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Posted by ブクログ
「恋をしている奴は誰だ!?」
上記のメッセージをテーマに錯綜する恋愛模様をモヨコ節で描いた傑作。
主人公の野沢ナオは先輩のアラタに恋をする。
そんなアラタは学年一のマドンナ、秋山ユリナに恋をしている。
誰かが誰かを、その誰かがそのまた誰かを好いている、恋しているという恋愛の縮図を見事に「整備された団地」(ニュータウン)に透過させて描いている。
目を引くのは作品の随所に込められた緻密な背景の描写。
綺麗に整備され建ち並んだ団地を遠景から描き、この一つ一つの部屋にそれぞれの人生、恋が詰まっているという作者ならではの感性で「追い、追われる恋の連鎖」を表現。
蝋燭の周りをぐるぐる回る様に、恋してその後を追う者は誰?
「あなたよ」「いいや君だ」
その登場人物の恋愛沙汰を神視点で俯瞰するキャラクターとして超能力者で醜男の「ハミオ」がナレーションする。
彼も次第に恋の渦に巻き込まれ、美しく生まれ変わり自身もその渦に飛び込んでいくが・・・。
彼の台詞に「恋は一種の神経症、錯覚でしかない」
という一文がある。
主人公のナオは大嫌いだった筈だが美しくなったハミオに惹かれてしまう自分の気持ちに困惑し「恋と欲望ってどう違うの!?」と疑問を投げうつ。
両者共正しいし、果たしてそこに最適解など存在するだろうか。
恋のメビウスの輪を第三者として端から見ている時、その様子は愉快でばかばかしいものだ。
だが、ことその輪に巻き込まれてしまうとひとたび笑い事では無くなってしまう。ありとあらゆる妄想を膨らまし、期待と不安のジェットコースターで寝食もままならず撹乱されて正常な判断がつかなくなる。
恋愛のもつエゴイスティックな面を正面から捉え、ただの中学生の恋愛はいつしか「人を愛するとはどういう事か」という壮大な疑問へとシフトしてゆく。
作中、恋をしていないのはてっちゃんやおじいちゃんくらいだが、この2人が狂言回しとして見事に作品全体の味をキリリと締めている。
2人の放つメッセージには恋愛の渦中に居ないからこそ見える冷静な判断と、その様をある種シニカルに捉えた小粋な台詞で、その台詞の力は闇を撃つレーザービームの様に読者の心に突き刺さる。
個人的ベストシーンは第三巻の野沢母とおじいの一コマ
「今夜はアレがいい」
「・・・かます、・・・ですか」
恋をしている奴は誰だ!?
匿名
イマイチ入れずじまい
作品にもよるのでしょうが、あまり入れず。恋に恋していても……。
まとめると、中学生女子ナオの好きな伊丹先輩、先輩の好きな秋山ユリナ、ユリナの好きなヴォーカルマイジ、マイジの好きな秋山セリカ、セリカを好きなナオの父、ナオの母を好きな伊丹先輩の兄、ナオに目をつけている塾の武田先生ということのようですが……。
Posted by ブクログ
キューティコミック連載時もぼんやり読んでいたんだけど、
大人になって再読。
恋って何?愛って何?
その正体はなんだ?
っていうのがテーマかな?
「恋」っていう、よく考えても、経験しても
正体がよくわからないものを、
人間のわがままさ・エゴ・生理的な感情と一緒に
描ききった!って感じがする。
特に、みんなを傍観しながら時にコントロールするキャラとしてのハミオの描き方がすごい。
宙に浮いてても、魔術を使っても、いきなりイケメンになっても、
全然違和感が無く、物語がシラケるどころか、盛り上がるのは、
やはりハミオのキャラクターに
しっかりとしたリアルを感じるからだと思う。
そこが、本当にうまい。
少年の描き方も、ピュア化されていなくて、程よくリアル。
やっぱりモヨコさんの作品は好きだ〜