない。

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2014年10月03日

Posted by ブクログ

非常に読みやすく、あっという間に読める。
殺しという言葉の与える印象と中身の文体が、まったく乖離している。

クリスマスがなぜ、今のように恋人同士のモノになったのか?
など、興味深い話が綴られている。
タイトルで損をしている。
『1983年のクリスマス』という章を、そのままタイトルにしてもよかったのでは。

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2011年12月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新書としてはべらぼうに軽くて読みやすい。
恋人と過ごすクリスマスをはじめ、バレンタインデーのチョコレート、デートスポットとしてのディズニーランド、携帯電話、マンガ、月9ドラマ、単位が「来る」という表現などといった、今の若者を取り巻く仕組みが、いつから、どのようにして生まれてきたのかについて、当時のドラマや漫研の資料、雑誌などを用いて解説している。

ただ、もっと突っ込んで欲しかった部分も多い。例えば、「内にこもるな。外へ出でよ。仲間と遊べ」というスローガンはどこから出てきたのかとか。

「こういう時代があった」という事実関係を楽しむ本としての性格が強い。

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2011年12月29日

Posted by ブクログ

題名から年長者の説教本ぽく見えるが、実は80-90年代の各イベントを著者のユーモアあふれる解説で、その状態の遷移を面白く語ってくれた本。題材が庶民的なので、ちょっとした脳休めにも良いと思います。

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2011年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もはやインパクトのあるタイトルで勝負!ってのは新書界での常識なのでしょうか。

 非常に社会学的で、各年代の若者たちを追った内容は単純に興味深かった。雑誌アンアンの1983歴史的宣言が、クリスマスを「パーティー」から「恋人たちの夜」とするクリスマス・ファシズムの走りだとか。ホームドラマが衰退し、トレンディドラマが台頭してきたあたりに若者はアウトドア派(サーフィン、スノボ)とインドア派(オタク)に二分されたとか。1997年、若者が携帯電話で覆い尽くされてしまったとか。例を挙げたらキリが無いのだが。

 自分のお誕生日に、いったいいくつメールが来たか。そのメールの数で「いま存在する世界の中で、あなたの誕生日を覚えていて、祝ってくれる気持ちのあったすべてのひとの数」が示されるのだ。逃げようがない。来てない人は、誕生日を知らないか忘れたかどうでもいいと思った人なのだ。それがきちんと数字になって示される。

 こういう考え方をすると本当に生きにくい感じがする世の中。携帯電話を破壊して、ようやく世界と繋がったってうたってたのは誰だっけ。

 最後までしっかり読めば、何故「若者殺しの時代」なのかわかる。平易な文体なので読みやすい。首尾一貫しているとは言えないがそこはご愛嬌。最後に「戦う」か「逃げる」かという選択肢が提示されているが、「ニート」とは逃げようとして現代に捕まってしまった若者たちの総称らしい。この本によると。

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2011年07月20日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
クリスマスが恋人たちのものになったのは1983年からだ。
そしてそれは同時に、若者から金をまきあげようと、日本の社会が動きだす時期でもある。
「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうすべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである。
若い人たちにとって、大きな曲がり角が1983年にあった―80年代に謎あり!
ずんずん調べてつきとめた。

[ 目次 ]
第1章 1989年の一杯のかけそば
第2章 1983年のクリスマス
第3章 1987年のディズニーランド
第4章 1989年のサブカルチャー
第5章 1991年のラブストーリー
第6章 1999年のノストラダムス
終章 2010年の大いなる黄昏あるいは2015年の倭国の大乱

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年11月21日

Posted by ブクログ

この本はむちゃくちゃ面白かったよ。
「若者」の●●離れという文脈がいかにへんてこなものなのか、
なぜ女性が恋愛のレートをあげ続け、
それにより女性の性が一大産業に発展したのか、
そこらへんが雑誌という切り口で書かれている。
慧眼だと思います。僕にはとても面白く読めた。

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2010年11月14日

Posted by ブクログ

「80年代、女の子がお姫様になった」 

文章が軽妙で時代の軽さによく合っている気がする。そんな文体なのに、どこかバッサリと斬られるような感じがする。伸びよう、広がろうとするのにバッサリと斬られるような。読みながら、その時代の若者をイメージしながら読んでいると、確かに殺されているような気分になる。
 バブルを通して、「若者」までもが市場として意識されたということだろうか、名前をつけられた途端にそれは世界の中に位置づけられて絡め取られてしまう。
バブルで生まれた金の多くが女性に捧げられ、女の子がお姫様にまつり上げられた。男の子はお姫様に好かれエッチできるように本を買い服を買い自分を磨いた。
 大人が、若い大人を見つけ、「若者」という名前をつけ、意味を持たせた。

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2010年11月02日

Posted by ブクログ

これは、、、。
いろんな意味で笑える内容でした。
タイトルは少し意訳し過ぎかな。

バブル時代を謳歌した人びとには、腹が立つ内容かもしれないが、嘘は書いてないので、人生のレビューとして読んでみては?

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2010年10月31日

Posted by ブクログ

まず、文章が流暢で読み心地が良い。言い回しが面白い
>昔の雑誌を介して怒られるのは理不尽なのだが、怒ってる内容は正しい。
>女性に怒られるときは、いつだってそうだ。入り口は間違ってるんだけど、指し示しているポイントが恐ろしいほど正確なのだ。何も言い返せない。


>第一陣の逃亡者たちは、ほとんど捕まってしまい「ニート」という立派な名詞が与えられてしまった。いまは構成しろと監視されている。
>あきらかに逃亡する前よりも扱いが悪くなっている。次の逃亡は慎重にやったほうがいい。

とかね。

目の付け所が面白い。
多くの人が見過ごすであろう、社会の変化から独自の分析・持論を展開している。
・雑誌が若者をターゲットにし始めた
・トレンディドラマが女性の価値観を変えた
・単位は取るものではなく、来るものになった
とかね。

主張としては、社会の変化はどんどん若者を生きづらくしているということらしい。でそれを作っているのは、かつて若者だった大人たちということになるのかな。
別に、誰かが悪意をもって若者から搾取しているわけではない。
今の延長線上で、努力をすれば明日は今日よりきっと良くなる的な価値観がそうさせたのだと思う。若者は苦労しても、歳を取れば報われる的な固定観念がね。

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2013年12月24日

Posted by ブクログ

★だから早くオジサンになりたかったのか★雑誌や早稲田漫研OBを軸に時代に対する認識をひもとき、この20年を、「若者」という消費者を作りだした時期と総括する。若者向けのクリスマスが始まったのがたかだか1983年とは驚かされた。バブルがはじけたのに若者市場という幻想だけが、かつて若者だった人に残る。被害を受けるのは何も残されていないいまの若者。バブル直後に学生生活を送り、いまの若者の端につらなると思っている身にはしみた。「ずんずん調査」するだけでなく、分析する枠組みも持っているのだと見直した。

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2010年10月10日

Posted by ブクログ

1989年。昭和が終わって80年代最後の年。筆者によると日本のなかで何かを失った時代。私はまだ小6で、塾に行ったり、毎日ポコペンやロクムシしながらのほほんと過ごしていた。 何かが始まり始めたターニングポイントの83年。私はまだ6才だった。 なにはともあれおもしろい。いいねー、堀井さん。この茶化したような皮肉ったような言い回し、けっこう好き。 
私は逃げ切れるか。コレからが勝負。

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2009年10月04日

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ネタバレ

2006年。80年代あたりの、若者たちが消費の奴隷化されてクリスマスやバレンタイン、いわゆるトレンディドラマに踊らされていく感じを書いている。曖昧模糊といえばまあそんな感じもするのだが、時代の雰囲気を語るとはこういうことではないのか。

後半の予測みたいなものも、2021年の俺から見ると結構当たってると思う。最後のアドバイスについても、かなり正しいと思う。

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2021年12月18日

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クリスマス、バレンタイン、TDLと1980年代から2000年代にかけて若者から金を採取する文化が根付いたしまったとのこと。どのように根付いていったかの考察は面白いが、今後の進むべき道の提言が”逃げろ”ではちょっと・・・

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2015年12月23日

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当たり前だけど、19歳にはここに書かれてることのほとんどが実感を持てないものだった

そんな時代があったんだなーと思うのが限界だった

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2014年05月12日

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社会の中に「若者」の居場所が無かった時代。
ボクの世代はベビーブーマー世代とベビーブーマーJR.世代の合間の世代。
物心つき始めた頃は、すでに社会はおもしろおかしい楽しげなモノ、はやく東京に行かねばっ!とまだハァ〜ハァ〜していた世代である。
本書を読んで、それがスーツを着た大人たちが社会の中に「若者」を取り込んでいった時代をまんま生かされていた感じた。

「おとなが若者のつもりのまま年をとっていき、その下の若者の居場所がないのだ。  となると若者は、自分の内側の世界を大事に生きるしかない。内側を生きる人たちは、世界に薄い膜をかけて見る。リアルに直視しても、何も幸せになれないからだ。その世界に生きてはいるが、世界の成り立ちとは関係してないと考える。  若者のせいではない。僕たちが選んだ社会の気分とシステムのせいである。」

まんま言われるがままに大人が若者のつもりのまま年を取っている自分がいる。

ボクが生きてきた時代とはこういう時代だったのか。

1983年 恋愛のクリスマスが始まる
1987年 男子が恋愛のクリスマスに追いつく
1987年 TDLが聖地化しはじめる
1989年 貧乏を完全に捨てた
1989年 カルチャーとしてのマンガを捨てた
1990年 文章は機械で書くものになる
1991年 ラブストーリーを見て女子が勝手に恋愛レートを上げた
1991年 そのぶん男子のためにヘアヌードが安くなった
1993年 女子高生の性商品化が始まる
1997年 携帯電話で社会が覆われる
1997年 大学の「単位」が「来る」ものになり世界はバーチャルになる

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2014年03月16日

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ネタバレ

若者は、「若者」というくくりをつけられた上で、ある一定の方向性に誘導させられ、搾取させられてきた。例えば、「クリスマスは彼女とリッチに過ごす(1983)」だったり、「バレンタインにチョコレートをあげる(1977)」などである。

これらは、1980年代に女性主導で起こった。ディズニーランドも1987年あたりで聖地化した。これらは、女性主導で行われた。ラブホテルから回転ベッドなどの面妖さが抜け、女性好みのシンプルさになっていったのも、その一環だと思われる。女性の要求は、洗練され細分化された形で事前に用意された。

1980年代後半にはコンビニが普及し、人々が「無駄な消費」を覚えた。水や茶の販売も始まった(それまでは自販機でもジュースしか売っていなかった)。

1959年には漫画の認知度は低く、始めてサンデーとマガジンが連載開始した。1960年代から徐々に人口に膾炙し始め、サブカルチャーの普及とともに1970年代には大学生でも一般化した(ただ、1960年末は学生運動が本格化していたため、それどころではなかった。)。80年代には「ネクラ」と「ネアカ」の二分化が始まり、漫画執筆はネクラにカテゴライズされた。ここまではカルチャーとしての漫画だったが、想像上の擬似世界としての漫画を消費する傾向が高まり、それが「おたく」だった。ネアカになりきれない連中が、おたくとして存在した。そして、89年の宮崎勤事件(おたくが性犯罪者と結び付けられた事件)を機に、おたくは忌避すべき存在となった。

1990年以前はホームドラマが中心だったが、それ以降はトレンディドラマ(トレンドを中心にした恋愛)が中心になった。91年の「東京ラブストーリー」が契機になり、月9が形成された。女性は「折れない」生き方が理想になった。女性は処女性を捨て、91年からはきれいな女性がアダルトビデオに出演するようになった。一瞬ポケベルの時代があったが、97年からは携帯が安価になり、普及し始めた。その結果、常にあらゆるところとつながることになった。

何にせよ、あらゆるものが商品化され、金に買えられていった。

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2013年11月01日

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80年代あたりを直に生きてきた人にはそうそう!って感じで面白いのかも。85年生まれの私には実感が湧かないけど、ちょっと上の世代がどんな時代を生きてきたかっていうのが垣間見えて面白い。きっと時代とそのブームを上手く面白おかしくまとめてくれてるんだと思う。

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2013年01月15日

Posted by ブクログ

以前、団塊の世代の方々とお話したときに、
「壊した後に何も作らなかったのがよくなかった」といったようなことをおっしゃられていたことを思い出してしまった。

若者であることはすばらしいとは、私は思わない。
「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だななどとだれにも言わせまい」とポール・ニザンもいっている。ということを、子どもや若者がいいといわれるときによく思い出してしまう。

堀井さんはカルチャーと絡めて、どんどん若者が食い物にされていく様子を浮き彫りにしている。その視点が面白い。ただ、どんどん女の子がお姫様化、恋愛至上主義化していくというのは、どんなもんなのだろうと思う。ただ、私が女子代表(メジャー)とはとても言いがたいので、女子の中心はそうなのかもしれない。

逃げろと堀井さんは最後にアドバイスをくれているが、さて、私はいったいどこへ逃げようか。

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2011年12月26日

Posted by ブクログ

昔はクリスマス・バレンタイン、そんなものはなかったが、いつの間にかクリスマスは恋人同士が過ごす日、バレンタインの日はチョコをプレゼントする日となってしまった。
若者たちは、あたかも大昔からその習慣が根付いているように感じているその世界で生かされているのが不幸、といった内容なのかな(ちょっと違うかも)
こういったいつのまにか作られた固定概念って怖いなって感じた

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2011年11月27日

Posted by ブクログ

クリスマス・ファシズムの始まりは1988年。「若者はクリスマスを恋人同士で過ごさないといけない」という思想が日本の隅々まで行き渡ったとのこと。雑誌の特集により時代の流れを分析。
ちなみに、出発点は1983年12月、アンアンの「クリスマス特集 今夜こそ彼のハートをつかまえる!」。1983歴史的宣言。この記事から、クリスマスの若者向け商品化がスタートしたとのこと。男性誌ポパイでの特集が1988年。
バレンタインデーのブレイクは1977年。デパートで「バレンタインデー用の専用チョコ」が初めて売り出された。チョコレートと関係あるバレンタインデーは世界中どこにもなかった企画、1958年にメリーチョコがはじめたもの。

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2018年10月31日

Posted by ブクログ

文化を切り口として、タイトルとなる「若者殺し」を語っている。

非常に読みやすく、何気なく接していた文化の歴史などを
知ることができたが、それが「若者殺し」になるというのは
しっくりこなかった。
自分を含め、現代の日本の若者には何かを生み出す、何かを変える
力が欠けている気がする。自分はそれが若者を覆う暗い影の
原因ではないのかと思う。
つまり、殺されているのではなく、自滅であると。

但し、最後に書かれていた伝統文化に逃げるというのは共感できた。
自分も何かに取り組みたいと思う。

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2010年10月19日

Posted by ブクログ

2010/05/18購入。時代が流れているのを見られたのがよかった。あまり昔のこと知る機会ないしなぁ。

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2010年05月25日

Posted by ブクログ

R25に紹介されてたので読んでみた。「若者にお金を使わせれば儲かることに大人が気づいて以来、若者はゆっくり殺されている」と言う内容。おもしろかったよ。でも男性視点から書かれてるから不愉快に思う女性もいるかもしれない。

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2009年10月04日

「社会・政治」ランキング