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Posted by ブクログ
哺乳類の心臓は一生のあいだに約20億回打つ。
それはゾウでもネズミでも同じ。
・・・ということは、心臓の拍動を時計として考えたら、ゾウもネズミも同じ長さだけ生きて死ぬことになる。
この冒頭の話から、興味がそそられました。目からうろこの事実ばかり!
生物のサイズに着目し、エネルギー消費量や体内器官、移動方法などを考察しています。
実際に計測されたデータから導き出された数式を元に説明が進むのですが、それぞれの生物にとって今ある形が理にかなっているものだということがわかりました。
Posted by ブクログ
サイズの生物学。初めて知ることが多かった。言われてみれば不思議。小さなネズミや大きなゾウでもそのサイズに合わせた骨格や脳、心臓を持っている。また身体の大きさに合わせて心臓の動くスピードや、骨の太さも調整されている。走るより飛ぶ方が速度が出るので燃費が良い。微生物は小さいからこそ単細胞生物として成り立つ。動物の細胞は一つ分の大きさが同じで、植物は細胞壁と液胞を持つことで細胞を大きくできた。昆虫は外骨格を持つことで、ヒトデやウニは外骨格を内骨格化し、生存競争を生き残った。食べられにくくなりながら養分を確保する。
Posted by ブクログ
動物の体は効率よく生きるために設計されている、ということがよくわかる本。
例が巧みで面白く、楽しく読めた。
植物や棘皮動物(ウニやヒトデなど)についても述べられており、興味深かった。
【memo】
・時間は体重の1/4乗に比例する。
・1呼吸4回心臓は打つ。
・哺乳類ではどの動物も一生の間に心臓は20億回打つ。
・体調1mm以下の動物は水の粘性力に影響されて生きている。熱運動も無視できない世界。
・体調1mm以上になってくると、粘性力よりも慣性力に影響されて生きている。
・多数の繊毛を貼り合わせたクシ板で動いているタイプのクラゲがいる。(テマリクラゲ)
・酸素を細胞内の拡散だけに頼って生きている動物のサイズの上限は半径1mm。陸上では0.8mm。
・ミミズは呼吸系はもたないが、循環系は持っている。
循環器を持っていると、サイズの上限は半径1.3㎝となる。
・脳や内分泌帰還(脳下垂体・副腎・甲状腺)は、体重に正比例しない。
・体重を支えるため、大きな動物ほど骨の占める割合が大きくなる。
・ヒトは体重の15%が骨格系。ゾウは20%以上。トガリネズミは3.5%。
Posted by ブクログ
面白かった。実家の自分の部屋の本棚にあったのをふと手に取る。最近、植物の話を聞くことが増えて、生きもの全般に興味がわいていたところだったので、とても楽しく読めた。
タイトルにあるように、動物は「サイズ」によって同じ時間の長さでも、過ごす時間の意味がちがうという。また、大きさという制約によって、見えている世界の厳しさもちがう。つまり、世界の何を厳しいと思うかというところがちがう。
序盤では、そのような全体的な生き物のサイズによる違いについて、彼らの懸命なる枝分かれの様子を見ていく。おおよそ、体の外に接している面積と、体の中に抱え込んでいる体積との釣り合いをどうとりながら生命活動を維持していくか、という解説が主だっている。
これまで、動物園で漠然と眺めていた動物たちの行動原理がつぎつぎと明らかになっていく展開は、まるで新しい目を手に入れたようでとてもおもしろい。
ヒトに関わる生きものや、ヒトについての生物学的な数値とかがおもしろかった。そこから、さらに器官や身体の部分的な機能について言及。中高時代の生物の時間を思い出した。少し視点がマクロになり、「疑問に答える
」形で進んでいくにせよ、専門的な興味が先行しているように見えて若干眠くなった。
後半、昆虫や植物の合理性というか、進化の論理についてはまたおもしろく感じて、読み進めやすかった。最後の、著者の専門?であるヒトデとか、ウニとか、そういう生きものの話は、ちょっと難しかったが、彼の熱量と最後だからという気持ちで乗り切る。
これから海にいったときに、彼らを見る目は違ってくるだろうなあと思う。知ってる、知ってないでこれだけ楽しめるものが広がるのか、と思う。とくに、子どもたち相手に説明したりして、尊敬のまなざしを集めたい気持ちにかられた。
全体的なユーモアが好きだった。生きもの達への「こいつら、なんでこんな変な形なんだ?」「動いているのが、動物って感じがするよねー」という、目線というか素朴な姿勢がいい。知識のない自分にも共感できた。(計算式とかグラフとか、入り組んだところは理解を放棄した。)
筆者の身のまわりのことも出てくるので、息抜きしながら読みやすかった。やっぱり研究者の書いたエッセイって楽しいなあと思う。生物は理系科目のなかでは好きだったのと、今興味がとてもあるので、読みやすかったこともあっただろうと思う。
これ以上先に進もうとは思わなくてこれで十分だったが、もっと好きな人は生物の世界に踏み入っていくのだろう。生物への入り口として、雑学として、ぴったり。生きものが大好きなお子さんのいるお父さんお母さんにもおすすめ。
Posted by ブクログ
ヒトを含め、動物のサイズは生物学的に説明できるものなのだという視点を得る。
生命体を作る一つ一つの細胞の大きさは動物ごとに変わらないけれど、一つの生物としてとらえたときに、心臓の鼓動や、脈打ち、動きの速さとか、それ以外にもいろいろサイズと相関している。
寿命も小さい生きものは短いし、大きい生きものは長いし、でもそれは、主体としては平均的には同じで、ひとつの動物である以上、私たちの時間の流れ方を基軸に長いとか短いと言っていて、自分がゾウとして生きたらそれはヒトとして生きているときの人生の長さと変わらない…
とかいうことは、漠然とは知っていたけれど、
この本はそれを詳しく専門的に説明していて、全部は理解できなかったけれど、このような研究がなされているんだなということが分かった。だいぶ前に書かれた本だから、今はもっと研究が進んでいると思うけれど。