感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ゲテモノとしての昆虫食紹介ではなく、かなり真面目な昆虫食考が読める本。昆虫の歴史、栄養、環境問題、食育と多岐のアプローチがどれも興味深い。
小学校に入る前、祖父が捕ってきたイナゴやハチの子の味はかなり遠い記憶になった。本の中でも書かれているが、元来人間の食べ物はその人間の近くに生息する動植物であるはずだったのが、近代化によりどこかで作られ店頭に並んでいるものになっている。そういった社会の仕組みを考える意味でも、身近な資源の活用を考えるうえでも良い示唆を与えてくれる本だった。
Posted by ブクログ
コガネムシはゴキブリのこと。
害虫としての認識は国家が作った虚構
アリストテレスはセミは孵化の直前が美味しいと記載。
食品に必要なのは、清潔ではなく、清潔らしさ。人間は脳でたべている。伏木亨
アメリカの食品衛生局は昆虫などの混入の許容レベルを定める。これは殺虫剤を多用するよりも無害な自然物の混入の方が良いから。
関心は4つのグループに分けられる。1つは狩猟採集活動として、古来からあった自然な行為。2つはグルメとして、おいしさを追求。3つはエンターテイメント、珍奇性を楽しむもの。4つは科学として有効性を提示したい。
セミはミネラルが豊富なのでミネラルセミ茶もあるのではないか。
飼料要求率とは、正体1グラムを増やすために餌が何グラム必要かを見るもの。カイコは4.22、牛は10〜15。
エネルギー変換効率は、生体1キロカロリーの体組織を作るためになんカロリーの餌が必要かを示すもの。
カイコは3.2、ブロイラーは2.05。ブロイラーの方が効率的。
1平米あたり何キロの肉を生産できるかは、カイコは221キロに対して、ブロイラーは105キロ。
可食部は、肉は43パーセントたが、カイコは100パーセント。昆虫は一般的に成虫は80〜90パーセント、幼虫は100パーセント。
変温動物は、基礎代謝が低く、エネルギーが消費されにくい。
日本のフードマイレージは総量でも一人当たりでも世界一。
韓国やアメリカの3倍。イギリスやドイツの5倍。
Posted by ブクログ
伝統食でありながらゲテモノ食とも思われてしまっている昆虫食。この本の著者の内山先生を招いた勉強会が社内で開かれたこともあり、勉強会後に読んでみました。
冒頭のカラーページに掲載されている各種の昆虫料理の絵ヅラは破壊力満点ですが、中身は至ってマジメ。
昆虫食の歴史、食べられる虫の説明(味や食べ応えについても細かく書かれてます)、社会や地域によって「昆虫を食べる」という行為の受容性が異なるのはなぜなのか、といったあたりが網羅的に説明されています。細かい部分はあまり追及されておらず総論的な内容となってますが、これは新書という性質上、仕方ないでしょう。
個人的な気づきとしては、まず昆虫食は「他の蛋白質豊富な食品が手に入らない地域で仕方なく食べられていたもの」ではない、ということ。たとえば長野で食べられているザザムシについては、それが捕れる場所は即ち川魚が捕れる場所なので、「あえて好んで」ザザムシを捕って食べていたのだ、と著者は述べています。
また、「虫は不衛生である」という論に対しては、明治以降に不衛生な環境と虫とを結びつけて考える風潮が醸成され、それによって虫が汚いものとされてしまったと述べたうえで、「食べないからこそ汚いものであるという意識が生まれる」のだと説明しています。そういう考え方もあるのか、と気づかされるポイントでした。
実際、イナゴやハチノコを食べる文化圏の人は、虫を汚いものや気持ち悪いものと認識することは少ないのではないでしょうか。
一方で、この本からは「昆虫を食料として安定供給する」にあたっての課題も見えてきます。
個人的に一番気になったのが、陸上の畜産物や魚に比べ、「育った環境や採集された場所により、栄養価や摂取できるカロリーにバラツキが大きいのではないか?」ということ。どんな食材でも栄養価はバラつくと思いますが、昆虫はその程度が大きいのではないかと思われます。
さらに、人が必要とする栄養価やカロリー量を満たすためには相当な量の虫を食べる必要があり、それだけの量を安定的に供給できるか(=養殖できるか)も課題でしょう。趣味の範囲で佃煮などにするために捕獲するならまだしも、本気で食材として供給するには養殖は必須。その辺をどうするかは課題になりそうです。
ただ、本書によれば昆虫は「食料が人間の食べる食材と競合しない」ため生産しやすく、「変温動物のため体温維持にカロリーを消費せず、溜め込んだエネルギーをそのまま食料カロリーとして提供できる」ため栄養効率も高い、とのこと。
あとは、食べ慣れておらず生理的抵抗感が強い、というポイントがかなり高いハードルになると思われるので、そこを何とかしないといけないでしょう。
Posted by ブクログ
著者は幼少より昆虫食に親しみ,十年以上昆虫料理を研究してきたエキスパート。昆虫食の本来の意味を忘れないように,夜中に単身雑木林に入って虫を食べるという自己研鑽までしてるというから凄い。
単なるゲテモノ食の紹介というのではなく,昆虫食の人類史,世界各地の昆虫食文化,昆虫の栄養学,食糧資源としての昆虫,昆虫食と食育など幅広く扱っていて,入門に最適。ひとまずイナゴの佃煮から始めてみようかな…という気にさせてくれる。将来食糧危機が来て,虫食いのスキルが生死を分けるようなことになるかもしれないし。
Posted by ブクログ
スーパーの店頭に美味しいコウロギが売られていたら買うのかもしれないのだけど、そのように風味付けられたものを食べるの本当の意味での食の多様性だろうかと考えた。
たとえばだけど現代人は牛・豚・鷄・魚などから動物性のタンパク質をとるのだけどほとんど同じ味付けのものが多い。
これはわれわれが味覚というものに縛られている結果だと思う。
本当の意味での食育とか、食の多様性とかいうものはまずくても食べるぐらいの気概がないとだめなのではないかしらと思う。
Posted by ブクログ
昆虫食についていろいろな可能性があることがわかってすごく感動しました!そして、がんばって昆虫食を広めようといろいろなイベントをひらいてることがわかりました。イベントに参加して昆虫食を食べたいと思いました。
Posted by ブクログ
著者の内山さんは10年以上昆虫を食べ続けており、題名からも分かる様に、本書はこの著者によって昆虫食、つまり「昆虫を食べる」をテーマにして書かれた新書です。
日本を含めた世界各国における昆虫食やその歴史の紹介、昆虫の栄養価、昆虫の料理の方法や料理シーンの記述、初めて昆虫を食べた人たちの反応等、昆虫食に関する様々な解説が載っていました。
""
日本における昆虫食といえば、イナゴの佃煮やハチの子などが有名ですが、本書ではその他にも蝉を食べたり、カミキリムシを食べたり・・・と様々な昆虫を食すシーンの記述が載ってあり、例えばカミキリムシはグルタミン酸が多くて美味しい等、思わず「そうなのか」と言った感じに驚きを覚える内容が多かったです。
他に、来るべき人口爆発に伴う食糧難を乗り切る手段として昆虫食の検討を行ったり、JAXAによる火星での食糧源としてのカイコの検討、南極の観測基地における食糧としての昆虫の検討、植物工場の技術を応用した昆虫養殖工場、食用昆虫としての品種改良の必要性の指摘等、言われてみれば妥当な事も多く紹介されています。
正直、私は昆虫を食べた経験が無く、昆虫食に対する抵抗もそれなりにあります。
なので、本書内の昆虫の調理シーンの記述では、読んでいて若干気味が悪い感じがした箇所もありました。
しかし、同時に調理の際、ただよって来る「におい慣れた香り」により、昆虫食に対して戸惑いを覚えていた人たちも「食べてみようか」と言う気持ちになるとの記述には「確かにそうなるかも」と共感を覚えたりもしました。
本書では上記の様に昆虫食の紹介のみにとどまらず、他に「なぜ昆虫が食べられていないのか」と言う検討や昆虫食とそれを行う人との精神的な関係性の解説等、「人間と食糧としての昆虫の関係」と言うテーマで多角的な解説がなされています。
また、調理シーンの記述などは実際に昆虫を調理する際の参考になる情報も載っています。
従って、昆虫を食べる気はないが昆虫食ってどの様な物なのかと言う興味をお持ちの方はもちろん、実際に昆虫食をしてみようかと思われている方でも役に立つのではないでしょうか。
類書が余り無いと言う事もあり、昆虫食について知りたければお薦めです。
Posted by ブクログ
カエル、ヘビ、トカゲ、カンガルー、ワニ、コウモリ、カメレオン、
トナカイ、アルマジロ、ダチョウ。
思い出せる限りの食べたことのある鳥獣肉である。う~む、他のも
何か食べているかも知れぬ。
しかし、虫となると僅か3種類だ。イナゴにハチの子、そしてザザムシ
である。あ、芋虫の入ったテキーラ(?)は飲んだことがあった。
最近はめっきり放送しなくなったが、タレントが外国に行ってゲテモノ
(これも失礼な言い方だが)を食べる番組があった。
気持ち悪いだなんだと大騒ぎしている姿は、見ていて気持ちのいいもの
ではなかった。虫だって地域によっては貴重なタンパク源なんだもの。
本書はゲテモノ扱いされがちな昆虫食の雑学を凝縮している。
読んでいると美味しそうなんだよな。特にトノサマバッタの素揚げとか。
でも、捕まえ様にも子供の頃ならいざ知らず、近年は家の近所で
バッタ自体を見掛けなくなったのだ。
「アブラゼミは、ナッツ味」と書かれた下に、アーモンド、セミの子、
セミの親と写真を並べた帯も秀逸。本はタイトル買いとかジャケ
買いをするほうなのだが、この帯だけで買っちゃったもんね~。
さぁ、あれだけの鳥獣肉を食らい、今でもイナゴの佃煮を食す私で
ある。もっと違う虫も食べられるはず。まずはカマキリベビーから
始めてみようか。
Posted by ブクログ
入門、と銘打ってはいても、実際は「食材として認識されている」昆虫はもとより、海外の昆虫食事情や、文化の中での昆虫食まで余すことなく語られている。僕が住んでいるところには昆虫を食べるという習慣はないので、巻頭の昆虫料理の写真は衝撃的だった。昆虫寿司とか、昆虫ピザとか、なんだか罰当たりっぽい料理がたくさんある。
昔はイナゴ取りが秋の風物詩になっていて、手軽なレジャーとして認識されていたという記述にビックリ。それが戦後のGHQによる殺虫剤散布でイナゴが激減し、最近はまた増えてきたので昆虫食の伝統が途絶えなかったというのは、日本人には虫を美味しく食べるという習慣が確かにある証左なのだろうなぁと思った。
虫の味まで書いてくれるところもありがたい。アブラゼミってナッツの味がするのかと、一生経験することのなさそうな知識を蓄えることもできるのが、この本の良いところか。
Posted by ブクログ
20120501
正直、B級面白読み物のつもりで買いました。
ゴメンナサイ。
読んでみると雑食動物の環境適応能力から食文化、食育や人口増加による食料危機対策までを網羅した、「昆虫食入門の決定版」と言っても過言ではない良書でした。
圧巻は具体的を列挙した第二章「食べられる昆虫プロフィール」!
いま、目の前をカミキリムシが歩いていたら、食べたくなる衝動を抑える自信はありません。。。
Posted by ブクログ
冗談みたいな扉の昆虫料理の写真に興味津々。
「うげー、こんな料理もあるの?!」
というノリの話を予想していたのだが、中身はかなり真面目な話でちょっとびっくり。
個人的には、あまり構えずに、「うげー」のノリで紹介していく方が世間は受け入れると思うんだけど、どうかなあ。
ま、いろんな情報が詰まった良書でした。
Posted by ブクログ
昆虫食界の本としては最近のもの。
著者の内山さんは毎日昆虫食を実践して毎月試食会イベントも行なっている先駆者。
味の体験談も実感がこもっていて面白い。
この本は入門と銘打たれてるだけあって、昆虫食の歴史から現代の昆虫食分布まで丁寧に教えてくれる。
ゴキブリが実は虫の中でもナチュラルにうまいというのは目からうろこ。
実際に私が食べられるか想像してみたが何となく無理そうな気がする。
Posted by ブクログ
淺野がきたので、
本を物色して、
その場でザクーっと読みました。
たぶんこの方タモクラ出てたかたですよね?とおもった。
タッパーにお虫さん持ち歩いていておやつを食べている。。。みたいな。
虫の話をするときとても楽しそうだった印象。
はじめに虫さんたちの、写真がたくさんなので、
ダメな人はペラッとめくってだめでしょう。
歴史からはじまり、
栄養価値、食育、環境問題、育て方まで細かくのっています。
とても真面目です。
細かく目次でわかれていて、流れがとても良いので、
文面はともかく、構成がわかりやすい。
栄養価や、症状別の虫の選び方、
食べ方など楽しい。
虫レシピ・・・w
レシピ本出してもおもしろいかも!
とか思った・・・・w
アンケートちょっとワロタ・・・
楽しい読み応えのある本でした。
Posted by ブクログ
父親が長野の出なので、昔、蜂の子は食べさせられた。著者は、昆虫食の本場である長野出身で、昆虫食の普及活動を進めている。世界の昆虫食の現状、レシピ、栄養学的検討、食糧資源としての虫、食育活動での普及活動等幅広い話題を網羅した昆虫食の入門書?である。将来、食糧危機が起きたときの貴重なタンパク源になる可能性があるそうだ。さらに理解を深めるためには、後は実際に食べるしかないようだ。セミの天ぷらはいけそうだが。
Posted by ブクログ
最後に昆虫を食べたのはいつか、もう思い出せないほど昔です。が、抵抗はないつもりでいました。しかし、いきなりのカラー写真のインパクトに負ける。ピザとか、寿司とか。
文中には、タイでタガメをチューチュー吸う若き女子も出てきます。
とはいえ、ゲテモノ食いで喜ぶ本ではありません。最善採餌という考えに基づいた昆虫食のこと、美味しく食べられる虫、そうでない虫(カブトムシはおいしくないんだって)の資料など、とてもまじめに作られている本です。
食肉が異常に安くなっている今の日本では、最善採餌(コストと栄養)で昆虫は肉に勝てないでしょう。でも、有事の際には、繁殖が早く栄養価に優れた食品として食べることになるかもしれません。怖いような楽しみなような、その準備のためにも。