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Posted by ブクログ 2024年04月08日
体のサイズや形態から、その生き物の時間、あり方を考えると、サイズ対比ではどんな生き物にも概ね同じ法則が当てはまるというのは、とても興味深いこと。進化はやはり奥が深い。この法則に基づいてヒトやその技術を相対化すると、自然の道から外れてるなぁ、と思う。
Posted by ブクログ 2023年10月09日
様々な動物についてサイズをベースに進化、エネルギー消費量、食事量、生息密度、行動圏などを考察し、走る、飛ぶ、泳ぐという行動とサイズの関係、さらには動物の各器官とサイズの関係、細胞とサイズの関係などなど広範囲に渡って興味深い論考が満載の好著だ.説明の図表のほとんどが両対数グラフであるのが特徴だと感じた...続きを読む.あまり見かけない図表だが、非常に便利なものだと理解している.植物への展開もあり、さらには棘皮(きょくひ)動物まで考察しており、著者の類まれなる好奇心の一端に触れることが出来たと喜んでいるところだ.
Posted by ブクログ 2023年03月06日
生物のサイズに着目して、種の違いを貫く法則を見出し、そのデザインや生き方に迫っていく本。サイズと時間の関係が生き物への相対的な視点をもたらしてくれます。
楽しそうにどんどん拡がっていく筆者の発想にワクワクし、対数を用いたアロメトリーには感動さえしました。付録の計算も面白いです。各章読み応えがあり...続きを読むましたが、第11章「細胞のサイズと生物の建築法」が特に好きです。
Posted by ブクログ 2022年01月03日
サイズと、それに伴った動物それぞれの時間感覚の話も当然面白いが、後半にかけて語られるサイズに関連した動物デザインの話(研究考察含む)も面白かった。
何気なく見てきた昆虫や棘皮動物の構造に自然な理由が考察できるなんて、とても面白い。
個人的にはあとがきも秀逸であったと思う。サイズと、動物を考えてきた筆...続きを読む者だからこそのメッセージ性があり、歌詞のように心に響いた。大切なのは等身大でいること、なのかもしれない。
Posted by ブクログ 2021年01月21日
誰でも楽しめる名著。なんでゾウって大きくてネズミって小さいんだろう、ゾウもネズミみたいにたくさん繁殖できたら良いのにどうしてそうなっていないんだろう、などなど。
Posted by ブクログ 2020年07月16日
体の大きさに応じて「時間の流れが変わる」というところを切り口に,色々な種族で世界観が異なることを紹介している.生物学者としては「それぞれの世界観を意識し想像してこそ他種族と交流がもてる」という考え方のようだ.中の一節に少しだけロボットのこともあり,「人の世界観を理解し,人の流れる時間を意識することで...続きを読む人にやさしいロボットが出来るのではないか?ロボット・機械は人と同じサイズながら人よりももっと早く動くことができる.それは高性能かもしれないが,流れる時間が違うということは人と共に生きていない.『動物に似せたロボットを作るときに,体長に合わせて歩く速度を決めたりしただろうか?(p.134)』」と書いてあり面白い. 時間の話だけでなく,体の大きさに応じて体のシステムの在り方もそれぞれ異なっていることなども書いてあり,とても勉強になる本.
Posted by ブクログ 2020年01月20日
哺乳類の心臓は一生のあいだに約20億回打つ。
それはゾウでもネズミでも同じ。
・・・ということは、心臓の拍動を時計として考えたら、ゾウもネズミも同じ長さだけ生きて死ぬことになる。
この冒頭の話から、興味がそそられました。目からうろこの事実ばかり!
生物のサイズに着目し、エネルギー消費量や体内器官...続きを読む、移動方法などを考察しています。
実際に計測されたデータから導き出された数式を元に説明が進むのですが、それぞれの生物にとって今ある形が理にかなっているものだということがわかりました。
Posted by ブクログ 2024年02月26日
1992年初版発行でかなり古いんだけど、新鮮に面白かった。
たぶん有名な本すぎて、どこかで紹介を聞いたことがあるんだとおもう。「サイズが違うと生体時間が違う」という話は私も知っていた。でもそれが実際にどういうことなのかは本書を読んで初めてわかった。
体重と代謝が比例すること、体重と生体サイクルが一定...続きを読むの比例をみせること、そこから各々の生体時間の比較ができること。サイズの比較の話だけじゃなくて哺乳類の骨の強度の話、昆虫の外骨格の話、14章の棘皮動物のデザインの話まで新しく知ることばかりで面白かった。具体的な数字は失礼ながら結構読み飛ばしたけど、それでも生物学の入門書としていいとおもう。
同じ視点の、もっと最新の本が読みたい。
⚫︎内容
動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。
(中央公論新社HPより引用)
Posted by ブクログ 2023年05月02日
30年前の初版時からタイトルは知っていたがようやく一読。
哺乳類ではどの動物も一生の間に20億回心臓を打って死んでいくそうだ。それぞれのリズムでその一生を生きていく。大きい方が長生きで、体重当たりのエネルギー消費量は少なく、個体数は少ない。小さい方はエネルギー消費量は多いが、個体数は多く、一世代の時...続きを読む間が短く、その分突然変異の生まれる確率は高い。
そう考えると、サイズ的にゾウと同等のエネルギーを消費する現代人類は何とも分不相応だろうか。または桁違いな存在だろうか。
その他、極小生物、植物、昆虫、サンゴ、ウニ、ヒトデ等々の驚きの生態、構造を教えてくれる。いくぶん古い本ではあるが、目に見えない極小の世界、時間・空間感覚といった何やら哲学的な話題や非日常的な世界観に触れ新鮮な気持ちになれた。
Posted by ブクログ 2023年02月11日
サイズの生物学。初めて知ることが多かった。言われてみれば不思議。小さなネズミや大きなゾウでもそのサイズに合わせた骨格や脳、心臓を持っている。また身体の大きさに合わせて心臓の動くスピードや、骨の太さも調整されている。走るより飛ぶ方が速度が出るので燃費が良い。微生物は小さいからこそ単細胞生物として成り立...続きを読むつ。動物の細胞は一つ分の大きさが同じで、植物は細胞壁と液胞を持つことで細胞を大きくできた。昆虫は外骨格を持つことで、ヒトデやウニは外骨格を内骨格化し、生存競争を生き残った。食べられにくくなりながら養分を確保する。
Posted by ブクログ 2023年01月24日
畳みかけるように次々と展開するため、ワクワクしてページをめくる手をなかなか止められない
おまけに著者の想像力豊かな表現力が大変素晴らしく、いちいち拍手をしたくなるのだが…
今回そちらを強調したいので、その部分に(面白表現)と記載してみた
(こういうのって楽しい♪)
動物は体のサイズに応じて違う単...続きを読む位の時間をもっている
ゾウはゾウの時間
ネズミはネズミの時間があるという
一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量はサイズによらず同じ
生物における時間を物理的な時間と区別して、生理的時間と呼ぶ
物理的時間でいえばゾウはネズミよりずっと長生き
しかし心臓の拍数を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるだろう
小さい動物の体内で起こる現象のテンポが速いのだから一生を生き切った感覚はゾウもネズミも変わらないのではないか
(うわー面白い!物理的時間でしか物事を考えたことがなかったため、こんな考え方があるとは驚いた
生理的時間で物事を考えると違った見方が出来そうではないか!
年を取ると時間を早く感じてしまう…とかね)
先ほどの生理的時間をもう少し専門的に描写されたのが以下の内容だ
・体重が増えると時間が長くなる
時間は体重の1/4乗に比例する=体重が16倍になると時間が2倍になる
体重の増え方に比べ時間の長くなり方はずっとゆるやか
・1/4乗則というのは時間が関わっているいろいろな現象に広く当てはまる
寿命から成長の時間、性的に成熟するまでの時間、赤ん坊が母親の胎内に留まっている時間、
息をする時間間隔、心臓が打つ間隔、腸がじわっと蠕動時間、血が体内を一巡する時間、
体内から入った異物を再び体外へ除去するのに要する時間、タンパク質が合成されてから壊されるまでの時間など
生物における時間を物理的な時間と区別して、生理的時間と呼ぶ
以下は興味深いものの抜粋
・大きいもの
メリット:ちょっとした環境の変化はものともせず長生きできる
デメリット:1世代の時間が長くその結果、突然変異により新しい種を生み出す可能性を犠牲にしている
(例:象…象の仲間で現在生き残っているのはインド象とアフリカ象の2種類だけ)
・小さいもの
メリット:1世代の時間が短く、個体数も多いため短期間に新しいものが突然変異で生まれて出る確率が高い
デメリット:小さいものはしょっちゅう餌を食い続けなければならず、餌がちょっとでも見つけられなくなったらすぐ飢えて死ぬ危険に直面する
・島の法則…島に隔離されると、サイズの大きい動物は小さくなり、サイズの小さい動物は大きくなる
理由:島という環境は、捕食者の少ない環境であるため
この島の法則は人間にも当てはまりそうだ
大陸に住んでいればとてつもないことを考えたり、常識外れなことをやることも可能だ
だが島では出る釘はすぐ打たれてしまう…(面白表現)
・体重が増えるほどには、食べる量は増えない
・大きいものほど速い
ただしサイズがどんどん大きくなれば際限もなくどんどん速くなるわけではない
地上で1番速いランナーであるチーターは体重約55キログラム
これ以上体重が増えても速度はほとんど増えない
サイズが大きくなると、足にかかる衝撃は大変なものになり、足は体を支えきれなくなってしまう
・主要な臓器はサイズが変わっても体の中で占める比率は変わらない
つまり哺乳類の体の作りはサイズに限らず、ほぼ一定の比率でできている
ただし体重が増えるほどには器官の重量が増えないものがある
脳や内分泌器官である(体の機能を制御しているもの)
制御する方の重さが制御される方の重さに正比例しない
(例:車の鍵…軽自動車とトラックの鍵の大きさはそれほど変わらない、ハンドルも2つにならない) (面白表現)
・動物では時間は体長の3/4乗に比例する
まだ理由は不明だが、長さは空間の単位だから、時間と空間はある一定の相関関係を保っていると言うことを意味する
動物を理解するためには、「空間」と「時間」と「力」、この3つに対する感覚が必要
ヒトは視覚主導型の生き物
空間認識はよく理解できるが、時間感覚や力の感覚はあまり発達していない(時計に支配されている人間)
・細胞のサイズは、動物の種類が違っても、ほとんど変わらずの一定(直径約10ミクロン)である
細胞の真ん中には遺伝子情報を持った核がある
・植物細胞は50ミクロン
・動物が柱と梁を組み合わせた骨組み建築(動物では骨格系が体を支えている)
・植物はレンガ積建築である(細胞1個がレンガ1個に対応)
・建築法の違いは動くか動かないかと言う事と深く関係している
骨組み建築なら、柱と梁のつなぎ目を間接にしてあれば体が変形して動くことができる
レンガ積ではレンガ同士が全て貼り合わされているので動くことができない(壊れやすいが増やしやすい)
増やしやすい→光合成において光を受ける面積が広い方が良いし、背丈の高い方が他の物の影にもならずにすむ
■昆虫
・サイズが小さいことの長所…変異を短時間で生み出すことができる
・サイズが小さいことの短所…外の環境に左右されやすい
陸上の生き物では、乾燥にいかに耐えるかが大問題となる
体の表面を殻ですっぽり大ことにより、乾燥の問題を解決した(この殻をクチクラという)
・サイズが小さいが故、循環系に頼ることなく、空気をチューブで酸素を必要とする細胞まで直接配達する気管がある
空気の詰まったチューブのため拡散だけで速やかに酸素が運べる
・昆虫は成長のたびに脱皮する、気管も脱皮する
脱皮というものは費用と危険を伴う(面白表現)
ここから昆虫のサイズの上限を決めているのではないか
・昆虫は変態(羽化)を節目として、食性と運動法を切り替える
幼虫期はあまり動かずひたすら食う (この時は胃袋が重くても良い)
羽化して成虫になると、飛びまわることが最優先になり、消化の良いものだけを食べる
■動かない動物たち(サンゴ)
・サンゴは体の中に、褐虫藻と言う小さな単細胞の植物を大量に共生させている
この共生藻が光を受けて光合成をし、作り出した食物を気前よく親であるサンゴに分け与える
サンゴは自前の農場を体の中に持っている(面白表現)
・レンガ積建築法
単一ユニットをどんどん積み上げていく
つまりサンゴはたくさんの個体が集まってできた群体である
・個々のユニットは分裂や出芽によって無性生殖的に増え、成長に制限がない
また硬い殻はユニットが死んでも残るので体が大きくなるに都合が良い
個体には寿命があるが、群体としては新しい個体が付け変わっていくので寿命は無い
・固着性の生物にとって、土地と言うのは最大の財産である
日当たりの良い場所を確保したら死ぬまで手放せないほうがいい(面白表現)
■ちょっとだけ動く動物(棘皮動物 ウニやヒトデ)
・ウニ…棘を折りたたみ式にできる
棘は根元の殻とのつなぎ目が関節になっていて、と棘を立てたり倒したり(360度どの方向にも)できる
棘を倒せば、ウニは殻のサイズまで小さくなれるので、岩穴などの隠れ家を見つけやすくなる
・ヒトデ…体の表面には、数ミリ程度の小さな骨(骨片)がびっしりと敷きつめられており、
この小さな骨片が結合組織でつづり合わされた鎧を着ている(面白表現)
結合組織は硬さを変えられるため、自由自在に体を動かせる
・ヒトデの捕食
貝の食べ方…5本の腕で抱きかかえたくさんの管足を貝の殻に吸い付かせ、殻をこじ開ける
胃を口から出し、殻の隙間から貝の体内に滑り込ませ、消化液を分泌し、貝を溶かして吸収し食べてしまう
何時間、何日もかけて(なかなかエグいなぁ)
著者のあとがきより…
動物の世界観とヒトとの違いについて
ヒトの常識にあてはめない
生物学はヒトという生き物を相対化して、ヒトの自然の中での位置を知ることができる
生物学というのは身近でありながら、実に謎が多い
上手いこと出来ているなぁと感心させられることが多く神秘的だ
後半の動かない動物やちょっとだけ動く動物…面白かった
生命を司る工夫がなるほど!というものばかり
さすが生き残った者たちだ!
さて本書は全て理解できたかは正直微妙なのだが(笑)…
計算式をすべてすっ飛ばして読んだとしても、初心者でも楽しめる
専門的な話には都度例えや噛み砕いた説明があり、わかりやすく最初から最後まで楽しめた
ヒトという常識に囚われていることに気づくと同時に、
ヒトって生きるための使い勝手が何かと悪いから脳が発達したのかも…とふと思った
Posted by ブクログ 2022年08月28日
生物の時間(寿命や成長にかかる時間など)は、ゾウであれ、ネズミであれ体重の1/4乗に比例する。この値は生物のサイズに由来する。例えば、大きい生物の場合、小さい生物に比べて体積当たりの表面積が小さくなる。すると、代謝量が減少するので心拍が遅くなる。小さい生物ではこの逆の現象が起こる。
本書は、こ...続きを読むの仮説を皮切りに生物のサイズや形が生きるためにどのような役割を果たしているのかを考察していくものである。
肺や心臓の必要性や微生物の構造の違いにも述べられており、分子による力学的エネルギーは生物のデザインに多大な影響をもたらしていることが大変興味深いと感じた。
一見何気ないものでも必ず理由があることを教えてくれる本である。
Posted by ブクログ 2022年02月22日
哲学は人間の頭の中だけを覗いているし、
物理や化学は人間の目を通しての自然の解釈なのだから、
人間を相対化することができない。
生物学により、はじめてヒトという生き物を相対化して、
人の自然の中での位置を感じることができる。
Posted by ブクログ 2021年11月09日
動物の体は効率よく生きるために設計されている、ということがよくわかる本。
例が巧みで面白く、楽しく読めた。
植物や棘皮動物(ウニやヒトデなど)についても述べられており、興味深かった。
【memo】
・時間は体重の1/4乗に比例する。
・1呼吸4回心臓は打つ。
・哺乳類ではどの動物も一生の間に...続きを読む心臓は20億回打つ。
・体調1mm以下の動物は水の粘性力に影響されて生きている。熱運動も無視できない世界。
・体調1mm以上になってくると、粘性力よりも慣性力に影響されて生きている。
・多数の繊毛を貼り合わせたクシ板で動いているタイプのクラゲがいる。(テマリクラゲ)
・酸素を細胞内の拡散だけに頼って生きている動物のサイズの上限は半径1mm。陸上では0.8mm。
・ミミズは呼吸系はもたないが、循環系は持っている。
循環器を持っていると、サイズの上限は半径1.3㎝となる。
・脳や内分泌帰還(脳下垂体・副腎・甲状腺)は、体重に正比例しない。
・体重を支えるため、大きな動物ほど骨の占める割合が大きくなる。
・ヒトは体重の15%が骨格系。ゾウは20%以上。トガリネズミは3.5%。
Posted by ブクログ 2021年09月05日
ちょっと読みにくかった。数式が出てきたり専門用語が出てきたりした。本当に理解するにはこのくらいのものを苦労しながら読まなきゃいけないんでしょうね。
Posted by ブクログ 2021年06月08日
中古本で何気なく見つけ購入。
すごく面白かった。後半はウニやヒトデで読むのが大変だけど、前半は学のない私でも十分楽しめました。車輪の件なんかすごくよかった。
Posted by ブクログ 2021年03月22日
生物を「サイズ」の視点から考察した本。
レイノルズ数から考えると、体長が1mmに満たない生物は住む世界が違ってくるといった話が印象的でした。
生き物はそれぞれの生き方があり、人間の物差しだけで考えず、それぞれを尊重することの大切さを教えられました。
本書は1992年刊行と自分の生まれる前...続きを読むに書かれた本ですが古さを感じず、驚きました。生き物の見方を広げてくれる良書だと思います。
Posted by ブクログ 2020年12月01日
思ったほど時間のことについて書いてなかったのは残念だったのだが、生物の体の作りや進化について改めて勉強しなおした感じ。
たしかにこんなこと勉強したかもしれないが、忘れてた、ということを思い出させてもらったような気持ちになった。生物に対して謙虚になる。
Posted by ブクログ 2020年04月13日
面白かった。実家の自分の部屋の本棚にあったのをふと手に取る。最近、植物の話を聞くことが増えて、生きもの全般に興味がわいていたところだったので、とても楽しく読めた。
タイトルにあるように、動物は「サイズ」によって同じ時間の長さでも、過ごす時間の意味がちがうという。また、大きさという制約によって、見え...続きを読むている世界の厳しさもちがう。つまり、世界の何を厳しいと思うかというところがちがう。
序盤では、そのような全体的な生き物のサイズによる違いについて、彼らの懸命なる枝分かれの様子を見ていく。おおよそ、体の外に接している面積と、体の中に抱え込んでいる体積との釣り合いをどうとりながら生命活動を維持していくか、という解説が主だっている。
これまで、動物園で漠然と眺めていた動物たちの行動原理がつぎつぎと明らかになっていく展開は、まるで新しい目を手に入れたようでとてもおもしろい。
ヒトに関わる生きものや、ヒトについての生物学的な数値とかがおもしろかった。そこから、さらに器官や身体の部分的な機能について言及。中高時代の生物の時間を思い出した。少し視点がマクロになり、「疑問に答える
」形で進んでいくにせよ、専門的な興味が先行しているように見えて若干眠くなった。
後半、昆虫や植物の合理性というか、進化の論理についてはまたおもしろく感じて、読み進めやすかった。最後の、著者の専門?であるヒトデとか、ウニとか、そういう生きものの話は、ちょっと難しかったが、彼の熱量と最後だからという気持ちで乗り切る。
これから海にいったときに、彼らを見る目は違ってくるだろうなあと思う。知ってる、知ってないでこれだけ楽しめるものが広がるのか、と思う。とくに、子どもたち相手に説明したりして、尊敬のまなざしを集めたい気持ちにかられた。
全体的なユーモアが好きだった。生きもの達への「こいつら、なんでこんな変な形なんだ?」「動いているのが、動物って感じがするよねー」という、目線というか素朴な姿勢がいい。知識のない自分にも共感できた。(計算式とかグラフとか、入り組んだところは理解を放棄した。)
筆者の身のまわりのことも出てくるので、息抜きしながら読みやすかった。やっぱり研究者の書いたエッセイって楽しいなあと思う。生物は理系科目のなかでは好きだったのと、今興味がとてもあるので、読みやすかったこともあっただろうと思う。
これ以上先に進もうとは思わなくてこれで十分だったが、もっと好きな人は生物の世界に踏み入っていくのだろう。生物への入り口として、雑学として、ぴったり。生きものが大好きなお子さんのいるお父さんお母さんにもおすすめ。
Posted by ブクログ 2023年12月28日
なるほど、と感心。ゾウとアリ、考え方によっては同じ時間を生きている。島国と大陸、日本人の特性がわかるような。根拠のための数字がたくさん出てきて、文系の私は?分かったような理解不能のような。
Posted by ブクログ 2023年03月08日
30年前の名著。当時読んだかな?思い出せない。
日本人は島に住んでいるのだから、自己のアイデンティティーを確立するためにも、島とは何かを、真面目に考えるべきだ。
日本人のエネルギー消費量は4400W 半分か代謝量で体重換算すると4.3t
日本の人口密度(320/km2)から計算される体重は140...続きを読むg
なぜ細胞はそろいもそろって10ミクロンなのだろう?
Posted by ブクログ 2021年04月21日
動物の身体の大きさと心拍速度との関係について書かれた本。時間の概念が種によって違うといった考えはとても興味深い。自分が人間じゃなくほかの動物だったら世界がどのように見えるんだろう、とか考えたりして想像力が膨らんだ。
Posted by ブクログ 2020年05月17日
動物のサイズの違いによって、生理的な時間(寿命、息を吸う間隔、心臓を打つ間隔、血液が体内を一巡する時間)は異なり体重の1/4乗に比例する、体重1kg当たり一生に使うエネルギー消費量は寿命の長さによらず一定、動物と植物の細胞のサイズの違いが、生体構造の違いや輸送系の違いを生む等、サイズからアプローチし...続きを読む、サイズとの様々な関係を明らかにしていく。動物を見る新たな視点を与えてくれる。
Posted by ブクログ 2019年12月16日
ヒトを含め、動物のサイズは生物学的に説明できるものなのだという視点を得る。
生命体を作る一つ一つの細胞の大きさは動物ごとに変わらないけれど、一つの生物としてとらえたときに、心臓の鼓動や、脈打ち、動きの速さとか、それ以外にもいろいろサイズと相関している。
寿命も小さい生きものは短いし、大きい生きもの...続きを読むは長いし、でもそれは、主体としては平均的には同じで、ひとつの動物である以上、私たちの時間の流れ方を基軸に長いとか短いと言っていて、自分がゾウとして生きたらそれはヒトとして生きているときの人生の長さと変わらない…
とかいうことは、漠然とは知っていたけれど、
この本はそれを詳しく専門的に説明していて、全部は理解できなかったけれど、このような研究がなされているんだなということが分かった。だいぶ前に書かれた本だから、今はもっと研究が進んでいると思うけれど。
Posted by ブクログ 2019年09月15日
数式が出てくるところは難しくて飛ばしましたが、文章による説明を読むだけでもなんとなく内容は理解できます。
様々なサイズの動物のデザインが理にかなっていることがよく分かりおもしろかったです。
あとがきに書かれていたとおり、動物の生態を知ることの本質は、学問の本質を突いていると思いました。人間って思い上...続きを読むがりが過ぎるところがあるからこそ、自然について学ぶことが大切ですね。
Posted by ブクログ 2019年07月29日
昔一度読もうとして、途中まででどうにも性が合わず断念し、最近一念発起してやはり全部一度は読むべきだとトライしてみたが、やはりあまり性が合わなかった感はある。
色々な数式を弄りながら話を展開していくのだけども、その仮定や論理に割と飛躍しすぎなのではないか、というところや、一方的に押しつけられているよう...続きを読むな感覚になる部分もあり、なんだか意図的にどこかにごまかされて連れていかれているようで、だからきっと腑に落ちなかった部分が多かったのだろうと思う。
とはいえ、生物の様々な値の根底に横たわる定義や普遍性ついて考えてみようという試み自体は面白い発想で、新たな視点が得られた良い機会にはなったと思う。また、細胞のサイズの制限や、循環系のない生物とある生物の違い、循環系がない生物がどこまで大きくなれるかの考察などは中々面白いと思った。